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お箸ポロポロ、ハサミガタガタ…不器用ではなく脳の手先の迷子

こんにちは。
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、児童指導員・理学療法士をしています、内山隆範です。

10月28日。秋も深まり、幼稚園や保育園では秋の木の実を使った工作や、温かい食事をゆっくり味わう機会が増える時期ですね。しかし、そんな日常の中で、お子さまの「手先の不器用さ」にこんな焦りやイライラを感じていませんか?

「もう〇歳なのに、お箸やスプーンを正しく持てず、ボロボロとご飯をこぼして手づかみになってしまう」
「工作のハサミが全く使えず、紙をグシャグシャに引きちぎって『できない!』と大パニックになる」
「ボタンを留める、折り紙を折るなど、指先を使う遊びを極端に嫌がってすぐに諦める」
「お箸の持ち方が悪い!」「もっと手元をよく見て!」と毎日注意し続け、「私がもっと小さい頃から練習させなかったから?」「こんなに不器用で、小学校に入ってから板書や給食についていけるの?」と、我が子の手元を見つめながらため息をついているお母さん。そのお気持ち、痛いほどよく分かります。

しかし、日々子どもたちの身体と脳に向き合う理学療法士として、まず一番にお伝えさせてください。

お子さまが手先を上手く使えないのは、決して「親の練習不足」でも、「なまけてふざけている」からでもありません。

ここには、国が定める療育の5領域における「運動・感覚」のメカニズムによる、『姿勢の土台のグラグラ』と『脳の力加減のエラー』という、お子さま自身もどうにもできない明確な理由が隠されているのです。
大人の目には見えない、小さな身体で起きている「3つのエラー」

私たち大人からすると「ただ指先を動かすだけの簡単な作業」に思えますが、発達の途中にあるお子さまの脳と身体の中では、私たちが想像する以上に過酷なエラーが起きています。

「指先」を動かすには、まず「体幹」が必要(粗大運動と微細運動の関係)

理学療法士として一番お伝えしたいのがここです。人間の身体は「中心(体幹)から末端(指先)」へと順番に発達します。背筋を伸ばして座る体幹の力や、肩・肘の関節を固定する力が弱い(低緊張の)お子さまは、土台がグラグラなため、指先にまで上手く神経と力が伝わりません。大人に例えるなら、「グラグラ揺れる細いロープの上に立ちながら、針に糸を通す」のと同じくらい、過酷で不可能な作業を強いられている状態なのです。

指先が「迷子」になっていて、力加減が分からない(固有受容覚の未熟さ)

筋肉や関節のセンサー(固有受容覚といいます)が鈍いお子さまは、自分の指先が今どこにあって、どれくらい力を入れているのかという「ボディイメージ」がぼやけています。そのため、スプーンを弱く持ちすぎて落としてしまったり、逆にハサミにガチガチに力を入れすぎて手が痛くなり、紙を破いてしまったりするのです。

道具の「感触」が痛い・気持ち悪い(触覚防衛反応)

金属のスプーンの冷たさや、ハサミのプラスチックの硬い感触が、過敏な触覚センサーにとっては「痛い」「不快」と感じられることがあります。そのため、道具を正しく握り込めず、変な持ち方(指先だけでつまむなど)になってポロポロとこぼしてしまうのです。
今日からできる!「不器用さ」を優しく手助けする3つのヒント

「もっと練習しなさい!」「ちゃんと持ちなさい!」と手先だけをスパルタで特訓することは、お子さまの自尊心を奪い、「工作も食事も大嫌い!」というトラウマを植え付ける逆効果になってしまいます。今日からご家庭でも試せる、身体の根っこからサポートするアプローチをご紹介しますね。

1. 手先の練習の前に、まずは「足裏ペタッ」で体幹を安定させる

グラグラの姿勢でお箸は使えません。食事や工作で椅子に座る時は、必ず「足の裏全体がピタッと着く踏み台」を置いてあげてください。足元が安定して踏ん張れるようになるだけで、肩や肘が物理的に固定され、驚くほど指先に力が入りやすくなります。

2. 使う前に「ギュッギュッ・重労働」で指先のセンサーを起こす

お箸やハサミを持つ直前に、脳に「ここが指先だよ!」と強い刺激(固有受容覚)を送ってあげます。壁に手をついて「お相撲(押し合いっこ)」をしたり、硬めの粘土を思い切りちぎって丸めたり、お母さんと指相撲をしたりしてみてください。手や指の関節に強い圧が入ることで、指先の迷子が解消され、力加減がスッと上手になります。

3. 無理せず「補助具」に頼って成功体験を積む

指先のセンサーが育つまでは、道具の力を借りるのが大正解です。バネ付きで自動的に開くハサミや、指を置く位置がくぼんでいる補助箸、持ち手が太くて握りやすいスプーンなどを積極的に使ってみてください。

「自分でできた!」という成功体験こそが、次の発達への一番の栄養になります。

ご家庭だけで抱え込まず、私たちを頼ってください
成長とともに体幹がしっかりし、身体の地図が描けるようになれば、少しずつ道具が使えるようになっていくことは多いです。しかし、「手先を使う作業(食事や工作、着替え)を極端に拒絶し、少しでも上手くいかないと道具を投げ捨てて激しいパニックになる」「『どうせ僕は何をやってもできないんだ』と自信を完全に喪失し、園での製作活動に一切参加しなくなっている」「年齢が上がっても、鉛筆を握りこぶしで持ったり筆圧が極端に薄すぎたりして、文字を書く段階に進めない」といった場合は、今後の学習意欲に大きな支障が出てしまうため、どうかご家庭だけで抱え込まず専門家にご相談ください。

エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士の知見を活かし、5領域の「運動・感覚」の土台からアプローチします。机の上での指先訓練ばかりをするのではなく、アスレチックやトランポリンなどのダイナミックな全身運動(粗大運動)を通して体幹を鍛えることで、結果的に「手先の器用さ(微細運動)」を根っこから引き出すサポートを行っています。

「またこぼしてる…」と、ご飯の後の片付けにため息をついているお母さん、本当にお疲れ様です。お子さまは決してなまけているわけではなく、自分のグラグラする身体や不器用な指先と一生懸命に向き合いながら、毎日新しい道具に挑戦している真っ最中なのです。いつでも町の身近な専門家として、私たちにご相談くださいね。

【求人のお知らせ】地域の子どもたちを一緒に支える仲間を募集しています!

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
エコルドでは現在、地域の子どもたち一人ひとりとより深く向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集しています。

私たちは単に子どもを「預かる」のではなく、今日お話ししたような「5領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)」のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。だからこそ、様々な専門性を持つ方の力が必要です。

保育士・幼稚園教諭の方
理学療法士(PT)・作業療法士(OT)の方
公認心理師・臨床心理士の方
心理学を学ばれた方(大学・大学院)

「資格はあるけれど経験が浅くて不安…」という方もご安心ください。エコルドでは、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の支援について温かく話し合い、共に学び合う文化があります。
地域と手を取り合いながら、子どもたちの「できた!」の笑顔を増やすお手伝いがしたい。そんな想いを持ったあなたと働ける日を楽しみにしています。学生さんのアルバイトやインターンシップからのスタート、見学だけでも大歓迎ですので、ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください!

療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
児童指導員・理学療法士 内山 隆範
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