こんにちは。
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、児童指導員・理学療法士をしています、内山隆範です。
10月も下旬(10月22日)を迎え、朝晩の冷え込みに秋の深まりを感じる季節ですね。さて、おうちの中で過ごす時間、リビングでこんな「終わりの見えないおもちゃ投げバトル」に、毎日叱り疲れていませんか?
「思い通りにいかないと、手に持っている硬いブロックやミニカーを親や壁に向かって全力で投げつける」
「怒っている時だけでなく、普通に遊んでいる時も、次から次へとおもちゃをポイポイと投げて散らかす」
「『投げちゃダメ!痛いでしょ!』と何度叱っても全く響かず、ニヤニヤしながらまた投げる」
床には傷がつき、下の子やペットに当たらないかと常にヒヤヒヤする毎日。「どうしてこんなに乱暴な子に育ってしまったの?」「わざと私を怒らせようとしているの?」と、拾っては投げる我が子に限界を感じているお母さん。そのお気持ち、痛いほどよく分かります。
しかし、日々子どもたちの身体と心に向き合う理学療法士として、まず一番にお伝えさせてください。
お子さまが物を投げるのは、決して「親のしつけが悪い」からでも、「攻撃的で意地悪な性格」だからでもありません。
ここには、国が定める療育の5領域における「認知・行動」の未熟さと、「運動・感覚」のメカニズムによる、脳の強烈な『刺激探求と自己防衛』という、お子さま自身もどうにもできない明確な理由が隠されているのです。
大人の目には見えない、お子さまの脳で起きている「3つの実験とSOS」
私たち大人からすると「怒りに任せて暴れている」「ワガママでわざと散らかしている」ように見えますが、発達の途中にあるお子さまの脳と身体の中では、私たちが想像する以上に必死のSOSと実験が行われています。
「投げる」刺激で、パニックの脳を強制リセットしている(固有受容覚の探求)
理学療法士として最も知っていただきたいのがここです。怒って物を全力で投げる時、肩や腕の関節、筋肉には「ズシッ」と強烈な刺激(固有受容覚といいます)が入ります。感情が許容量を超えてショートしそうな時、お子さまは相手を傷つけたいのではなく、自分の腕に「強烈な刺激」を入れることで、爆発しそうな自分の脳のエネルギーを外に逃がし、強制的に落ち着かせよう(自己調整)としているのです。
「ガシャーン!」という結果が脳の栄養になる(視覚・聴覚への感覚探求)
遊びの中でポイポイ投げる場合、お子さまは「乱暴にしている」のではなく、「物理の実験」をしています。投げた物が「どう飛んでいくか(視覚)」、壁に当たって「どんな大きな音が鳴るか(聴覚)」という強烈なフィードバック(結果)が、刺激に飢えている脳にとって極上のエンターテインメントになっているのです。
脳の「ブレーキ」がまだ作動しない(認知のつまずき)
「投げたら壊れる」「人に当たったら痛い」という未来を予測してブレーキをかける脳の前頭前野は、幼児期はまだ未完成です。衝動が湧き上がった瞬間、考えるよりも先に身体が反射的に動いてしまっている状態なのです。
今日からできる!「投げる衝動」を安全に満たす3つのヒント
「投げちゃダメ!」と行動を禁止するだけでは、脳が求める刺激(エネルギー)の行き場がなくなり、さらに大きなパニックを引き起こしてしまいます。今日からご家庭でも試せる、身体の根っこから「安全な逃げ道」を作ってあげるアプローチをご紹介しますね。
1. 「ダメ」ではなく「投げていい場所と物」を用意する(感覚の代替)
投げること自体を禁止するのではなく、「これなら全力で投げてOK!」という環境を作ります。丸めた新聞紙や柔らかいスポンジのボールを用意し、段ボール箱や特定の壁(的)に向かって「思い切り投げる遊び」を日中にたっぷりさせてあげてください。腕の関節に刺激が満たされると、怒った時の衝動的なおもちゃ投げが劇的に減っていきます。
2. 怒って投げそうな瞬間に「ギュッギュッ・ハグ」でブロック
イライラして物を持ち上げた瞬間、言葉で叱る前に、サッとお子さまの背後から腕や肩を「ギュ〜ッ」と少し強めにホールドしてあげてください。腕の関節に強い圧(お母さんからの深圧覚)が入ることで、「投げたい」という筋肉の欲求が一時的に満たされ、怒りの衝動がスッと落ち着きやすくなります。
3. 「投げる」以外の重労働でエネルギーを発散させる
腕に強い刺激を求めているなら、別の方法で満たしてあげます。「お母さんと綱引き(タオル引っ張りっこ)しよう!」「重いおもちゃ箱、一緒にズリズリ押してくれる?」など、腕の筋肉をフル稼働させる『重労働』を遊びに取り入れてみてください。
ご家庭だけで抱え込まず、私たちを頼ってください
成長とともに言葉で感情を伝えられるようになり、脳のブレーキ機能が育ってくれば、物を投げる行動は自然と落ち着いていくことが多いです。しかし、「人に当たると大怪我をする硬い物やハサミなどを、相手の顔をめがけて意図的・連続的に投げつける」「テレビの液晶や窓ガラスが何度も割れるほど激しく投げ続けているのに、危険予測や学習が全く見られない」「親御さんが『いつ何を投げられるか分からない』という恐怖で、一緒にいる空間に過度なストレスを感じている」といった場合は、大きな事故に直結してしまうため、どうかご家庭だけで抱え込まず専門家にご相談ください。
エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士の知見を活かし、5領域の「認知・行動」を育むために、その土台である「運動・感覚」からアプローチします。ボール投げやアスレチックなどのダイナミックな全身運動を通して、脳が求める感覚を安全な形でたっぷりと満たし、「自分の衝動をコントロールできた!」という自己調整力を根っこから育てるサポートを行っています。
「また投げた…」と、散らばったブロックを拾い集めながらため息をついているお母さん、本当にお疲れ様です。お子さまは決して意地悪なわけではなく、自分の中に渦巻く巨大なエネルギーや感情と、小さな身体で一生懸命に戦っている真っ最中なのです。いつでも町の身近な専門家として、私たちにご相談くださいね。
【求人のお知らせ】地域の子どもたちを一緒に支える仲間を募集しています!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
エコルドでは現在、地域の子どもたち一人ひとりとより深く向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集しています。
私たちは単に子どもを「預かる」のではなく、今日お話ししたような「5領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)」のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。だからこそ、様々な専門性を持つ方の力が必要です。
保育士・幼稚園教諭の方
理学療法士(PT)・作業療法士(OT)の方
公認心理師・臨床心理士の方
心理学を学ばれた方(大学・大学院)
「資格はあるけれど経験が浅くて不安…」という方もご安心ください。エコルドでは、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の支援について温かく話し合い、共に学び合う文化があります。
地域と手を取り合いながら、子どもたちの「できた!」の笑顔を増やすお手伝いがしたい。そんな想いを持ったあなたと働ける日を楽しみにしています。
学生さんのアルバイトやインターンシップからのスタート、見学だけでも大歓迎ですので、ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください!
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
児童指導員・理学療法士 内山 隆範
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、児童指導員・理学療法士をしています、内山隆範です。
10月も下旬(10月22日)を迎え、朝晩の冷え込みに秋の深まりを感じる季節ですね。さて、おうちの中で過ごす時間、リビングでこんな「終わりの見えないおもちゃ投げバトル」に、毎日叱り疲れていませんか?
「思い通りにいかないと、手に持っている硬いブロックやミニカーを親や壁に向かって全力で投げつける」
「怒っている時だけでなく、普通に遊んでいる時も、次から次へとおもちゃをポイポイと投げて散らかす」
「『投げちゃダメ!痛いでしょ!』と何度叱っても全く響かず、ニヤニヤしながらまた投げる」
床には傷がつき、下の子やペットに当たらないかと常にヒヤヒヤする毎日。「どうしてこんなに乱暴な子に育ってしまったの?」「わざと私を怒らせようとしているの?」と、拾っては投げる我が子に限界を感じているお母さん。そのお気持ち、痛いほどよく分かります。
しかし、日々子どもたちの身体と心に向き合う理学療法士として、まず一番にお伝えさせてください。
お子さまが物を投げるのは、決して「親のしつけが悪い」からでも、「攻撃的で意地悪な性格」だからでもありません。
ここには、国が定める療育の5領域における「認知・行動」の未熟さと、「運動・感覚」のメカニズムによる、脳の強烈な『刺激探求と自己防衛』という、お子さま自身もどうにもできない明確な理由が隠されているのです。
大人の目には見えない、お子さまの脳で起きている「3つの実験とSOS」
私たち大人からすると「怒りに任せて暴れている」「ワガママでわざと散らかしている」ように見えますが、発達の途中にあるお子さまの脳と身体の中では、私たちが想像する以上に必死のSOSと実験が行われています。
「投げる」刺激で、パニックの脳を強制リセットしている(固有受容覚の探求)
理学療法士として最も知っていただきたいのがここです。怒って物を全力で投げる時、肩や腕の関節、筋肉には「ズシッ」と強烈な刺激(固有受容覚といいます)が入ります。感情が許容量を超えてショートしそうな時、お子さまは相手を傷つけたいのではなく、自分の腕に「強烈な刺激」を入れることで、爆発しそうな自分の脳のエネルギーを外に逃がし、強制的に落ち着かせよう(自己調整)としているのです。
「ガシャーン!」という結果が脳の栄養になる(視覚・聴覚への感覚探求)
遊びの中でポイポイ投げる場合、お子さまは「乱暴にしている」のではなく、「物理の実験」をしています。投げた物が「どう飛んでいくか(視覚)」、壁に当たって「どんな大きな音が鳴るか(聴覚)」という強烈なフィードバック(結果)が、刺激に飢えている脳にとって極上のエンターテインメントになっているのです。
脳の「ブレーキ」がまだ作動しない(認知のつまずき)
「投げたら壊れる」「人に当たったら痛い」という未来を予測してブレーキをかける脳の前頭前野は、幼児期はまだ未完成です。衝動が湧き上がった瞬間、考えるよりも先に身体が反射的に動いてしまっている状態なのです。
今日からできる!「投げる衝動」を安全に満たす3つのヒント
「投げちゃダメ!」と行動を禁止するだけでは、脳が求める刺激(エネルギー)の行き場がなくなり、さらに大きなパニックを引き起こしてしまいます。今日からご家庭でも試せる、身体の根っこから「安全な逃げ道」を作ってあげるアプローチをご紹介しますね。
1. 「ダメ」ではなく「投げていい場所と物」を用意する(感覚の代替)
投げること自体を禁止するのではなく、「これなら全力で投げてOK!」という環境を作ります。丸めた新聞紙や柔らかいスポンジのボールを用意し、段ボール箱や特定の壁(的)に向かって「思い切り投げる遊び」を日中にたっぷりさせてあげてください。腕の関節に刺激が満たされると、怒った時の衝動的なおもちゃ投げが劇的に減っていきます。
2. 怒って投げそうな瞬間に「ギュッギュッ・ハグ」でブロック
イライラして物を持ち上げた瞬間、言葉で叱る前に、サッとお子さまの背後から腕や肩を「ギュ〜ッ」と少し強めにホールドしてあげてください。腕の関節に強い圧(お母さんからの深圧覚)が入ることで、「投げたい」という筋肉の欲求が一時的に満たされ、怒りの衝動がスッと落ち着きやすくなります。
3. 「投げる」以外の重労働でエネルギーを発散させる
腕に強い刺激を求めているなら、別の方法で満たしてあげます。「お母さんと綱引き(タオル引っ張りっこ)しよう!」「重いおもちゃ箱、一緒にズリズリ押してくれる?」など、腕の筋肉をフル稼働させる『重労働』を遊びに取り入れてみてください。
ご家庭だけで抱え込まず、私たちを頼ってください
成長とともに言葉で感情を伝えられるようになり、脳のブレーキ機能が育ってくれば、物を投げる行動は自然と落ち着いていくことが多いです。しかし、「人に当たると大怪我をする硬い物やハサミなどを、相手の顔をめがけて意図的・連続的に投げつける」「テレビの液晶や窓ガラスが何度も割れるほど激しく投げ続けているのに、危険予測や学習が全く見られない」「親御さんが『いつ何を投げられるか分からない』という恐怖で、一緒にいる空間に過度なストレスを感じている」といった場合は、大きな事故に直結してしまうため、どうかご家庭だけで抱え込まず専門家にご相談ください。
エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士の知見を活かし、5領域の「認知・行動」を育むために、その土台である「運動・感覚」からアプローチします。ボール投げやアスレチックなどのダイナミックな全身運動を通して、脳が求める感覚を安全な形でたっぷりと満たし、「自分の衝動をコントロールできた!」という自己調整力を根っこから育てるサポートを行っています。
「また投げた…」と、散らばったブロックを拾い集めながらため息をついているお母さん、本当にお疲れ様です。お子さまは決して意地悪なわけではなく、自分の中に渦巻く巨大なエネルギーや感情と、小さな身体で一生懸命に戦っている真っ最中なのです。いつでも町の身近な専門家として、私たちにご相談くださいね。
【求人のお知らせ】地域の子どもたちを一緒に支える仲間を募集しています!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
エコルドでは現在、地域の子どもたち一人ひとりとより深く向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集しています。
私たちは単に子どもを「預かる」のではなく、今日お話ししたような「5領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)」のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。だからこそ、様々な専門性を持つ方の力が必要です。
保育士・幼稚園教諭の方
理学療法士(PT)・作業療法士(OT)の方
公認心理師・臨床心理士の方
心理学を学ばれた方(大学・大学院)
「資格はあるけれど経験が浅くて不安…」という方もご安心ください。エコルドでは、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の支援について温かく話し合い、共に学び合う文化があります。
地域と手を取り合いながら、子どもたちの「できた!」の笑顔を増やすお手伝いがしたい。そんな想いを持ったあなたと働ける日を楽しみにしています。
学生さんのアルバイトやインターンシップからのスタート、見学だけでも大歓迎ですので、ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください!
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
児童指導員・理学療法士 内山 隆範