6月に入り、雨の日が増えてジメジメとした気候になってきましたね。この時期になると、衣服の肌触りが変わったり、雨の音や湿度の変化に対して、いつも以上にお子さまがイライラしたり、激しい癇癪を起こしたりすることはありませんか?
「服のタグや靴下の縫い目を、嫌がってどうしても脱いでしまう」
「ドライヤーや掃除機の音、踏切の警報音を聞くと、耳を塞いでパニックになる」
「手のひらに砂や粘土、のりがつくのを極端に嫌がり、泥遊びに全く参加できない」
周囲の人からは「ちょっと神経質すぎるんじゃない?」「ワガママに付き合っていたらキリがないよ」なんて言われてしまい、誰にも分かってもらえない孤独感の中で、「どうしてうちの子はこんなに育てにくいのかな…」と、お母さんが一人で涙を流してしまう。そんなお話を、私はこれまでに何度も伺ってきました。
周囲の何気ない一言に傷つき、毎日神経をすり減らしているお母さん、お父さん。どうかご自身を責めないでください。
これは決して、お子さまの「ワガママ」でも、親御さんの「しつけ不足」でもありません。
これらは「感覚過敏(かんかくかびん)」と呼ばれるもので、脳の神経システムによる明確な理由があるのです。理学療法士(身体と神経の専門家)としての視点から、その正体とご家庭での向き合い方をお伝えします。
なぜ、特定の刺激をそこまで嫌がるのか?
感覚過敏を抱えるお子さまの脳の中では、大人が想像する以上に過酷なことが起きています。
・脳の「ボリューム調整ツマミ」が壊れている状態
私たちは普段、目や耳、皮膚から入ってくる大量の情報の中から、必要なものだけを脳で選び、不要なものは無意識にカットしています。しかし、発達に特性のあるお子さまは、この情報を整理する機能(感覚統合)が未熟なことがあります。
脳のボリューム調整ツマミが常にマックスになっている状態を想像してください。大人にとっての「かすかな不快感」が、お子さまにとっては「激しい痛み」や「恐怖」として脳に直接響いているのです。
・皮膚の感覚が「警戒モード」になっている
皮膚で感じる触覚には、危険を察知する「原始的な感覚(防御システム)」と、形や素材を識別する「知的な感覚(識別システム)」があります。感覚過敏の子は、この防御システムが過剰に働いてしまっています。服のタグが少し触れただけで、脳は「トゲで刺された!」「虫が這っている!」というレベルの危険信号を出してしまい、本能的にパニックを起こしているのです。
ご家庭でできる、感覚過敏と付き合う工夫
無理に慣れさせようと(根性論で)刺激を与え続けるのは、お子さまのトラウマを強めるだけなので逆効果です。まずは「安心できる環境」を整えてあげましょう。
1. 徹底して「不快な刺激」を排除・軽減する
服のタグは根元からきれいに切り落とす、裏返して着せる、靴下は縫い目のないものを選ぶなど、物理的な対策を行ってください。音が苦手な場合はイヤーマフやノイズキャンセリングイヤホンを活用するのも手です。「嫌なものは避けられるんだ」という安心感が、心の安定に繋がります。
2. 自分でコントロールできる環境を作る
例えば、砂遊びやのりを使った工作を嫌がる場合、最初はスプーンやヘラ、ビニール手袋を使わせてあげてください。自分の手が汚れない、いつでもやめられるという「コントロール権」をお子さまに持たせることで、少しずつ試してみようという心の余裕が生まれます。
3. 「圧迫刺激(深部感覚)」を上手に使う
理学療法士としておすすめの工夫です。皮膚の表面を「サワサワ」と軽く触られる触覚は過敏を引き起こしやすいですが、身体の奥(筋肉や関節)に「じわーっ」と圧をかける刺激(深部感覚)は、逆に興奮した神経を落ち着かせる効果があります。
不安そうにしている時は、身体を包み込むように強めにハグをしてあげたり、少し重みのある布団やクッションを膝の上に乗せてあげたりすると、脳が安心モードに切り替わりやすくなります。
専門家(療育)に頼ってほしいサイン
感覚過敏はお子さまの「生きづらさ」に直結します。以下のような様子が見られる場合は、専門的なアプローチが必要です。
・過敏さが原因で、お友達との集団行動や保育園・幼稚園への登園が困難になっている
・偏食がさらに激しくなり、特定の食材やテクスチャーのものしか口にできなくなっている
・常に周囲を警戒しており、些細な刺激で毎日何度も激しいパニックや自傷行為を起こす
・お母さん自身が、お子さまのこだわりや癇癪に付き合いきれず、限界を迎えている
このような場合は、一人で抱え込まず、私たちを頼ってください。
エコルドでは、無理に苦手な刺激に慣れさせるようなことは一切しません。
理学療法士の視点から、トランポリンやスイング、大型のクッションを使った全身運動(粗大運動)をプログラムに取り入れています。実は、脳の根っこにある「前庭覚」や「固有受容覚」を正しいアプローチで満たしてあげると、脳の過剰な興奮が段階的に治まり、結果として皮膚や耳の過敏さが少しずつ和らいでいくというエビデンス(根拠)があります。
「この世界は怖くないんだ」と安心してもらうために
毎日、小さな刺激に怯え、パニックになる我が子をなだめる日々は、本当に気が遠くなるほど疲れると思います。
でも、一番苦しいのは、周りの人には何でもない世界が「痛くて怖い場所」に見えてしまっているお子さま自身です。
ご家庭だけで環境を完璧に整えるのは不可能ですから、ぜひ私たち専門家の手を借りてください。身体の仕組みから紐解けば、お子さまがホッとできる方法が必ず見つかります。
「この過敏さ、どう対応したらいいの?」と迷った時は、いつでもエコルドはぐみのおうちにご相談ください。お子さまの感覚の特性を一緒に分析し、少しでも毎日の生活が穏やかになるような具体的なサポートをさせていただきます。
ご相談、ご見学は随時受け付けております。
ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください。
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
理学療法士 内山 隆範
「服のタグや靴下の縫い目を、嫌がってどうしても脱いでしまう」
「ドライヤーや掃除機の音、踏切の警報音を聞くと、耳を塞いでパニックになる」
「手のひらに砂や粘土、のりがつくのを極端に嫌がり、泥遊びに全く参加できない」
周囲の人からは「ちょっと神経質すぎるんじゃない?」「ワガママに付き合っていたらキリがないよ」なんて言われてしまい、誰にも分かってもらえない孤独感の中で、「どうしてうちの子はこんなに育てにくいのかな…」と、お母さんが一人で涙を流してしまう。そんなお話を、私はこれまでに何度も伺ってきました。
周囲の何気ない一言に傷つき、毎日神経をすり減らしているお母さん、お父さん。どうかご自身を責めないでください。
これは決して、お子さまの「ワガママ」でも、親御さんの「しつけ不足」でもありません。
これらは「感覚過敏(かんかくかびん)」と呼ばれるもので、脳の神経システムによる明確な理由があるのです。理学療法士(身体と神経の専門家)としての視点から、その正体とご家庭での向き合い方をお伝えします。
なぜ、特定の刺激をそこまで嫌がるのか?
感覚過敏を抱えるお子さまの脳の中では、大人が想像する以上に過酷なことが起きています。
・脳の「ボリューム調整ツマミ」が壊れている状態
私たちは普段、目や耳、皮膚から入ってくる大量の情報の中から、必要なものだけを脳で選び、不要なものは無意識にカットしています。しかし、発達に特性のあるお子さまは、この情報を整理する機能(感覚統合)が未熟なことがあります。
脳のボリューム調整ツマミが常にマックスになっている状態を想像してください。大人にとっての「かすかな不快感」が、お子さまにとっては「激しい痛み」や「恐怖」として脳に直接響いているのです。
・皮膚の感覚が「警戒モード」になっている
皮膚で感じる触覚には、危険を察知する「原始的な感覚(防御システム)」と、形や素材を識別する「知的な感覚(識別システム)」があります。感覚過敏の子は、この防御システムが過剰に働いてしまっています。服のタグが少し触れただけで、脳は「トゲで刺された!」「虫が這っている!」というレベルの危険信号を出してしまい、本能的にパニックを起こしているのです。
ご家庭でできる、感覚過敏と付き合う工夫
無理に慣れさせようと(根性論で)刺激を与え続けるのは、お子さまのトラウマを強めるだけなので逆効果です。まずは「安心できる環境」を整えてあげましょう。
1. 徹底して「不快な刺激」を排除・軽減する
服のタグは根元からきれいに切り落とす、裏返して着せる、靴下は縫い目のないものを選ぶなど、物理的な対策を行ってください。音が苦手な場合はイヤーマフやノイズキャンセリングイヤホンを活用するのも手です。「嫌なものは避けられるんだ」という安心感が、心の安定に繋がります。
2. 自分でコントロールできる環境を作る
例えば、砂遊びやのりを使った工作を嫌がる場合、最初はスプーンやヘラ、ビニール手袋を使わせてあげてください。自分の手が汚れない、いつでもやめられるという「コントロール権」をお子さまに持たせることで、少しずつ試してみようという心の余裕が生まれます。
3. 「圧迫刺激(深部感覚)」を上手に使う
理学療法士としておすすめの工夫です。皮膚の表面を「サワサワ」と軽く触られる触覚は過敏を引き起こしやすいですが、身体の奥(筋肉や関節)に「じわーっ」と圧をかける刺激(深部感覚)は、逆に興奮した神経を落ち着かせる効果があります。
不安そうにしている時は、身体を包み込むように強めにハグをしてあげたり、少し重みのある布団やクッションを膝の上に乗せてあげたりすると、脳が安心モードに切り替わりやすくなります。
専門家(療育)に頼ってほしいサイン
感覚過敏はお子さまの「生きづらさ」に直結します。以下のような様子が見られる場合は、専門的なアプローチが必要です。
・過敏さが原因で、お友達との集団行動や保育園・幼稚園への登園が困難になっている
・偏食がさらに激しくなり、特定の食材やテクスチャーのものしか口にできなくなっている
・常に周囲を警戒しており、些細な刺激で毎日何度も激しいパニックや自傷行為を起こす
・お母さん自身が、お子さまのこだわりや癇癪に付き合いきれず、限界を迎えている
このような場合は、一人で抱え込まず、私たちを頼ってください。
エコルドでは、無理に苦手な刺激に慣れさせるようなことは一切しません。
理学療法士の視点から、トランポリンやスイング、大型のクッションを使った全身運動(粗大運動)をプログラムに取り入れています。実は、脳の根っこにある「前庭覚」や「固有受容覚」を正しいアプローチで満たしてあげると、脳の過剰な興奮が段階的に治まり、結果として皮膚や耳の過敏さが少しずつ和らいでいくというエビデンス(根拠)があります。
「この世界は怖くないんだ」と安心してもらうために
毎日、小さな刺激に怯え、パニックになる我が子をなだめる日々は、本当に気が遠くなるほど疲れると思います。
でも、一番苦しいのは、周りの人には何でもない世界が「痛くて怖い場所」に見えてしまっているお子さま自身です。
ご家庭だけで環境を完璧に整えるのは不可能ですから、ぜひ私たち専門家の手を借りてください。身体の仕組みから紐解けば、お子さまがホッとできる方法が必ず見つかります。
「この過敏さ、どう対応したらいいの?」と迷った時は、いつでもエコルドはぐみのおうちにご相談ください。お子さまの感覚の特性を一緒に分析し、少しでも毎日の生活が穏やかになるような具体的なサポートをさせていただきます。
ご相談、ご見学は随時受け付けております。
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療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
理学療法士 内山 隆範