こんにちは。
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、児童指導員・理学療法士をしています、内山隆範です。
10月23日。朝晩の冷え込みが一段と厳しくなり、すっかり長袖の出番が増えてきましたね。そんな季節の変わり目、お子さまの着ている服を見て、毎日こんな「衛生面の悩み」にため息をついていませんか?
「お気に入りの服なのに、いつも襟元や袖口を噛んでいて、ビショビショに濡れて伸び切っている」
「お絵かきやプリントの時、鉛筆のお尻をガリガリと噛んでボロボロにしてしまう」
「おもちゃやタオルなど、とりあえず何でも口に入れて噛むので、バイ菌が心配でたまらない」
「汚いからやめなさい!」「もう赤ちゃんじゃないんだから!」と何度注意しても直らず、「もしかして愛情不足でストレスが溜まっているの?」「私の育て方に問題があったのかな…」と、ご自身を責めてしまうお母さん。そのお気持ち、痛いほどよく分かります。
しかし、日々子どもたちの身体と脳に向き合う理学療法士として、まず一番にお伝えさせてください。
お子さまが服や物を噛み続けてしまうのは、決して「愛情不足による心の闇」でも、「親を困らせるワガママ」だからでもありません。
ここには、国が定める療育の5領域における「運動・感覚」のメカニズムによる、脳の強烈な『お口からの刺激探求(自己調整)』という、お子さま自身もどうにもできない明確な理由が隠されているのです。
大人の目には見えない、お口の中で起きている「3つの自己調整とSOS」
私たち大人からすると「ただの悪い癖」「衛生観念がない」ように見えますが、感覚の受け取りに偏りがあるお子さまの脳と身体の中では、私たちが想像する以上に必死のSOSと調整が行われています。
顎(あご)への「強い刺激」で、脳を強制的に落ち着かせている(固有受容覚の探求)
私たちの顎の関節と筋肉は、全身の中でも非常に強い力を持っています。この顎に「ギュッ」と力を入れて物を噛む時、脳にはズシッと強烈な刺激(固有受容覚といいます)が送られます。大人でも、緊張をほぐしたり集中したりする時に「ガムを噛む」ことがありますよね。これと全く同じで、お子さまは不安を感じた時や、逆に集中したい時に、物を噛むことで自分の脳の覚醒具合を必死にコントロール(自己調整)しているのです。
お口の中のセンサーが「刺激」に飢えている(触覚の探求)
口の中や唇は、神経が集中しているとても敏感な場所です。この触覚センサーが刺激を強く求めているお子さまは、服の布の感触や、鉛筆の硬い感触を口で味わうことで、「安心感」や「脳への栄養」を無意識に補給しています。
姿勢を保てないから「お口」で踏ん張っている(体幹の弱さ)
理学療法士として見逃せないのが「体幹(姿勢を保つ筋肉)」との関係です。生まれつき身体の筋肉がやわらかく、座って姿勢を保つのが苦手なお子さまは、身体のグラグラを補うために、無意識に「顎を噛み締める」ことで全身に力を入れようとします。つまり、「座るのがしんどい」という身体のSOSが、「物を噛む」という行動として表れているケースが非常に多いのです。
今日からできる!「噛みたい衝動」を安全に優しく満たす3つのヒント
「汚い!口から出しなさい!」と無理やり取り上げるだけでは、脳を落ち着かせるための唯一の手段(お守り)を奪うことになり、さらなるパニックや別の問題行動を引き起こしてしまいます。今日からご家庭でも試せる、安全に感覚を満たしてあげるアプローチをご紹介しますね。
1. 「噛んでいい専用のアイテム」を渡す(感覚の代替)
噛むこと自体を禁止するのではなく、「これならいくら噛んでもOK!」という安全な代替品を用意してあげます。シリコン製の「チューイングネックレス(噛むためのおもちゃ)」や、鉛筆の先につける専用の「チューイングキャップ」などを活用してみてください。衛生面や誤飲の危険を防ぎつつ、脳が求める感覚をたっぷりと満たすことができます。
2. 食事やおやつの時間に「硬いもの」を取り入れる
顎への刺激(固有受容覚)を求めているなら、食事の場面でしっかりと満たしてあげます。おやつに「硬めのおせんべい」「スルメイカ」「グミ」など、顎の筋肉をしっかり使う硬いものや弾力のあるものを取り入れてみてください。顎の感覚タンクが満たされると、服や袖を噛む回数が自然と減っていきます。
3. 日中の「重労働」でお口以外の感覚を満たす
お口に集中してしまっている感覚の欲求を、全身の運動に分散させます。「タオルを使った綱引き」「お母さんとの手押し車」「トランポリン」など、全身の関節や筋肉に強い圧がかかる運動を日中にたっぷり行ってみてください。身体の根っこが満たされると、お口への執着が驚くほどスッと落ち着くことがあります。
ご家庭だけで抱え込まず、私たちを頼ってください
成長とともに体幹が安定し、言葉や別の方法で自分の気持ちをコントロールできるようになると、噛み癖は少しずつ落ち着いていくことが多いです。しかし、「鉛筆の芯やプラスチックのおもちゃを噛み砕き、飲み込んでしまう(誤飲の危険)ことが頻繁にある」「服や物だけでなく、自分の腕や指を血が出るまで激しく噛み続けてしまう」「親御さん自身が衛生面での不安や服がダメになるストレスから、お子さまに強く当たりすぎてしまう」といった場合は、健康や安全面に大きな危険が伴うため、どうかご家庭だけで抱え込まず専門家にご相談ください。
エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士の知見を活かし、5領域の「運動・感覚」の土台からアプローチします。無理に「やめなさい」と行動を制限するのではなく、アスレチックやトランポリンなどのダイナミックな全身運動を通して、脳が求める感覚を安全にたっぷりと満たします。身体の根っこから「安心感」と「自己調整力」を育てるサポートを行っています。
「また服がビショビショ…」と、伸び切ったお気に入りの服を洗濯機に入れながらため息をついているお母さん、本当にお疲れ様です。お子さまは決してワガママなわけではなく、自分の弱い筋肉や不安な心と戦いながら、必死に自分自身を落ち着かせようと頑張っている真っ最中なのです。いつでも町の身近な専門家として、私たちにご相談くださいね。
【求人のお知らせ】地域の子どもたちを一緒に支える仲間を募集しています!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
エコルドでは現在、地域の子どもたち一人ひとりとより深く向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集しています。
私たちは単に子どもを「預かる」のではなく、今日お話ししたような「5領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)」のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。だからこそ、様々な専門性を持つ方の力が必要です。
保育士・幼稚園教諭の方
理学療法士(PT)・作業療法士(OT)の方
公認心理師・臨床心理士の方
心理学を学ばれた方(大学・大学院)
「資格はあるけれど経験が浅くて不安…」という方もご安心ください。エコルドでは、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の支援について温かく話し合い、共に学び合う文化があります。
地域と手を取り合いながら、子どもたちの「できた!」の笑顔を増やすお手伝いがしたい。そんな想いを持ったあなたと働ける日を楽しみにしています。学生さんのアルバイトやインターンシップからのスタート、見学だけでも大歓迎ですので、ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください!
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
児童指導員・理学療法士 内山 隆範
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、児童指導員・理学療法士をしています、内山隆範です。
10月23日。朝晩の冷え込みが一段と厳しくなり、すっかり長袖の出番が増えてきましたね。そんな季節の変わり目、お子さまの着ている服を見て、毎日こんな「衛生面の悩み」にため息をついていませんか?
「お気に入りの服なのに、いつも襟元や袖口を噛んでいて、ビショビショに濡れて伸び切っている」
「お絵かきやプリントの時、鉛筆のお尻をガリガリと噛んでボロボロにしてしまう」
「おもちゃやタオルなど、とりあえず何でも口に入れて噛むので、バイ菌が心配でたまらない」
「汚いからやめなさい!」「もう赤ちゃんじゃないんだから!」と何度注意しても直らず、「もしかして愛情不足でストレスが溜まっているの?」「私の育て方に問題があったのかな…」と、ご自身を責めてしまうお母さん。そのお気持ち、痛いほどよく分かります。
しかし、日々子どもたちの身体と脳に向き合う理学療法士として、まず一番にお伝えさせてください。
お子さまが服や物を噛み続けてしまうのは、決して「愛情不足による心の闇」でも、「親を困らせるワガママ」だからでもありません。
ここには、国が定める療育の5領域における「運動・感覚」のメカニズムによる、脳の強烈な『お口からの刺激探求(自己調整)』という、お子さま自身もどうにもできない明確な理由が隠されているのです。
大人の目には見えない、お口の中で起きている「3つの自己調整とSOS」
私たち大人からすると「ただの悪い癖」「衛生観念がない」ように見えますが、感覚の受け取りに偏りがあるお子さまの脳と身体の中では、私たちが想像する以上に必死のSOSと調整が行われています。
顎(あご)への「強い刺激」で、脳を強制的に落ち着かせている(固有受容覚の探求)
私たちの顎の関節と筋肉は、全身の中でも非常に強い力を持っています。この顎に「ギュッ」と力を入れて物を噛む時、脳にはズシッと強烈な刺激(固有受容覚といいます)が送られます。大人でも、緊張をほぐしたり集中したりする時に「ガムを噛む」ことがありますよね。これと全く同じで、お子さまは不安を感じた時や、逆に集中したい時に、物を噛むことで自分の脳の覚醒具合を必死にコントロール(自己調整)しているのです。
お口の中のセンサーが「刺激」に飢えている(触覚の探求)
口の中や唇は、神経が集中しているとても敏感な場所です。この触覚センサーが刺激を強く求めているお子さまは、服の布の感触や、鉛筆の硬い感触を口で味わうことで、「安心感」や「脳への栄養」を無意識に補給しています。
姿勢を保てないから「お口」で踏ん張っている(体幹の弱さ)
理学療法士として見逃せないのが「体幹(姿勢を保つ筋肉)」との関係です。生まれつき身体の筋肉がやわらかく、座って姿勢を保つのが苦手なお子さまは、身体のグラグラを補うために、無意識に「顎を噛み締める」ことで全身に力を入れようとします。つまり、「座るのがしんどい」という身体のSOSが、「物を噛む」という行動として表れているケースが非常に多いのです。
今日からできる!「噛みたい衝動」を安全に優しく満たす3つのヒント
「汚い!口から出しなさい!」と無理やり取り上げるだけでは、脳を落ち着かせるための唯一の手段(お守り)を奪うことになり、さらなるパニックや別の問題行動を引き起こしてしまいます。今日からご家庭でも試せる、安全に感覚を満たしてあげるアプローチをご紹介しますね。
1. 「噛んでいい専用のアイテム」を渡す(感覚の代替)
噛むこと自体を禁止するのではなく、「これならいくら噛んでもOK!」という安全な代替品を用意してあげます。シリコン製の「チューイングネックレス(噛むためのおもちゃ)」や、鉛筆の先につける専用の「チューイングキャップ」などを活用してみてください。衛生面や誤飲の危険を防ぎつつ、脳が求める感覚をたっぷりと満たすことができます。
2. 食事やおやつの時間に「硬いもの」を取り入れる
顎への刺激(固有受容覚)を求めているなら、食事の場面でしっかりと満たしてあげます。おやつに「硬めのおせんべい」「スルメイカ」「グミ」など、顎の筋肉をしっかり使う硬いものや弾力のあるものを取り入れてみてください。顎の感覚タンクが満たされると、服や袖を噛む回数が自然と減っていきます。
3. 日中の「重労働」でお口以外の感覚を満たす
お口に集中してしまっている感覚の欲求を、全身の運動に分散させます。「タオルを使った綱引き」「お母さんとの手押し車」「トランポリン」など、全身の関節や筋肉に強い圧がかかる運動を日中にたっぷり行ってみてください。身体の根っこが満たされると、お口への執着が驚くほどスッと落ち着くことがあります。
ご家庭だけで抱え込まず、私たちを頼ってください
成長とともに体幹が安定し、言葉や別の方法で自分の気持ちをコントロールできるようになると、噛み癖は少しずつ落ち着いていくことが多いです。しかし、「鉛筆の芯やプラスチックのおもちゃを噛み砕き、飲み込んでしまう(誤飲の危険)ことが頻繁にある」「服や物だけでなく、自分の腕や指を血が出るまで激しく噛み続けてしまう」「親御さん自身が衛生面での不安や服がダメになるストレスから、お子さまに強く当たりすぎてしまう」といった場合は、健康や安全面に大きな危険が伴うため、どうかご家庭だけで抱え込まず専門家にご相談ください。
エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士の知見を活かし、5領域の「運動・感覚」の土台からアプローチします。無理に「やめなさい」と行動を制限するのではなく、アスレチックやトランポリンなどのダイナミックな全身運動を通して、脳が求める感覚を安全にたっぷりと満たします。身体の根っこから「安心感」と「自己調整力」を育てるサポートを行っています。
「また服がビショビショ…」と、伸び切ったお気に入りの服を洗濯機に入れながらため息をついているお母さん、本当にお疲れ様です。お子さまは決してワガママなわけではなく、自分の弱い筋肉や不安な心と戦いながら、必死に自分自身を落ち着かせようと頑張っている真っ最中なのです。いつでも町の身近な専門家として、私たちにご相談くださいね。
【求人のお知らせ】地域の子どもたちを一緒に支える仲間を募集しています!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
エコルドでは現在、地域の子どもたち一人ひとりとより深く向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集しています。
私たちは単に子どもを「預かる」のではなく、今日お話ししたような「5領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)」のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。だからこそ、様々な専門性を持つ方の力が必要です。
保育士・幼稚園教諭の方
理学療法士(PT)・作業療法士(OT)の方
公認心理師・臨床心理士の方
心理学を学ばれた方(大学・大学院)
「資格はあるけれど経験が浅くて不安…」という方もご安心ください。エコルドでは、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の支援について温かく話し合い、共に学び合う文化があります。
地域と手を取り合いながら、子どもたちの「できた!」の笑顔を増やすお手伝いがしたい。そんな想いを持ったあなたと働ける日を楽しみにしています。学生さんのアルバイトやインターンシップからのスタート、見学だけでも大歓迎ですので、ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください!
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
児童指導員・理学療法士 内山 隆範