〜強制させる療育が効果ゼロの理由〜
毎日、子育て本当にお疲れ様です。
お子さんへの関わり方の中で、「社会に合わせていけるように」と、焦る気持ちをお持ちの親御様多くいらっしゃると思います。
「周りのお友達と同じようにできてほしい」「将来困らないように今のうちに直さなきゃ」……。
そんな風に思うのは、お子さんの未来を心から大切に想っているからこそですよね。
でも、良かれと思って一生懸命向き合うほど、思い通りにいかない現実に、親子でヘトヘトになってしまうこともあるかもしれません。
自閉スペクトラム症(ASD)のお子さんに対して「強制する」「叱る」という関わりは、基本的には効果がないと言われています。
それは根性論ではなく、「脳の仕組み」に理由があるからです。
今日は、安心感を生み出す脳内物質「セロトニン」に注目して、お子さんの社会性を育むお話をしたいと思います。
1. 自閉症のお子さんは「安心感のホルモン」が少ない?
脳の中では、さまざまな神経伝達物質(ホルモン)が働いています。その中の一つが「セロトニン」です。
セロトニンには、以下のような大切な役割があります。
• 気持ちを安定させる、落ち着かせる
• 穏やかな心持ち、安心感を生み出す
• 良質な睡眠をサポートする
自閉スペクトラム症のお子さんは、もともとこの「セロトニン」が少ない傾向にあると言われています。
ASDのお子さんに睡眠のトラブル(寝つきが悪い、リズムが乱れやすいなど)が多いのも、このセロトニンの少なさが関係していると考えられています。
2. 日本人はもともと「不安」を感じやすい?
セロトニンには、脳内で一度出たものを回収して再利用する「回収トラック」のような役割の「セロトニントランスポーター」というものがあります。
実は、日本人の約97%はこの「回収トラック」が少ないタイプだということがわかっています。つまり、もともと不安を感じやすい国民性なのです。「どうにかなるさ」と思える人よりも、「もしこうなったらどうしよう」と不安になりやすい人の方が多いのは、この脳の仕組みが影響しています。
もともと不安を感じやすい土壌がある中で、さらにセロトニンが不足しやすいASDのお子さんにとって、「安心感」をいかに作るかは非常に重要なポイントになります。
3. セロトニンが増えると「社会性」が変わる?(理化学研究所の研究より)
理化学研究所のマウスを使った興味深い実験があります。
自閉症モデルのマウスの脳内セロトニン量を増やしたところ、「社会性行動の異常が改善された」という結果が出ました。
他のマウスに興味を持ったり、やり取りをしたりといった「社会性の広がり」が見られたのです。このことから、人間においてもセロトニン量を増やすことができれば、社会性の課題と言われる部分が緩和される可能性があると考えられています。
つまり、お子さんの行動は「やる気」や「根性」の問題ではなく、「脳内の化学物質の状態」によるものなのです。
4. 今日からできる!セロトニンを増やす3つの習慣
特別な治療でなくても、日常生活の中でセロトニンを増やすアプローチは可能です。
①朝の光を浴びる
朝起きたらまずカーテンを開け、太陽の光を浴びましょう。これがセロトニン合成のスイッチになります。
②リズミカルな運動を取り入れる
ウォーキング、階段の上り下り、ダンス、リトミックなど、「1、2、1、2」とリズムを刻む運動はセロトニンを活性化させます。
③「ほめる」関わりを大切にする
これが最も重要です。ほめられると、脳内で「ドーパミン(喜び)」が出た後、少し遅れて「セロトニン(満足感・安心感)」が分泌されます。
〜強制ではなく「安心」をベースに〜
「どうしてできないの!」と強制したり叱ったりする関わりが増えると、どうしても「ほめる」チャンスが減ってしまいます。すると、脳内のセロトニンはますます不足し、不安が強まって悪循環に陥ってしまいます。
お子さんの行動を「性格」や「やる気」のせいにせず、「脳が安心できる環境を整える」という視点を持ってみませんか。
「ほめる」ことは、単なる精神論ではなく、お子さんの脳を健やかに育てるための大切なアプローチです。少しずつ、安心の輪を広げていけるといいですね。
療育センターエコルド はぐみのおうち
理学療法士 内山明奈
毎日、子育て本当にお疲れ様です。
お子さんへの関わり方の中で、「社会に合わせていけるように」と、焦る気持ちをお持ちの親御様多くいらっしゃると思います。
「周りのお友達と同じようにできてほしい」「将来困らないように今のうちに直さなきゃ」……。
そんな風に思うのは、お子さんの未来を心から大切に想っているからこそですよね。
でも、良かれと思って一生懸命向き合うほど、思い通りにいかない現実に、親子でヘトヘトになってしまうこともあるかもしれません。
自閉スペクトラム症(ASD)のお子さんに対して「強制する」「叱る」という関わりは、基本的には効果がないと言われています。
それは根性論ではなく、「脳の仕組み」に理由があるからです。
今日は、安心感を生み出す脳内物質「セロトニン」に注目して、お子さんの社会性を育むお話をしたいと思います。
1. 自閉症のお子さんは「安心感のホルモン」が少ない?
脳の中では、さまざまな神経伝達物質(ホルモン)が働いています。その中の一つが「セロトニン」です。
セロトニンには、以下のような大切な役割があります。
• 気持ちを安定させる、落ち着かせる
• 穏やかな心持ち、安心感を生み出す
• 良質な睡眠をサポートする
自閉スペクトラム症のお子さんは、もともとこの「セロトニン」が少ない傾向にあると言われています。
ASDのお子さんに睡眠のトラブル(寝つきが悪い、リズムが乱れやすいなど)が多いのも、このセロトニンの少なさが関係していると考えられています。
2. 日本人はもともと「不安」を感じやすい?
セロトニンには、脳内で一度出たものを回収して再利用する「回収トラック」のような役割の「セロトニントランスポーター」というものがあります。
実は、日本人の約97%はこの「回収トラック」が少ないタイプだということがわかっています。つまり、もともと不安を感じやすい国民性なのです。「どうにかなるさ」と思える人よりも、「もしこうなったらどうしよう」と不安になりやすい人の方が多いのは、この脳の仕組みが影響しています。
もともと不安を感じやすい土壌がある中で、さらにセロトニンが不足しやすいASDのお子さんにとって、「安心感」をいかに作るかは非常に重要なポイントになります。
3. セロトニンが増えると「社会性」が変わる?(理化学研究所の研究より)
理化学研究所のマウスを使った興味深い実験があります。
自閉症モデルのマウスの脳内セロトニン量を増やしたところ、「社会性行動の異常が改善された」という結果が出ました。
他のマウスに興味を持ったり、やり取りをしたりといった「社会性の広がり」が見られたのです。このことから、人間においてもセロトニン量を増やすことができれば、社会性の課題と言われる部分が緩和される可能性があると考えられています。
つまり、お子さんの行動は「やる気」や「根性」の問題ではなく、「脳内の化学物質の状態」によるものなのです。
4. 今日からできる!セロトニンを増やす3つの習慣
特別な治療でなくても、日常生活の中でセロトニンを増やすアプローチは可能です。
①朝の光を浴びる
朝起きたらまずカーテンを開け、太陽の光を浴びましょう。これがセロトニン合成のスイッチになります。
②リズミカルな運動を取り入れる
ウォーキング、階段の上り下り、ダンス、リトミックなど、「1、2、1、2」とリズムを刻む運動はセロトニンを活性化させます。
③「ほめる」関わりを大切にする
これが最も重要です。ほめられると、脳内で「ドーパミン(喜び)」が出た後、少し遅れて「セロトニン(満足感・安心感)」が分泌されます。
〜強制ではなく「安心」をベースに〜
「どうしてできないの!」と強制したり叱ったりする関わりが増えると、どうしても「ほめる」チャンスが減ってしまいます。すると、脳内のセロトニンはますます不足し、不安が強まって悪循環に陥ってしまいます。
お子さんの行動を「性格」や「やる気」のせいにせず、「脳が安心できる環境を整える」という視点を持ってみませんか。
「ほめる」ことは、単なる精神論ではなく、お子さんの脳を健やかに育てるための大切なアプローチです。少しずつ、安心の輪を広げていけるといいですね。
療育センターエコルド はぐみのおうち
理学療法士 内山明奈