こんにちは。 療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、児童指導員・理学療法士をしています、内山隆範です。
9月も中旬に入り、朝夕は少し涼しい風を感じるようになってきましたね。おうちの中でお絵かきやブロック遊びなど、座って過ごす時間も増えてくるこの時期、こんな「突然の大爆発」に振り回されていませんか?
「塗り絵で少し線からはみ出しただけで、『もうダメだ!』と泣き叫んで紙をビリビリに破く」 「ブロックが思い通りの形にはまらないと、怒り狂って完成しかけた作品ごと投げ飛ばす」 「『消しゴムで消せばいいよ』と優しく言っても絶対に許さず、最初からやり直そうとする」
日々の療育の現場でも、この「極端な完璧主義・失敗への激しい怒り」は、親御さんが対応に困り果ててしまう切実なお悩みです。
「たったそれだけのことで、どうしてそんなに怒るの?」「こんなに短気ですぐ諦める性格で、小学生になったらどうなるの…」 せっかく楽しく遊んでいたのに、一瞬で地獄絵図に変わってしまう食卓を前に、ため息をついているお母さん。そのお気持ち、痛いほどよく分かります。
しかし、日々子どもたちの身体と脳に向き合う専門家として、まず一番にお伝えさせてください。
お子さまが少しの失敗でパニックになるのは、決して「短気な性格」だからでも、「ワガママでキレやすい」からでもありません。
ここには、国が定める療育の5領域における「認知・行動」と「運動・感覚」のギャップという、明確な理由が隠されているのです。
大人の目には見えない、お子さまの心で起きている「2つの絶望感」
私たち大人からすると「ちょっと直せば済むことじゃない」と思えることでも、お子さまの脳内では、こんな過酷なエラーと絶望感が起きています。
* 脳の「白黒思考(0か100か)」によるフリーズ(認知のつまずき) 物事を柔軟に捉える力(認知機能)が発達途中のお子さまは、「だいたいOK」「ちょっと失敗したけど直せる」というグレーゾーン(中間)の概念を理解するのが非常に苦手です。 彼らの脳内は「100点満点の完璧」か「0点のゴミ」のどちらかしかありません。たった1ミリ線からはみ出した瞬間、脳内で「はい、0点!すべて台無し!」という極端なエラーメッセージが鳴り響き、その巨大な絶望感から紙を破いたりおもちゃを投げたりしてしまうのです。
* 「頭の中の理想」に「自分の身体」が追いつかない(運動・感覚の未熟さ) ここが理学療法士として一番お伝えしたいポイントです。実は、完璧主義で怒りやすいお子さまは、**「頭の中では素晴らしい完成図が描けているのに、不器用さのせいで、自分の手がその通りに動いてくれない」**という深いジレンマに苦しんでいます。 指先の力加減(固有受容覚)が未熟なため、頭では「優しく塗る」と分かっていても手がはみ出してしまう。「理想の自分」と「思い通りに動かない現実の身体」との大きなギャップへの悔しさが、行き場のない怒りとなって爆発しているのです。
今日からできる!「失敗パニック」を優しく和らげる3つのヒント
「それくらいで怒らないの!」「ほら、直せるでしょ!」と大人の正論をぶつけることは、100点を目指して頑張っていたお子さまのプライドをさらに傷つけてしまいます。今日からご家庭でも試せる、脳に「安心感」を届けるアプローチをご紹介しますね。
1. 解決策を出す前に、まずは「身体からのリセット」
パニックで泣き叫んでいる時、耳からの言葉は届きません。紙を破いたり物を投げたりしそうになったら、まずはサッと間に入り、「悔しかったね」とお子さまの肩や背中を「ギュ〜ッ」と少し強めにホールド(圧迫)してあげてください。関節や筋肉への強い刺激(深圧覚)が、興奮して「0点だ!」とパニックになっている脳をクールダウンさせ、言葉を受け入れる準備を整えてくれます。
2. 失敗を前提とした「魔法のツール」を用意する
白黒思考のお子さまには、「直せる」ということを視覚的に体験させることが重要です。紙とクレヨンの代わりに、何度でも消せる「ホワイトボード」や「水でお絵かきできるシート」などを使ってみてください。「はみ出しても、シュッと消せば元通りになる」というリカバリーの成功体験を積むことで、脳の認知が少しずつ柔軟になっていきます。
3. 「失敗した時の合言葉」を親子で作っておく
心が落ち着いている時に、「もし線からはみ出しちゃったら、『ま、いっか!』って言ってみようね」と合言葉を決めておきます。いざ失敗した時にお母さんが大げさに「あ!ま、いっか!」と笑って見せることで、お子さまは「お母さんが笑っているから、これは大したエラーじゃないんだ」と、脳の認知を上書きしていくことができます。
ご家庭だけで抱え込まず、私たちを頼ってください
成長とともに身体が思い通りに動くようになり、認知の幅が広がることで、少しずつ折り合いをつけられるようになっていきます。 しかし、「失敗を極端に恐れて新しいことに一切挑戦しない」「思い通りにいかないと自分の頭を壁に打ち付けるなど自傷行為がある」「お母さんが『失敗させないように』と常に先回りしてしまい、ヘトヘトになっている」といった場合は、自信喪失に直結してしまうため、ご家庭だけで抱え込まず専門家にご相談ください。
エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士の知見を活かし、療育の土台である「運動・感覚」からアプローチします。トランポリンやアスレチックなどで身体を思い切り使い、「自分の身体を思い通りにコントロールできる!」という自信を根っこから育てることで、不思議と机の上の小さな失敗にも寛容になれる心が育っていくのです。
「今日は怒らずに遊べるかな…」と、毎日顔色を伺いながら見守っているお母さん、本当にお疲れ様です。お子さまは決して短気なわけではなく、自分の思い描く高い理想に向かって、小さな身体で一生懸命に背伸びをしている真っ最中なのです。いつでも町の身近な専門家として、私たちにご相談くださいね。
【求人のお知らせ】地域の子どもたちを一緒に支える仲間を募集しています!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。 エコルドでは現在、地域の子どもたち一人ひとりとより深く向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集しています。
私たちは単に子どもを「預かる」のではなく、今日お話ししたような「5領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)」のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。だからこそ、様々な専門性を持つ方の力が必要です。
* 保育士・幼稚園教諭の方
* 理学療法士(PT)・作業療法士(OT)の方
* 公認心理師・臨床心理士の方
* 心理学を学ばれた方(大学・大学院)
「資格はあるけれど経験が浅くて不安…」という方もご安心ください。エコルドでは、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の支援について温かく話し合い、共に学び合う文化があります。
地域と手を取り合いながら、子どもたちの「できた!」の笑顔を増やすお手伝いがしたい。そんな想いを持ったあなたと働ける日を楽しみにしています。
学生さんのアルバイトやインターンシップからのスタート、見学だけでも大歓迎ですので、ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください!
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい 児童指導員・理学療法士 内山 隆範
9月も中旬に入り、朝夕は少し涼しい風を感じるようになってきましたね。おうちの中でお絵かきやブロック遊びなど、座って過ごす時間も増えてくるこの時期、こんな「突然の大爆発」に振り回されていませんか?
「塗り絵で少し線からはみ出しただけで、『もうダメだ!』と泣き叫んで紙をビリビリに破く」 「ブロックが思い通りの形にはまらないと、怒り狂って完成しかけた作品ごと投げ飛ばす」 「『消しゴムで消せばいいよ』と優しく言っても絶対に許さず、最初からやり直そうとする」
日々の療育の現場でも、この「極端な完璧主義・失敗への激しい怒り」は、親御さんが対応に困り果ててしまう切実なお悩みです。
「たったそれだけのことで、どうしてそんなに怒るの?」「こんなに短気ですぐ諦める性格で、小学生になったらどうなるの…」 せっかく楽しく遊んでいたのに、一瞬で地獄絵図に変わってしまう食卓を前に、ため息をついているお母さん。そのお気持ち、痛いほどよく分かります。
しかし、日々子どもたちの身体と脳に向き合う専門家として、まず一番にお伝えさせてください。
お子さまが少しの失敗でパニックになるのは、決して「短気な性格」だからでも、「ワガママでキレやすい」からでもありません。
ここには、国が定める療育の5領域における「認知・行動」と「運動・感覚」のギャップという、明確な理由が隠されているのです。
大人の目には見えない、お子さまの心で起きている「2つの絶望感」
私たち大人からすると「ちょっと直せば済むことじゃない」と思えることでも、お子さまの脳内では、こんな過酷なエラーと絶望感が起きています。
* 脳の「白黒思考(0か100か)」によるフリーズ(認知のつまずき) 物事を柔軟に捉える力(認知機能)が発達途中のお子さまは、「だいたいOK」「ちょっと失敗したけど直せる」というグレーゾーン(中間)の概念を理解するのが非常に苦手です。 彼らの脳内は「100点満点の完璧」か「0点のゴミ」のどちらかしかありません。たった1ミリ線からはみ出した瞬間、脳内で「はい、0点!すべて台無し!」という極端なエラーメッセージが鳴り響き、その巨大な絶望感から紙を破いたりおもちゃを投げたりしてしまうのです。
* 「頭の中の理想」に「自分の身体」が追いつかない(運動・感覚の未熟さ) ここが理学療法士として一番お伝えしたいポイントです。実は、完璧主義で怒りやすいお子さまは、**「頭の中では素晴らしい完成図が描けているのに、不器用さのせいで、自分の手がその通りに動いてくれない」**という深いジレンマに苦しんでいます。 指先の力加減(固有受容覚)が未熟なため、頭では「優しく塗る」と分かっていても手がはみ出してしまう。「理想の自分」と「思い通りに動かない現実の身体」との大きなギャップへの悔しさが、行き場のない怒りとなって爆発しているのです。
今日からできる!「失敗パニック」を優しく和らげる3つのヒント
「それくらいで怒らないの!」「ほら、直せるでしょ!」と大人の正論をぶつけることは、100点を目指して頑張っていたお子さまのプライドをさらに傷つけてしまいます。今日からご家庭でも試せる、脳に「安心感」を届けるアプローチをご紹介しますね。
1. 解決策を出す前に、まずは「身体からのリセット」
パニックで泣き叫んでいる時、耳からの言葉は届きません。紙を破いたり物を投げたりしそうになったら、まずはサッと間に入り、「悔しかったね」とお子さまの肩や背中を「ギュ〜ッ」と少し強めにホールド(圧迫)してあげてください。関節や筋肉への強い刺激(深圧覚)が、興奮して「0点だ!」とパニックになっている脳をクールダウンさせ、言葉を受け入れる準備を整えてくれます。
2. 失敗を前提とした「魔法のツール」を用意する
白黒思考のお子さまには、「直せる」ということを視覚的に体験させることが重要です。紙とクレヨンの代わりに、何度でも消せる「ホワイトボード」や「水でお絵かきできるシート」などを使ってみてください。「はみ出しても、シュッと消せば元通りになる」というリカバリーの成功体験を積むことで、脳の認知が少しずつ柔軟になっていきます。
3. 「失敗した時の合言葉」を親子で作っておく
心が落ち着いている時に、「もし線からはみ出しちゃったら、『ま、いっか!』って言ってみようね」と合言葉を決めておきます。いざ失敗した時にお母さんが大げさに「あ!ま、いっか!」と笑って見せることで、お子さまは「お母さんが笑っているから、これは大したエラーじゃないんだ」と、脳の認知を上書きしていくことができます。
ご家庭だけで抱え込まず、私たちを頼ってください
成長とともに身体が思い通りに動くようになり、認知の幅が広がることで、少しずつ折り合いをつけられるようになっていきます。 しかし、「失敗を極端に恐れて新しいことに一切挑戦しない」「思い通りにいかないと自分の頭を壁に打ち付けるなど自傷行為がある」「お母さんが『失敗させないように』と常に先回りしてしまい、ヘトヘトになっている」といった場合は、自信喪失に直結してしまうため、ご家庭だけで抱え込まず専門家にご相談ください。
エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士の知見を活かし、療育の土台である「運動・感覚」からアプローチします。トランポリンやアスレチックなどで身体を思い切り使い、「自分の身体を思い通りにコントロールできる!」という自信を根っこから育てることで、不思議と机の上の小さな失敗にも寛容になれる心が育っていくのです。
「今日は怒らずに遊べるかな…」と、毎日顔色を伺いながら見守っているお母さん、本当にお疲れ様です。お子さまは決して短気なわけではなく、自分の思い描く高い理想に向かって、小さな身体で一生懸命に背伸びをしている真っ最中なのです。いつでも町の身近な専門家として、私たちにご相談くださいね。
【求人のお知らせ】地域の子どもたちを一緒に支える仲間を募集しています!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。 エコルドでは現在、地域の子どもたち一人ひとりとより深く向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集しています。
私たちは単に子どもを「預かる」のではなく、今日お話ししたような「5領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)」のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。だからこそ、様々な専門性を持つ方の力が必要です。
* 保育士・幼稚園教諭の方
* 理学療法士(PT)・作業療法士(OT)の方
* 公認心理師・臨床心理士の方
* 心理学を学ばれた方(大学・大学院)
「資格はあるけれど経験が浅くて不安…」という方もご安心ください。エコルドでは、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の支援について温かく話し合い、共に学び合う文化があります。
地域と手を取り合いながら、子どもたちの「できた!」の笑顔を増やすお手伝いがしたい。そんな想いを持ったあなたと働ける日を楽しみにしています。
学生さんのアルバイトやインターンシップからのスタート、見学だけでも大歓迎ですので、ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください!
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい 児童指導員・理学療法士 内山 隆範