「我慢」はもう古い?NOと言ったらYESを用意する、新しい発達支援のカタチ
子どもがじっとしていられなかったり、お友達に触れてしまったりしたとき、つい「我慢しなさい」「ちゃんと座って」と声をかけていませんか?
実は、今の発達支援や育児では「我慢させる」ことよりも大切な考え方があります。
それは、「NO(それはダメ)を伝えたら、必ずYES(代わりの案)を用意する」という鉄則です。
今回は子どもたちが自分らしく、かつ落ち着いて過ごせるための具体的なヒントをご紹介します。
1. 「ダメ」の代わりに「これならOK」を
例えばお話の時間に、隣の子の顔や体に触れてしまう子がいたとします。「触っちゃダメだよ」と注意しても、数秒後にはまた手が動いてしまう……。
これは、その子が「お話を聞こう」と頑張ってその場に留まろうとするあまり、手持ち無沙汰で何かを触ることで感覚を補っている可能性もあります。
そんなときは、こう提案してみましょう。
• 「お友達のお顔は触らないよ。その代わりに、このスクイーズ(握るおもちゃ)をギュッとしていようね」
• 「先生が隣で手をギュッギュッとマッサージするからね」
「やっちゃダメ」で終わらせず、「これならやっていいよ」という代わりの行動(YES)を示すことで、子どもは納得して活動しやすくなります。
2. 動きたい衝動には「感覚」を先に入れる
室内でぴょんぴょん跳ねたり、壁にぶつかったり。一見困った行動に見えますが、それはその子が「体を動かしたい」「刺激が欲しい」というサインかもしれません。
無理に止めさせるのではなく、安全にその欲求を満たす工夫を考えます。
• 「お部屋の中で跳ねるのは危ないから、このトランポリンで10回跳んでおいで」
• 「走りたくなったら、あそこのバランスボールで遊んでいいよ」
あらかじめ「動く遊び(動の活動)」で感覚を満たしてあげると、その後の「静かな遊び(静の活動)」にスムーズに移行できる子も多いです。
3. 「参加」以外の選択肢を持たせる
私たちはつい「みんなと一緒に最後まで参加すること」をゴールにしがちです。しかし、それがどうしても苦しい子もいます。
そんなときは、子どもに「選択肢」を提示して、自分で選んでもらうのがおすすめです。
• 全部参加する
• 最初の5分だけ参加する(名前を呼ばれるまで、など)
• 見学する / 休憩する
「休憩する」を選んだとしても、ただゴロゴロするだけでなく「みんなが運動している間、僕はここで大好きなプリント学習をする」といった過ごし方があってもいいのです。
4. 将来を見据えた「自分に合った方法」探し
小学校以降の生活を考えると、100%完璧に我慢し続けるのは難しい場面も出てきます。
大事なのは、「自分は今、集中が難しいな」と気づいたときに、「じゃあ自分はこの方法(プリントをする、道具を使うなど)で乗り切ろう」と、自分に合ったスタイルを先生と相談して決められる力です。
これは「わがまま」ではなく、自分をコントロールするための「セルフマネジメント」の第一歩になります。
〜大人も子どもも楽になる「YES」の提案〜
「ダメ」と叱り続けるのは、大人も子どもも疲れてしまいます。
1. NO(禁止)の後は、必ずYES(代替案)をセットにする
2. 「参加」の形にバリエーションを持たせる
3. 子どもと相談して決める
この3つのポイントを意識するだけで、子どもたちの表情はきっと変わってきます。今日から、「これならいいよ!」というYESを、たくさん用意してあげませんか?
療育センターエコルド はぐみのおうち
理学療法士 内山明奈