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すぐ抱っこ!もう歩かない!見えないSOSかも?

こんにちは。
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、児童指導員および理学療法士をしています、内山隆範です。

8月に入り、お盆の帰省やショッピングモールなど、ご家族でお出かけをする機会が増える時期ですね。しかし、人混みや広い場所へ出かけた際、親御さんの体力と精神力をゴリゴリと削る「あの言葉」に、毎日絶望していませんか?

「家の中ではあんなに走り回っていたのに、外に出た途端に『疲れた、歩けない、抱っこ!』と座り込む」
「まだ5分しか歩いていないのに、足にまとわりついて一歩も動こうとしない」
「『もう小学生なんだから自分で歩きなさい!』と叱っても、地面に座り込んでテコでも動かない」
日々の療育の現場でも、そして私自身の子育ての中でも、この「外で歩かない・すぐ抱っこを要求する」というお悩みは、ダントツで多く寄せられる切実な問題です。
「ただのワガママでしょ」「体力がなさすぎる」「私が甘やかしすぎたのかな…」

猛暑の中、汗だくになりながら重い我が子を抱え、周囲の「あんなに大きいのに抱っこされてる」という視線に晒されながら、心の中で泣きたくなっているお母さんたちのお気持ち、痛いほどよく分かります。
でも、身体と動きの専門家である理学療法士として、まず一番に大切な、そして少し驚かれるかもしれない事実をお伝えさせてください。
お子さまがすぐに歩かなくなり「抱っこ」を要求するのは、決して「体力がなくて怠けている」わけでも、「親をコントロールしようとする甘え」でもありません。
これには、視覚と揺れの感覚のズレによる「脳のパニック」と、足の裏の構造による「衝撃の直撃」という、明確なエビデンスが存在します。

なぜ、「たった5分」すら歩くことができないのか?

大人の目には「ただ歩くのが面倒くさいだけ」に見えますが、お子さまの身体と脳の中では、以下のような過酷な現象が起きています。

① ショッピングモールは「嵐の船上」と同じ(オプティカルフローの処理不全)

歩くという動作は、足の筋肉だけでなく「目(視覚)」をフルに使います。自分が前に進むと、周りの景色は後ろに流れていきますよね(これをオプティカルフローと呼びます)。
感覚の統合が苦手なお子さまは、この「流れる景色(視覚)」と「自分の身体の揺れ(前庭覚)」の情報を、脳内で上手くマッチングさせることができません。
特にショッピングモールのような「情報量が多く、人が四方八方から歩いてくる場所」を歩くことは、彼らの脳にとって『嵐で大揺れしている船の甲板で、VRゴーグルをつけて歩かされている』のと同じです。
数分で深刻な「車酔い」のような状態になり、脳が限界を迎えます。だからこそ、親という「絶対に揺れない巨大な大木(抱っこ)」にしがみついて、視界と揺れを強制終了させようとしているのです。

② 「足の裏のサスペンション」が存在しない(扁平足と低緊張)

お子さまの足を裏から見てみてください。土踏まず(アーチ)はしっかりありますか?
生まれつき筋肉の張りが弱い(低緊張)お子さまは、足の裏のアーチが潰れた「扁平足(へんぺいそく)」になっていることが非常に多いです。
足のアーチは、歩く時の衝撃を吸収する「サスペンション(バネ)」の役割を果たします。これがない状態でアスファルトや硬い床を歩くことは、「クッションが一切ない木の板を足裏に縛り付けて歩く」のと同じです。一歩歩くごとに、硬い衝撃が足首、膝、そして脳天までダイレクトに突き抜け、物理的に「痛くて疲れる」のです。

励ますのは逆効果!「歩きたくなる」常識破りのPTアプローチ

「あそこまで頑張ろう!」「歩けたらジュース買ってあげる!」という精神論やご褒美作戦は、船酔いしている人に「気合いで治せ」と言っているのと同じで、根本的な解決にはなりません。
今日から、以下の「ありきたりではない、理学療法士ならではの3つのアプローチ」を試してみてください。

1. 【視覚のカット】深めの「ツバ付き帽子」をかぶせる
脳の車酔い(視覚情報のパンク)を防ぐための最強アイテムが「帽子」です。

ショッピングモールなどの室内でも、あえて深めのキャップ(野球帽)やツバの広いハットをかぶらせてください。ツバがあることで、天井のチカチカする照明や、上の方で動く余計な景色(オプティカルフロー)が物理的にカットされ、視界が「自分の足元と進行方向」だけに限定(トンネル化)されます。
処理する視覚情報が劇的に減るだけで、脳の疲労が激減し、驚くほど長距離をスタスタ歩けるようになる子がたくさんいます。

2. 【感覚のドーピング】あえて「重いリュック」を背負わせる

「疲れている子に重いものを持たせるの!?」と思われるかもしれませんが、これは理学療法の世界では非常に有効な手段です。
筋肉の張りが弱い子は、自分が地球のどこに立っているのか(固有受容覚)を感じ取るのが苦手です。そこで、お子さまのリュックに、あえて「水筒や少し重い本」を入れて背負わせてみてください。
肩や背中にズシッとした重み(圧力)がかかることで、脳が「自分の身体の軸」をハッキリと認識できるようになります。潜水士が海中で重りを着けることで安定して歩けるようになるのと同じ原理で、身体のブレがピタッと止まり、格段に歩きやすくなるのです。

3. 【閉鎖性運動連鎖】「歩かせる」のではなく「カートを押させる」

ただ歩く(手を振って歩く)ことは、バランスをとるのが非常に難しい高度な運動です。
すぐ抱っこを要求する子には、ベビーカーや子ども用のショッピングカートを「両手でギュッと握って押す(手伝う)」という役割を与えてください。
両手が何かに固定されると、腕から体幹(お腹や背中)にかけての筋肉がガッチリと連動してロックされます(これを閉鎖性運動連鎖と呼びます)。身体のグラグラが嘘のように安定するため、足だけで歩くよりも圧倒的に疲れにくく、長時間の移動が可能になります。

専門家(療育)に相談を考えてほしいサイン

成長とともに身体の使い方が上手になり、体力がついていくことも多いですが、以下のような状態が見られる場合は、足の骨格の変形や、将来の健康状態に直結するため、専門的なアプローチが必要です。
靴の「内側」ばかりが極端にすり減り、足首が内側に「くの字」に倒れ込んでいる(外反扁平足)。
少し歩いただけで「足が痛い」「ふくらはぎが痛い」と訴え、夜中に足が攣(つ)って泣いて起きることが頻繁にある。
抱っこを拒否されると、パニックになって車道など危険な場所でもその場に寝転がり、一切の移動ができなくなる。
このようなときは、どうかご家庭だけで特訓しようとせず、私たち専門家を頼ってください。
エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士としての知見をフルに活かし、ただ「歩く練習」をするのではなく、足の裏の感覚を育てるための様々な質感のマット歩行や、アスレチックを使った全身の連動性を高める運動などを行っています。さらに必要に応じて、足のアーチを支える「インソール(靴の中敷き)」などの専門的なアドバイスも行い、身体の根っこから「歩く楽しさ」を取り戻すサポートをしています。
お出かけのたびに、重い我が子を抱えて肩も腰も限界を迎え、「他の子はちゃんと歩いているのに…」と涙ぐんでいるお母さん、本当にお疲れ様です。
お子さまは決して怠け者なわけではなく、大人には見えない「視覚の嵐」や「足の裏の痛み」と、自分の小さな身体で一生懸命に戦っている真っ最中なのです。
「うちの子のすぐ抱っこ、もしかして脳のパニックや足の構造が原因かも?」と思われた時は、いつでもエコルドはぐみのおうちへお気軽にご相談ください。専門家として、お子さまが自分の足で、自信を持って世界を歩いていけるよう、一緒に全力でサポートしてまいります。

【求人のお知らせ】一緒に働く仲間を募集しています!

そして最後に、エコルドから大切なお知らせがございます。
おかげさまで、現在大変多くの利用者様にご愛顧いただいており、子どもたち一人ひとりとより深く、丁寧に向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集することとなりました。
私たちは、単に「預かる」場所ではなく、今日お話ししたような身体のメカニズムや脳科学のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。そのため、以下のような専門的な資格やバックグラウンドをお持ちの方の力を必要としています。
保育士・幼稚園教諭:子どもの発達段階を理解し、日常の遊びや関わりから成長を促せる方。
理学療法士(PT)・作業療法士(OT):姿勢や動き、粗大・微細運動の分析と、身体の根っこからのアプローチに強みをお持ちの方。
公認心理師・臨床心理士:子どもたちの心の動き、感覚統合の特性、そして保護者様への心理的サポートに専門性をお持ちの方。
大学または大学院で心理学を専修する学科・研究科を修了された方:心理学の知見を、実際の療育現場で活かし、探求したい方。
「まだ経験が浅くて不安……」という方も、ご安心ください。
エコルドでは、私のような理学療法士をはじめ、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の療育についてエビデンスを元にディスカッションし、共に学び合う文化があります。あなたの専門性を、子どもたちの「できた!」の笑顔に変える場所が、ここにあります。
また、現在上記の資格取得を目指して勉強中の学生の皆さん。
教科書で学ぶ理論が、実際の療育現場でどのように子どもたちの身体や心の変化に繋がるのか、その「生きた学び」を、エコルドで一緒に体感してみませんか?アルバイトやインターンシップからのスタートも大歓迎です。
子どもたちの無限の可能性を信じ、身体の土台から人生を豊かにするサポートをしたい。そんな熱い想いをお持ちのあなたと、一緒に働ける日を楽しみにしています。

求人の詳細やご応募、ご見学については随時受け付けております。

ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください。まずは見学だけ、という方も歓迎です!

療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
児童指導員・理学療法士 内山 隆範
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