急な予定の変更が苦手…子どもが見通しを持って行動するには?

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ASDのあるお子さんと接するときの注意点として、「急な予定変更をしてはいけない」ということが言われます。しかし、日々の生活の中では予期せぬ事情によって予定を変更せざるを得ないこともしばしば。
そんな状況に直面したときの対処法をお伝えします。

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「切り替え」が苦手な子は何に困っているの?

アナログゲーム療育アドバイザーの松本太一です。
欲しい商品が売り切れだったり、急に雨が降ってきたり…私たちの日常は予期しないアクシデントであふれています。

そんなとき「まぁいいか」と諦めたり、次の行動に気持ちを切り替えたりすることで私たちは対応していますが、この切り替えがとても苦手なのがASD(自閉症スペクトラム症候群)の人たちです。

特にASDと診断されているお子さんと関わる場合は、見通しが立たないことによる不安やパニックの恐れから、「急な予定変更をしてはいけない」と言われています。

親御さんの多くは、その言葉に従ってできるだけ急な予定変更が起きないようにしていますが、実際には時間がないなどの理由で予定変更せざるを得ないこともしばしば。

予定を変えられてしまったお子さんは、見通しが急に立たなくなりパニックを起こしがちです。こうなってしまうと後が大変。落ち着かせるのに一苦労です。

ちょっとしたお出かけや集団行動のたびにパニックになっていては、行動範囲や選択肢も自ずと限られてくるのではないでしょうか。
では、どうすればお子さんがパニックを起こさずに、楽しく外出や集団行動を楽しめるようになるのでしょうか?

不安の原因は「次にどうしたらいいのか?」がわからないこと

そもそも、なぜ急な予定変更をしてはいけないのでしょうか?
それは、変更によって予め意識していた先の見通しが崩れてしまうからです。ASDのお子さんは特にそのことに強い不安を感じる傾向があります。

見方を変えれば、急な予定変更があったとしても、変更後に何が起きるのか?お子さんが明確な見通しを持つことができれば、不安感を減らすことができるのです。

見通しを補ってくれるのが具体的な事前の説明

お子さんに見通しを持ってもらうために必要なのは説明です。
「なぜ変更をするのか」「変更した後はどうするのか」を丁寧に説明します。

例えば、当初遊ぶ予定だったゲームが、途中で時間が足りなくなって遊べなくなるとします。その時は、

「今日はすごろくで遊ぶ予定でしたが、時間がなくなってしまったので、代わりにパズルで遊びます。このパズルは、ヘビの体をつなげていって、たくさんカードを集めた人が勝ち、というゲームです。」

と言った風に、変更の理由と変更した後に何をするかを具体的に伝えます。

言葉の説明に加え、実際にゲームのパッケ-ジを見せるなど、変更後に使う課題や道具などを見せてあげると、より理解しやすいでしょう。
具体的に見せられるものがなければ、新たな予定や次に行う行動を表に書いて見せるのも効果的です。
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言葉の説明に加え、具体的な物を見せるとわかりやすい。
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こうした説明により、変更後の見通しが明確になるためお子さんが不満を抱いたり、不安を感じる可能性は減ると思います。

それでも納得できないときは、子どもたちに選んでもらおう

具体的な説明をしても、お子さんが納得しなかったときには、次の手段としてお子さん自身に判断を任せてみましょう。

「すごろくをやると時間が足りないので、ゲームの途中で終わってしまいます。パズルなら最後までできます。どちらにしますか?」

といった風に、選択肢を示した上で、それぞれの選択をしたときに予想される結果も説明しておきます。
多くの場合、お子さんは当初の予定にこだわって、最初にプレイするはずだったゲームを選ぶと思います。

結果的にはゲームの途中で終了時間が来てしまいますが、予めお子さん自身に判断させるステップを踏んであるので、ゲームが途中で中断するという見通しが立っており、納得しやすいのです。

自分で見通しを立てられるようにするためには?

急な予定変更に直面することは、社会に出ればもっと増えてくるでしょう。

上で紹介した、お子さん自身に判断を任せるというやり方は、お子さん自身が急な予定変更に直面したとき、自分自身で新たな見通しを立て、不安にならずに済む力を身につけてもらうことも狙いとしています。

そうした意味から、個人差はあるものの、自分の置かれた状況を客観的に把握できる小学生中学生以上のお子さんに対しては、最初にご紹介した大人が丁寧に説明をする方法より、むしろ本人に判断を任せてしまう方法をお勧めしています。
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ASD当事者の私も同じく、急な予定変更が苦手です...。
私の場合は経験を積んで対処するだけでなく、「不測の事態を常に予測する」ように心掛けました。それができるようになったのは、成人になってからです。

幼少期から、こうした急な予定変更の時の対策を学べるのは、ありがたいことだと思います。

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