こんにちは。
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、児童指導員・理学療法士をしています、内山隆範です。
10月も半ばに入り、すっかり秋らしい涼しい風が吹くようになりましたね。さて、お子さまの健康や清潔を保つために欠かせない日々のケアですが、ご家庭でこんな「終わりの見えない大格闘」に心身をすり減らしていませんか?
「爪切りを持ってきただけで逃げ回り、羽交い締めにしないと切れない」
「耳かきや綿棒を近づけると、この世の終わりのように泣き叫んで首を激しく振る」
「散髪に行ってもハサミやバリカンの音で大暴れし、結局トラ刈りのまま帰ってくる」
伸びた爪でお友達を引っ掻いてしまったら大変。でも、泣き暴れる我が子を力ずくで押さえつけながら刃物を扱うのは本当に怖くて、「私、なんだかひどい拷問をしているみたい…」と、ケアのたびに自己嫌悪に陥っているお母さん。そのお気持ち、痛いほどよく分かります。
しかし、日々子どもたちの身体と心に向き合う理学療法士として、まず一番にお伝えさせてください。
お子さまが爪切りや耳かき、散髪を激しく嫌がるのは、決して「親のやり方が下手」だからでも、「ワガママで大げさに騒いでいる」からでもありません。
ここには、国が定める療育の5領域における「健康・生活」の自立を阻む、「運動・感覚」のメカニズムによる『脳の強烈な警戒アラーム(感覚過敏)』という、お子さま自身もどうにもできない明確な理由が隠されているのです。
大人の目には見えない、お子さまの脳で起きている「2つの恐怖」
私たち大人からすると「ただ爪の先を切るだけ」「耳の入り口を掃除するだけ」に思えますが、感覚が過敏なお子さまの脳と身体の中では、私たちが想像する以上に過酷なエラーと恐怖が起きています。
爪切りが「ペンチで指を潰される激痛」に感じる(触覚防衛反応)
指先や耳の中、頭皮は、全身の中でも特に神経が集中している非常に敏感な場所です。この触覚のセンサーが極端に過敏なお子さまにとって、爪切りの「パチン!」という衝撃は、大人で例えるなら「ペンチで自分の指の骨ごとバキッと潰されている」のと同じレベルの強烈な「痛み」として脳に伝わっています。決して大げさに泣いているのではなく、本当に激痛を感じてパニックになっているのです。
見えない場所への恐怖と、バリカンの「振動」(固有受容覚・聴覚の過敏)
耳かきや散髪は、「自分の視界に入らない場所(頭や耳)」を触られるため、何をされるか分からないという極度の恐怖(認知の不安)を伴います。さらに、耳元で鳴る「ジョキジョキ」というハサミの音や、バリカンの「ブーン」という頭蓋骨に直接響く強い振動(固有受容覚への過剰な刺激)が、脳のパニックの引き金に直結してしまっているケースも非常に多いのです。
今日からできる!「ケアの恐怖」を優しく取り除く3つのヒント
「痛くないでしょ!動いたら危ない!」と押さえつけることは、ケア=恐怖の拷問というトラウマを強固にしてしまい、ますます触らせてくれなくなる逆効果になってしまいます。今日からご家庭でも試せる、身体の根っこから「安心できる環境」を作ってあげるアプローチをご紹介しますね。
1. ケアの前に「ギュッギュッ・マッサージ」でアラームをオフに
いきなり爪を切るのではなく、まずはお子さまの指を一本ずつ、お母さんの指で「ギュ〜ッ」と少し強めに圧迫してマッサージしてあげてください。耳かきなら耳たぶをギュッと揉む、散髪なら頭皮を指の腹で強めにマッサージします。関節や筋肉にしっかりとした圧(深圧覚)が入ることで、過敏になっていた皮膚の警戒アラームが一時的にフワッと麻痺し、その後の刺激をスッと受け入れやすくなります。
2. 「切る」から「削る」へ道具を変えてみる(感覚の調整)
爪切りの「パチン!」という衝撃(圧迫感)が痛い子には、赤ちゃん用の電動ネイルケア(やすり)や、ガラス製の爪やすりに変えてみてください。耳かきも、竹の耳かきではなく、お湯で少し湿らせた綿棒で入り口をクルッと優しく撫でるだけにします。刺激の種類を変えるだけで、劇的に嫌がらなくなる子はたくさんいます。
3. 「いつ終わるか」を目で見えるようにし、主導権を渡す(認知のサポート)
「あと少しだから!」という曖昧な言葉は、見えない恐怖を助長します。「今日は右手の手裏剣(パー)だけ切ろうね」「10数えたら絶対におしまい」と、明確な見通しを伝えてあげてください。また、切った爪を黒い紙の上に集めて見せ、「こんなにバイバイできたね」と視覚的に達成感を味わわせることも、脳の安心感に繋がります。
ご家庭だけで抱え込まず、私たちを頼ってください
成長とともに感覚の過敏さが和らぎ、少しずつケアを受け入れられるようになっていくことは多いです。しかし、「爪が伸び放題で割れたり、耳垢が詰まって聞こえにくくなったりするなど、健康被害が出ているのに絶対に触らせてくれない」「寝ている間にこっそり切ろうとしても、少し手が触れただけでパニックになり激しく泣き叫んで起きる」「親御さん自身がケアのたびに心身ともに限界を迎え、刃物を扱うことへの恐怖からお手入れを放棄してしまいそうになる」といった場合は、ご家庭だけで抱え込まずに専門家にご相談ください。
エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士の知見を活かし、5領域の「健康・生活」の自立に向けて、その土台となる「運動・感覚」からアプローチします。日常の運動遊びの中で様々な感覚をバランスよくたっぷりと満たし、脳の警戒アラームを根本から和らげることで、ご家庭での「爪切りや散髪」といった生活習慣の自立をサポートしています。
「また指を切っちゃうかも…」と、爪切りを握る手が震えてしまうような思いでお手入れをしているお母さん、本当にお疲れ様です。お子さまは決してワガママなわけではなく、自分の過敏なセンサーと一生懸命に戦いながら、痛みに耐えようと頑張っている真っ最中なのです。いつでも町の身近な専門家として、私たちにご相談くださいね。
【求人のお知らせ】地域の子どもたちを一緒に支える仲間を募集しています!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
エコルドでは現在、地域の子どもたち一人ひとりとより深く向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集しています。
私たちは単に子どもを「預かる」のではなく、今日お話ししたような「5領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)」のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。だからこそ、様々な専門性を持つ方の力が必要です。
保育士・幼稚園教諭の方
理学療法士(PT)・作業療法士(OT)の方
公認心理師・臨床心理士の方
心理学を学ばれた方(大学・大学院)
「資格はあるけれど経験が浅くて不安…」という方もご安心ください。エコルドでは、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の支援について温かく話し合い、共に学び合う文化があります。
地域と手を取り合いながら、子どもたちの「できた!」の笑顔を増やすお手伝いがしたい。そんな想いを持ったあなたと働ける日を楽しみにしています。
学生さんのアルバイトやインターンシップからのスタート、見学だけでも大歓迎ですので、ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください!
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
児童指導員・理学療法士 内山 隆範
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、児童指導員・理学療法士をしています、内山隆範です。
10月も半ばに入り、すっかり秋らしい涼しい風が吹くようになりましたね。さて、お子さまの健康や清潔を保つために欠かせない日々のケアですが、ご家庭でこんな「終わりの見えない大格闘」に心身をすり減らしていませんか?
「爪切りを持ってきただけで逃げ回り、羽交い締めにしないと切れない」
「耳かきや綿棒を近づけると、この世の終わりのように泣き叫んで首を激しく振る」
「散髪に行ってもハサミやバリカンの音で大暴れし、結局トラ刈りのまま帰ってくる」
伸びた爪でお友達を引っ掻いてしまったら大変。でも、泣き暴れる我が子を力ずくで押さえつけながら刃物を扱うのは本当に怖くて、「私、なんだかひどい拷問をしているみたい…」と、ケアのたびに自己嫌悪に陥っているお母さん。そのお気持ち、痛いほどよく分かります。
しかし、日々子どもたちの身体と心に向き合う理学療法士として、まず一番にお伝えさせてください。
お子さまが爪切りや耳かき、散髪を激しく嫌がるのは、決して「親のやり方が下手」だからでも、「ワガママで大げさに騒いでいる」からでもありません。
ここには、国が定める療育の5領域における「健康・生活」の自立を阻む、「運動・感覚」のメカニズムによる『脳の強烈な警戒アラーム(感覚過敏)』という、お子さま自身もどうにもできない明確な理由が隠されているのです。
大人の目には見えない、お子さまの脳で起きている「2つの恐怖」
私たち大人からすると「ただ爪の先を切るだけ」「耳の入り口を掃除するだけ」に思えますが、感覚が過敏なお子さまの脳と身体の中では、私たちが想像する以上に過酷なエラーと恐怖が起きています。
爪切りが「ペンチで指を潰される激痛」に感じる(触覚防衛反応)
指先や耳の中、頭皮は、全身の中でも特に神経が集中している非常に敏感な場所です。この触覚のセンサーが極端に過敏なお子さまにとって、爪切りの「パチン!」という衝撃は、大人で例えるなら「ペンチで自分の指の骨ごとバキッと潰されている」のと同じレベルの強烈な「痛み」として脳に伝わっています。決して大げさに泣いているのではなく、本当に激痛を感じてパニックになっているのです。
見えない場所への恐怖と、バリカンの「振動」(固有受容覚・聴覚の過敏)
耳かきや散髪は、「自分の視界に入らない場所(頭や耳)」を触られるため、何をされるか分からないという極度の恐怖(認知の不安)を伴います。さらに、耳元で鳴る「ジョキジョキ」というハサミの音や、バリカンの「ブーン」という頭蓋骨に直接響く強い振動(固有受容覚への過剰な刺激)が、脳のパニックの引き金に直結してしまっているケースも非常に多いのです。
今日からできる!「ケアの恐怖」を優しく取り除く3つのヒント
「痛くないでしょ!動いたら危ない!」と押さえつけることは、ケア=恐怖の拷問というトラウマを強固にしてしまい、ますます触らせてくれなくなる逆効果になってしまいます。今日からご家庭でも試せる、身体の根っこから「安心できる環境」を作ってあげるアプローチをご紹介しますね。
1. ケアの前に「ギュッギュッ・マッサージ」でアラームをオフに
いきなり爪を切るのではなく、まずはお子さまの指を一本ずつ、お母さんの指で「ギュ〜ッ」と少し強めに圧迫してマッサージしてあげてください。耳かきなら耳たぶをギュッと揉む、散髪なら頭皮を指の腹で強めにマッサージします。関節や筋肉にしっかりとした圧(深圧覚)が入ることで、過敏になっていた皮膚の警戒アラームが一時的にフワッと麻痺し、その後の刺激をスッと受け入れやすくなります。
2. 「切る」から「削る」へ道具を変えてみる(感覚の調整)
爪切りの「パチン!」という衝撃(圧迫感)が痛い子には、赤ちゃん用の電動ネイルケア(やすり)や、ガラス製の爪やすりに変えてみてください。耳かきも、竹の耳かきではなく、お湯で少し湿らせた綿棒で入り口をクルッと優しく撫でるだけにします。刺激の種類を変えるだけで、劇的に嫌がらなくなる子はたくさんいます。
3. 「いつ終わるか」を目で見えるようにし、主導権を渡す(認知のサポート)
「あと少しだから!」という曖昧な言葉は、見えない恐怖を助長します。「今日は右手の手裏剣(パー)だけ切ろうね」「10数えたら絶対におしまい」と、明確な見通しを伝えてあげてください。また、切った爪を黒い紙の上に集めて見せ、「こんなにバイバイできたね」と視覚的に達成感を味わわせることも、脳の安心感に繋がります。
ご家庭だけで抱え込まず、私たちを頼ってください
成長とともに感覚の過敏さが和らぎ、少しずつケアを受け入れられるようになっていくことは多いです。しかし、「爪が伸び放題で割れたり、耳垢が詰まって聞こえにくくなったりするなど、健康被害が出ているのに絶対に触らせてくれない」「寝ている間にこっそり切ろうとしても、少し手が触れただけでパニックになり激しく泣き叫んで起きる」「親御さん自身がケアのたびに心身ともに限界を迎え、刃物を扱うことへの恐怖からお手入れを放棄してしまいそうになる」といった場合は、ご家庭だけで抱え込まずに専門家にご相談ください。
エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士の知見を活かし、5領域の「健康・生活」の自立に向けて、その土台となる「運動・感覚」からアプローチします。日常の運動遊びの中で様々な感覚をバランスよくたっぷりと満たし、脳の警戒アラームを根本から和らげることで、ご家庭での「爪切りや散髪」といった生活習慣の自立をサポートしています。
「また指を切っちゃうかも…」と、爪切りを握る手が震えてしまうような思いでお手入れをしているお母さん、本当にお疲れ様です。お子さまは決してワガママなわけではなく、自分の過敏なセンサーと一生懸命に戦いながら、痛みに耐えようと頑張っている真っ最中なのです。いつでも町の身近な専門家として、私たちにご相談くださいね。
【求人のお知らせ】地域の子どもたちを一緒に支える仲間を募集しています!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
エコルドでは現在、地域の子どもたち一人ひとりとより深く向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集しています。
私たちは単に子どもを「預かる」のではなく、今日お話ししたような「5領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)」のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。だからこそ、様々な専門性を持つ方の力が必要です。
保育士・幼稚園教諭の方
理学療法士(PT)・作業療法士(OT)の方
公認心理師・臨床心理士の方
心理学を学ばれた方(大学・大学院)
「資格はあるけれど経験が浅くて不安…」という方もご安心ください。エコルドでは、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の支援について温かく話し合い、共に学び合う文化があります。
地域と手を取り合いながら、子どもたちの「できた!」の笑顔を増やすお手伝いがしたい。そんな想いを持ったあなたと働ける日を楽しみにしています。
学生さんのアルバイトやインターンシップからのスタート、見学だけでも大歓迎ですので、ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください!
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
児童指導員・理学療法士 内山 隆範