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手をつなげない…しつけの甘さではなく脳のパニック

こんにちは。
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、児童指導員・理学療法士をしています、内山隆範です。

10月27日。秋晴れが続き、動物園やショッピングモールなどお出かけが楽しい季節ですね。しかし、一歩外に出ると、毎日こんな「寿命が縮むような思い」をして、お出かけそのものが憂鬱になっていませんか?

「『危ないから手をつなごう』と言っても海老反りになって手を振りほどき、絶対に手をつないでくれない」
「駐車場や人混みでも、興味のあるものを見つけると親を置いて一瞬でどこかへ走っていってしまう」
「スーパーに行くと必ず迷子になり、店内放送で呼び出されるのが日常茶飯事になっている」
「車に轢かれたらどうしよう!」「なんで隣を歩けないの!」と、迷子紐(ハーネス)に冷たい視線を向ける周囲の目を気にしながら、クタクタになって帰宅する毎日。「私の育て方がいけないの?」「愛情不足で親から離れたがるのかな…」と、ご自身を責めているお母さん。そのお気持ち、痛いほどよく分かります。
しかし、日々子どもたちの身体と脳に向き合う理学療法士として、まず一番にお伝えさせてください。

お子さまが手をつなぐのを嫌がり、どこかへ走っていってしまうのは、決して「親の愛情不足」でも、「親を困らせるワガママ」だからでもありません。

ここには、国が定める療育の5領域における「認知・行動」の未熟さと、「運動・感覚」のメカニズムによる、脳の強烈な『バランスへの不安と刺激探求』という、お子さま自身もどうにもできない明確な理由が隠されているのです。

大人の目には見えない、小さな身体で起きている「3つのパニック」

私たち大人からすると「言うことを聞かずに勝手な行動をしている」ように見えますが、発達の途中にあるお子さまの脳と身体の中では、私たちが想像する以上に過酷なエラーと衝動が起きています。

手をつなぐと「バランスが崩れて転ぶ」恐怖(体幹の未熟さ)

理学療法士として一番お伝えしたいのがここです。体幹(身体の中心の筋肉)が弱く、姿勢を保つのが苦手なお子さまは、歩く時に両腕をブラブラさせることで「やじろべえ」のように必死にバランスをとっています。そのため、片手を親にギュッと握られて固定されると、バランスが崩れて転びそうになる強烈な恐怖(重力不安)を感じます。「お母さんが嫌いだから」手を振りほどくのではなく、「自分の身体を守るため」に手を自由にしたいのです。

手のひらが過敏で「握られるのが痛い・気持ち悪い」(触覚防衛反応)

手のひらは神経が集中しているとても敏感な場所です。触覚が過敏なお子さまにとって、親の温かくて少し汗ばんだ手でギュッと握られる感覚は、大人に例えるなら「ネバネバした熱いものを押し付けられている」ような強烈な不快感や痛みとして脳に伝わっていることがあります。

脳が「猛スピード」の刺激を求めている(前庭覚の探求と衝動性)

ショッピングモールなどの広い空間に出ると、走ることで得られる「風を切る感覚」や「景色がビュンビュン変わる視覚刺激」が、刺激に飢えている脳にとって極上のご褒美になります。「走ったら迷子になる」という先の見通し(認知のブレーキ)よりも、脳が求める感覚(アクセル)が完全に勝ってしまっている状態なのです。

今日からできる!「飛び出し」を優しく防ぐ3つのヒント

「絶対に離さないよ!」と力ずくで腕を引っ張り回すことは、手をつなぐこと=苦痛というトラウマを植え付ける逆効果になってしまいます。今日からご家庭でも試せる、身体の根っこから「一緒に歩ける環境」を作ってあげるアプローチをご紹介しますね。

1. 手のひらではなく「手首」を持つ、または「道具」を挟む

触覚の過敏さやバランスの崩れを防ぐため、手のひらを握るのではなく、お子さまの「手首」を親の指でブレスレットのように軽くフワッと持つように変えてみてください。または、短いタオルや電車のつり革のような「リング」を用意し、お互いにそれを握って歩く(道具を介する)ことで、劇的に一緒に歩けるようになる子はたくさんいます。

2. 「重労働」で身体に物理的なブレーキをかける

フラフラと走り出してしまう子には、身体に「ズシッ」と重みを感じさせることが一番のブレーキになります。お出かけの時は、「この水筒、ママの代わりに持って歩いてくれる?」と少し重みのあるリュックを背負わせたり、スーパーでは「子ども用のカートを両手で押す」というお仕事を与えたりしてみてください。関節に重み(固有受容覚)が加わることで身体が安定し、衝動的な飛び出しがグッと減ります。

3. 【理学療法士の裏技】お出かけ前に、家で「走る・揺れる」を満タンに

お店で走ってしまうのは、脳の感覚タンクが空っぽだからです。出かける直前に、家でトランポリンを跳んだり、お母さんと激しく押し合いっこ(お相撲)をしたりして、脳が求める感覚をあらかじめ満たして(ガス抜きして)おくと、外での落ち着きが全く違ってきます。

ご家庭だけで抱え込まず、私たちを頼ってください
成長とともに体幹が安定し、脳のブレーキ(前頭前野)が育ってくれば、少しずつ手をつないで周囲に合わせて歩けるようになっていくことは多いです。しかし、「車が猛スピードで走っている道路など、命に関わる危険な場所へも全く恐怖心なく飛び出してしまう」「迷子になって親の姿が見えなくなっても、泣いたり探したりする様子がなく平然と一人で遊び続けている」「親御さん自身が外出への恐怖と疲労で精神的に追い詰められ、引きこもりがちになっている」といった場合は、命の危険に直結するため、どうかご家庭だけで抱え込まず専門家にご相談ください。
エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士の知見を活かし、5領域の「認知・行動」を育むために、その土台である「運動・感覚」からアプローチします。安全な室内環境でのサーキット運動やトランポリンを通して、脳が求める感覚をたっぷりと満たし、「自分の身体をコントロールして止まる」という自己調整力を根っこから育てるサポートを行っています。

「また走っていっちゃった…」と、人混みの中で必死に我が子の背中を追いかけているお母さん、本当にお疲れ様です。お子さまは決してあなたを困らせたいわけではなく、刺激を求める脳やバランスの取りにくい身体と戦いながら、世界を探索している真っ最中なのです。いつでも町の身近な専門家として、私たちにご相談くださいね。

【求人のお知らせ】地域の子どもたちを一緒に支える仲間を募集しています!

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
エコルドでは現在、地域の子どもたち一人ひとりとより深く向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集しています。

私たちは単に子どもを「預かる」のではなく、今日お話ししたような「5領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)」のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。だからこそ、様々な専門性を持つ方の力が必要です。

保育士・幼稚園教諭の方
理学療法士(PT)・作業療法士(OT)の方
公認心理師・臨床心理士の方
心理学を学ばれた方(大学・大学院)

「資格はあるけれど経験が浅くて不安…」という方もご安心ください。エコルドでは、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の支援について温かく話し合い、共に学び合う文化があります。

地域と手を取り合いながら、子どもたちの「できた!」の笑顔を増やすお手伝いがしたい。そんな想いを持ったあなたと働ける日を楽しみにしています。学生さんのアルバイトやインターンシップからのスタート、見学だけでも大歓迎ですので、ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください!

療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
児童指導員・理学療法士 内山 隆範
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