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シャイなのではなく、脳の「情報処理」の特性かも?

こんにちは。
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、理学療法士をしています、内山隆範です。

6月も半ばに入り、いよいよ梅雨本番の季節になってきましたね。この時期は室内で過ごす時間が増え、保育園や幼稚園、学校の教室の中で、子ども同士が密に関わる場面が多くなります。

そんな中、保護者様からこのような切実なご相談をいただくことがあります。

「自由時間のとき、お友達の輪に入れず、いつも一人でポツンと過ごしているみたいです」
「みんなが楽しそうに遊んでいるのを、遠くからじっと見ているだけで混ざろうとしません」
「話しかけられても固まってしまって、お友達関係が広がらず心配です」

園の先生から「今日も一人で遊んでいましたよ」と報告を受けたり、お迎えの時にポツンと一人でいる我が子の姿を目撃したりすると、胸がギュッと締め付けられるように苦しくなりますよね。「このままずっと孤立してしまうのではないか」「私の育て方が内向的にさせてしまったのかな」と、自分を責めて不安で眠れなくなるお母さん、お父さんのお気持ち、本当に本当によく分かります。

でも、理学療法士としての視点から、大切な事実をお伝えさせてください。

お子さまが輪に入れないのは、決して「性格が暗いから」でも「お友達が嫌いだから」でもありません。

実は、たくさんの子どもたちが同時に動いて喋る「集団の空間」にいるとき、お子さまの脳の「情報処理」が追いつかず、どう動いていいか分からずにフリーズ(思考停止)してしまっている状態なのです。

なぜ、お友達の輪に入るのがそんなに難しいのか?
大人にとっては何気ない「みんなの遊びに混ざる」という行為は、実は脳にとっては、スーパーコンピューター並みの超高度な情報処理を必要とします。

・視覚と聴覚の情報過多(じょうほうかた)
発達に特性のあるお子さまの中には、周囲の刺激を整理する脳の働き(感覚統合)が未熟な子がいます。

複数の友達がドタバタと走り回る動き(視覚情報)、あちこちから聞こえる大声や笑い声(聴覚情報)が、脳内に一だんとなって押し寄せてくると、脳がパニックを起こしてしまいます。大人で言うと「渋谷のスクランブル交差点のど真ん中で、急に見知らぬ外国人グループから早口の英語で話しかけられた」ような状態です。情報が多すぎて処理できず、身体が動かなくなっているのです。

・「空間の距離感」が掴めない
理学療法士として身体を観察していると、自分と相手との物理的な「距離感」を測る力(空間認知能力)が弱いお子さまがいます。どれくらい近づけばお友達の迷惑にならないか、どのタイミングでその空間に一歩踏み出せばいいのかが身体感覚として掴めないため、慎重になりすぎて遠くから見ているだけになってしまいます。

・見通しが立たない不安
「もし声をかけて断られたらどうしよう」「ルールが変わったらついていけないかもしれない」という予測を立てるのが苦手で、先の見通しが立たない空間に飛び込むことに、強い恐怖心を感じています。
ご家庭や日常で今すぐできる、実用的なアプローチ
「もっと積極的になりなさい!」「お友達に仲間に入れてって言ってごらん」と背中を無理に押すのは、お子さまの恐怖心を煽るだけなので逆効果です。脳の特性に合わせた、安心できるステップを作ってあげましょう。

1. 「1対1」の小さな関係から始める

たくさんの人数(集団)の中ではフリーズしてしまう子も、気が合うお友達「1人」と静かな環境であれば、楽しく関われることが多いです。まずは降園後や休日に、特定のお友達と1対1で遊ぶ機会を作り、「人と関わるのは安心で楽しいことなんだ」という脳の成功体験を積み重ねてあげてください。

2. 遊びのルールやセリフを「事前に」家で練習しておく

「仲間に入れて」と言いなさい、と口頭で伝えるだけでなく、おうちで「お母さんがブロックで遊んでいるところに、仲間に入れてって言ってみる」というミニ寸劇(ロールプレイ)をゲーム感覚で試してみてください。あらかじめ脳に「こういう時はこう動く・こう言う」というシナリオ(見通し)をインプットしておくことで、本番のプレッシャーを大きく減らすことができます。

3. 「見ていること」を否定せず、共感する

遠くから見ているお子さまに対して、「何突っ立ってるの!」と言うのではなく、「みんな楽しそうだね」「あの遊び、面白そうだね」とお子さまの視線に共感してあげてください。見ているだけでも、お子さまにとっては立慢な「集団への参加」であり、脳の中でシミュレーションをしている大切な時間なのです。

専門家(療育)に頼ってほしいサイン

お友達との関わりにおいて、以下のような様子が長く続き、日常生活や集団生活に支障が出ている場合は、専門的なアプローチが必要です。

・お友達の輪に入れないだけでなく、話しかけられると強いパニックや癇癪を起こす
・一人でいる寂しさや不安から、自分の手を噛んだり、爪を剥いたりする自傷行為が見られる
・「幼稚園(学校)に行きたくない」と、集団の空間そのものを強く拒否し始めている
・お母さん自身が、我が子の孤立している姿を見るのが辛く、精神的に限界を迎えている
このような場合は、一人で抱え込まずに私たちを頼ってください。 

エコルドでは、少人数のコントロールされた安全な環境の中で、専門的なソーシャルスキルトレーニング(SST)を行います。
さらに、理学療法士の視点から、お友達とタイミングを合わせて大縄跳びを跳ぶ、ボールをパスし合う、手を繋いでバランスを取るなど、「相手の身体の動きと自分の身体の動きを同調させる運動プログラム」をたくさん取り入れています。身体を通じて相手との物理的な距離感やタイミングを掴む経験を積むと、脳の空間処理能力が自然と鍛えられ、驚くほどスムーズにお友達の輪へ一歩を踏み出せるようになっていくのです。

焦らないでください。その子は今、一生懸命「世界」を観察しています

お友達の中でポツンと一人でいる我が子を見るのは、本当に親として胸が張り裂けそうになる瞬間だと思います。

でも、お子さまは決して心を閉ざしているわけではありません。自分にとって安全な方法で、一生懸命に周りの世界を観察し、処理しようと頑張っている最中なのです。

焦って無理に輪の中に放り込む必要はありません。まずは1対1の安心感から、身体の根っこから、少しずつ関わりの力を育てていきましょう。

「うちの子のコミュニケーション、どうサポートしたらいい?」と悩んだ時は、いつでもエコルドはぐみのおうちへお越しください。専門家としてお子さまの脳と身体の特性を分析し、自信を持って集団生活を楽しめるような具体的なアプローチを一緒に考えてまいります。

ご相談、ご見学は随時受け付けております。
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療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
理学療法士 内山 隆範
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