身体障害者手帳の交付を受けていない場合は、身体障害者福祉法上の障害があっても障害者控除を受けることができません。

しかし身体障害者手帳の交付を申請中である場合でも、障害者控除を受けられる場合があり、主な条件は以下になります。

1.身体障害者手帳の交付を申請中あるいは、交付を受けるための医師の診断書がある
2.身体障害者手帳の交付を受けられる程度の障害があると認められる人である

周囲の協力がなければ日々の生活を送ることができない「要介護認定」を受けていても障害があるとは判断されないということに注意が必要です。要介護認定の基準は介護保険法の規定であり、障害者控除とは別の制度であるためです 。

しかし、こういったケースにおいても障害者として認定を受けることができる場合があります。それは、年齢が満65歳以上の人で、障害の程度が知的障害者または身体障害者に準ずるものとして市町村長等から認められたときです。

なお、市町村長等の障害者認定については、詳細は市町村によって異なります。

障害があると認められた時に発行される書類は「障害者控除対象者認定書」と呼ばれます。認定書の発行申請には、たとえば東京都八王子市の場合であれば、

•申請書
•対象者の確認書類（介護保険被保険者証など）
•提出者の本人確認書類　など

といったものが必要です。自治体によって必要なものが異なる場合があるので、市役所にお問い合わせすることをおすすめします。

障害がある人への税負担の特例は所得税や住民税などの障害者控除だけではありません。他にも障害がある人が受けることができる制度を紹介します。

地方公共団体の条例により、自動車税の減免措置があります。

例えば東京都では、障害者手帳等の交付を受けている方が使用する自動車で、一定の要件を満たす場合が減免の対象となっています（申請が必要です）。

障害がある人が生活をしていくために財産の信託があったときは、特別障害者の方については6,000万円まで、障害者の方については3,000万円まで贈与税がかかりません。

この非課税の適用を受けるためには、財産を信託する際に障害者非課税信託申告書を、信託会社を通じて最寄りの税務署に提出する必要があります。

障害者扶養共済制度に基づいて支給される給付金については、所得税はかかりません。 障害者扶養共済制度とは障害のある方を扶養している保護者が、任意で加入する制度です。

これは毎月一定額を保護者が支払うことにより、保護者に万が一のことがあったときに障害がある人に一定額の年金を支給する制度です。なお、加入者が地方公共団体に支払う掛金や脱退一時金は所得控除の対象です。

身体障害者手帳などの交付を受けている場合、一定の手続きを要件に、預貯金等の利子等について非課税の適用を受けることができます。非課税の貯蓄限度額は、350万円です。

◇預貯金等の種類
・銀行などの預貯金、貸付信託、公社債、公社債投資信託など：マル優と呼びます
・利付国債、公募地方債：特別マル優と呼びます

この制度を利用したい場合は、最初に預け入れをする日までに金融機関の窓口などで手帳等を提示して確認を受ける必要があります。

税制上の特例は、主に所得税の障害者控除となります。税制上の特例ではありませんが、子どもに障害があるときには、特別児童扶養手当などを受け取ることもできます。

また、障害者手帳があることで受けられるサービス等については、以下の記事もご参考ください。

所得控除の一つである障害者控除は、さまざまな人を対象としているため申請条件・方法が複雑に見えてしまうことがあります。またお金の問題ということもあり、周囲になかなか相談や話題にしづらいこともあるかもしれません。

しかし障害者手帳等を既に取得している場合は、申請は年末調整か確定申告の提出書類に必要事項を記入するという比較的容易な手続きで控除を受けることができます。分からない点や気になることがあるときは、国税庁や市区町村の相談窓口に相談するとよいでしょう。