障害者控除とは?障害がある人が受けられる税の優遇措置まとめ

2016/09/27 更新
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障害がある人はもちろん、家族に対しても税金については一定の配慮がされています。それが障害者控除などの税制度です。障害がある人への税制度の概要や条件、適用されるとどれくらい税負担が減るのかなどを詳しくまとめました。

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目次

障害がある人の税控除とは?

障害がある人にはさまざまな税金の優遇措置がとられています。その目的として、国民一人ひとりの税負担をできるだけ平等にしていくことが挙げられます。

納税者の年齢や収入、家族構成などによって負担する税金の金額は異なりますが、日本では国民一人ひとりが税金を支払うことを義務づけられています。しかし納税者の置かれている状況によりそれぞれ税負担の感じ方は異なります。

そこで税金を負担できる能力の差をふまえた上で、税負担が平等になるように様々な制度が作られているのです。

障害がある人の税の優遇措置として代表的な例は障害者控除です。障害者控除とは納税者本人とその家族のうち誰かに障害がある場合、税控除を受けることができる制度です。

障害とは身体障害、知的障害、精神障害などすべての障害を対象としており、障害にあたるかどうかの基準は法律によって定められています。

障害者控除には主に所得税や住民税、そして相続税の税控除があり、控除される金額は障害の重さや家庭環境の状況によって変わります。また障害がある人に対する税の優遇は障害者控除だけではなく、贈与税の優遇など様々な特例が定められています。

所得税・住民税の障害者控除

所得税・住民税における障害者控除は、所得のうち課税対象となる額を一定額差し引くものです。そのため納税者本人やその家族が障害者である場合、障害者控除を受けることで住民税や所得税の負担金額が少なくなります。

所得税・住民税の障害者控除の対象者

障害者控除は所得税法上で定められている障害認定の基準を満たしている必要があります。その一例として以下のものが挙げられます。

・精神保健福祉センターなどの公的機関から知的障害があると判断された人
・精神障害者保健福祉手帳や身体障害者保健福祉手帳の交付を受けている人
・障害者控除対象者認定書が発行されている人

障害があると認定された人の中でも、1、2級の精神障害者福祉保健手帳を持っているなど、特に重度の障害があると判断された場合は、特別障害者とみなされて控除される金額ががさらに多くなり、税負担が軽くなります。

税が控除される対象者と、税金を納める人の関係は?

障害者控除は納税者、控除対象配偶者、もしくは扶養親族が障害がある場合に適応されると国税庁によって定められています。

では控除対象配偶者、そして扶養親族とはどのような人のことを指しているのでしょうか。

まず、控除対象配偶者とは税を納めている人と、民法上の規定によって婚姻関係にある人をさします。

次に扶養親族は、納税者に対して6親等内の血族、3親等内の配偶者側の親族、または里子や市町村長から生活の面倒をまかされた高齢者が対象となります。納税者に対して1親等とは、父母もしくは自身の子どもがあてはまり、2親等は兄弟、おじいちゃんおばあちゃん、孫があてはまります。

控除対象配偶者と扶養親族の共通する条件としては、

・納税者と生計を一にしていること
・1年間の合計所得金額が38万円以下であること
・青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていない、または白色申告者の事業専従者でないこと

以上の3点です。詳しい条件などは国税庁のホームページをご覧ください。

所得税・住民税の控除金額

障害者控除において控除される金額は障害の程度によって異なり、障害者と特別障害者の2パターンに分けられます。控除される金額は障害者一人につき所得税27万円、住民税26万円であり、特別障害者として申請する場合は所得税40万円、住民税30万円です。

また控除対象配偶者、もしくは扶養親族が特別障害者である上に、その人が納税者、納税者の配偶者、もしくは納税者と生計を一にしているその他の親族のいずれかと一緒に住んでいる場合は所得税75万円、住民税53万円の控除があります。
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相続税の障害者控除

障害者控除には相続税が控除される制度もあります。それは相続人が85歳未満の障害者のときは、相続税の額から一定の金額を差し引くというものです。

相続税には主に相続や遺贈が関わってきます。法定相続人と呼ばれる法律上で決められた相続人に遺産が引き継がれることを相続と言います。一方、遺贈とは遺言により遺産が引き継がれることを言います。

平成28年現在、相続税における障害者控除の額は次のようになっています。まず、相続人となる障害者が自身の年齢を85歳から引き、その年数1年につき10万円を足していきます。最終的にでた金額を障害者控除額として、相続税額から差し引きます。相続人が特別障害者のときは10万円ではなく20万円として計算します。

■一般障害者....控除額=10万円×(85歳-相続した時の年齢)
■特別障害者....控除額=20万円×(85歳-控除した時の年齢)

しかし相続した時の年齢が、35歳5ヶ月のように端数が出てしまう場合は5ヶ月などの端数を切り捨てて計算します。

障害者控除が受けられるのは以下の3つの条件全てに当てはまる人です。

1. 相続や遺贈で財産を取得した時に日本国内に住所がある人
2. 相続や遺贈で財産を取得した時に障害者である人
3 .相続や遺贈で財産を取得した人が法定相続人であること

障害認定基準

障害者控除の対象となるのは、次の8つの条件のいずれかに当てはまる人です。

1. 精神上の障害により、事理を弁識する能力を常に欠く状態にある人

2.知的障害:
児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医の判定により、知的障害者と判定された人。このうち重度の知的障害者と判定された人は、特別障害者になります。

3.精神障害:
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定により精神障害者保健福祉手帳(2級、3級)の交付を受けている人。このうち障害等級が1級と記載されている人は、特別障害者になります。

4.身体障害:
身体障害者福祉法の規定により交付を受けた身体障害者手帳(3級~6級)に、身体上の障害がある人として記載されている人。このうち障害等級が1級または2級と記載されている人は、特別障害者になります。

5.満65歳以上の人:
精神又は身体に障害のある年齢が満65歳以上の人で、その障害の程度が1、2又は4に掲げる人に準ずるものとして市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人。このうち特別障害者に準ずるものとして市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人は特別障害者になります。

6.戦傷病者特別援護法の規定により戦傷病者手帳の交付を受けている人。このうち障害の程度が恩給法に定める特別項症から第3項症までの人は特別障害者となります。

7.原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の規定により厚生労働大臣の認定を受けている人

8.この年の12月31日の現況で引き続き6ヶ月以上にわたって身体の障害により寝たきりの状態で、複雑な介護を必要とする人
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障害者控除を申請するうえでの注意点

非課税対象の場合は控除申請も不要

障害者手帳の交付を受けている本人が何かしらで収入を得ている場合、通常は確定申告をする必要があります。しかし前年度の所得の総額が125万円までであれば課税対象とはならないので確定申告の必要はありません。

もし不安であれば最寄の市町村役場や税務署に問い合わせてみましょう。

障害者手帳の交付を申請中・交付予定であり、まだ手元にない場合

身体障害者手帳の交付を受けていない場合は、身体障害者福祉法上の障害があっても障害者控除を受けることができません。

しかし身体障害者手帳の交付を申請中である場合でも、障害者控除を受けることができます。そのときに必要となるものが、身体障害者手帳を交付されるための医師の診断書です。

また精神障害者保健福祉手帳は申請中であっても障害者控除を受けることができないため、交付されてから申請する必要があります。

要介護認定を受けている場合

周囲の協力がなければ日々の生活を送ることができない「要介護認定」を受けていても障害があるとは判断されないということに注意が必要です。なぜなら要介護認定の基準は介護保険法の規定であり、障害者控除には適応されないからです。

しかし、こういったケースにおいても障害者として認定を受けることができる場合があります。それは、年齢が満65歳以上の人で、障害の程度が障害者に準ずるものとして市町村長等や福祉事務所長から認められたときです。

障害があると認められた時に発行される書類は「障害者控除対象者認定書」と呼ばれます。認定書の発行申請には、たとえば東京都八王子市の場合であれば、

•申請書
•対象者本人の介護保険被保険者証
•医師の意見書
•対象者本人の印鑑
•窓口で申請書を提出される方の本人確認書類

といったものが必要です。自治体によって必要なものが異なる場合があるので、市役所にお問い合わせすることをおすすめします。

申込方法

所得税・住民税の障害者控除の場合

障害者控除を受けるためには会社員であれば会社で行われる年末調整の際に、そして自営業者であれば確定申告で可能となります。年末調整では会社の指示に従い提出書類に必要事項を記入し提出手続きをします。

自営業者である場合は年末調整がないため、毎年決められた期間に最寄りの税務署で確定申告を行います。しかし、会社に勤めている人でも年末調整で障害者控除を申請せずに、個人で確定申告を行い、そこで控除を申請することも可能です。

申し込みの際に必要書類とされるものはありません。しかし会社によりコピーの添付を求められることもあるため、障害者手帳、障害者控除認定書などの障害控除を受ける権利があることを証明できるものを、いつでも提示できるよう必ず準備しておきましょう。

相続税の障害者控除の場合

相続税においての障害者控除では相続の開始があったことを知った翌日から10ヶ月以内に、相続税の申告書を税務署に提出し、書類を提出した日と同じ日に相続税を納める必要があります。

その他の障害者本人が受けられる税制上の特例

障害がある人への税負担の配慮は所得税や住民税、障害者控除だけではありません。他にも障害がある人本人が受けることができる特別な制度が存在します。

自動車税・軽自動車税の減免、自動車取得税の減免

身体障害、戦傷病、精神障害、そして知的障害がある人のなかで一定の条件を満たしている場合、申請により自動車税・自動車取得税の減免を受けることができます。

特定障害者に対する贈与税の非課税

障害がある人が生活をしていくために財産権の移動があったときは、特別障害者の方については6,000万円まで、障害者の方については3,000万円まで贈与税がかかりません。

この非課税の適用を受けるためには、財産権を移転する際に障害者非課税信託申告書を、信託会社を通じて最寄りの税務署に提出しなければなりません。

心身障害者扶養共済制度による給付金の非課税

心身障害者扶養共済制度に基づいて支給される給付金については、所得税はかかりません。心身障害者扶養共済制度とは障害がある人の生活の面倒をみている人が、任意で加入する制度です。

これは毎月一定額を扶養している人が支払うことにより、万が一のことがあったときに障害がある人に一定の給付金をおくることができる制度です。しかし、制度の利用をやめたときに支払われる脱退一時金には所得税が発生します。

預貯金が非課税の対象となる(マル優、特別マル優)

身体障害者手帳などの療育手帳の交付を受けている人が銀行などの350万円までの預貯金、貸付信託、公社債、公社債投資信託などで受け取る利子などについては、一定の手続を要件に非課税の適用を受けることができます。これをマル優、特別マル優と呼び、この制度を利用したい場合は、預け入れ等の際に金融機関の窓口などに確認書類として手帳を提示して確認を受ける必要があります。

まとめ

所得控除の一つである障害者控除は、様々な人を対象としているため申請条件・方法が複雑に見えてしまうことがあります。

また障害と一概に言っても、目に見える障害ではない場合があったり、お金の問題ということもあったり、周囲にはなかなか相談できず障害者控除に対してさまざまな不安を抱えている人も多いです。

しかし障害があることを証明するものを既に取得している場合は、申請は年末調整か確定申告の提出書類に必要事項を記入するだけの、比較的かんたんな手続きで控除が受けられます。そのため少しでも気になることがあるときは、国税庁や市区町村の相談窓口に相談することをおすすめします。
障害のある子の家族が知っておきたい「親なきあと」
渡部 伸 (著)
主婦の友社
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