こんにちは。
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、児童指導員・理学療法士をしています、内山隆範です。
9月に入り、少しずつ秋の虫の音が聞こえるようになってきましたね。毎日の忙しい夕暮れ時、キッチンから何度名前を呼んでもお子さまがテレビやブロック遊びに夢中でピクリとも動かず、最後には「いい加減にしなさい!」と雷を落としてしまうことはありませんか?
「私の声、聞こえてないの?」
「都合の悪いことだけわざと無視しているの?」
毎日続くこの「空振り」に、親御さんが徒労感や怒りを抱えてしまうお気持ち、痛いほどよく分かります。しかし、日々子どもたちの脳と身体に向き合う理学療法士として、まず一番にお伝えさせてください。
お子さまは決して「親を馬鹿にして無視している」わけでも、「耳が悪い」わけでもありません。
国が定める療育の5領域における「認知・行動」の視点から紐解くと、そこには脳の処理メカニズムによる明確な理由が隠されています。
大人の目には見えない、お子さまの脳で起きている「処理の限界」
大人の目には「ただ言うことを聞かないだけ」に見えますが、外の世界からの情報(音、光、出来事など)を受け取り処理する「認知」の機能において、お子さまの脳内では過酷な状態が起きています。
脳が「シングルタスク(一つのチャンネル)」になっている
私たち大人は「テレビを見ながら、呼ばれた声に反応する」というマルチタスクが自然にできます。しかし、発達に凸凹のあるお子さまの多くは、脳の処理チャンネルが一つしかありません。ブロックを組み立てることに脳の容量を100%使っている時、耳からの音声チャンネルは物理的に「電源オフ」になっています。都合が悪いから無視しているのではなく、本当に、お母さんの声が脳に届いていないのです。
「注意の切り替え」に莫大なエネルギーが必要
今集中している対象から、別の新しい刺激(お母さんの声)へ意識を向ける「注意の転換」は、実は非常に高度な脳の働きです。自分の世界から抜け出して外の音に反応することは、猛スピードで走っている車を急ブレーキで止め、全く別の方向へ急発進させるくらい、脳にとってエネルギーのいる過酷な作業なのです。
「注意の切り替え」を優しく助ける3つのアプローチ
遠くから大声で何度も呼ぶことは、お母さんの喉と体力を消耗するだけで、電源がオフになっているお子さまの耳には届きません。脳のチャンネルを自然に切り替える工夫を試してみてください。
1. 「トントン」と肩を叩いて、身体からチャンネルを切り替える
理学療法士として一番おすすめしたいのが、身体の感覚(固有受容覚や触覚)を使ったアプローチです。名前を呼ぶ前に、お子さまの肩や背中を「トントン」と少し強めに叩いてみてください。皮膚や筋肉への物理的な刺激が入ることで、「ハッ!」と脳のチャンネルが切り替わり、耳のスイッチがオンになりやすくなります。
2. 視界の真正面に入り込み、目を合わせる
お子さまの脳が「視覚チャンネル100%」になっているなら、その視界の中に割り込むのが一番早いです。キッチンから叫ぶのをやめ、お子さまの目の前まで行き、しゃがんで視界に入ります。目と目が合って初めて、声を受け取る準備が整います。
3. スイッチが入ったら「短く・具体的に」伝える
せっかく耳のスイッチが入った瞬間に「何回呼んだと思ってるの!早く片付けて!」と長い言葉をぶつけると、情報量が多すぎて再び脳がフリーズしてしまいます。目が合ったら「ご飯だよ。おしまい」と、最も伝えたいことだけを短い単語で伝えてあげてください。
ご家庭だけで抱え込まず、私たちを頼ってください
成長とともに脳の処理能力(認知機能)が育ち、少しずつ周囲の声に気づけるようになっていきます。しかし、「テレビや遊びがなくても、名前を呼んで振り返ることが全くない」「集中している遊びを中断されると、物を投げるなど激しいパニックを起こす」といった場合は、集団生活で孤立してしまうリスクがあるため、ご家庭だけで抱え込まず専門家にご相談ください。
エコルドはぐみのおうちでは、ただ机に向かってお勉強をするのではなく、遊びを通して、耳からの情報に合わせて自分の行動をコントロールする「注意の切り替え」を、楽しみながら身体の根っこから育てています。
【求人のお知らせ】地域の子どもたちを一緒に支える仲間を募集しています!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
エコルドでは現在、地域の子どもたち一人ひとりとより深く向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集しています。
私たちは単に子どもを「預かる」のではなく、今日お話ししたような「5領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)」のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。だからこそ、様々な専門性を持つ方の力が必要です。
保育士・幼稚園教諭の方
理学療法士(PT)・作業療法士(OT)の方
公認心理師・臨床心理士の方
「資格はあるけれど経験が浅くて不安…」という方もご安心ください。エコルドでは、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の支援について温かく話し合い、共に学び合う文化があります。
地域と手を取り合いながら、子どもたちの「できた!」の笑顔を増やすお手伝いがしたい。そんな想いを持ったあなたと働ける日を楽しみにしています。見学だけでも大歓迎ですので、ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください!
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
児童指導員・理学療法士 内山 隆範
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、児童指導員・理学療法士をしています、内山隆範です。
9月に入り、少しずつ秋の虫の音が聞こえるようになってきましたね。毎日の忙しい夕暮れ時、キッチンから何度名前を呼んでもお子さまがテレビやブロック遊びに夢中でピクリとも動かず、最後には「いい加減にしなさい!」と雷を落としてしまうことはありませんか?
「私の声、聞こえてないの?」
「都合の悪いことだけわざと無視しているの?」
毎日続くこの「空振り」に、親御さんが徒労感や怒りを抱えてしまうお気持ち、痛いほどよく分かります。しかし、日々子どもたちの脳と身体に向き合う理学療法士として、まず一番にお伝えさせてください。
お子さまは決して「親を馬鹿にして無視している」わけでも、「耳が悪い」わけでもありません。
国が定める療育の5領域における「認知・行動」の視点から紐解くと、そこには脳の処理メカニズムによる明確な理由が隠されています。
大人の目には見えない、お子さまの脳で起きている「処理の限界」
大人の目には「ただ言うことを聞かないだけ」に見えますが、外の世界からの情報(音、光、出来事など)を受け取り処理する「認知」の機能において、お子さまの脳内では過酷な状態が起きています。
脳が「シングルタスク(一つのチャンネル)」になっている
私たち大人は「テレビを見ながら、呼ばれた声に反応する」というマルチタスクが自然にできます。しかし、発達に凸凹のあるお子さまの多くは、脳の処理チャンネルが一つしかありません。ブロックを組み立てることに脳の容量を100%使っている時、耳からの音声チャンネルは物理的に「電源オフ」になっています。都合が悪いから無視しているのではなく、本当に、お母さんの声が脳に届いていないのです。
「注意の切り替え」に莫大なエネルギーが必要
今集中している対象から、別の新しい刺激(お母さんの声)へ意識を向ける「注意の転換」は、実は非常に高度な脳の働きです。自分の世界から抜け出して外の音に反応することは、猛スピードで走っている車を急ブレーキで止め、全く別の方向へ急発進させるくらい、脳にとってエネルギーのいる過酷な作業なのです。
「注意の切り替え」を優しく助ける3つのアプローチ
遠くから大声で何度も呼ぶことは、お母さんの喉と体力を消耗するだけで、電源がオフになっているお子さまの耳には届きません。脳のチャンネルを自然に切り替える工夫を試してみてください。
1. 「トントン」と肩を叩いて、身体からチャンネルを切り替える
理学療法士として一番おすすめしたいのが、身体の感覚(固有受容覚や触覚)を使ったアプローチです。名前を呼ぶ前に、お子さまの肩や背中を「トントン」と少し強めに叩いてみてください。皮膚や筋肉への物理的な刺激が入ることで、「ハッ!」と脳のチャンネルが切り替わり、耳のスイッチがオンになりやすくなります。
2. 視界の真正面に入り込み、目を合わせる
お子さまの脳が「視覚チャンネル100%」になっているなら、その視界の中に割り込むのが一番早いです。キッチンから叫ぶのをやめ、お子さまの目の前まで行き、しゃがんで視界に入ります。目と目が合って初めて、声を受け取る準備が整います。
3. スイッチが入ったら「短く・具体的に」伝える
せっかく耳のスイッチが入った瞬間に「何回呼んだと思ってるの!早く片付けて!」と長い言葉をぶつけると、情報量が多すぎて再び脳がフリーズしてしまいます。目が合ったら「ご飯だよ。おしまい」と、最も伝えたいことだけを短い単語で伝えてあげてください。
ご家庭だけで抱え込まず、私たちを頼ってください
成長とともに脳の処理能力(認知機能)が育ち、少しずつ周囲の声に気づけるようになっていきます。しかし、「テレビや遊びがなくても、名前を呼んで振り返ることが全くない」「集中している遊びを中断されると、物を投げるなど激しいパニックを起こす」といった場合は、集団生活で孤立してしまうリスクがあるため、ご家庭だけで抱え込まず専門家にご相談ください。
エコルドはぐみのおうちでは、ただ机に向かってお勉強をするのではなく、遊びを通して、耳からの情報に合わせて自分の行動をコントロールする「注意の切り替え」を、楽しみながら身体の根っこから育てています。
【求人のお知らせ】地域の子どもたちを一緒に支える仲間を募集しています!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
エコルドでは現在、地域の子どもたち一人ひとりとより深く向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集しています。
私たちは単に子どもを「預かる」のではなく、今日お話ししたような「5領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)」のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。だからこそ、様々な専門性を持つ方の力が必要です。
保育士・幼稚園教諭の方
理学療法士(PT)・作業療法士(OT)の方
公認心理師・臨床心理士の方
「資格はあるけれど経験が浅くて不安…」という方もご安心ください。エコルドでは、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の支援について温かく話し合い、共に学び合う文化があります。
地域と手を取り合いながら、子どもたちの「できた!」の笑顔を増やすお手伝いがしたい。そんな想いを持ったあなたと働ける日を楽しみにしています。見学だけでも大歓迎ですので、ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください!
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児童指導員・理学療法士 内山 隆範