保育や子育て、療育の現場で、子どもの激しいイライラや「怒り」の爆発に出会うことは少なくありません。
「どうしてそんなに怒るの?」
「お友達とトラブルになってしまう…」と、大人側も対応に悩んでしまうことがありますよね。
つい「そんなことで怒らないの!」と言ってしまいがちですが、実は「怒る」という感情そのものは、決して悪いことではありません。
今回は、子どもの「怒り」という感情の捉え方や、子ども自身が上手に自分の感情と付き合っていけるようになるための具体的なアプローチについてお話しします。
1. 大前提は「怒っていいよ」
怒りは人間にとって湧き上がってくる自然な感情であり、時には何かを乗り越えるエネルギーにもなる大切な気持ちです。だからこそ、「怒ること=ダメなこと」と否定しないことがスタートラインになります。
ただし、「トーマッチ(行き過ぎた怒り)」は困ってしまいますよね。
しょっちゅう怒っていたり、怒りのパワーが強すぎたり、ずっと引きずってしまったりすると、周りも困りますが、何より楽しく遊ぶ時間が減って一番損をしてしまうのは子ども自身です。
「怒る感情は大切だけど、行き過ぎると自分が損をしちゃう。だから少しずつコントロールしていこうね」というスタンスで関わっていくことが大切です。
2. 自分を知るための「3R」のステップ
子どもが自分の感情を客観的に見て自分でコントロールできるようにするために、覚えておきたい「3R」というステップがあります。
• ① React(リアクト:気づく・予測する)
まずは「あ、今自分は怒っているな」と気づくことです。事前に「負けたときに怒っちゃいそうだね」などと予測させておくと、子ども自身が自分のネガティブな感情に気づきやすくなります。
• ② Relax(リラックス:落ち着く)
「安心ボックス」など、あらかじめ決めておいたお気に入りのグッズや、ホッとできる方法を使って気持ちを落ち着かせます。
• ③ Reset(リセット:切り替える)
気持ちを元に戻して、次の活動へとステップを進めます。
最初は上手くいかなくても、このプロセスを繰り返すことで、子どもは「自分で元の状態に戻せるんだ」という自信を育んでいきます。
3. 「怒り」は第2次感情:溢れる前に水抜きを
心理学では、怒りは「第2次感情」と言われます。
その根っこには、「悲しい」「悔しい」「恥ずかしい」「心配」「分からない」「不快」といった、目に見えにくい「第1次感情」が隠れています。
これらのネガティブな気持ちが心の中に溜まりに溜まって、表面張力でギリギリ保たれている状態のとき、最後の一滴(引き金)がポツンと落ちることで、一気に「怒り」として溢れ出てしまうのです。
一見、急に怒り出したように見える子でも、実はそれまでにたくさんの「困りごと」が溜まっていたのかもしれません。
• 「今日の本人の状態はどうだったかな?」
• 「活動の内容や今の状況との相性が合わなかったのかな?」
大人がそうやって背景を分析し、コップの水が満水になる前に「水抜き(早めの休息や、不快の解消)」をしてあげることが、大人側の先回りのマネジメントになります。
4. 怒りは連鎖する!大人のスタンス
子どものイライラや怒りは、まるでシンパシー(共鳴)のように周りに伝染しやすく、大人もつい「なんでそんなにイライラしてるの!」と感情的に巻き込まれてしまいがちです。
ここで一番大切なのは、「大人は徹底して冷静でいること」です。
子どもが激しく怒っていても、大人は巻き込まれずに一歩引いて、
「なんだか今日はイライラしているね」「何か嫌なことがあったのかな?」と、冷静に子どもの状態を言語化してあげましょう。大人の静かで落ち着いたトーンは、必ず子どもにも伝わり、安心感につながります。
5. 「人に向かわない」表し方を一緒に見つけよう
子どもたちには、「怒りはコントロールできるんだよ。どうやって表すかも自分次第だよ」と伝えていきます。
例えば、ドッジボールでボールが当たって悔しくて怒るのは当然のことです。でも、コートの真ん中で怒って地団駄を踏むとゲームが止まってしまいます。
そんなときは、あらかじめコートの外にフラフープなどで「怒ってもいい場所」を作っておき、「悔しかったら、ここに来て地団駄を踏んでおいで!」と伝えておくのです。
人に迷惑をかけず、誰かを傷つけない方法であれば、どんなふうに怒りを表現しても大丈夫。「ここなら怒っていい」という逃げ道や選択肢をあらかじめ大人と子どもで相談して作っておくことで、子どもは安心して自分の感情と付き合えるようになっていきます。
子どもの発達の段階によって、大人が全てを先回りしてマネジメント(活動を回避したり調整したり)する時期もあれば、小学校中高年頃のように「どうして怒っちゃうのかな?」と一緒に分析・相談しながら進める時期もあります。
どんな段階であっても、まずは「その気持ち、わかるよ」と受け止めること。
そして、子どもが「自分の怒りの理由」を知り、自分で心地よくリセットしていけるよう、温かく冷静な伴走者でありたいですね。
療育センターエコルド はぐみのおうちの
理学療法士 内山明奈
「どうしてそんなに怒るの?」
「お友達とトラブルになってしまう…」と、大人側も対応に悩んでしまうことがありますよね。
つい「そんなことで怒らないの!」と言ってしまいがちですが、実は「怒る」という感情そのものは、決して悪いことではありません。
今回は、子どもの「怒り」という感情の捉え方や、子ども自身が上手に自分の感情と付き合っていけるようになるための具体的なアプローチについてお話しします。
1. 大前提は「怒っていいよ」
怒りは人間にとって湧き上がってくる自然な感情であり、時には何かを乗り越えるエネルギーにもなる大切な気持ちです。だからこそ、「怒ること=ダメなこと」と否定しないことがスタートラインになります。
ただし、「トーマッチ(行き過ぎた怒り)」は困ってしまいますよね。
しょっちゅう怒っていたり、怒りのパワーが強すぎたり、ずっと引きずってしまったりすると、周りも困りますが、何より楽しく遊ぶ時間が減って一番損をしてしまうのは子ども自身です。
「怒る感情は大切だけど、行き過ぎると自分が損をしちゃう。だから少しずつコントロールしていこうね」というスタンスで関わっていくことが大切です。
2. 自分を知るための「3R」のステップ
子どもが自分の感情を客観的に見て自分でコントロールできるようにするために、覚えておきたい「3R」というステップがあります。
• ① React(リアクト:気づく・予測する)
まずは「あ、今自分は怒っているな」と気づくことです。事前に「負けたときに怒っちゃいそうだね」などと予測させておくと、子ども自身が自分のネガティブな感情に気づきやすくなります。
• ② Relax(リラックス:落ち着く)
「安心ボックス」など、あらかじめ決めておいたお気に入りのグッズや、ホッとできる方法を使って気持ちを落ち着かせます。
• ③ Reset(リセット:切り替える)
気持ちを元に戻して、次の活動へとステップを進めます。
最初は上手くいかなくても、このプロセスを繰り返すことで、子どもは「自分で元の状態に戻せるんだ」という自信を育んでいきます。
3. 「怒り」は第2次感情:溢れる前に水抜きを
心理学では、怒りは「第2次感情」と言われます。
その根っこには、「悲しい」「悔しい」「恥ずかしい」「心配」「分からない」「不快」といった、目に見えにくい「第1次感情」が隠れています。
これらのネガティブな気持ちが心の中に溜まりに溜まって、表面張力でギリギリ保たれている状態のとき、最後の一滴(引き金)がポツンと落ちることで、一気に「怒り」として溢れ出てしまうのです。
一見、急に怒り出したように見える子でも、実はそれまでにたくさんの「困りごと」が溜まっていたのかもしれません。
• 「今日の本人の状態はどうだったかな?」
• 「活動の内容や今の状況との相性が合わなかったのかな?」
大人がそうやって背景を分析し、コップの水が満水になる前に「水抜き(早めの休息や、不快の解消)」をしてあげることが、大人側の先回りのマネジメントになります。
4. 怒りは連鎖する!大人のスタンス
子どものイライラや怒りは、まるでシンパシー(共鳴)のように周りに伝染しやすく、大人もつい「なんでそんなにイライラしてるの!」と感情的に巻き込まれてしまいがちです。
ここで一番大切なのは、「大人は徹底して冷静でいること」です。
子どもが激しく怒っていても、大人は巻き込まれずに一歩引いて、
「なんだか今日はイライラしているね」「何か嫌なことがあったのかな?」と、冷静に子どもの状態を言語化してあげましょう。大人の静かで落ち着いたトーンは、必ず子どもにも伝わり、安心感につながります。
5. 「人に向かわない」表し方を一緒に見つけよう
子どもたちには、「怒りはコントロールできるんだよ。どうやって表すかも自分次第だよ」と伝えていきます。
例えば、ドッジボールでボールが当たって悔しくて怒るのは当然のことです。でも、コートの真ん中で怒って地団駄を踏むとゲームが止まってしまいます。
そんなときは、あらかじめコートの外にフラフープなどで「怒ってもいい場所」を作っておき、「悔しかったら、ここに来て地団駄を踏んでおいで!」と伝えておくのです。
人に迷惑をかけず、誰かを傷つけない方法であれば、どんなふうに怒りを表現しても大丈夫。「ここなら怒っていい」という逃げ道や選択肢をあらかじめ大人と子どもで相談して作っておくことで、子どもは安心して自分の感情と付き合えるようになっていきます。
子どもの発達の段階によって、大人が全てを先回りしてマネジメント(活動を回避したり調整したり)する時期もあれば、小学校中高年頃のように「どうして怒っちゃうのかな?」と一緒に分析・相談しながら進める時期もあります。
どんな段階であっても、まずは「その気持ち、わかるよ」と受け止めること。
そして、子どもが「自分の怒りの理由」を知り、自分で心地よくリセットしていけるよう、温かく冷静な伴走者でありたいですね。
療育センターエコルド はぐみのおうちの
理学療法士 内山明奈