こんにちは。
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、児童指導員・理学療法士をしています、内山隆範です。
10月に入り、朝晩はめっきり涼しくなりましたね。風邪をひかないよう、夜は湯船でしっかり温まってほしい季節ですが、ご家庭の脱衣所やお風呂場で、毎晩こんな「終わりの見えない大格闘」を繰り広げていませんか?
「『お風呂に入るよ』と言った瞬間、この世の終わりのように泣き叫んで逃げ回る」
「シャンプーのために頭にお湯をかけようとすると、海老反りになってパニックを起こす」
「顔に水滴が1滴でもつくと『拭いて!』と大泣きし、身体を洗うどころではない」
お母さん自身も服をビショビショにしながら、泣き叫ぶ我が子を羽交い締めにして洗う毎日。「どうしてうちの子だけ、こんなにお風呂が嫌いなの?」「私が無理やり顔に水をかけたのがトラウマになっちゃったのかな…」と、お風呂上がりにどっと押し寄せる疲労感と自己嫌悪。そのお気持ち、痛いほどよく分かります。
しかし、日々子どもたちの身体と脳に向き合う理学療法士として、まず一番にお伝えさせてください。
お子さまがお風呂やシャワーを激しく嫌がるのは、決して「親の入れ方が悪かった」からでも、「ワガママで綺麗にするのを嫌がっている」からでもありません。
ここには、国が定める療育の5領域における「健康・生活」の自立を阻む、「運動・感覚」のメカニズムによる『脳の強烈な警戒アラーム』という、お子さま自身もどうにもできない明確な理由が隠されているのです。
大人の目には見えない、お風呂場で起きている「3つのパニック」
私たち大人からすると「温かくて気持ちいいお湯」にしか思えませんが、感覚が過敏なお子さまの脳と身体の中では、私たちが想像する以上に過酷なエラーと恐怖が起きています。
シャワーの水圧が「無数の痛い針」に感じる(触覚防衛反応)
皮膚の感覚(触覚)がとても敏感なお子さまにとって、シャワーの細い糸のような水圧が肌に当たる感覚は、大人で例えるなら「無数の針で全身をチクチク刺されている」「剣山を押し当てられている」のと同じレベルの強烈な「痛み」として脳に伝わっています。決して大げさに泣いているのではなく、本当に肌が痛くてたまらないのです。
頭を後ろに倒す=「崖から落ちる!」(前庭覚の過敏・重力不安)
美容院のように、お子さまを上を向かせてシャンプーをしていませんか? 揺れや重力を感じるセンサー(前庭覚)が過敏なお子さまにとって、視界が奪われた状態で頭を後ろに傾けられる姿勢は、「後ろの崖から真っ逆さまに突き落とされる」ような強烈な恐怖(重力不安)を引き起こします。足元が滑りやすいお風呂場では、その恐怖が何倍にも膨れ上がってしまうのです。
密室に響く「爆音」が怖い(聴覚の過敏)
お風呂場は音が激しく反響する特殊な空間です。「ジャーッ」というシャワーの音や、洗面器が床に当たる「カコーン!」という音が、耳が過敏な子には工事現場のドリルような爆音に聞こえ、お風呂場という空間そのものを恐怖の対象にしているケースも少なくありません。
今日からできる!「お風呂の恐怖」を優しく取り除く3つのヒント
「泣いても洗うしかないでしょ!」と無理やりシャワーを浴びせることは、パニック状態の脳をさらに追い詰めることになり、お風呂=絶対に入りたくない場所というトラウマをより強固にしてしまいます。今日からご家庭でも試せる、身体の根っこから「安心できる環境」を作ってあげるアプローチをご紹介しますね。
1. シャワーをやめて「面」でお湯をかける(触覚のサポート)
チクチク刺さるシャワーヘッドを直接向けるのはお休みしましょう。洗面器にお湯をためて「ザバーッ」と一気にかけるか、もっと過敏な子には「お湯をたっぷり含ませたタオル」を頭や身体にペタッと乗せて、優しく押し当てるように流してあげてください。「点」の刺激ではなく「面」の刺激に変えるだけで、痛みが和らぎ受け入れやすくなります。洗う順番も、心臓から遠い「足先」からゆっくりと上に向かって慣らしていくのが鉄則です。
2. 「仰向け」をやめて姿勢を安定させる(揺れのセンサーへのサポート)
頭を後ろに倒すのを怖がる場合は、下を向かせて(うつむき姿勢で)洗います。その際、お子さまのおでこに「乾いた折りたたみタオル」を当てて、お子さま自身の手でギュッと押さえさせてみてください。顔にお湯が流れてこない安心感だけでなく、手と腕に自分の力が入る(固有受容覚といいます)ことで姿勢の土台が安定し、崖から落ちるようなパニックを劇的に防ぐことができます。
3. 入浴前に「ギュッギュッ・マッサージ」でアラームをオフに
服を脱ぐ前に、脱衣所でお子さまの肩や背中、腕を、お母さんの手のひらで「ギュ〜ッ」と少し強めに圧迫(深圧覚の入力)してあげてください。関節や筋肉にしっかりとした圧が入ると、過敏になっていた皮膚の警戒アラームが一時的にフワッと落ち着き、その後の「お湯に濡れる感覚」への恐怖が和らぎやすくなります。
ご家庭だけで抱え込まず、私たちを頼ってください
成長とともに感覚の過敏さが和らぎ、少しずつお風呂の気持ちよさが分かってくることは多いです。しかし、「頭皮に湿疹などのトラブルが起きているのに、恐怖が強すぎて1週間以上どうしてもお風呂に入れない」「シャンプーの最中にパニックを起こし、滑りやすい浴室の床に自分の頭を激しく打ち付けたり、親に本気で噛みついたりする」「親御さん自身が毎晩のお風呂バトルで心身ともに限界を迎え、お子さまと一緒にお風呂に入るのが怖くなっている」といった場合は、生活の土台に大きなダメージを与えてしまうため、どうかご家庭だけで抱え込まず専門家にご相談ください。
エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士の知見を活かし、5領域の「健康・生活」の自立に向けて、その土台となる「運動・感覚」からアプローチします。日常の運動遊びの中で様々な感覚(前庭覚や触覚)をバランスよくたっぷりと満たし、脳の警戒アラームを根本から和らげることで、ご家庭での「お風呂や着替え」といった生活習慣の自立をサポートしています。
「今日もまた泣かせる時間になっちゃった…」と、脱衣所で一人ため息をついているお母さん、本当にお疲れ様です。お子さまは決してワガママなわけではなく、自分自身の過敏なセンサーと必死に戦いながら、毎日のお風呂を乗り越えようと頑張っている真っ最中なのです。いつでも町の身近な専門家として、私たちにご相談くださいね。
【求人のお知らせ】地域の子どもたちを一緒に支える仲間を募集しています!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
エコルドでは現在、地域の子どもたち一人ひとりとより深く向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集しています。
私たちは単に子どもを「預かる」のではなく、今日お話ししたような「5領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)」のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。だからこそ、様々な専門性を持つ方の力が必要です。
保育士・幼稚園教諭の方
理学療法士(PT)・作業療法士(OT)の方
公認心理師・臨床心理士の方
心理学を学ばれた方(大学・大学院)
「資格はあるけれど経験が浅くて不安…」という方もご安心ください。エコルドでは、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の支援について温かく話し合い、共に学び合う文化があります。
地域と手を取り合いながら、子どもたちの「できた!」の笑顔を増やすお手伝いがしたい。そんな想いを持ったあなたと働ける日を楽しみにしています。
学生さんのアルバイトやインターンシップからのスタート、見学だけでも大歓迎ですので、ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください!
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
児童指導員・理学療法士 内山 隆範
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、児童指導員・理学療法士をしています、内山隆範です。
10月に入り、朝晩はめっきり涼しくなりましたね。風邪をひかないよう、夜は湯船でしっかり温まってほしい季節ですが、ご家庭の脱衣所やお風呂場で、毎晩こんな「終わりの見えない大格闘」を繰り広げていませんか?
「『お風呂に入るよ』と言った瞬間、この世の終わりのように泣き叫んで逃げ回る」
「シャンプーのために頭にお湯をかけようとすると、海老反りになってパニックを起こす」
「顔に水滴が1滴でもつくと『拭いて!』と大泣きし、身体を洗うどころではない」
お母さん自身も服をビショビショにしながら、泣き叫ぶ我が子を羽交い締めにして洗う毎日。「どうしてうちの子だけ、こんなにお風呂が嫌いなの?」「私が無理やり顔に水をかけたのがトラウマになっちゃったのかな…」と、お風呂上がりにどっと押し寄せる疲労感と自己嫌悪。そのお気持ち、痛いほどよく分かります。
しかし、日々子どもたちの身体と脳に向き合う理学療法士として、まず一番にお伝えさせてください。
お子さまがお風呂やシャワーを激しく嫌がるのは、決して「親の入れ方が悪かった」からでも、「ワガママで綺麗にするのを嫌がっている」からでもありません。
ここには、国が定める療育の5領域における「健康・生活」の自立を阻む、「運動・感覚」のメカニズムによる『脳の強烈な警戒アラーム』という、お子さま自身もどうにもできない明確な理由が隠されているのです。
大人の目には見えない、お風呂場で起きている「3つのパニック」
私たち大人からすると「温かくて気持ちいいお湯」にしか思えませんが、感覚が過敏なお子さまの脳と身体の中では、私たちが想像する以上に過酷なエラーと恐怖が起きています。
シャワーの水圧が「無数の痛い針」に感じる(触覚防衛反応)
皮膚の感覚(触覚)がとても敏感なお子さまにとって、シャワーの細い糸のような水圧が肌に当たる感覚は、大人で例えるなら「無数の針で全身をチクチク刺されている」「剣山を押し当てられている」のと同じレベルの強烈な「痛み」として脳に伝わっています。決して大げさに泣いているのではなく、本当に肌が痛くてたまらないのです。
頭を後ろに倒す=「崖から落ちる!」(前庭覚の過敏・重力不安)
美容院のように、お子さまを上を向かせてシャンプーをしていませんか? 揺れや重力を感じるセンサー(前庭覚)が過敏なお子さまにとって、視界が奪われた状態で頭を後ろに傾けられる姿勢は、「後ろの崖から真っ逆さまに突き落とされる」ような強烈な恐怖(重力不安)を引き起こします。足元が滑りやすいお風呂場では、その恐怖が何倍にも膨れ上がってしまうのです。
密室に響く「爆音」が怖い(聴覚の過敏)
お風呂場は音が激しく反響する特殊な空間です。「ジャーッ」というシャワーの音や、洗面器が床に当たる「カコーン!」という音が、耳が過敏な子には工事現場のドリルような爆音に聞こえ、お風呂場という空間そのものを恐怖の対象にしているケースも少なくありません。
今日からできる!「お風呂の恐怖」を優しく取り除く3つのヒント
「泣いても洗うしかないでしょ!」と無理やりシャワーを浴びせることは、パニック状態の脳をさらに追い詰めることになり、お風呂=絶対に入りたくない場所というトラウマをより強固にしてしまいます。今日からご家庭でも試せる、身体の根っこから「安心できる環境」を作ってあげるアプローチをご紹介しますね。
1. シャワーをやめて「面」でお湯をかける(触覚のサポート)
チクチク刺さるシャワーヘッドを直接向けるのはお休みしましょう。洗面器にお湯をためて「ザバーッ」と一気にかけるか、もっと過敏な子には「お湯をたっぷり含ませたタオル」を頭や身体にペタッと乗せて、優しく押し当てるように流してあげてください。「点」の刺激ではなく「面」の刺激に変えるだけで、痛みが和らぎ受け入れやすくなります。洗う順番も、心臓から遠い「足先」からゆっくりと上に向かって慣らしていくのが鉄則です。
2. 「仰向け」をやめて姿勢を安定させる(揺れのセンサーへのサポート)
頭を後ろに倒すのを怖がる場合は、下を向かせて(うつむき姿勢で)洗います。その際、お子さまのおでこに「乾いた折りたたみタオル」を当てて、お子さま自身の手でギュッと押さえさせてみてください。顔にお湯が流れてこない安心感だけでなく、手と腕に自分の力が入る(固有受容覚といいます)ことで姿勢の土台が安定し、崖から落ちるようなパニックを劇的に防ぐことができます。
3. 入浴前に「ギュッギュッ・マッサージ」でアラームをオフに
服を脱ぐ前に、脱衣所でお子さまの肩や背中、腕を、お母さんの手のひらで「ギュ〜ッ」と少し強めに圧迫(深圧覚の入力)してあげてください。関節や筋肉にしっかりとした圧が入ると、過敏になっていた皮膚の警戒アラームが一時的にフワッと落ち着き、その後の「お湯に濡れる感覚」への恐怖が和らぎやすくなります。
ご家庭だけで抱え込まず、私たちを頼ってください
成長とともに感覚の過敏さが和らぎ、少しずつお風呂の気持ちよさが分かってくることは多いです。しかし、「頭皮に湿疹などのトラブルが起きているのに、恐怖が強すぎて1週間以上どうしてもお風呂に入れない」「シャンプーの最中にパニックを起こし、滑りやすい浴室の床に自分の頭を激しく打ち付けたり、親に本気で噛みついたりする」「親御さん自身が毎晩のお風呂バトルで心身ともに限界を迎え、お子さまと一緒にお風呂に入るのが怖くなっている」といった場合は、生活の土台に大きなダメージを与えてしまうため、どうかご家庭だけで抱え込まず専門家にご相談ください。
エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士の知見を活かし、5領域の「健康・生活」の自立に向けて、その土台となる「運動・感覚」からアプローチします。日常の運動遊びの中で様々な感覚(前庭覚や触覚)をバランスよくたっぷりと満たし、脳の警戒アラームを根本から和らげることで、ご家庭での「お風呂や着替え」といった生活習慣の自立をサポートしています。
「今日もまた泣かせる時間になっちゃった…」と、脱衣所で一人ため息をついているお母さん、本当にお疲れ様です。お子さまは決してワガママなわけではなく、自分自身の過敏なセンサーと必死に戦いながら、毎日のお風呂を乗り越えようと頑張っている真っ最中なのです。いつでも町の身近な専門家として、私たちにご相談くださいね。
【求人のお知らせ】地域の子どもたちを一緒に支える仲間を募集しています!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
エコルドでは現在、地域の子どもたち一人ひとりとより深く向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集しています。
私たちは単に子どもを「預かる」のではなく、今日お話ししたような「5領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)」のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。だからこそ、様々な専門性を持つ方の力が必要です。
保育士・幼稚園教諭の方
理学療法士(PT)・作業療法士(OT)の方
公認心理師・臨床心理士の方
心理学を学ばれた方(大学・大学院)
「資格はあるけれど経験が浅くて不安…」という方もご安心ください。エコルドでは、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の支援について温かく話し合い、共に学び合う文化があります。
地域と手を取り合いながら、子どもたちの「できた!」の笑顔を増やすお手伝いがしたい。そんな想いを持ったあなたと働ける日を楽しみにしています。
学生さんのアルバイトやインターンシップからのスタート、見学だけでも大歓迎ですので、ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください!
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
児童指導員・理学療法士 内山 隆範