こんにちは。
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、児童指導員・理学療法士をしています、内山隆範です。
10月30日。明日で10月も終わりを迎え、肌寒い風に冬の足音を感じるようになりましたね。さて、ご家庭でのトランプ遊びや、公園でのかけっこ、さらには「どっちが先に靴を履くか」といった些細な日常の場面で、こんな「終わりの見えない勝敗バトル」に疲れ果てていませんか?
「ゲームで負けた瞬間、盤面をひっくり返してこの世の終わりのように泣き叫び、手がつけられない」
「何でも『自分が一番』じゃないと気が済まず、お友達が先にすべり台を滑っただけで激怒する」
「失敗を極端に恐れ、少しでも負けそうになると『もうやらない!』と途中でズルをして逃げ出す」
「たかがゲームでしょ!」「負けることもあるんだから我慢しなさい!」と何度言い聞かせても全く響かず、「わざと負けてあげないと機嫌が悪くなるから、一緒に遊ぶのが苦痛…」「こんなに負けず嫌いで、小学校に入ってお友達といざこざにならないかな」と、腫れ物に触るような毎日に限界を感じているお母さん。そのお気持ち、痛いほどよく分かります。
しかし、日々子どもたちの身体と脳に向き合う理学療法士として、まず一番にお伝えさせてください。
お子さまが負けや失敗を激しく許せないのは、決して「親が甘やかして勝たせすぎた」からでも、「性格がワガママで自己中心的」だからでもありません。
ここには、国が定める療育の5領域における「認知・行動」のつまずきと、その根本にある「運動・感覚」のメカニズムによる、脳の強烈な『白黒思考と身体の過緊張』という、お子さま自身もどうにもできない明確な理由が隠されているのです。
大人の目には見えない、小さな身体で起きている「2つの過酷なエラー」
私たち大人からすると「ただの勝負事に大げさに怒っている」「自分の思い通りにしたいだけ」に見えますが、発達の途中にあるお子さまの脳と身体の中では、私たちが想像する以上に過酷なエラーと恐怖が起きています。
脳が「0か100か」しか処理できない(認知の極端な白黒思考)
柔軟な思考が未発達なお子さまにとって、物事は「完璧な100点(大勝利)」か「無価値な0点(完全な敗北)」の2つに1つしかありません。「今回は2番だったけど頑張ったね」という中間のグレーゾーン(妥協点)を、小さな脳がまだ処理できないのです。彼らにとっての「負け」や「2番」は、「自分の存在価値が全て否定されて消滅してしまう」のと同じレベルの強烈な絶望感と恐怖を引き起こしています。
身体が常に「戦闘モード」になっている(自律神経と感覚の偏り)
理学療法士として一番お伝えしたいのが、この「身体の緊張」です。負けて大パニックになるお子さまの身体を触ると、常に肩や背中にギュッと力が入り、呼吸が浅くなっている(交感神経が優位な戦闘モード)ことが非常に多いです。
身体がリラックス(安心)していないと、心(脳)に「まあいいか」という余裕(クッション)は生まれません。身体のセンサーが過敏で常に気を張っているため、「負け」という小さな刺激が、張り詰めた風船を爆発させる針になってしまっているのです。
今日からできる!「負ける恐怖」を優しく和らげる3つのヒント
「負けるが勝ちだよ!」「泣くならもうやらないよ!」と正論で追い詰めることは、恐怖でフリーズしている脳をさらにパニックに陥らせてしまいます。今日からご家庭でも試せる、身体の根っこから「失敗しても大丈夫」という安心感を作ってあげるアプローチをご紹介しますね。
1. ゲームの前に「ギュッギュッ・ハグ」で身体の緊張を抜く
勝負事を始める前に、まずはお子さまの肩や背中を「ギュ〜ッ」と少し強めにハグして(深圧覚の入力)、身体の余分な力を抜いてあげてください。関節や筋肉にしっかりとした圧が入ることで、副交感神経(リラックス)のスイッチが入り、脳に「まあいいか」と思える柔軟な心のクッションが生まれやすくなります。
2. 「負けた時のセリフ」を目に見えるようにし、正しい逃げ道を用意する
負けた時にどうしていいか分からずパニックになる子には、あらかじめルールを見える化してあげます。紙に「①勝ったら『イエーイ!』」「②負けたら『もう1回!』」と書いておき、「負けた時は、この魔法の言葉(もう1回)を言えば大丈夫だよ」と、具体的な行動(逃げ道)をセットで教えておきます。予測できる行動があるだけで、脳のパニックは劇的に減ります。
3. 全身を使った「わざと転ぶ・負ける遊び」を取り入れる
机の上のゲームではなく、身体を使った遊びの中で「失敗の疑似体験」をさせてあげます。布団の上でお母さんとお相撲をして「あ〜負けた〜!ドテッ!」と大げさに転がって笑い合うなど、「身体がダイナミックに崩れる(負ける)=楽しい、痛くない」という感覚(前庭覚・固有受容覚)を脳にたっぷり味わわせてください。身体が「負け(崩れ)」を受け入れられるようになると、心の「負け」への耐性も自然と育っていきます。
ご家庭だけで抱え込まず、私たちを頼ってください
成長とともに脳の認知機能が育ち、少しずつ「グレーゾーン(2番でも仕方ない)」を受け入れられるようになっていくことは多いです。しかし、「負けた瞬間に、お友達を本気で殴る、ゲームの盤面を破壊する、自分の髪をむしるなど、激しい他害や自傷行為が伴う」「『失敗するのが怖い』という不安が強すぎて、新しい遊びや難しそうな課題には一切挑戦しようとしない」「親御さん自身がパニックを恐れるあまり、お子さまと一切勝負事ができず常に接待プレイ(わざと勝たせる)になっている」といった場合は、お友達関係のトラブルに直結してしまうため、どうかご家庭だけで抱え込まず専門家にご相談ください。
エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士の知見を活かし、5領域の「認知・行動」「人間関係・社会性」を育むために、その土台である「運動・感覚」からアプローチします。スタッフとの身体を使ったダイナミックな遊びを通して、安全に「崩れる・負ける」経験を積み、身体の緊張を根っこから解きほぐすことで、「失敗しても自分は安全なんだ」という自信(自己肯定感)を育てるサポートを行っています。
「また癇癪を起こすんじゃないか…」と、トランプを配る手すら緊張してしまうお母さん、本当にお疲れ様です。お子さまは決してワガママなわけではなく、白黒しか見えない世界と、常に緊張で強張った身体の中で、必死に自分の存在価値を守ろうとしている真っ最中なのです。いつでも町の身近な専門家として、私たちにご相談くださいね。
【求人のお知らせ】地域の子どもたちを一緒に支える仲間を募集しています!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
エコルドでは現在、地域の子どもたち一人ひとりとより深く向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集しています。
私たちは単に子どもを「預かる」のではなく、今日お話ししたような「5領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)」のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。だからこそ、様々な専門性を持つ方の力が必要です。
保育士・幼稚園教諭の方
理学療法士(PT)・作業療法士(OT)の方
公認心理師・臨床心理士の方
心理学を学ばれた方(大学・大学院)
「資格はあるけれど経験が浅くて不安…」という方もご安心ください。エコルドでは、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の支援について温かく話し合い、共に学び合う文化があります。
地域と手を取り合いながら、子どもたちの「できた!」の笑顔を増やすお手伝いがしたい。そんな想いを持ったあなたと働ける日を楽しみにしています。学生さんのアルバイトやインターンシップからのスタート、見学だけでも大歓迎ですので、ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください!
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
児童指導員・理学療法士 内山 隆範
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、児童指導員・理学療法士をしています、内山隆範です。
10月30日。明日で10月も終わりを迎え、肌寒い風に冬の足音を感じるようになりましたね。さて、ご家庭でのトランプ遊びや、公園でのかけっこ、さらには「どっちが先に靴を履くか」といった些細な日常の場面で、こんな「終わりの見えない勝敗バトル」に疲れ果てていませんか?
「ゲームで負けた瞬間、盤面をひっくり返してこの世の終わりのように泣き叫び、手がつけられない」
「何でも『自分が一番』じゃないと気が済まず、お友達が先にすべり台を滑っただけで激怒する」
「失敗を極端に恐れ、少しでも負けそうになると『もうやらない!』と途中でズルをして逃げ出す」
「たかがゲームでしょ!」「負けることもあるんだから我慢しなさい!」と何度言い聞かせても全く響かず、「わざと負けてあげないと機嫌が悪くなるから、一緒に遊ぶのが苦痛…」「こんなに負けず嫌いで、小学校に入ってお友達といざこざにならないかな」と、腫れ物に触るような毎日に限界を感じているお母さん。そのお気持ち、痛いほどよく分かります。
しかし、日々子どもたちの身体と脳に向き合う理学療法士として、まず一番にお伝えさせてください。
お子さまが負けや失敗を激しく許せないのは、決して「親が甘やかして勝たせすぎた」からでも、「性格がワガママで自己中心的」だからでもありません。
ここには、国が定める療育の5領域における「認知・行動」のつまずきと、その根本にある「運動・感覚」のメカニズムによる、脳の強烈な『白黒思考と身体の過緊張』という、お子さま自身もどうにもできない明確な理由が隠されているのです。
大人の目には見えない、小さな身体で起きている「2つの過酷なエラー」
私たち大人からすると「ただの勝負事に大げさに怒っている」「自分の思い通りにしたいだけ」に見えますが、発達の途中にあるお子さまの脳と身体の中では、私たちが想像する以上に過酷なエラーと恐怖が起きています。
脳が「0か100か」しか処理できない(認知の極端な白黒思考)
柔軟な思考が未発達なお子さまにとって、物事は「完璧な100点(大勝利)」か「無価値な0点(完全な敗北)」の2つに1つしかありません。「今回は2番だったけど頑張ったね」という中間のグレーゾーン(妥協点)を、小さな脳がまだ処理できないのです。彼らにとっての「負け」や「2番」は、「自分の存在価値が全て否定されて消滅してしまう」のと同じレベルの強烈な絶望感と恐怖を引き起こしています。
身体が常に「戦闘モード」になっている(自律神経と感覚の偏り)
理学療法士として一番お伝えしたいのが、この「身体の緊張」です。負けて大パニックになるお子さまの身体を触ると、常に肩や背中にギュッと力が入り、呼吸が浅くなっている(交感神経が優位な戦闘モード)ことが非常に多いです。
身体がリラックス(安心)していないと、心(脳)に「まあいいか」という余裕(クッション)は生まれません。身体のセンサーが過敏で常に気を張っているため、「負け」という小さな刺激が、張り詰めた風船を爆発させる針になってしまっているのです。
今日からできる!「負ける恐怖」を優しく和らげる3つのヒント
「負けるが勝ちだよ!」「泣くならもうやらないよ!」と正論で追い詰めることは、恐怖でフリーズしている脳をさらにパニックに陥らせてしまいます。今日からご家庭でも試せる、身体の根っこから「失敗しても大丈夫」という安心感を作ってあげるアプローチをご紹介しますね。
1. ゲームの前に「ギュッギュッ・ハグ」で身体の緊張を抜く
勝負事を始める前に、まずはお子さまの肩や背中を「ギュ〜ッ」と少し強めにハグして(深圧覚の入力)、身体の余分な力を抜いてあげてください。関節や筋肉にしっかりとした圧が入ることで、副交感神経(リラックス)のスイッチが入り、脳に「まあいいか」と思える柔軟な心のクッションが生まれやすくなります。
2. 「負けた時のセリフ」を目に見えるようにし、正しい逃げ道を用意する
負けた時にどうしていいか分からずパニックになる子には、あらかじめルールを見える化してあげます。紙に「①勝ったら『イエーイ!』」「②負けたら『もう1回!』」と書いておき、「負けた時は、この魔法の言葉(もう1回)を言えば大丈夫だよ」と、具体的な行動(逃げ道)をセットで教えておきます。予測できる行動があるだけで、脳のパニックは劇的に減ります。
3. 全身を使った「わざと転ぶ・負ける遊び」を取り入れる
机の上のゲームではなく、身体を使った遊びの中で「失敗の疑似体験」をさせてあげます。布団の上でお母さんとお相撲をして「あ〜負けた〜!ドテッ!」と大げさに転がって笑い合うなど、「身体がダイナミックに崩れる(負ける)=楽しい、痛くない」という感覚(前庭覚・固有受容覚)を脳にたっぷり味わわせてください。身体が「負け(崩れ)」を受け入れられるようになると、心の「負け」への耐性も自然と育っていきます。
ご家庭だけで抱え込まず、私たちを頼ってください
成長とともに脳の認知機能が育ち、少しずつ「グレーゾーン(2番でも仕方ない)」を受け入れられるようになっていくことは多いです。しかし、「負けた瞬間に、お友達を本気で殴る、ゲームの盤面を破壊する、自分の髪をむしるなど、激しい他害や自傷行為が伴う」「『失敗するのが怖い』という不安が強すぎて、新しい遊びや難しそうな課題には一切挑戦しようとしない」「親御さん自身がパニックを恐れるあまり、お子さまと一切勝負事ができず常に接待プレイ(わざと勝たせる)になっている」といった場合は、お友達関係のトラブルに直結してしまうため、どうかご家庭だけで抱え込まず専門家にご相談ください。
エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士の知見を活かし、5領域の「認知・行動」「人間関係・社会性」を育むために、その土台である「運動・感覚」からアプローチします。スタッフとの身体を使ったダイナミックな遊びを通して、安全に「崩れる・負ける」経験を積み、身体の緊張を根っこから解きほぐすことで、「失敗しても自分は安全なんだ」という自信(自己肯定感)を育てるサポートを行っています。
「また癇癪を起こすんじゃないか…」と、トランプを配る手すら緊張してしまうお母さん、本当にお疲れ様です。お子さまは決してワガママなわけではなく、白黒しか見えない世界と、常に緊張で強張った身体の中で、必死に自分の存在価値を守ろうとしている真っ最中なのです。いつでも町の身近な専門家として、私たちにご相談くださいね。
【求人のお知らせ】地域の子どもたちを一緒に支える仲間を募集しています!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
エコルドでは現在、地域の子どもたち一人ひとりとより深く向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集しています。
私たちは単に子どもを「預かる」のではなく、今日お話ししたような「5領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)」のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。だからこそ、様々な専門性を持つ方の力が必要です。
保育士・幼稚園教諭の方
理学療法士(PT)・作業療法士(OT)の方
公認心理師・臨床心理士の方
心理学を学ばれた方(大学・大学院)
「資格はあるけれど経験が浅くて不安…」という方もご安心ください。エコルドでは、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の支援について温かく話し合い、共に学び合う文化があります。
地域と手を取り合いながら、子どもたちの「できた!」の笑顔を増やすお手伝いがしたい。そんな想いを持ったあなたと働ける日を楽しみにしています。学生さんのアルバイトやインターンシップからのスタート、見学だけでも大歓迎ですので、ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください!
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
児童指導員・理学療法士 内山 隆範