こんにちは。
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、児童指導員・理学療法士をしています、内山隆範です。
10月に入り、スーパーにもサツマイモや栗など秋の味覚がたくさん並ぶ季節になりました。「食欲の秋」と言いたいところですが、毎日の食卓でこんな「終わりの見えない食事バトル」に頭を抱えていませんか?
「せっかく作った野菜の煮物やハンバーグには一切手をつけず、毎日『白いご飯』か『うどん』『食パン』しか食べない」
「お肉や野菜を口に入れても、くちゃくちゃといつまでも噛み続け、最後には『オエッ』と吐き出してしまう」
「カレーやシチューなど、色々な具材が混ざった食べ物を極端に嫌がり、見ただけで泣き叫ぶ」
「栄養失調になったらどうしよう」「私の料理が美味しくないのかな…」「なんでも食べる〇〇ちゃんが羨ましい」
手つかずで残された冷たいおかずを捨てながら、毎食ため息をついているお母さん。そのお気持ち、痛いほどよく分かります。
しかし、日々子どもたちの身体と心に向き合う理学療法士として、まず一番にお伝えさせてください。
お子さまが特定の極端な偏食を示すのは、決して「親の料理のせい」でも、「ワガママで好き嫌いをしている」からでもありません。
ここには、国が定める療育の5領域における「健康・生活(食事)」の自立を阻む、「運動・感覚」と「認知・行動」のメカニズムによる、強烈な『お口のバグと恐怖』という明確な理由が隠されているのです。
大人の目には見えない、お口の中で起きている「3つの過酷なエラー」
私たち大人からすると「ただの美味しいハンバーグや野菜じゃない」と思えますが、発達の途中にあるお子さまの脳と身体の中では、私たちが想像する以上に過酷なエラーが起きています。
「白いもの」は裏切らない(視覚の安心感と認知のつまずき)
なぜ、うどんや食パン、フライドポテトばかりを好むのでしょうか。それは「常に味や食感が同じで、100%予測できるから(安全だから)」です。
感覚が過敏な子にとって、例えば「トマト」は恐怖の対象です。ある日は甘く、ある日は酸っぱく、噛んだ瞬間に中からドロッとした液体が飛び出してきます。この「予測不能な刺激」は脳にとってパニックの引き金になります。そのため、絶対に自分を裏切らない「予測可能な白い炭水化物」だけを食べて、必死に身を守っているのです。
お口の中が「剣山」になっている(お口の触覚防衛反応)
唇や舌、口の中の粘膜の触覚が過敏なお子さまにとって、キノコの「ニュルッ」とした感触や、お肉の「モサモサ」した繊維は、大人で例えるなら「口の中に剣山や砂利を入れられている」のと同じレベルの強烈な不快感や痛みとして脳に伝わっています。決して嫌がらせで吐き出しているのではなく、本当に痛くて飲み込めないのです。
噛むための「筋肉」が圧倒的に足りていない(体幹の弱さ)
理学療法士として一番見過ごされがちだと感じるのが、この「筋肉」の問題です。お肉や野菜の繊維をすり潰して飲み込むには、顎(あご)の強い筋力とスタミナが必要です。生まれつき身体の筋肉がやわらかい(低緊張の)お子さまは、顎の筋肉も弱いため、数回噛んだだけで疲労困憊してしまいます。「食べたくない」のではなく、物理的に「噛む体力がなくて飲み込めない」状態なのです。
今日からできる!「食事の恐怖」を優しく和らげる3つのヒント
「一口だけでも食べなさい!」と無理やり口に押し込むことは、食卓=拷問部屋というトラウマを強固にしてしまい、さらに偏食を悪化させる逆効果になってしまいます。今日からご家庭でも試せる、身体の根っこから「食べる準備」を整えるアプローチをご紹介しますね。
1. 食事の前に「お口周りのマッサージ」でアラームをオフに
いきなり食べ物を口に入れるのではなく、まずは遊びの中で、お子さまのほっぺたや顎、唇の周りを、お母さんの指で「ギュッ、ギュッ」と少し強めに押してマッサージしてあげてください。関節や筋肉に圧(深圧覚)が入ることで、過敏になっていたお口の警戒アラームが一時的にフワッと落ち着きやすくなります。
2. 「混ぜない・見せない」で視覚の安心を守る
複数の食材が混ざった料理(チャーハンやシチューなど)は、情報量が多すぎて脳がフリーズします。「ご飯」「お肉」「野菜」と、お皿や仕切りを使って完全に分けて盛り付けてあげてください。「何が入っているか一目で分かる」という視覚の安心感が、一口食べてみようという意欲に繋がります。
3. 「お口以外の感覚」から少しずつ仲良くなる
食べられないものを無理に口に入れさせず、「今日のお野菜、ツルツルしてるね」「人参さん、一緒に洗ってくれる?」など、まずは「目で見る」「手で触る」「匂いを嗅ぐ」といったお口以外の感覚から、その食材への警戒心を解いていくアプローチが非常に有効です。
ご家庭だけで抱え込まず、私たちを頼ってください
成長とともにお口の過敏さが和らぎ、顎の筋力がついてくれば、少しずつ食べられるものは増えていきます。
しかし、「食べられるものが3種類以下しかなく、特定のメーカーのパンしか絶対に受け付けない」「食べ物の匂いを嗅いだり、見ただけで激しく嘔吐してしまう」「極端な偏食により、体重が増えない、成長曲線から大きく外れてしまっている」といった場合は、お子さまの身体の成長に深刻なダメージを与えるため、どうかご家庭だけで抱え込まず、専門家や医療機関にご相談ください。
エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士の知見を活かし、5領域の「健康・生活(食事)」の自立に向けて、その土台となる「運動・感覚」からアプローチします。無理に食べさせる訓練をするのではなく、アスレチックなどのダイナミックな全身運動を通して身体全体の筋肉(体幹)を鍛え、結果的に「しっかり噛める顎の力」と「感覚の落ち着き」を根っこから育てるサポートを行っています。
「また今日も残した…」と、キッチンで一人悲しい気持ちになっているお母さん、本当にお疲れ様です。お子さまは決してワガママなわけではなく、自分の過敏なセンサーや弱い筋肉と一生懸命に戦いながら、食事に向き合おうとしている真っ最中なのです。いつでも町の身近な専門家として、私たちにご相談くださいね。
【求人のお知らせ】地域の子どもたちを一緒に支える仲間を募集しています!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
エコルドでは現在、地域の子どもたち一人ひとりとより深く向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集しています。
私たちは単に子どもを「預かる」のではなく、今日お話ししたような「5領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)」のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。だからこそ、様々な専門性を持つ方の力が必要です。
保育士・幼稚園教諭の方
理学療法士(PT)・作業療法士(OT)の方
公認心理師・臨床心理士の方
心理学を学ばれた方(大学・大学院)
「資格はあるけれど経験が浅くて不安…」という方もご安心ください。エコルドでは、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の支援について温かく話し合い、共に学び合う文化があります。
地域と手を取り合いながら、子どもたちの「できた!」の笑顔を増やすお手伝いがしたい。そんな想いを持ったあなたと働ける日を楽しみにしています。
学生さんのアルバイトやインターンシップからのスタート、見学だけでも大歓迎ですので、ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください!
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
児童指導員・理学療法士 内山 隆範
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、児童指導員・理学療法士をしています、内山隆範です。
10月に入り、スーパーにもサツマイモや栗など秋の味覚がたくさん並ぶ季節になりました。「食欲の秋」と言いたいところですが、毎日の食卓でこんな「終わりの見えない食事バトル」に頭を抱えていませんか?
「せっかく作った野菜の煮物やハンバーグには一切手をつけず、毎日『白いご飯』か『うどん』『食パン』しか食べない」
「お肉や野菜を口に入れても、くちゃくちゃといつまでも噛み続け、最後には『オエッ』と吐き出してしまう」
「カレーやシチューなど、色々な具材が混ざった食べ物を極端に嫌がり、見ただけで泣き叫ぶ」
「栄養失調になったらどうしよう」「私の料理が美味しくないのかな…」「なんでも食べる〇〇ちゃんが羨ましい」
手つかずで残された冷たいおかずを捨てながら、毎食ため息をついているお母さん。そのお気持ち、痛いほどよく分かります。
しかし、日々子どもたちの身体と心に向き合う理学療法士として、まず一番にお伝えさせてください。
お子さまが特定の極端な偏食を示すのは、決して「親の料理のせい」でも、「ワガママで好き嫌いをしている」からでもありません。
ここには、国が定める療育の5領域における「健康・生活(食事)」の自立を阻む、「運動・感覚」と「認知・行動」のメカニズムによる、強烈な『お口のバグと恐怖』という明確な理由が隠されているのです。
大人の目には見えない、お口の中で起きている「3つの過酷なエラー」
私たち大人からすると「ただの美味しいハンバーグや野菜じゃない」と思えますが、発達の途中にあるお子さまの脳と身体の中では、私たちが想像する以上に過酷なエラーが起きています。
「白いもの」は裏切らない(視覚の安心感と認知のつまずき)
なぜ、うどんや食パン、フライドポテトばかりを好むのでしょうか。それは「常に味や食感が同じで、100%予測できるから(安全だから)」です。
感覚が過敏な子にとって、例えば「トマト」は恐怖の対象です。ある日は甘く、ある日は酸っぱく、噛んだ瞬間に中からドロッとした液体が飛び出してきます。この「予測不能な刺激」は脳にとってパニックの引き金になります。そのため、絶対に自分を裏切らない「予測可能な白い炭水化物」だけを食べて、必死に身を守っているのです。
お口の中が「剣山」になっている(お口の触覚防衛反応)
唇や舌、口の中の粘膜の触覚が過敏なお子さまにとって、キノコの「ニュルッ」とした感触や、お肉の「モサモサ」した繊維は、大人で例えるなら「口の中に剣山や砂利を入れられている」のと同じレベルの強烈な不快感や痛みとして脳に伝わっています。決して嫌がらせで吐き出しているのではなく、本当に痛くて飲み込めないのです。
噛むための「筋肉」が圧倒的に足りていない(体幹の弱さ)
理学療法士として一番見過ごされがちだと感じるのが、この「筋肉」の問題です。お肉や野菜の繊維をすり潰して飲み込むには、顎(あご)の強い筋力とスタミナが必要です。生まれつき身体の筋肉がやわらかい(低緊張の)お子さまは、顎の筋肉も弱いため、数回噛んだだけで疲労困憊してしまいます。「食べたくない」のではなく、物理的に「噛む体力がなくて飲み込めない」状態なのです。
今日からできる!「食事の恐怖」を優しく和らげる3つのヒント
「一口だけでも食べなさい!」と無理やり口に押し込むことは、食卓=拷問部屋というトラウマを強固にしてしまい、さらに偏食を悪化させる逆効果になってしまいます。今日からご家庭でも試せる、身体の根っこから「食べる準備」を整えるアプローチをご紹介しますね。
1. 食事の前に「お口周りのマッサージ」でアラームをオフに
いきなり食べ物を口に入れるのではなく、まずは遊びの中で、お子さまのほっぺたや顎、唇の周りを、お母さんの指で「ギュッ、ギュッ」と少し強めに押してマッサージしてあげてください。関節や筋肉に圧(深圧覚)が入ることで、過敏になっていたお口の警戒アラームが一時的にフワッと落ち着きやすくなります。
2. 「混ぜない・見せない」で視覚の安心を守る
複数の食材が混ざった料理(チャーハンやシチューなど)は、情報量が多すぎて脳がフリーズします。「ご飯」「お肉」「野菜」と、お皿や仕切りを使って完全に分けて盛り付けてあげてください。「何が入っているか一目で分かる」という視覚の安心感が、一口食べてみようという意欲に繋がります。
3. 「お口以外の感覚」から少しずつ仲良くなる
食べられないものを無理に口に入れさせず、「今日のお野菜、ツルツルしてるね」「人参さん、一緒に洗ってくれる?」など、まずは「目で見る」「手で触る」「匂いを嗅ぐ」といったお口以外の感覚から、その食材への警戒心を解いていくアプローチが非常に有効です。
ご家庭だけで抱え込まず、私たちを頼ってください
成長とともにお口の過敏さが和らぎ、顎の筋力がついてくれば、少しずつ食べられるものは増えていきます。
しかし、「食べられるものが3種類以下しかなく、特定のメーカーのパンしか絶対に受け付けない」「食べ物の匂いを嗅いだり、見ただけで激しく嘔吐してしまう」「極端な偏食により、体重が増えない、成長曲線から大きく外れてしまっている」といった場合は、お子さまの身体の成長に深刻なダメージを与えるため、どうかご家庭だけで抱え込まず、専門家や医療機関にご相談ください。
エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士の知見を活かし、5領域の「健康・生活(食事)」の自立に向けて、その土台となる「運動・感覚」からアプローチします。無理に食べさせる訓練をするのではなく、アスレチックなどのダイナミックな全身運動を通して身体全体の筋肉(体幹)を鍛え、結果的に「しっかり噛める顎の力」と「感覚の落ち着き」を根っこから育てるサポートを行っています。
「また今日も残した…」と、キッチンで一人悲しい気持ちになっているお母さん、本当にお疲れ様です。お子さまは決してワガママなわけではなく、自分の過敏なセンサーや弱い筋肉と一生懸命に戦いながら、食事に向き合おうとしている真っ最中なのです。いつでも町の身近な専門家として、私たちにご相談くださいね。
【求人のお知らせ】地域の子どもたちを一緒に支える仲間を募集しています!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
エコルドでは現在、地域の子どもたち一人ひとりとより深く向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集しています。
私たちは単に子どもを「預かる」のではなく、今日お話ししたような「5領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)」のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。だからこそ、様々な専門性を持つ方の力が必要です。
保育士・幼稚園教諭の方
理学療法士(PT)・作業療法士(OT)の方
公認心理師・臨床心理士の方
心理学を学ばれた方(大学・大学院)
「資格はあるけれど経験が浅くて不安…」という方もご安心ください。エコルドでは、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の支援について温かく話し合い、共に学び合う文化があります。
地域と手を取り合いながら、子どもたちの「できた!」の笑顔を増やすお手伝いがしたい。そんな想いを持ったあなたと働ける日を楽しみにしています。
学生さんのアルバイトやインターンシップからのスタート、見学だけでも大歓迎ですので、ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください!
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
児童指導員・理学療法士 内山 隆範