障害者控除とは?障害がある人が受けられる税の優遇措置まとめ

ライター:発達障害のキホン
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障害がある人はもちろん、家族に対しても税金については一定の配慮がされています。それが障害者控除などの税制度です。障害がある人への税制度の概要や条件、適用されるとどれくらい税負担が減るのかなどを詳しくまとめました。

目次

障害がある人の税控除とは?

障害がある人にはさまざまな税金の優遇措置がとられています。その目的として、国民一人ひとりの税負担をできるだけ平等にしていくことが挙げられます。

納税者の年齢や収入、家族構成などによって負担する税金の金額は異なりますが、日本では国民一人ひとりが税金を支払うことを義務づけられています。しかし納税者の置かれている状況によりそれぞれ税負担の感じ方は異なります。

そこで税金を負担できる能力の差をふまえた上で、税負担が平等になるように様々な制度が作られているのです。

障害がある人の税の優遇措置として代表的な例は障害者控除です。障害者控除とは納税者本人とその家族のうち誰かに障害がある場合、税控除を受けることができる制度です。

障害とは身体障害、知的障害、精神障害などすべての障害を対象としており、障害にあたるかどうかの基準は法律によって定められています。

障害者控除には主に所得税や住民税、そして相続税の税控除があり、控除される金額は障害の重さや家庭環境の状況によって変わります。また障害がある人に対する税の優遇は障害者控除だけではなく、贈与税の優遇など様々な特例が定められています。

所得税・住民税の障害者控除

所得税・住民税における障害者控除は、所得のうち課税対象となる額を一定額差し引くものです。そのため納税者本人やその家族が障害者である場合、障害者控除を受けることで住民税や所得税の負担金額が少なくなります。

所得税・住民税の障害者控除の対象者

No.1160 障害者控除l 国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1160.htm
障害者控除は所得税法上で定められている障害認定の基準を満たしている必要があります。その一例として以下のものが挙げられます。

・精神保健福祉センターなどの公的機関から知的障害があると判断された人
・精神障害者保健福祉手帳や身体障害者保健福祉手帳の交付を受けている人
・障害者控除対象者認定書が発行されている人

障害があると認定された人の中でも、1、2級の精神障害者福祉保健手帳を持っているなど、特に重度の障害があると判断された場合は、特別障害者とみなされて控除される金額ががさらに多くなり、税負担が軽くなります。

税が控除される対象者と、税金を納める人の関係は?

障害者控除は納税者、控除対象配偶者、もしくは扶養親族が障害がある場合に適応されると国税庁によって定められています。

では控除対象配偶者、そして扶養親族とはどのような人のことを指しているのでしょうか。

まず、控除対象配偶者とは税を納めている人と、民法上の規定によって婚姻関係にある人をさします。

次に扶養親族は、納税者に対して6親等内の血族、3親等内の配偶者側の親族、または里子や市町村長から生活の面倒をまかされた高齢者が対象となります。納税者に対して1親等とは、父母もしくは自身の子どもがあてはまり、2親等は兄弟、おじいちゃんおばあちゃん、孫があてはまります。

控除対象配偶者と扶養親族の共通する条件としては、

・納税者と生計を一にしていること
・1年間の合計所得金額が38万円以下であること
・青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていない、または白色申告者の事業専従者でないこと

以上の3点です。詳しい条件などは国税庁のホームページをご覧ください。
No.1191 配偶者控除l 国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1191.htm

所得税・住民税の控除金額

障害者控除において控除される金額は障害の程度によって異なり、障害者と特別障害者の2パターンに分けられます。控除される金額は障害者一人につき所得税27万円、住民税26万円であり、特別障害者として申請する場合は所得税40万円、住民税30万円です。

また控除対象配偶者、もしくは扶養親族が特別障害者である上に、その人が納税者、納税者の配偶者、もしくは納税者と生計を一にしているその他の親族のいずれかと一緒に住んでいる場合は所得税75万円、住民税53万円の控除があります。
所得税・住民税の障害者控除
所得税・住民税の障害者控除の図
Upload By 発達障害のキホン
所得税や住民税の障害者控除についてl 福島の進路
http://fkeizai.in.arena.ne.jp/pdf/seminar/zeimu_2009_12_1.pdf

相続税の障害者控除

障害者控除には相続税が控除される制度もあります。それは相続人が85歳未満の障害者のときは、相続税の額から一定の金額を差し引くというものです。

相続税には主に相続や遺贈が関わってきます。法定相続人と呼ばれる法律上で決められた相続人に遺産が引き継がれることを相続と言います。一方、遺贈とは遺言により遺産が引き継がれることを言います。

平成28年現在、相続税における障害者控除の額は次のようになっています。まず、相続人となる障害者が自身の年齢を85歳から引き、その年数1年につき10万円を足していきます。最終的にでた金額を障害者控除額として、相続税額から差し引きます。相続人が特別障害者のときは10万円ではなく20万円として計算します。

■一般障害者....控除額=10万円×(85歳-相続した時の年齢)
■特別障害者....控除額=20万円×(85歳-控除した時の年齢)

しかし相続した時の年齢が、35歳5ヶ月のように端数が出てしまう場合は5ヶ月などの端数を切り捨てて計算します。

障害者控除が受けられるのは以下の3つの条件全てに当てはまる人です。

1. 相続や遺贈で財産を取得した時に日本国内に住所がある人
2. 相続や遺贈で財産を取得した時に障害者である人
3 .相続や遺贈で財産を取得した人が法定相続人であること
No.4167 障害者の税額控除l 国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4167.htm
次ページ「障害認定基準」

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