「急に走り出す、手をつなぐのを激しく嫌がる」…しつけ不足ではありません。脳の「好奇心の暴走」と「触覚のSOS」かも?
こんにちは。
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、児童指導員および理学療法士をしています、内山隆範です。
8月も半ばを迎え、お盆休みなどでご家族でお出かけをする機会が増える時期ですね。ショッピングモールやテーマパークなど、人が多い場所へ出かける際、お母さんやお父さんの寿命が縮むような思いをするこんなお悩みはありませんか?
「『危ないから手をつなごう!』と何度言っても、全力で手を振り払って逃げようとする」
「興味のあるもの(看板や噴水など)を見つけると、親の声も周囲の車も目に入らず、突然走り出してしまう」
「命を守るために子ども用ハーネス(迷子紐)を使ったら、すれ違う人に『犬みたい』とヒソヒソ言われて泣きたくなった…」
日々の療育の現場でも、そして私自身の子育ての中でも、この「飛び出し・手つなぎ拒否」による外出時の疲労や周囲の目へのプレッシャーは、本当によくお聞きする切実なお悩みです。
「なんでちゃんと言うことを聞けないの!」「迷子になったり、車に轢かれたりしたらどうするの!」
命に関わることだからこそ、外出先で大声で叱ってしまい、自己嫌悪でヘトヘトになって帰宅するお母さんたちのお気持ち、痛いほどよく分かります。
でも、理学療法士(身体と脳の専門家)として、そして同じ子育てに奮闘する親として、まず一番に大切な事実をお伝えさせてください。
お子さまが手をつなぐのを嫌がったり、突然走り出したりするのは、決して「親のしつけが足りない」からでも、「ワガママでわざと困らせている」からでもありません。
これには、皮膚の感覚センサーと、脳の「ブレーキ機能」による、明確なエビデンス(医学的根拠)が存在します。
なぜ、手をつなげず、急に走り出してしまうのか?
大人の目には「落ち着きがない」「勝手な行動をしている」ように見えますが、お子さまの身体と脳の中では、以下のような過酷なエラーや衝動が起きています。
① 「ギュッと握られる手」が痛くて不快!(触覚過敏)
手をつなげないお子さまに多いのが、手のひらの「触覚過敏」です。
私たちの手のひらは非常に敏感なセンサーです。感覚の受け取り方が過敏なお子さまにとって、大人の大きな手で「ギュッ」と握られる感覚や、夏の時期の「汗ばんだ肌と肌が密着する感覚」は、「手首をロープで縛り上げられているような拘束感」や「熱くて気持ち悪い不快感」に変換されてしまいます。不快で痛いのですから、全力で振り払うのは自己防衛として当然の反応なのです。
② 脳の「ブレーキ(前頭前野)」より「アクセル」が強すぎる
興味のあるものに向かって一直線に走り出してしまうのは、脳の「前頭前野(ぜんとうぜんや)」というブレーキ機能がまだ発達途中だからです。
発達に凸凹のあるお子さまは、「あっちに行きたい!(アクセル)」という強い衝動が湧いた瞬間、「でも車が来るかもしれない、お母さんが怒るかもしれない(ブレーキ)」という機能がフリーズしてしまいます。目の前の魅力的な世界しか見えなくなり、耳からの情報(親の「止まりなさい!」という声)は文字通り『聞こえなくなっている』状態です。
今日からお出かけで即実践!安全を守る実用アプローチ
「言うことを聞くまで帰らないよ!」と強く叱ったり、無理やり腕を引っ張ったりすることは、パニックを引き起こし、余計に親の手を振り解こうとする危険な状態を作ってしまいます。
今日から、以下の3つのアプローチで「安全の確保」を最優先にしてみてください。
1. 直接手をつながない「公式の持ち手」を用意する(触覚への配慮)
肌と肌が触れるのが不快なら、道具を使えば解決します。
カバンの持ち手や、タオル、または100円ショップで売っているような「短いリング(つり革のようなもの)」を用意し、「〇〇くんは、ここをギュッと持っててね」とお願いしてみてください。直接握られる不快感がなくなり、「自分から握っている」という主体性が生まれることで、嘘のように隣を歩いてくれる子がたくさんいます。
2. 外出前に「重い荷物」で身体を落ち着かせる(固有受容覚の活用)
理学療法士としての裏技です。衝動的に走り出してしまう脳を落ち着かせるには、関節や筋肉に「強い圧」を入れるのが効果的です。
お出かけの直前に、「この荷物、車まで運んでくれる?」「少しお母さんと押し合いっこ(お相撲)しよう!」と、全身の筋肉をしっかり使う(重いものを押す・引く)運動を入れてみてください。身体の根っこ(固有受容覚)が満たされると、脳の興奮がスッと落ち着き、突発的な行動が減りやすくなります。
3. 「走らない!」ではなく「歩こうね」と伝える(肯定的な指示)
前頭前野(ブレーキ)が働きにくいお子さまの脳は、「〇〇しない」という否定の言葉を瞬時に理解するのが苦手です。「走らない!」と言われると、「走る」というイメージだけが脳に残りやすくなります。
「ここでは忍者さんみたいに歩こうね」「お母さんの隣でストップだよ」と、具体的に『どうしてほしいか』を肯定的な言葉で伝えてあげてください。
専門家(療育)に相談を考えてほしいサイン
成長とともに脳のブレーキ機能が育ち、少しずつ周囲の状況に合わせて歩けるようになることが多いですが、以下のような状態が見られる場合は、命に関わる大きな事故に直結するため、専門的なアプローチが必要です。
道路への飛び出しが日常茶飯事で、親が一時も気を抜けず、外出すること自体が恐怖になっている。
手をつなぐことやハーネスを極端に嫌がり、無理に止めようとすると道路の真ん中でも仰向けになって暴れ出す。
痛みに対する感覚が鈍く、転んで怪我をしたり何かにぶつかったりしても、全く気にせずに走り続けてしまう。
このようなときは、どうかご家庭だけで抱え込まず、私たち専門家を頼ってください。
エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士としての知見をフルに活かし、トランポリンやアスレチックなどの粗大運動の中で、「ストップ&ゴー(音楽が止まったらピタッと動きを止める遊び)」を繰り返し行います。遊びを通して身体をコントロールする楽しさを学ぶことで、脳はしなやかに「自分で自分にブレーキをかける力」を獲得していくのです。
外出先で周囲の冷たい視線に耐えながら、命を守るために必死で我が子を追いかけているお母さん、本当にお疲れ様です。
お子さまは決して親を困らせたいわけではなく、自分のあふれる好奇心や、過敏なセンサーとの付き合い方を、まだ学習している真っ最中なのです。(ハーネスは立派な命綱です。周りの目は気にせず、どうかご自身とお子さまの安全を第一になさってくださいね。)
「うちの子の飛び出しや手つなぎ拒否、脳のメカニズムが関係しているのかも?」と思われた時は、いつでもエコルドはぐみのおうちへお気軽にご相談ください。専門家として、全力でお子さまと保護者様に寄り添い、親子で笑顔でお出かけできる方法を一緒に考えてまいります。
【求人のお知らせ】一緒に働く仲間を募集しています!
そして最後に、エコルドから大切なお知らせがございます。
おかげさまで、現在大変多くの利用者様にご愛顧いただいており、子どもたち一人ひとりとより深く、丁寧に向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集することとなりました。
私たちは、単に「預かる」場所ではなく、今日お話ししたような身体のメカニズムや脳科学のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。そのため、以下のような専門的な資格やバックグラウンドをお持ちの方の力を必要としています。
保育士・幼稚園教諭:子どもの発達段階を理解し、日常の遊びや関わりから成長を促せる方。
理学療法士(PT)・作業療法士(OT):姿勢や動き、粗大・微細運動の分析と、身体の根っこからのアプローチに強みをお持ちの方。
公認心理師・臨床心理士:子どもたちの心の動き、感覚統合の特性、そして保護者様への心理的サポートに専門性をお持ちの方。
大学または大学院で心理学を専修する学科・研究科を修了された方:心理学の知見を、実際の療育現場で活かし、探求したい方。
「まだ経験が浅くて不安……」という方も、ご安心ください。
エコルドでは、私のような理学療法士をはじめ、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の療育についてエビデンスを元にディスカッションし、共に学び合う文化があります。あなたの専門性を、子どもたちの「できた!」の笑顔に変える場所が、ここにあります。
また、現在上記の資格取得を目指して勉強中の学生の皆さん。
教科書で学ぶ理論が、実際の療育現場でどのように子どもたちの身体や心の変化に繋がるのか、その「生きた学び」を、エコルドで一緒に体感してみませんか?アルバイトやインターンシップからのスタートも大歓迎です。
子どもたちの無限の可能性を信じ、身体の土台から人生を豊かにするサポートをしたい。そんな熱い想いをお持ちのあなたと、一緒に働ける日を楽しみにしています。
求人の詳細やご応募、ご見学については随時受け付けております。
ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください。まずは見学だけ、という方も歓迎です!
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
児童指導員・理学療法士 内山 隆範
こんにちは。
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、児童指導員および理学療法士をしています、内山隆範です。
8月も半ばを迎え、お盆休みなどでご家族でお出かけをする機会が増える時期ですね。ショッピングモールやテーマパークなど、人が多い場所へ出かける際、お母さんやお父さんの寿命が縮むような思いをするこんなお悩みはありませんか?
「『危ないから手をつなごう!』と何度言っても、全力で手を振り払って逃げようとする」
「興味のあるもの(看板や噴水など)を見つけると、親の声も周囲の車も目に入らず、突然走り出してしまう」
「命を守るために子ども用ハーネス(迷子紐)を使ったら、すれ違う人に『犬みたい』とヒソヒソ言われて泣きたくなった…」
日々の療育の現場でも、そして私自身の子育ての中でも、この「飛び出し・手つなぎ拒否」による外出時の疲労や周囲の目へのプレッシャーは、本当によくお聞きする切実なお悩みです。
「なんでちゃんと言うことを聞けないの!」「迷子になったり、車に轢かれたりしたらどうするの!」
命に関わることだからこそ、外出先で大声で叱ってしまい、自己嫌悪でヘトヘトになって帰宅するお母さんたちのお気持ち、痛いほどよく分かります。
でも、理学療法士(身体と脳の専門家)として、そして同じ子育てに奮闘する親として、まず一番に大切な事実をお伝えさせてください。
お子さまが手をつなぐのを嫌がったり、突然走り出したりするのは、決して「親のしつけが足りない」からでも、「ワガママでわざと困らせている」からでもありません。
これには、皮膚の感覚センサーと、脳の「ブレーキ機能」による、明確なエビデンス(医学的根拠)が存在します。
なぜ、手をつなげず、急に走り出してしまうのか?
大人の目には「落ち着きがない」「勝手な行動をしている」ように見えますが、お子さまの身体と脳の中では、以下のような過酷なエラーや衝動が起きています。
① 「ギュッと握られる手」が痛くて不快!(触覚過敏)
手をつなげないお子さまに多いのが、手のひらの「触覚過敏」です。
私たちの手のひらは非常に敏感なセンサーです。感覚の受け取り方が過敏なお子さまにとって、大人の大きな手で「ギュッ」と握られる感覚や、夏の時期の「汗ばんだ肌と肌が密着する感覚」は、「手首をロープで縛り上げられているような拘束感」や「熱くて気持ち悪い不快感」に変換されてしまいます。不快で痛いのですから、全力で振り払うのは自己防衛として当然の反応なのです。
② 脳の「ブレーキ(前頭前野)」より「アクセル」が強すぎる
興味のあるものに向かって一直線に走り出してしまうのは、脳の「前頭前野(ぜんとうぜんや)」というブレーキ機能がまだ発達途中だからです。
発達に凸凹のあるお子さまは、「あっちに行きたい!(アクセル)」という強い衝動が湧いた瞬間、「でも車が来るかもしれない、お母さんが怒るかもしれない(ブレーキ)」という機能がフリーズしてしまいます。目の前の魅力的な世界しか見えなくなり、耳からの情報(親の「止まりなさい!」という声)は文字通り『聞こえなくなっている』状態です。
今日からお出かけで即実践!安全を守る実用アプローチ
「言うことを聞くまで帰らないよ!」と強く叱ったり、無理やり腕を引っ張ったりすることは、パニックを引き起こし、余計に親の手を振り解こうとする危険な状態を作ってしまいます。
今日から、以下の3つのアプローチで「安全の確保」を最優先にしてみてください。
1. 直接手をつながない「公式の持ち手」を用意する(触覚への配慮)
肌と肌が触れるのが不快なら、道具を使えば解決します。
カバンの持ち手や、タオル、または100円ショップで売っているような「短いリング(つり革のようなもの)」を用意し、「〇〇くんは、ここをギュッと持っててね」とお願いしてみてください。直接握られる不快感がなくなり、「自分から握っている」という主体性が生まれることで、嘘のように隣を歩いてくれる子がたくさんいます。
2. 外出前に「重い荷物」で身体を落ち着かせる(固有受容覚の活用)
理学療法士としての裏技です。衝動的に走り出してしまう脳を落ち着かせるには、関節や筋肉に「強い圧」を入れるのが効果的です。
お出かけの直前に、「この荷物、車まで運んでくれる?」「少しお母さんと押し合いっこ(お相撲)しよう!」と、全身の筋肉をしっかり使う(重いものを押す・引く)運動を入れてみてください。身体の根っこ(固有受容覚)が満たされると、脳の興奮がスッと落ち着き、突発的な行動が減りやすくなります。
3. 「走らない!」ではなく「歩こうね」と伝える(肯定的な指示)
前頭前野(ブレーキ)が働きにくいお子さまの脳は、「〇〇しない」という否定の言葉を瞬時に理解するのが苦手です。「走らない!」と言われると、「走る」というイメージだけが脳に残りやすくなります。
「ここでは忍者さんみたいに歩こうね」「お母さんの隣でストップだよ」と、具体的に『どうしてほしいか』を肯定的な言葉で伝えてあげてください。
専門家(療育)に相談を考えてほしいサイン
成長とともに脳のブレーキ機能が育ち、少しずつ周囲の状況に合わせて歩けるようになることが多いですが、以下のような状態が見られる場合は、命に関わる大きな事故に直結するため、専門的なアプローチが必要です。
道路への飛び出しが日常茶飯事で、親が一時も気を抜けず、外出すること自体が恐怖になっている。
手をつなぐことやハーネスを極端に嫌がり、無理に止めようとすると道路の真ん中でも仰向けになって暴れ出す。
痛みに対する感覚が鈍く、転んで怪我をしたり何かにぶつかったりしても、全く気にせずに走り続けてしまう。
このようなときは、どうかご家庭だけで抱え込まず、私たち専門家を頼ってください。
エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士としての知見をフルに活かし、トランポリンやアスレチックなどの粗大運動の中で、「ストップ&ゴー(音楽が止まったらピタッと動きを止める遊び)」を繰り返し行います。遊びを通して身体をコントロールする楽しさを学ぶことで、脳はしなやかに「自分で自分にブレーキをかける力」を獲得していくのです。
外出先で周囲の冷たい視線に耐えながら、命を守るために必死で我が子を追いかけているお母さん、本当にお疲れ様です。
お子さまは決して親を困らせたいわけではなく、自分のあふれる好奇心や、過敏なセンサーとの付き合い方を、まだ学習している真っ最中なのです。(ハーネスは立派な命綱です。周りの目は気にせず、どうかご自身とお子さまの安全を第一になさってくださいね。)
「うちの子の飛び出しや手つなぎ拒否、脳のメカニズムが関係しているのかも?」と思われた時は、いつでもエコルドはぐみのおうちへお気軽にご相談ください。専門家として、全力でお子さまと保護者様に寄り添い、親子で笑顔でお出かけできる方法を一緒に考えてまいります。
【求人のお知らせ】一緒に働く仲間を募集しています!
そして最後に、エコルドから大切なお知らせがございます。
おかげさまで、現在大変多くの利用者様にご愛顧いただいており、子どもたち一人ひとりとより深く、丁寧に向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集することとなりました。
私たちは、単に「預かる」場所ではなく、今日お話ししたような身体のメカニズムや脳科学のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。そのため、以下のような専門的な資格やバックグラウンドをお持ちの方の力を必要としています。
保育士・幼稚園教諭:子どもの発達段階を理解し、日常の遊びや関わりから成長を促せる方。
理学療法士(PT)・作業療法士(OT):姿勢や動き、粗大・微細運動の分析と、身体の根っこからのアプローチに強みをお持ちの方。
公認心理師・臨床心理士:子どもたちの心の動き、感覚統合の特性、そして保護者様への心理的サポートに専門性をお持ちの方。
大学または大学院で心理学を専修する学科・研究科を修了された方:心理学の知見を、実際の療育現場で活かし、探求したい方。
「まだ経験が浅くて不安……」という方も、ご安心ください。
エコルドでは、私のような理学療法士をはじめ、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の療育についてエビデンスを元にディスカッションし、共に学び合う文化があります。あなたの専門性を、子どもたちの「できた!」の笑顔に変える場所が、ここにあります。
また、現在上記の資格取得を目指して勉強中の学生の皆さん。
教科書で学ぶ理論が、実際の療育現場でどのように子どもたちの身体や心の変化に繋がるのか、その「生きた学び」を、エコルドで一緒に体感してみませんか?アルバイトやインターンシップからのスタートも大歓迎です。
子どもたちの無限の可能性を信じ、身体の土台から人生を豊かにするサポートをしたい。そんな熱い想いをお持ちのあなたと、一緒に働ける日を楽しみにしています。
求人の詳細やご応募、ご見学については随時受け付けております。
ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください。まずは見学だけ、という方も歓迎です!
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
児童指導員・理学療法士 内山 隆範