こんにちは。
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、児童指導員・理学療法士をしています、内山隆範です。
9月25日。すっかり秋の夜長となり、1日の終わりにホッと一息つきたい時間帯ですが……ご家庭の洗面所やリビングで、毎晩こんな「プロレスごっこ」のような大格闘を繰り広げていませんか?
「仕上げ磨きをしようとすると、この世の終わりのように泣き叫んで逃げ回る」
「無理やり膝の上に寝かせても、口を真一文字にギュッと閉じて絶対に開けない」
「歯ブラシを噛んでしまってすぐに毛先が開き、全く磨かせてくれない」
「虫歯になったら困るから!」「少しだけだから口を開けて!」
そう言いながら、大泣きして暴れる我が子を羽交い締めにして歯を磨く毎日。「私、なんだか虐待しているみたい…」と、疲れ果てて毎晩自己嫌悪に陥っているお母さん。そのお気持ち、痛いほどよく分かります。
でも、日々子どもたちの身体と心に向き合う理学療法士として、まず一番にお伝えさせてください。
お子さまが歯磨きを激しく嫌がるのは、決して「親のしつけが悪い」からでも、「単なるワガママ」だからでもありません。
ここには、国が定める療育の5領域における「運動・感覚」のメカニズム、特にお口周りの「感覚の過敏さ」と「姿勢への恐怖」という、お子さま自身もどうにもできない明確な理由が隠されているのです。
大人の目には見えない、お口の中で起きている「2つの恐怖」
私たち大人からすると「ただ小さな歯ブラシで優しくこすっているだけ」に思えますが、感覚が過敏なお子さまの脳内では、私たちが想像する以上に強烈な恐怖とエラーが起きています。
歯ブラシが「痛いトゲ」に変わる(お口の触覚防衛反応)
お口の中や唇は、全身の中でも特に神経が集中しているとても敏感な場所です。この触覚のセンサーが過敏なお子さまにとって、ナイロンの歯ブラシが歯ぐきや粘膜に触れる感覚は、大人で例えるなら「口の中を硬いワイヤーブラシでゴシゴシこすられている」のと同じレベルの強烈な「痛み」や「恐怖」として脳に伝わっています。決して大げさに泣いているのではなく、本当に痛くて怖くてパニックになっているのです。
「仰向けに寝かされる」ことへの強烈な恐怖(揺れのセンサーの未熟さ)
仕上げ磨きの時、お母さんの膝の上に「仰向け(ゴロン)」に寝かせていませんか? 実は、身体の傾きや重力を感じるセンサー(前庭覚といいます)が未熟なお子さまにとって、頭を後ろに倒して仰向けになる姿勢は、「後ろの崖から真っ逆さまに突き落とされる」ような巨大な恐怖(重力不安)を引き起こします。さらに視界も天井しか見えなくなるため、恐怖が何倍にも膨れ上がってしまうのです。
今日からできる!「歯磨きの恐怖」を優しく和らげる3つのヒント
「泣いても磨くしかない!」と力ずくで押さえつけることは、お口の過敏さをさらに悪化させ、「歯磨き=拷問」というトラウマをより強固にしてしまいます。今日からご家庭でも試せる、身体の根っこから「安心感」を作ってあげるアプローチをご紹介しますね。
1. 歯磨きの前に「ほっぺギュッギュッ」で警戒アラームをオフに
いきなり口に歯ブラシを入れるのはお休みして、まずは遊びの中で、お母さんの手のひらでお子さまのほっぺたや顎を「ギュ〜ッ」と少し強めにマッサージしてあげてください。お口周りの筋肉や関節に強い圧(深圧覚)が入ることで、過敏になっていた皮膚の警戒アラームが一時的にフワッと落ち着き、その後の歯ブラシをスッと受け入れやすくなります。
2. 「仰向け」をやめて、座った姿勢で磨いてみる
膝の上に寝転がるのを怖がる子には、無理に仰向けにする必要はありません。椅子に座らせて対面で磨くか、お母さんが後ろから抱っこするように座って(お子さまの背中とお母さんのお腹をくっつけて)磨いてみてください。背中がしっかりと守られ、足が下についていることで姿勢の土台(体幹)が安定し、崖から落ちるような恐怖心が劇的に和らぎます。
3. 「10数えたら絶対におしまい」と目と耳で約束する
「いつまでこの痛みが続くの?」という見えない恐怖が、お子さまのパニックを助長します。「い〜ち、に〜い…」と声に出して数え、10になったら『絶対に』一度ブラシを口から出して休ませてあげてください。これを繰り返すことで、「10まで我慢すれば必ず終わるんだ」という見通し(認知の力)が育ち、少しずつ我慢できる秒数が延びていきます。
ご家庭だけで抱え込まず、私たちを頼ってください
成長とともにお口の過敏さは和らぎ、少しずつ磨かせてくれるようになっていくことは多いです。しかし、「お口に触れられる恐怖が強すぎて、歯磨きだけでなくスプーンや特定の食感も極端に拒絶し、食事が偏っている」「歯磨きのたびに激しく嘔吐してしまい、物理的に磨くことができない」「毎晩の歯磨きバトルでお母さん自身が心身ともに限界を迎えている」といった場合は、ご家庭だけで抱え込まずに専門家にご相談ください。
エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士の知見を活かし、5領域の「運動・感覚」の土台からアプローチします。無理にお口を触るのではなく、トランポリンやアスレチックなどの全身運動を通して、様々な感覚をバランスよくたっぷりと満たすことで、結果的にお口周りの過敏さも根っこから和らげていくサポートを行っています。
「また今夜も泣かせるのか…」と、洗面所に向かう足取りが重くなっているお母さん、本当にお疲れ様です。お子さまは決してワガママなわけではなく、自分のお口の過敏なセンサーと必死に戦いながら頑張っている真っ最中なのです。いつでも町の身近な専門家として、私たちにご相談くださいね。
【求人のお知らせ】地域の子どもたちを一緒に支える仲間を募集しています!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
エコルドでは現在、地域の子どもたち一人ひとりとより深く向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集しています。
私たちは単に子どもを「預かる」のではなく、今日お話ししたような「5領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)」のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。だからこそ、様々な専門性を持つ方の力が必要です。
保育士・幼稚園教諭の方
理学療法士(PT)・作業療法士(OT)の方
公認心理師・臨床心理士の方
心理学を学ばれた方(大学・大学院)
「資格はあるけれど経験が浅くて不安…」という方もご安心ください。エコルドでは、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の支援について温かく話し合い、共に学び合う文化があります。
地域と手を取り合いながら、子どもたちの「できた!」の笑顔を増やすお手伝いがしたい。そんな想いを持ったあなたと働ける日を楽しみにしています。
学生さんのアルバイトやインターンシップからのスタート、見学だけでも大歓迎ですので、ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください!
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
児童指導員・理学療法士 内山 隆範
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、児童指導員・理学療法士をしています、内山隆範です。
9月25日。すっかり秋の夜長となり、1日の終わりにホッと一息つきたい時間帯ですが……ご家庭の洗面所やリビングで、毎晩こんな「プロレスごっこ」のような大格闘を繰り広げていませんか?
「仕上げ磨きをしようとすると、この世の終わりのように泣き叫んで逃げ回る」
「無理やり膝の上に寝かせても、口を真一文字にギュッと閉じて絶対に開けない」
「歯ブラシを噛んでしまってすぐに毛先が開き、全く磨かせてくれない」
「虫歯になったら困るから!」「少しだけだから口を開けて!」
そう言いながら、大泣きして暴れる我が子を羽交い締めにして歯を磨く毎日。「私、なんだか虐待しているみたい…」と、疲れ果てて毎晩自己嫌悪に陥っているお母さん。そのお気持ち、痛いほどよく分かります。
でも、日々子どもたちの身体と心に向き合う理学療法士として、まず一番にお伝えさせてください。
お子さまが歯磨きを激しく嫌がるのは、決して「親のしつけが悪い」からでも、「単なるワガママ」だからでもありません。
ここには、国が定める療育の5領域における「運動・感覚」のメカニズム、特にお口周りの「感覚の過敏さ」と「姿勢への恐怖」という、お子さま自身もどうにもできない明確な理由が隠されているのです。
大人の目には見えない、お口の中で起きている「2つの恐怖」
私たち大人からすると「ただ小さな歯ブラシで優しくこすっているだけ」に思えますが、感覚が過敏なお子さまの脳内では、私たちが想像する以上に強烈な恐怖とエラーが起きています。
歯ブラシが「痛いトゲ」に変わる(お口の触覚防衛反応)
お口の中や唇は、全身の中でも特に神経が集中しているとても敏感な場所です。この触覚のセンサーが過敏なお子さまにとって、ナイロンの歯ブラシが歯ぐきや粘膜に触れる感覚は、大人で例えるなら「口の中を硬いワイヤーブラシでゴシゴシこすられている」のと同じレベルの強烈な「痛み」や「恐怖」として脳に伝わっています。決して大げさに泣いているのではなく、本当に痛くて怖くてパニックになっているのです。
「仰向けに寝かされる」ことへの強烈な恐怖(揺れのセンサーの未熟さ)
仕上げ磨きの時、お母さんの膝の上に「仰向け(ゴロン)」に寝かせていませんか? 実は、身体の傾きや重力を感じるセンサー(前庭覚といいます)が未熟なお子さまにとって、頭を後ろに倒して仰向けになる姿勢は、「後ろの崖から真っ逆さまに突き落とされる」ような巨大な恐怖(重力不安)を引き起こします。さらに視界も天井しか見えなくなるため、恐怖が何倍にも膨れ上がってしまうのです。
今日からできる!「歯磨きの恐怖」を優しく和らげる3つのヒント
「泣いても磨くしかない!」と力ずくで押さえつけることは、お口の過敏さをさらに悪化させ、「歯磨き=拷問」というトラウマをより強固にしてしまいます。今日からご家庭でも試せる、身体の根っこから「安心感」を作ってあげるアプローチをご紹介しますね。
1. 歯磨きの前に「ほっぺギュッギュッ」で警戒アラームをオフに
いきなり口に歯ブラシを入れるのはお休みして、まずは遊びの中で、お母さんの手のひらでお子さまのほっぺたや顎を「ギュ〜ッ」と少し強めにマッサージしてあげてください。お口周りの筋肉や関節に強い圧(深圧覚)が入ることで、過敏になっていた皮膚の警戒アラームが一時的にフワッと落ち着き、その後の歯ブラシをスッと受け入れやすくなります。
2. 「仰向け」をやめて、座った姿勢で磨いてみる
膝の上に寝転がるのを怖がる子には、無理に仰向けにする必要はありません。椅子に座らせて対面で磨くか、お母さんが後ろから抱っこするように座って(お子さまの背中とお母さんのお腹をくっつけて)磨いてみてください。背中がしっかりと守られ、足が下についていることで姿勢の土台(体幹)が安定し、崖から落ちるような恐怖心が劇的に和らぎます。
3. 「10数えたら絶対におしまい」と目と耳で約束する
「いつまでこの痛みが続くの?」という見えない恐怖が、お子さまのパニックを助長します。「い〜ち、に〜い…」と声に出して数え、10になったら『絶対に』一度ブラシを口から出して休ませてあげてください。これを繰り返すことで、「10まで我慢すれば必ず終わるんだ」という見通し(認知の力)が育ち、少しずつ我慢できる秒数が延びていきます。
ご家庭だけで抱え込まず、私たちを頼ってください
成長とともにお口の過敏さは和らぎ、少しずつ磨かせてくれるようになっていくことは多いです。しかし、「お口に触れられる恐怖が強すぎて、歯磨きだけでなくスプーンや特定の食感も極端に拒絶し、食事が偏っている」「歯磨きのたびに激しく嘔吐してしまい、物理的に磨くことができない」「毎晩の歯磨きバトルでお母さん自身が心身ともに限界を迎えている」といった場合は、ご家庭だけで抱え込まずに専門家にご相談ください。
エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士の知見を活かし、5領域の「運動・感覚」の土台からアプローチします。無理にお口を触るのではなく、トランポリンやアスレチックなどの全身運動を通して、様々な感覚をバランスよくたっぷりと満たすことで、結果的にお口周りの過敏さも根っこから和らげていくサポートを行っています。
「また今夜も泣かせるのか…」と、洗面所に向かう足取りが重くなっているお母さん、本当にお疲れ様です。お子さまは決してワガママなわけではなく、自分のお口の過敏なセンサーと必死に戦いながら頑張っている真っ最中なのです。いつでも町の身近な専門家として、私たちにご相談くださいね。
【求人のお知らせ】地域の子どもたちを一緒に支える仲間を募集しています!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
エコルドでは現在、地域の子どもたち一人ひとりとより深く向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集しています。
私たちは単に子どもを「預かる」のではなく、今日お話ししたような「5領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)」のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。だからこそ、様々な専門性を持つ方の力が必要です。
保育士・幼稚園教諭の方
理学療法士(PT)・作業療法士(OT)の方
公認心理師・臨床心理士の方
心理学を学ばれた方(大学・大学院)
「資格はあるけれど経験が浅くて不安…」という方もご安心ください。エコルドでは、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の支援について温かく話し合い、共に学び合う文化があります。
地域と手を取り合いながら、子どもたちの「できた!」の笑顔を増やすお手伝いがしたい。そんな想いを持ったあなたと働ける日を楽しみにしています。
学生さんのアルバイトやインターンシップからのスタート、見学だけでも大歓迎ですので、ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください!
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
児童指導員・理学療法士 内山 隆範