こんにちは。
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、児童指導員・理学療法士をしています、内山隆範です。
10月29日。すっかり秋も深まり、温かい室内での過ごし方が増えてくる季節ですね。さて、電車の中や病院の待合室、レストランなどの静かな公共の場で、お子さまのこんな「声のボリューム」の悩みに肩身の狭い思いをしていませんか?
「静かにしなきゃいけない場所なのに、信じられないほどの大きな声で話し出し、周囲の視線が突き刺さる」
「『シーッ、小さな声でね』と注意してもヒソヒソ声ができず、結局『あのね!!』と大声になってしまう」
「逆に、挨拶や発表の場になると、蚊の鳴くような声しか出せず、極端に声が小さくなってしまう」
「周りの人にうるさいと思われてる…」「何度言えば空気を読んでくれるの!」と、お出かけのたびにヒヤヒヤして注意し続け、クタクタになっているお母さん。そのお気持ち、痛いほどよく分かります。
しかし、日々子どもたちの身体と脳に向き合う理学療法士として、まず一番にお伝えさせてください。
お子さまがTPOに合わせて声の大きさを調整できないのは、決して「親のしつけが悪い」からでも、「わざと空気を読まずにふざけている」からでもありません。
ここには、国が定める療育の5領域における「言語・コミュニケーション」の土台となる、「運動・感覚」のメカニズムによる『脳のボリューム調整エラー』と『体幹・呼吸の未熟さ』という、お子さま自身もどうにもできない明確な理由が隠されているのです。
大人の目には見えない、小さな身体で起きている「3つのエラー」
私たち大人からすると「注意を聞いていない」「自分勝手に騒いでいる」ように見えますが、発達の途中にあるお子さまの脳と身体の中では、私たちが想像する以上に過酷なエラーが起きています。
自分の声が「どれくらい大きいか」感じ取れない(聴覚・固有受容覚の鈍さ)
私たちは無意識に、自分の耳から入る声(聴覚)や、喉の震え(固有受容覚)を感じ取って声の大きさを調整しています。しかし、この感覚センサーが鈍いお子さまは、自分が今どれくらいのボリュームで話しているのか、脳で正確に把握できていません。大人に例えるなら、「ノイズキャンセリングのイヤホンを両耳にギュッと詰めたまま、人に話しかけようとしている」ような状態です。自分の声が聞こえにくいからこそ、無意識に大声を出して確認してしまっているのです。
「ヒソヒソ声」は究極の腹筋運動である(体幹と呼吸の弱さ)
理学療法士として一番お伝えしたいのがここです。実は、息の量を細かくコントロールして「小さな声(ヒソヒソ声)」を出すには、身体の土台である体幹(腹筋や背筋)の絶妙なコントロールが必要です。生まれつき体幹の筋肉がやわらかい(低緊張の)お子さまは、息を少しずつ吐くことができず、肺の中の空気を「一気に全部出す(=大声)」か、「全く出せない(=極端に小さい声)」という、0か100かのコントロールしか物理的にできないのです。
「少し静かに」という言葉は目に見えない(認知のつまずき)
「少し」「アリさんの声で」といった抽象的な表現は、言葉の理解(認知機能)が未熟なお子さまには伝わりません。「静かにしなさい!」と怒られれば怒られるほどパニックになり、力が入ってさらに声が大きくなるという悪循環に陥ってしまいます。
今日からできる!「声のボリューム」を優しく手助けする3つのヒント
「シーッ!」「うるさい!」と遠くから怒鳴ることは、お子さまの混乱を招くだけで声の調整力は育ちません。今日からご家庭でも試せる、身体の根っこから「声のコントロール」をサポートするアプローチをご紹介しますね。
1. 声の大きさを「メーター(数字・動物)」で目に見えるようにする
目に見えない声の大きさを、目で見て分かるルールにします。「1:アリさんの声(ナイショ話)」「2:ウサギさんの声(お隣の人と)」「3:ライオンさんの声(外で遊ぶ時)」といったイラスト付きの「声のボリューム表」を作り、外出先で見せてあげてください。「今はアリさんの1番だよ」と視覚で伝えることで、脳が瞬時に理解しやすくなります。
2. 注意する前に「肩をギュッ」と触って意識を向けさせる
声が大きくなった時、離れた場所から言葉で注意しても耳に入りません。まずはお子さまの隣に行き、肩や背中を「ギュ〜ッ」と少し強めに圧迫(深圧覚の入力)してあげてください。身体にしっかりとした刺激が入ることで、「自分の身体(と声)」に意識が向きやすくなり、その後のボリューム調整がスッとスムーズになります。
3. 「吹く遊び」で体幹と呼吸をコントロールする
息のコントロール(腹筋)を育てるために、遊びの中で呼吸のトレーニングを行います。「シャボン玉を、割れないようにそーっと優しく吹く」「ピンポン玉をストローの息で転がす」など、息の量を細かく調整する遊びを日中に取り入れることで、結果的に声のボリューム調整(小さな声を出す力)が育っていきます。
ご家庭だけで抱え込まず、私たちを頼ってください
成長とともに体幹が安定し、感覚のフィードバックが上手になれば、少しずつ場所に合わせて声の大きさを変えられるようになっていくことは多いです。しかし、「自分の声の大きさや甲高い奇声で自分自身の喉を枯らしたり、周囲のお友達が耳を塞いでパニックになったりする」「家では大声で話せるのに、園や外に出ると極度の不安から一切声が出せなくなりSOSすら伝えられない」「親御さん自身が公共の場でパニックになるのを恐れ、外出を完全に避けて密室育児になっている」といった場合は、集団生活に大きな支障が出てしまうため、どうかご家庭だけで抱え込まず専門家にご相談ください。
エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士の知見を活かし、5領域の「言語・コミュニケーション」を育むために、その土台である「運動・感覚」からアプローチします。トランポリンやアスレチックなどの全身運動を通して「体幹(呼吸の土台)」を鍛えることで、言葉の遅れだけでなく、声のボリュームや感情のコントロール力を根っこから育てるサポートを行っています。
「またうるさくしちゃった…」と、周囲にペコペコと頭を下げながら気を張ってお出かけしているお母さん、本当にお疲れ様です。お子さまは決して空気が読めないわけではなく、自分の弱い筋肉や鈍いセンサーと一生懸命に戦いながら、周りの世界とコミュニケーションを取ろうと頑張っている真っ最中なのです。いつでも町の身近な専門家として、私たちにご相談くださいね。
【求人のお知らせ】地域の子どもたちを一緒に支える仲間を募集しています!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
エコルドでは現在、地域の子どもたち一人ひとりとより深く向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集しています。
私たちは単に子どもを「預かる」のではなく、今日お話ししたような「5領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)」のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。だからこそ、様々な専門性を持つ方の力が必要です。
保育士・幼稚園教諭の方
理学療法士(PT)・作業療法士(OT)の方
公認心理師・臨床心理士の方
心理学を学ばれた方(大学・大学院)
「資格はあるけれど経験が浅くて不安…」という方もご安心ください。エコルドでは、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の支援について温かく話し合い、共に学び合う文化があります。
地域と手を取り合いながら、子どもたちの「できた!」の笑顔を増やすお手伝いがしたい。そんな想いを持ったあなたと働ける日を楽しみにしています。学生さんのアルバイトやインターンシップからのスタート、見学だけでも大歓迎ですので、ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください!
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
児童指導員・理学療法士 内山 隆範
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、児童指導員・理学療法士をしています、内山隆範です。
10月29日。すっかり秋も深まり、温かい室内での過ごし方が増えてくる季節ですね。さて、電車の中や病院の待合室、レストランなどの静かな公共の場で、お子さまのこんな「声のボリューム」の悩みに肩身の狭い思いをしていませんか?
「静かにしなきゃいけない場所なのに、信じられないほどの大きな声で話し出し、周囲の視線が突き刺さる」
「『シーッ、小さな声でね』と注意してもヒソヒソ声ができず、結局『あのね!!』と大声になってしまう」
「逆に、挨拶や発表の場になると、蚊の鳴くような声しか出せず、極端に声が小さくなってしまう」
「周りの人にうるさいと思われてる…」「何度言えば空気を読んでくれるの!」と、お出かけのたびにヒヤヒヤして注意し続け、クタクタになっているお母さん。そのお気持ち、痛いほどよく分かります。
しかし、日々子どもたちの身体と脳に向き合う理学療法士として、まず一番にお伝えさせてください。
お子さまがTPOに合わせて声の大きさを調整できないのは、決して「親のしつけが悪い」からでも、「わざと空気を読まずにふざけている」からでもありません。
ここには、国が定める療育の5領域における「言語・コミュニケーション」の土台となる、「運動・感覚」のメカニズムによる『脳のボリューム調整エラー』と『体幹・呼吸の未熟さ』という、お子さま自身もどうにもできない明確な理由が隠されているのです。
大人の目には見えない、小さな身体で起きている「3つのエラー」
私たち大人からすると「注意を聞いていない」「自分勝手に騒いでいる」ように見えますが、発達の途中にあるお子さまの脳と身体の中では、私たちが想像する以上に過酷なエラーが起きています。
自分の声が「どれくらい大きいか」感じ取れない(聴覚・固有受容覚の鈍さ)
私たちは無意識に、自分の耳から入る声(聴覚)や、喉の震え(固有受容覚)を感じ取って声の大きさを調整しています。しかし、この感覚センサーが鈍いお子さまは、自分が今どれくらいのボリュームで話しているのか、脳で正確に把握できていません。大人に例えるなら、「ノイズキャンセリングのイヤホンを両耳にギュッと詰めたまま、人に話しかけようとしている」ような状態です。自分の声が聞こえにくいからこそ、無意識に大声を出して確認してしまっているのです。
「ヒソヒソ声」は究極の腹筋運動である(体幹と呼吸の弱さ)
理学療法士として一番お伝えしたいのがここです。実は、息の量を細かくコントロールして「小さな声(ヒソヒソ声)」を出すには、身体の土台である体幹(腹筋や背筋)の絶妙なコントロールが必要です。生まれつき体幹の筋肉がやわらかい(低緊張の)お子さまは、息を少しずつ吐くことができず、肺の中の空気を「一気に全部出す(=大声)」か、「全く出せない(=極端に小さい声)」という、0か100かのコントロールしか物理的にできないのです。
「少し静かに」という言葉は目に見えない(認知のつまずき)
「少し」「アリさんの声で」といった抽象的な表現は、言葉の理解(認知機能)が未熟なお子さまには伝わりません。「静かにしなさい!」と怒られれば怒られるほどパニックになり、力が入ってさらに声が大きくなるという悪循環に陥ってしまいます。
今日からできる!「声のボリューム」を優しく手助けする3つのヒント
「シーッ!」「うるさい!」と遠くから怒鳴ることは、お子さまの混乱を招くだけで声の調整力は育ちません。今日からご家庭でも試せる、身体の根っこから「声のコントロール」をサポートするアプローチをご紹介しますね。
1. 声の大きさを「メーター(数字・動物)」で目に見えるようにする
目に見えない声の大きさを、目で見て分かるルールにします。「1:アリさんの声(ナイショ話)」「2:ウサギさんの声(お隣の人と)」「3:ライオンさんの声(外で遊ぶ時)」といったイラスト付きの「声のボリューム表」を作り、外出先で見せてあげてください。「今はアリさんの1番だよ」と視覚で伝えることで、脳が瞬時に理解しやすくなります。
2. 注意する前に「肩をギュッ」と触って意識を向けさせる
声が大きくなった時、離れた場所から言葉で注意しても耳に入りません。まずはお子さまの隣に行き、肩や背中を「ギュ〜ッ」と少し強めに圧迫(深圧覚の入力)してあげてください。身体にしっかりとした刺激が入ることで、「自分の身体(と声)」に意識が向きやすくなり、その後のボリューム調整がスッとスムーズになります。
3. 「吹く遊び」で体幹と呼吸をコントロールする
息のコントロール(腹筋)を育てるために、遊びの中で呼吸のトレーニングを行います。「シャボン玉を、割れないようにそーっと優しく吹く」「ピンポン玉をストローの息で転がす」など、息の量を細かく調整する遊びを日中に取り入れることで、結果的に声のボリューム調整(小さな声を出す力)が育っていきます。
ご家庭だけで抱え込まず、私たちを頼ってください
成長とともに体幹が安定し、感覚のフィードバックが上手になれば、少しずつ場所に合わせて声の大きさを変えられるようになっていくことは多いです。しかし、「自分の声の大きさや甲高い奇声で自分自身の喉を枯らしたり、周囲のお友達が耳を塞いでパニックになったりする」「家では大声で話せるのに、園や外に出ると極度の不安から一切声が出せなくなりSOSすら伝えられない」「親御さん自身が公共の場でパニックになるのを恐れ、外出を完全に避けて密室育児になっている」といった場合は、集団生活に大きな支障が出てしまうため、どうかご家庭だけで抱え込まず専門家にご相談ください。
エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士の知見を活かし、5領域の「言語・コミュニケーション」を育むために、その土台である「運動・感覚」からアプローチします。トランポリンやアスレチックなどの全身運動を通して「体幹(呼吸の土台)」を鍛えることで、言葉の遅れだけでなく、声のボリュームや感情のコントロール力を根っこから育てるサポートを行っています。
「またうるさくしちゃった…」と、周囲にペコペコと頭を下げながら気を張ってお出かけしているお母さん、本当にお疲れ様です。お子さまは決して空気が読めないわけではなく、自分の弱い筋肉や鈍いセンサーと一生懸命に戦いながら、周りの世界とコミュニケーションを取ろうと頑張っている真っ最中なのです。いつでも町の身近な専門家として、私たちにご相談くださいね。
【求人のお知らせ】地域の子どもたちを一緒に支える仲間を募集しています!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
エコルドでは現在、地域の子どもたち一人ひとりとより深く向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集しています。
私たちは単に子どもを「預かる」のではなく、今日お話ししたような「5領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)」のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。だからこそ、様々な専門性を持つ方の力が必要です。
保育士・幼稚園教諭の方
理学療法士(PT)・作業療法士(OT)の方
公認心理師・臨床心理士の方
心理学を学ばれた方(大学・大学院)
「資格はあるけれど経験が浅くて不安…」という方もご安心ください。エコルドでは、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の支援について温かく話し合い、共に学び合う文化があります。
地域と手を取り合いながら、子どもたちの「できた!」の笑顔を増やすお手伝いがしたい。そんな想いを持ったあなたと働ける日を楽しみにしています。学生さんのアルバイトやインターンシップからのスタート、見学だけでも大歓迎ですので、ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください!
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
児童指導員・理学療法士 内山 隆範