こんにちは。
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、理学療法士をしています、内山隆範です。
6月も半ばに入り、雨でおうちや園の室内で過ごす時間が増えるこの時期。粘土遊びや折り紙、お絵かき、ハサミを使った工作など、手先を使う活動の機会が多くなります。
そんな中、保護者様からこのようなご相談をいただくことがよくあります。
「周りの子は上手にハサミを使っているのに、うちの子はうまく紙が切れません」
「クレヨンをガチガチに強く握りしめてしまって、すぐに手が疲れたと投げ出してしまいます」
「不器用なせいで工作の時間にイライラして、癇癪を起こしてしまうのが辛いです」
園の作品展で周りの子の綺麗な作品と我が子のものを比べて焦ってしまったり、家で教えようとしても「できない!」と泣き叫ぶ我が子にどう接していいか分からず、ため息をついてしまう……。そんなお母さん、お父さんのお気持ち、本当に本当によく分かります。小学校に上がってからの筆記やノート取りのことも考えると、余計に心配になってしまいますよね。
ですが、理学療法士(身体の専門家)としての視点から、非常に重要な事実をお伝えさせてください。
手先が不器用だからといって、机の上でハサミを動かす練習や、鉛筆を握る練習ばかりを繰り返すのは、実は遠回りになることが多いのです。
なぜなら、手先の器用さ(微細運動)というものは、身体全体の安定という「土台」があって初めて開花する、ビルの最上階のようなものだからです。
なぜ、手先を器用に使えないのか?
お子さまの不器用さの背景には、指先だけではなく、もっと根本的な「身体のメカニズム」が関係しています。
・「座る姿勢」が崩れて、土台がぐらぐらしている
理学療法士としてお子さまの工作の様子を見るとき、私は指先ではなく、まず「骨盤や背中」を見ます。体幹の筋肉が弱く、椅子にまっすぐ座っていられない(ぐにゃぐにゃしてしまう、背中が丸まる)お子さまは、倒れないように自分の身体を支えるだけで必死になっています。
クレーン車を想像してみてください。土台である車体がガタガタと揺れていたら、先端のアームを精密に動かすことは不可能です。身体の土台がぐらついているからこそ、肩や肘、そして指先に余計な力がガチガチに入ってしまい、ハサミや鉛筆をスムーズにコントロールできなくなっているのです。
・「肩や肘」の関節を固定する力が未熟
手先を器用に動かすためには、まず「肩や肘」の関節をピタッと心地よく固定し、手首から先だけを自由に動かすという身体の役割分担が必要です。しかし、この関節のコントロール(協調運動)が苦手なお子さまは、ハサミを動かすときに肩から腕全体を大きく振り回すように動かしてしまい、細かい調整ができません。
・目と手の連動が追いついていない
「目でハサミの線を追いかけながら、それに合わせて指先を動かす」という、視覚と手のチームワーク(目と手の協応)の情報処理が、脳の中でまだスムーズにつながっていない状態です。
ご家庭で今すぐできる、実用的なアプローチ
机の上で無理に練習させて「工作嫌い」にさせてしまう前に、まずは身体の根っこからアプローチしていきましょう。
1. まずは「座る環境」を100点にする
ハサミの練習をする前に、お子さまが椅子に座ったとき「足の裏がしっかりと床(または椅子の足置き場)にペタッとついているか」を確認してください。足の裏が宙に浮いていると、体幹は絶対に安定しません。しっかり足で踏ん張れる環境を作るだけで、驚くほど手先の余計な力が抜け、器用に動かせるようになる子がたくさんいます。
2. 手先を使う前に、まずは「肩と腕を大きく使う遊び」をする
不器用さを変える近道は、意外にも全身運動です。雑巾がけをする、壁に大きな紙を貼ってダイナミックにクレヨンでお絵かきをする、ハイハイで障害物を超える、動物のクマさんの真似をして四つん這いで歩く。これらの遊びは、手首や指先を支える「肩・肘・体幹」の筋肉を劇的に鍛えてくれます。
3. 「道具」のハードルを徹底的に下げる
一般的なハサミは、指を入れる・開く・閉じるといった高度な力が必要です。最初は、握るだけで自然に刃が開く「スプリング付きの練習用ハサミ」や、少ない力で切れる工作用ハサミを使ってください。「自分で切れた!」という脳の成功体験と自信を保障してあげることが、何よりも大切です。
専門家(療育)に頼ってほしいサイン
不器用さの背景に、身体の感覚(固有受容覚や触覚)の凸凹が隠れている場合、ご家庭だけの練習では限界があります。
・スプーンやフォーク、箸の使い方が年齢に対して大きく遅れており、食事のたびに強いイライラや癇癪がある
・ボタンの留め外しや、衣服の着脱など、日常生活の身の回りの動作に大きな支障が出ている
・「どうせできないから」と、工作や描画、新しい運動課題に対して強い拒否反応を示すようになっている
・お母さん自身が、毎日のお手伝いや練習に付き合いきれず、精神的に限界を迎えている
このような場合は、一人で抱え込まずに私たちを頼ってください。
エコルドでは、理学療法士の視点から、お子さまの姿勢の崩れや関節の硬さ、力のコントロール(固有受容覚)の状態を細かく分析します。
そして、ただハサミの練習をするのではなく、ボルダリングを登る、重いブロックを運ぶ、ターゲットにボールを投げるといった「体幹と肩まわりを強くする運動プログラム(粗大運動)」を遊びの中で徹底して行います。
土台がしっかり整うことで、脳からの指令が指先までスムーズに届くようになり、驚くほど自然にハサミや鉛筆が使えるようになっていくのです。
焦らないでください。土台が整えば、指先は必ず動き出します
周りの子が器用に折り紙を折っている姿を見ると、焦って心がザワザワしてしまうお気持ち、本当によく分かります。
でも、お子さまは今、怠けているわけでも、器用さの才能がないわけでもありません。ただ、最上階(指先)を支えるための1階と2階(体幹や肩)を、一生懸命に組み立てている最中なのです。
焦って最上階だけをいじるのではなく、一緒に頑丈な土台を作っていきましょう。
「うちの子の不器用さ、どこからアプローチすればいい?」と迷われた時は、いつでもエコルドはぐみのおうちへお越しください。身体の専門家としてお子さまの姿勢や動きを丁寧に見立て、毎日の生活が笑顔になる具体的なサポートをさせていただきます。
ご相談、ご見学は随時受け付けております。
ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください。
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
理学療法士 内山 隆範
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、理学療法士をしています、内山隆範です。
6月も半ばに入り、雨でおうちや園の室内で過ごす時間が増えるこの時期。粘土遊びや折り紙、お絵かき、ハサミを使った工作など、手先を使う活動の機会が多くなります。
そんな中、保護者様からこのようなご相談をいただくことがよくあります。
「周りの子は上手にハサミを使っているのに、うちの子はうまく紙が切れません」
「クレヨンをガチガチに強く握りしめてしまって、すぐに手が疲れたと投げ出してしまいます」
「不器用なせいで工作の時間にイライラして、癇癪を起こしてしまうのが辛いです」
園の作品展で周りの子の綺麗な作品と我が子のものを比べて焦ってしまったり、家で教えようとしても「できない!」と泣き叫ぶ我が子にどう接していいか分からず、ため息をついてしまう……。そんなお母さん、お父さんのお気持ち、本当に本当によく分かります。小学校に上がってからの筆記やノート取りのことも考えると、余計に心配になってしまいますよね。
ですが、理学療法士(身体の専門家)としての視点から、非常に重要な事実をお伝えさせてください。
手先が不器用だからといって、机の上でハサミを動かす練習や、鉛筆を握る練習ばかりを繰り返すのは、実は遠回りになることが多いのです。
なぜなら、手先の器用さ(微細運動)というものは、身体全体の安定という「土台」があって初めて開花する、ビルの最上階のようなものだからです。
なぜ、手先を器用に使えないのか?
お子さまの不器用さの背景には、指先だけではなく、もっと根本的な「身体のメカニズム」が関係しています。
・「座る姿勢」が崩れて、土台がぐらぐらしている
理学療法士としてお子さまの工作の様子を見るとき、私は指先ではなく、まず「骨盤や背中」を見ます。体幹の筋肉が弱く、椅子にまっすぐ座っていられない(ぐにゃぐにゃしてしまう、背中が丸まる)お子さまは、倒れないように自分の身体を支えるだけで必死になっています。
クレーン車を想像してみてください。土台である車体がガタガタと揺れていたら、先端のアームを精密に動かすことは不可能です。身体の土台がぐらついているからこそ、肩や肘、そして指先に余計な力がガチガチに入ってしまい、ハサミや鉛筆をスムーズにコントロールできなくなっているのです。
・「肩や肘」の関節を固定する力が未熟
手先を器用に動かすためには、まず「肩や肘」の関節をピタッと心地よく固定し、手首から先だけを自由に動かすという身体の役割分担が必要です。しかし、この関節のコントロール(協調運動)が苦手なお子さまは、ハサミを動かすときに肩から腕全体を大きく振り回すように動かしてしまい、細かい調整ができません。
・目と手の連動が追いついていない
「目でハサミの線を追いかけながら、それに合わせて指先を動かす」という、視覚と手のチームワーク(目と手の協応)の情報処理が、脳の中でまだスムーズにつながっていない状態です。
ご家庭で今すぐできる、実用的なアプローチ
机の上で無理に練習させて「工作嫌い」にさせてしまう前に、まずは身体の根っこからアプローチしていきましょう。
1. まずは「座る環境」を100点にする
ハサミの練習をする前に、お子さまが椅子に座ったとき「足の裏がしっかりと床(または椅子の足置き場)にペタッとついているか」を確認してください。足の裏が宙に浮いていると、体幹は絶対に安定しません。しっかり足で踏ん張れる環境を作るだけで、驚くほど手先の余計な力が抜け、器用に動かせるようになる子がたくさんいます。
2. 手先を使う前に、まずは「肩と腕を大きく使う遊び」をする
不器用さを変える近道は、意外にも全身運動です。雑巾がけをする、壁に大きな紙を貼ってダイナミックにクレヨンでお絵かきをする、ハイハイで障害物を超える、動物のクマさんの真似をして四つん這いで歩く。これらの遊びは、手首や指先を支える「肩・肘・体幹」の筋肉を劇的に鍛えてくれます。
3. 「道具」のハードルを徹底的に下げる
一般的なハサミは、指を入れる・開く・閉じるといった高度な力が必要です。最初は、握るだけで自然に刃が開く「スプリング付きの練習用ハサミ」や、少ない力で切れる工作用ハサミを使ってください。「自分で切れた!」という脳の成功体験と自信を保障してあげることが、何よりも大切です。
専門家(療育)に頼ってほしいサイン
不器用さの背景に、身体の感覚(固有受容覚や触覚)の凸凹が隠れている場合、ご家庭だけの練習では限界があります。
・スプーンやフォーク、箸の使い方が年齢に対して大きく遅れており、食事のたびに強いイライラや癇癪がある
・ボタンの留め外しや、衣服の着脱など、日常生活の身の回りの動作に大きな支障が出ている
・「どうせできないから」と、工作や描画、新しい運動課題に対して強い拒否反応を示すようになっている
・お母さん自身が、毎日のお手伝いや練習に付き合いきれず、精神的に限界を迎えている
このような場合は、一人で抱え込まずに私たちを頼ってください。
エコルドでは、理学療法士の視点から、お子さまの姿勢の崩れや関節の硬さ、力のコントロール(固有受容覚)の状態を細かく分析します。
そして、ただハサミの練習をするのではなく、ボルダリングを登る、重いブロックを運ぶ、ターゲットにボールを投げるといった「体幹と肩まわりを強くする運動プログラム(粗大運動)」を遊びの中で徹底して行います。
土台がしっかり整うことで、脳からの指令が指先までスムーズに届くようになり、驚くほど自然にハサミや鉛筆が使えるようになっていくのです。
焦らないでください。土台が整えば、指先は必ず動き出します
周りの子が器用に折り紙を折っている姿を見ると、焦って心がザワザワしてしまうお気持ち、本当によく分かります。
でも、お子さまは今、怠けているわけでも、器用さの才能がないわけでもありません。ただ、最上階(指先)を支えるための1階と2階(体幹や肩)を、一生懸命に組み立てている最中なのです。
焦って最上階だけをいじるのではなく、一緒に頑丈な土台を作っていきましょう。
「うちの子の不器用さ、どこからアプローチすればいい?」と迷われた時は、いつでもエコルドはぐみのおうちへお越しください。身体の専門家としてお子さまの姿勢や動きを丁寧に見立て、毎日の生活が笑顔になる具体的なサポートをさせていただきます。
ご相談、ご見学は随時受け付けております。
ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください。
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
理学療法士 内山 隆範