こんにちは。
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、児童指導員・理学療法士をしています、内山隆範です。
9月24日。秋の涼しさが心地よく、週末にショッピングモールなどへお出かけする機会も多い時期ですね。そんな楽しいはずのお出かけ先や日常のひとときで、お子さまのこんな「耳を塞ぐパニック」に困り果てていませんか?
「ショッピングモールのトイレで、誰かがハンドドライヤーを使った瞬間に泣き叫び、トイレに入れなくなる」
「家で掃除機やドライヤーのスイッチを入れると、この世の終わりのように耳を塞いで逃げ回る」
「赤ちゃんが泣いている声や、運動会のピストルの音を聞くと、激しく取り乱してしまう」
「他の子は平気なのに、どうしてうちの子だけこんなに怖がりなの?」「ちょっと音が大きいだけなのに大げさな…」と、周囲の冷ややかな目を気にしながら我が子をなだめ続けるお母さん。そのお気持ち、痛いほどよく分かります。
しかし、日々子どもたちの身体と心に向き合う理学療法士として、まず一番にお伝えさせてください。
お子さまが特定の音を嫌がってパニックになるのは、決して「性格が臆病」だからでも「大げさにふざけている」からでもありません。
ここには、国が定める療育の5領域における「運動・感覚」のメカニズム、特に脳の「聴覚過敏(ちょうかくかびん)」という、お子さま自身もどうにもできない明確な理由が隠されているのです。
大人の目には見えない、お子さまの脳で起きている「音の暴力」
私たち大人からすると「ちょっとうるさい日常の音」にしか聞こえませんが、感覚が過敏なお子さまの脳内では、私たちが想像する以上に過酷なエラーと恐怖が起きています。
脳の「音のフィルター」が壊れていて、音が「激痛」に変わる
私たち大人の脳には、自分にとって不要な雑音(エアコンの音や遠くの車の音など)を無意識のうちにシャットアウトするフィルター機能が備わっています。しかし、この機能が未熟なお子さまは、全ての音が耳にダイレクトに突き刺さってきます。
特定の周波数の音(モーター音や高い音)は、大人に例えるなら「耳元で黒板を爪で思い切り引っ掻かれている」「真横で工事現場のドリルが鳴り響いている」のと同じレベルの強烈な「不快感」や「痛み」として脳に伝わっているのです。
「いつ終わるか分からない」という恐怖(認知のつまずき)
いつ音が鳴り始めるのか、そして「いつ終わるのか」という予測(見通し)を立てる力が未熟な幼児にとって、突然鳴り響く爆音は恐怖でしかありません。見えない恐怖に脳がフリーズし、パニックとなって泣き叫んでいる状態なのです。
今日からできる!「音の恐怖」から脳と身体を優しく守る3つのヒント
「そのうち慣れるから!」と無理やり音を聞かせることは、脳への拷問と同じであり、その場所自体(トイレやスーパーなど)がトラウマになってしまう逆効果になります。今日からご家庭でも試せる、脳を物理的・心理的に守ってあげるアプローチをご紹介しますね。
1. 「イヤーマフ」で物理的に耳の平和を守る
目が悪い人がメガネをかけるように、耳の感覚が過敏な子にはイヤーマフ(防音耳当て)やノイズキャンセリング機能のあるイヤホンといった道具のサポートが必要です。「逃げるのは良くない」と思う必要はありません。パニックになる前に物理的に音を遮断し、「これをつければ安心だ」という安全基地を作ってあげることが何よりも最優先です。
2. 音の「始まり」と「終わり」を目で見えるようにする
掃除機をかける前には、「これから掃除機をかけるよ」と必ず予告をしてあげてください。そして「タイマーがピピッと鳴ったらおしまいね」と、音が終わる時間を『目で見える形(視覚情報)』で約束してあげます。いつ終わるかが分かるだけで、脳のパニックは劇的に和らぎます。
3.音のパニックには「背中からのギュッギュッ・ハグ」で対抗する
予期せぬ音でパニックになってしまった時は、言葉でなだめるよりも、お子さまを背中側から「ギュ〜ッ」と強くハグ(圧迫)してあげてください。筋肉や関節への強い刺激(固有受容覚へのアプローチ)が身体に入ると、暴走していた聴覚のパニックが上書きされ、強制的に落ち着きを取り戻しやすくなります。
ご家庭だけで抱え込まず、私たちを頼ってください
成長とともに脳のフィルター機能が育ち、少しずつ音への耐性がついてくることは多いです。しかし、「特定の音を聞くとパニックになり、道路に飛び出したり自分の頭を激しく叩いたりする」「日常のささいな音にも一日中怯えており、外出が一切できない」「園での活動(お遊戯の音楽や歓声)の空間に全くいられず、常に別室へ逃げ込んでしまう」といった場合は、集団生活に大きな支障が出てしまうため、どうかご家庭だけで抱え込まず専門家にご相談ください。
エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士の知見を活かし、5領域の「運動・感覚」の土台からアプローチします。トランポリンなどの粗大運動を通して全身の関節(固有受容覚)や揺れのセンサー(前庭覚)をバランスよく満たすことで、結果として聴覚の過敏さが和らぎ、様々な環境に適応できる脳と身体を根っこから育てるサポートを行っています。
「また耳を塞いでる…」と、周囲の目を気にしながら気を張って外出しているお母さん、本当にお疲れ様です。お子さまは決して大げさなわけではなく、自分の過敏な耳と必死に戦いながら、音の溢れる世界を生き抜こうと頑張っている真っ最中なのです。いつでも町の身近な専門家として、私たちにご相談くださいね。
【求人のお知らせ】地域の子どもたちを一緒に支える仲間を募集しています!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
エコルドでは現在、地域の子どもたち一人ひとりとより深く向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集しています。
私たちは単に子どもを「預かる」のではなく、今日お話ししたような「5領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)」のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。だからこそ、様々な専門性を持つ方の力が必要です。
保育士・幼稚園教諭の方
理学療法士(PT)・作業療法士(OT)の方
公認心理師・臨床心理士の方
心理学を学ばれた方(大学・大学院)
「資格はあるけれど経験が浅くて不安…」という方もご安心ください。エコルドでは、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の支援について温かく話し合い、共に学び合う文化があります。
地域と手を取り合いながら、子どもたちの「できた!」の笑顔を増やすお手伝いがしたい。そんな想いを持ったあなたと働ける日を楽しみにしています。
学生さんのアルバイトやインターンシップからのスタート、見学だけでも大歓迎ですので、ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください!
(直通 080-7771-5414)
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
児童指導員・理学療法士 内山 隆範
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、児童指導員・理学療法士をしています、内山隆範です。
9月24日。秋の涼しさが心地よく、週末にショッピングモールなどへお出かけする機会も多い時期ですね。そんな楽しいはずのお出かけ先や日常のひとときで、お子さまのこんな「耳を塞ぐパニック」に困り果てていませんか?
「ショッピングモールのトイレで、誰かがハンドドライヤーを使った瞬間に泣き叫び、トイレに入れなくなる」
「家で掃除機やドライヤーのスイッチを入れると、この世の終わりのように耳を塞いで逃げ回る」
「赤ちゃんが泣いている声や、運動会のピストルの音を聞くと、激しく取り乱してしまう」
「他の子は平気なのに、どうしてうちの子だけこんなに怖がりなの?」「ちょっと音が大きいだけなのに大げさな…」と、周囲の冷ややかな目を気にしながら我が子をなだめ続けるお母さん。そのお気持ち、痛いほどよく分かります。
しかし、日々子どもたちの身体と心に向き合う理学療法士として、まず一番にお伝えさせてください。
お子さまが特定の音を嫌がってパニックになるのは、決して「性格が臆病」だからでも「大げさにふざけている」からでもありません。
ここには、国が定める療育の5領域における「運動・感覚」のメカニズム、特に脳の「聴覚過敏(ちょうかくかびん)」という、お子さま自身もどうにもできない明確な理由が隠されているのです。
大人の目には見えない、お子さまの脳で起きている「音の暴力」
私たち大人からすると「ちょっとうるさい日常の音」にしか聞こえませんが、感覚が過敏なお子さまの脳内では、私たちが想像する以上に過酷なエラーと恐怖が起きています。
脳の「音のフィルター」が壊れていて、音が「激痛」に変わる
私たち大人の脳には、自分にとって不要な雑音(エアコンの音や遠くの車の音など)を無意識のうちにシャットアウトするフィルター機能が備わっています。しかし、この機能が未熟なお子さまは、全ての音が耳にダイレクトに突き刺さってきます。
特定の周波数の音(モーター音や高い音)は、大人に例えるなら「耳元で黒板を爪で思い切り引っ掻かれている」「真横で工事現場のドリルが鳴り響いている」のと同じレベルの強烈な「不快感」や「痛み」として脳に伝わっているのです。
「いつ終わるか分からない」という恐怖(認知のつまずき)
いつ音が鳴り始めるのか、そして「いつ終わるのか」という予測(見通し)を立てる力が未熟な幼児にとって、突然鳴り響く爆音は恐怖でしかありません。見えない恐怖に脳がフリーズし、パニックとなって泣き叫んでいる状態なのです。
今日からできる!「音の恐怖」から脳と身体を優しく守る3つのヒント
「そのうち慣れるから!」と無理やり音を聞かせることは、脳への拷問と同じであり、その場所自体(トイレやスーパーなど)がトラウマになってしまう逆効果になります。今日からご家庭でも試せる、脳を物理的・心理的に守ってあげるアプローチをご紹介しますね。
1. 「イヤーマフ」で物理的に耳の平和を守る
目が悪い人がメガネをかけるように、耳の感覚が過敏な子にはイヤーマフ(防音耳当て)やノイズキャンセリング機能のあるイヤホンといった道具のサポートが必要です。「逃げるのは良くない」と思う必要はありません。パニックになる前に物理的に音を遮断し、「これをつければ安心だ」という安全基地を作ってあげることが何よりも最優先です。
2. 音の「始まり」と「終わり」を目で見えるようにする
掃除機をかける前には、「これから掃除機をかけるよ」と必ず予告をしてあげてください。そして「タイマーがピピッと鳴ったらおしまいね」と、音が終わる時間を『目で見える形(視覚情報)』で約束してあげます。いつ終わるかが分かるだけで、脳のパニックは劇的に和らぎます。
3.音のパニックには「背中からのギュッギュッ・ハグ」で対抗する
予期せぬ音でパニックになってしまった時は、言葉でなだめるよりも、お子さまを背中側から「ギュ〜ッ」と強くハグ(圧迫)してあげてください。筋肉や関節への強い刺激(固有受容覚へのアプローチ)が身体に入ると、暴走していた聴覚のパニックが上書きされ、強制的に落ち着きを取り戻しやすくなります。
ご家庭だけで抱え込まず、私たちを頼ってください
成長とともに脳のフィルター機能が育ち、少しずつ音への耐性がついてくることは多いです。しかし、「特定の音を聞くとパニックになり、道路に飛び出したり自分の頭を激しく叩いたりする」「日常のささいな音にも一日中怯えており、外出が一切できない」「園での活動(お遊戯の音楽や歓声)の空間に全くいられず、常に別室へ逃げ込んでしまう」といった場合は、集団生活に大きな支障が出てしまうため、どうかご家庭だけで抱え込まず専門家にご相談ください。
エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士の知見を活かし、5領域の「運動・感覚」の土台からアプローチします。トランポリンなどの粗大運動を通して全身の関節(固有受容覚)や揺れのセンサー(前庭覚)をバランスよく満たすことで、結果として聴覚の過敏さが和らぎ、様々な環境に適応できる脳と身体を根っこから育てるサポートを行っています。
「また耳を塞いでる…」と、周囲の目を気にしながら気を張って外出しているお母さん、本当にお疲れ様です。お子さまは決して大げさなわけではなく、自分の過敏な耳と必死に戦いながら、音の溢れる世界を生き抜こうと頑張っている真っ最中なのです。いつでも町の身近な専門家として、私たちにご相談くださいね。
【求人のお知らせ】地域の子どもたちを一緒に支える仲間を募集しています!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
エコルドでは現在、地域の子どもたち一人ひとりとより深く向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集しています。
私たちは単に子どもを「預かる」のではなく、今日お話ししたような「5領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)」のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。だからこそ、様々な専門性を持つ方の力が必要です。
保育士・幼稚園教諭の方
理学療法士(PT)・作業療法士(OT)の方
公認心理師・臨床心理士の方
心理学を学ばれた方(大学・大学院)
「資格はあるけれど経験が浅くて不安…」という方もご安心ください。エコルドでは、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の支援について温かく話し合い、共に学び合う文化があります。
地域と手を取り合いながら、子どもたちの「できた!」の笑顔を増やすお手伝いがしたい。そんな想いを持ったあなたと働ける日を楽しみにしています。
学生さんのアルバイトやインターンシップからのスタート、見学だけでも大歓迎ですので、ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください!
(直通 080-7771-5414)
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
児童指導員・理学療法士 内山 隆範