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公園から帰れない…ワガママではなく脳のフリーズ

こんにちは。
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、児童指導員・理学療法士をしています、内山隆範です。

10月に入り、秋晴れの空の下、公園で遊ぶのが本当に気持ちの良い季節になりましたね。しかし、楽しい時間の終わりに、毎日こんな「地獄の帰り道バトル」に心と体力をすり減らしていませんか?

「『夕ご飯だから帰るよ』と声をかけた瞬間、この世の終わりのように泣き叫んで地面に転がり、テコでも動かない」
「『あと1回ですべり台はおしまいね』と約束したのに、いざ帰ろうとすると全く約束が守れず大暴れする」
「無理やり抱えて自転車に乗せようとすると、海老反りになって暴れ、周囲から冷たい目で見られる」
「どうしてうちの子だけ、こんなに聞き分けがないの?」「こんなに大変なら、もう最初から公園になんて連れてこなきゃよかった…」と、泣き叫ぶ我が子を抱えながら途方に暮れているお母さん。そのお気持ち、痛いほどよく分かります。

しかし、日々子どもたちの身体と脳に向き合う理学療法士として、まず一番にお伝えさせてください。
お子さまが「帰ること(次の行動)」を激しく拒絶するのは、決して「親のしつけが悪い」からでも、「ワガママであなたを困らせようとしている」からでもありません。

ここには、国が定める療育の5領域における「認知・行動」の未熟さと、「運動・感覚」のメカニズムによる、脳の強烈な『情報処理のフリーズ』という、お子さま自身もどうにもできない明確な理由が隠されているのです。

大人の目には見えない、小さな脳で起きている「2つの絶望感」
私たち大人からすると「ただ遊びをやめて家に帰るだけ」に思えますが、発達の途中にあるお子さまの脳と身体の中では、私たちが想像する以上に過酷なエラーが起きています。

「時間」という見えない概念が理解できない(認知のつまずき)
大人は「今日は帰るけど、また明日来られる」という未来の予測ができます。しかし、「時間」の概念が未発達なお子さまにとって、「今すぐ遊びをやめる」ことは、「この大好きな遊びが、この世から永遠に消え去ってしまう」のと同じくらいの強烈な絶望感です。また、遊びという「一つのチャンネル」に過集中している脳にとって、別の行動(帰る)へ注意を切り替えることは、猛スピードで走っている車に急ブレーキをかけるような、脳への莫大なエネルギーと負担がかかる過酷な作業なのです。
脳が求める「感覚の栄養」がまだ満タンになっていない(感覚の探求)
理学療法士として見逃せないのが、「感覚」の問題です。お子さまがまだ帰りたがらない時、実は「遊び足りない」のではなく、脳が求める「揺れ(前庭覚)や、筋肉への強い刺激(固有受容覚)」のタンクがまだ満タンになっていないサインである場合が非常に多いのです。脳が「もっと感覚をちょうだい!」と要求している最中に無理やり止められると、身体が本能的に強烈な拒絶反応を起こして暴れてしまいます。

今日からできる!「切り替えパニック」を優しく防ぐ3つのヒント

「早くしなさい!置いて帰るよ!」と脅すことは、フリーズしている脳をさらにパニックに陥らせ、親への不信感を強める逆効果になってしまいます。今日からご家庭でも試せる、脳の負担を減らして「スムーズな切り替え」をサポートするアプローチをご紹介しますね。

1. 「時間」ではなく「回数」で目に見える約束をする

「あと5分ね」という言葉は幼児の脳には響きません。帰る時は、「あと3回すべり台をすべったら帰ろうね」と『目で見て分かる回数(視覚情報)』で約束をしてあげてください。そして、一緒にお母さんの指を折ってカウントダウンすることで、「終わり」が明確になり、脳が少しずつ心の準備をしやすくなります。

2. 帰り際に「重労働のミッション」を与える

「遊びをやめる」という喪失感から、「新しい楽しい役割」へと脳のチャンネルを切り替えます。「ママの代わりに重い荷物を持ってくれる?」「自転車までどっちが早く着くか競争ね!」と、筋肉や関節に強い圧(固有受容覚)が入る重労働や運動を提案してみてください。身体に強い刺激が入ることで、フワフワしていた脳のスイッチが「帰る」方向へスッと切り替わりやすくなります。

3. パニックになったら「ギュッギュッ・ハグ」で強制リセット

もし地面に転がって大パニックになってしまったら、言葉で説得するのは諦めましょう。背中側からお子さまを「ギュ〜ッ」と少し強めにハグ(深圧覚の入力)してあげてください。関節や筋肉に強い圧が入ることで、暴走していた脳の興奮が上書きされ、強制的にクールダウンしやすくなります。

ご家庭だけで抱え込まず、私たちを頼ってください
成長とともに脳の認知機能(前頭前野の働き)が育ち、少しずつ「我慢して切り替える力」がついていくことは多いです。しかし、「切り替えのたびに1時間以上激しいパニックが続き、親を本気で叩いたり自分の頭を地面に打ち付けたりする」「親御さん自身が『またパニックになるのが怖い』と外出を完全に避けるようになり、密室育児で精神的に限界を迎えている」「視覚的な予告を何度試しても全く理解できず、毎回同じようにパニックになる」といった場合は、集団生活に大きな支障が出てしまうため、どうかご家庭だけで抱え込まず専門家にご相談ください。

エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士の知見を活かし、5領域の「認知・行動」を育むために、その土台となる「運動・感覚」からアプローチします。「ストップ&ゴー(音楽が止まったらピタッと動きを止める)」などの運動遊びを通して、脳のブレーキ機能(自己調整力)と「気持ちを切り替える力」を、楽しみながら身体の根っこから育てるサポートを行っています。

「今日もまた泣かれるのかな…」と、帰り道が近づくにつれて胃が痛くなるような思いをしているお母さん、本当にお疲れ様です。お子さまは決してあなたを困らせたいわけではなく、まだ未熟な脳のブレーキと必死に戦いながら、感情のコントロールを学ぼうとしている真っ最中なのです。いつでも町の身近な専門家として、私たちにご相談くださいね。

【求人のお知らせ】地域の子どもたちを一緒に支える仲間を募集しています!

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
エコルドでは現在、地域の子どもたち一人ひとりとより深く向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集しています。
私たちは単に子どもを「預かる」のではなく、今日お話ししたような「5領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)」のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。だからこそ、様々な専門性を持つ方の力が必要です。

保育士・幼稚園教諭の方
理学療法士(PT)・作業療法士(OT)の方
公認心理師・臨床心理士の方
心理学を学ばれた方(大学・大学院)

「資格はあるけれど経験が浅くて不安…」という方もご安心ください。エコルドでは、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の支援について温かく話し合い、共に学び合う文化があります。

地域と手を取り合いながら、子どもたちの「できた!」の笑顔を増やすお手伝いがしたい。そんな想いを持ったあなたと働ける日を楽しみにしています。

学生さんのアルバイトやインターンシップからのスタート、見学だけでも大歓迎ですので、ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください!

療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
児童指導員・理学療法士 内山 隆範
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