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負けると大暴れ… 失敗=命の危機と錯覚しているSOSかも?

こんにちは。
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、児童指導員および理学療法士をしています、内山隆範です。
8月も中旬を過ぎ、お盆休みでご家族や親戚と集まる機会も多かったのではないでしょうか。涼しい室内で、みんなでトランプやボードゲーム、テレビゲームをして盛り上がる……はずが、こんな「凍りつくような事態」に頭を抱えていませんか?

「ゲームで負けた瞬間、この世の終わりのように泣き叫び、盤面をひっくり返して大暴れする」
「お絵かきやひらがなの練習中、線が少し枠からはみ出ただけで『もうやだ!』と紙をビリビリに破り捨てる」
「『間違えてもいいんだよ』と優しく励ましても、絶対に1番になれない遊びには最初から参加しようとしない」
日々の療育の現場でも、そして私自身の子育ての中でも、この「極端な負けず嫌い・失敗への異常な恐怖(完璧主義)」についてのご相談は、本当によく寄せられる、深く切実なお悩みです。
「たかがゲームでしょ!」「そんなに怒るならもうやらないよ!」

せっかくの楽しい空気がぶち壊しになり、周囲に気を使いながら「私が褒めてばかりで育てたから、打たれ弱くなったのかな」「プライドが高くてワガママな性格なのかな」と、密かにご自身の子育てを責めてしまうお母さんたちのお気持ち、痛いほどよく分かります。
でも、身体と脳の専門家である理学療法士として、まず一番に大切な事実をお伝えさせてください。
お子さまが少しの失敗で大パニックを起こすのは、決して「プライドが高いワガママ」だからでも、「親の甘やかし」だからでもありません。
これには、心理学的な「認知の偏り」だけでなく、自律神経の暴走と「内受容覚(身体の内側を感じるセンサー)」の未熟さによる、明確なエビデンスが存在します。

なぜ、「ちょっと間違えただけ」でそこまで絶望するのか?

大人の目には「ただの負けず嫌い」「大げさな癇癪」に見えますが、お子さまの心と身体の中では、以下のような「生存を脅かされるほどのパニック」が起きています。

① 脳の「予測」が外れることへの強烈な恐怖(扁桃体のハイジャック)

発達に凸凹のあるお子さま、特に感覚の処理が苦手なお子さまにとって、この世界は「予測不能なカオス(混沌)」です。
そんな彼らにとって、「ルール通りに完璧にできること」や「自分が勝つというシナリオ」は、カオスな世界の中で唯一『安心できる絶対的な予測』なのです。
そのため、少し線がはみ出たり、ゲームで負けたりして「自分の完璧な予測」が崩れ去った瞬間、脳の奥底にある不安センサー(扁桃体)が異常警報を鳴らします。これは「悔しい」という感情ではなく、「世界が崩壊した!命の危機だ!」というレベルの『防衛本能の暴走(闘争・逃走反応)』なのです。盤面をひっくり返すのは、パニックになった脳が「今すぐこの危険な状況をリセットしろ!」と身体に命令を下している結果に過ぎません。

② 「イライラ」のグラデーションを感じ取れない(内受容覚の鈍さ)

ここが理学療法士としての鋭い視点です。
私たち大人は「あ、負けそう。イライラしてきたな」と、心拍数の上がりや筋肉の緊張を徐々に感じ取ることができます(これを内受容覚:ないじゅようかく、と呼びます)。
しかし、このセンサーが鈍いお子さまの脳は、「0か100か」のメーターしか持っていません。「少し悔しい(黄色信号)」を感じるプロセスがなく、突然メーターを振り切って「大爆発(赤信号)」に到達してしまうのです。本人の心と身体の準備が全くできていない状態での爆発なので、自分自身でも感情をコントロールする術がありません。

「たかがゲーム」は禁句!心理と身体を繋ぐ、常識破りのアプローチ

「次は勝てるよ!」「間違えてもいいんだよ」という言葉による励ましは、脳が命の危機を感じてパニックを起こしている状態では一切耳に届きません。
今日から、以下の「心と身体を繋ぐ、3つの具体的なアプローチ」を試してみてください。

1. 感情ではなく「身体の変化」を実況中継する(身体へのラベリング)

パニックを起こしている時、「なんで怒るの!」と感情の理由を聞くのは逆効果です。
代わりに、「心臓がドキドキ早くなってるね」「手にギュッと力が入って、身体が熱くなってるよ」と、お子さまの『身体の事実』だけを声に出して実況中継してあげてください。
パニックで心が吹き飛んでいる時、大人が「身体の感覚」に言葉を与えてあげることで、脳の意識が「失敗という過去」から「今ここにある自分の身体」に引き戻され、スッと我に返る(クールダウンする)スピードが劇的に早くなります。

2. 物理的な「重み」で心にブレーキをかける(固有受容覚の活用)

心理的なパニックは、身体への物理的なアプローチで鎮めることができます。
負けて大暴れしそうな時、あるいはイライラし始めたサインが見えた時、お子さまの肩や背中を「ギュ〜ッ」と強く抱きしめるか、少し重たい毛布を肩からかけてあげてください。関節や筋肉に「深い圧(固有受容覚)」が入ると、自律神経が一気に副交感神経(リラックス)優位に切り替わり、暴走していた感情のブレーキが物理的に作動します。

3. 【最強の予防策】親の「盛大な失敗デモンストレーション」

完璧主義のお子さまの脳には、「失敗した後にどうすればいいか」の台本(スクリプト)が存在しません。だから絶望するのです。
これを解決するには、日常生活やゲームの中で、お母さんやお父さんがわざと「盛大に失敗」し、その後のリカバリーを『身体の動き』つきで見せてあげるのが最も効果的です。
「あーっ!お茶こぼしちゃった!ショック〜!」と言いながら、「よし、大きく深呼吸して(スーハ―)、ふきんで拭こう!ピッカピカになったから結果オーライ!」と、明るく立て直す姿を何度も見せてください。この「失敗しても、こう動けば大丈夫なんだ」という視覚的・身体的なモデルこそが、お子さまの心を救う最強のお守りになります。

専門家(療育)に相談を考えてほしいサイン

成長や経験とともに、少しずつ「負けること」「間違えること」への耐性がついていくことが多いですが、以下のような状態が見られる場合は、お子さまの心に深刻な二次障害(自己肯定感の喪失や学習性無力感)を引き起こすリスクがあるため、専門的なアプローチが必要です。

少しでもミスをすると「僕なんてダメだ」「死にたい」と極端な自己否定の言葉を口にしたり、自分の頭を激しく叩いたりする(自傷行為)。
失敗を恐れるあまり、初めての場所に行くことや、新しい遊び、少しでも難しい課題には一切挑戦しようとしなくなった。
家族全員が「この子が負けて怒らないように」と常に接待ゲームをし、家庭内で腫れ物に触るような異常な緊張感が続いている。

このようなときは、どうかご家庭だけで抱え込まず、私たち専門家を頼ってください。
エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士・児童指導員としての知見をフルに活かし、トランポリンやアスレチックなどの粗大運動の中で「転んでも立ち上がる」「わざとバランスを崩して大笑いする」といった、身体を通した『安全な失敗体験』をたっぷりと積ませます。
「自分の身体は、バランスを崩してもまた立て直せる」という確固たる自信(身体図式)が育つと、それがそのまま「心が折れても立て直せる」という心理的な強さ(レジリエンス)へと繋がっていくのです。
破られた紙を拾い集めながら、「どうしてこんなに気難しいんだろう」と涙ぐんでしまうお母さん、本当にお疲れ様です。
お子さまは決してワガママで怒っているわけではなく、予測不能なカオスな世界の中で、自分の心と身体のコントロールを失う恐怖と、必死に戦っている真っ最中なのです。
「うちの子の極端な負けず嫌い、もしかして心と身体のSOSかも?」と思われた時は、いつでもエコルドはぐみのおうちへお気軽にご相談ください。専門家として、全力でお子さまと保護者様に寄り添い、お子さまが「間違えても大丈夫」と心から安心できる土台づくりを、一緒に考えてまいります。

【求人のお知らせ】一緒に働く仲間を募集しています!

そして最後に、エコルドから大切なお知らせがございます。
おかげさまで、現在大変多くの利用者様にご愛顧いただいており、子どもたち一人ひとりとより深く、丁寧に向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集することとなりました。
私たちは、単に「預かる」場所ではなく、今日お話ししたような身体のメカニズムや脳科学のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。そのため、以下のような専門的な資格やバックグラウンドをお持ちの方の力を必要としています。

保育士・幼稚園教諭:子どもの発達段階を理解し、日常の遊びや関わりから成長を促せる方。
理学療法士(PT)・作業療法士(OT):姿勢や動き、粗大・微細運動の分析と、身体の根っこからのアプローチに強みをお持ちの方。
公認心理師・臨床心理士:子どもたちの心の動き、感覚統合の特性、そして保護者様への心理的サポートに専門性をお持ちの方。
大学または大学院で心理学を専修する学科・研究科を修了された方:心理学の知見を、実際の療育現場で活かし、探求したい方。

「まだ経験が浅くて不安……」という方も、ご安心ください。
エコルドでは、私のような理学療法士をはじめ、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の療育についてエビデンスを元にディスカッションし、共に学び合う文化があります。あなたの専門性を、子どもたちの「できた!」の笑顔に変える場所が、ここにあります。
また、現在上記の資格取得を目指して勉強中の学生の皆さん。
教科書で学ぶ理論が、実際の療育現場でどのように子どもたちの身体や心の変化に繋がるのか、その「生きた学び」を、エコルドで一緒に体感してみませんか?アルバイトやインターンシップからのスタートも大歓迎です。
子どもたちの無限の可能性を信じ、身体と心の土台から人生を豊かにするサポートをしたい。そんな熱い想いをお持ちのあなたと、一緒に働ける日を楽しみにしています。

求人の詳細やご応募、ご見学については随時受け付けております。

ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください。まずは見学だけ、という方も歓迎です!

療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
児童指導員・理学療法士 内山 隆範
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