【専門家監修】知能指数(IQ)とは?目安、平均値、測り方、知能指数が低い場合の特徴や支援について解説
知能指数(IQ)とは人の知能の基準を数値化したものです。一般的に知能指数(IQ)が「高い」「低い」という言葉をよく聞きますが、知能指数の値は子どもの成長とどのように関係があるのでしょうか。今回は知能指数に対する正しい理解について、知能指数を知る目的や平均、知的障害(知的発達症)の目安、検査方法と結果の活かし方などを紹介します。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
知能指数(IQ)とは
このコラムで分かること
- 知能指数(IQ)の正しい意味や平均値、知的障害(知的発達症)の診断における目安
- IQの数値だけでなく、項目のばらつき(得意・不得意の差)から見える子どもの特徴と困りごと
- 「ウェクスラー式」や「田中ビネー」など代表的な知能検査の種類と、検査を受けられる場所
- 検査結果を療育手帳の取得や特別支援学校への入学、日々の具体的な支援手立てにどう活かすか
- 子どもの発達や知能について不安を感じた際に頼れる公的な相談窓口
「知能」の概念自体は時代と共に変化していますが、心理学の領域において一般的に記憶、視覚的な情報処理、語彙、言葉の理解、数的な操作などを「知能」としており、芸術性や創造性、他者感情理解などは現在の知能指数(IQ)では基本的に測定されていません。
知能指数(IQ)はいわゆる頭の良さに一致しないところもあるため「知能指数(IQ)が高い」=「頭が良い」ということではありません。
知能指数(IQ)を調べる目的
1.知的機能の遅れがあるかどうかを知る
2.適切な学習指導や支援を受ける際のヒントを知る
3.疾患や障害の有無を鑑別するヒントを得る
検査を受けると、知能指数(IQ)は言語、推論、記憶などさまざまな項目ごとに算出されます。その結果をもとに、現在困っていることへの支援方法を検討したり、学習のつまづきを解消するための指導方法を考えたりすることに活用されます。また、知的障害(知的発達症)などの障害の診断、療育手帳を取得するための指標としても用いられます。
しかし、知能指数(IQ)だけで知的障害(知的発達症)の有無を判断することはありません。医師の診断を受ける際には、知能検査の結果だけでなく適応行動の評価、直接の問診や行動観察など多くのことを参考にしたうえで最終的に診断が行われます。
知能指数(IQ)の目安
知能指数(IQ)の平均は100で、プラスマイナス15が標準偏差(ばらつきの範囲)とされています。
知能指数(IQ)は専門の検査で測ることができ、その多くは「偏差IQ」という指標で結果が出ます。偏差IQは「同年齢の集団においてどの程度の発達レベルなのか」を把握するために、年齢別の平均値を基準として知能指数を算出したものです。
また、知能指数(IQ)が70~75未満だと知的障害(知的発達症)の診断の目安とも言われています。
ただ、一口に「知能指数(IQ)」と言っても、その数値に対する評価基準はさまざまなので、ここでは、厚生労働省が定める障害の程度・判定基準を解説します。
厚生労働省が定める知的障害(知的発達症)の程度・判定基準
例えば、知能指数(IQ)36~50の方でも生活能力が高いと判断されれば、重度ではなく軽度知的障害に含まれます(以下の図※あ)。一方で、知能指数(IQ)51~70の方でも日常生活への生活能力が低い場合は、中度知的障害に含まれる場合もあるということです(以下の図※い)。
知能指数(IQ)の「境界領域」とは
知能指数(IQ)が境界領域の子どもは、知的障害(知的発達症)の診断を受けることや療育手帳の取得が難しい場合があります。また、学習や対人関係で困難を感じていても、支援につながりにくいという特徴もあります。
また、知能指数(IQ)が境界領域の子どもの中には発達障害の特性がある場合もあります。その場合は、本人も周りも困っていることがあるが原因がわからず、対応が遅れてしまう可能性もあります。発達障害があるかどうかは、知能検査の結果だけでなく、ほかの心理検査の結果、普段の様子を長期的に見て判断する必要があります。子どもに気になる様子がある場合は、後ほど紹介する相談窓口で相談してみるといいでしょう。
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知能指数(IQ)の低い子ども、高い子ども、項目間で差が大きい子どもの特徴とは
知能指数(IQ)の低い子どもの特徴
知能指数(IQ)が低い子どもの特徴例
・言葉に遅れがある
・学習についていけない
・身体の使い方が苦手
・友達とのコミュニケーションが苦手
・着替えなど身の回りのことが苦手
・お金や時間の管理が苦手 など
知能指数(IQ)の高い子どもの特徴
知能指数(IQ)が高い子どもの特徴例
・記憶力が高く、さまざまな出来事や情報を記憶している
・語彙が豊富で年齢より進んだ話し方をする
・ルールをすぐに把握し、気になる箇所があれば指摘する
・周囲との考え方の違いから、集団になじめないこともある など
なお、知能指数(IQ)が非常に高い場合、ギフテッドと呼ばれることがあります。英語のgiftedという単語に由来しているギフテッドは、「天賦の才を持つ人々」という意味です。同世代の子どもと比べて、先天的に高い能力を持っている人のことを表す傾向にありますが、医学的な診断名ではありません。また、日本において正式な定義もありません。
ギフテッドについては以下をご覧ください。
知能指数(IQ)の項目間で差が大きい子どもの特徴
このような場合、周りから「本当はできるのに、わざとやっているのでは」と誤解されてしまい、本人の精神的な負担となる可能性もあります。
知能指数(IQ)を測る方法
インターネット上には無料の「IQテスト」などもありますが、あくまで簡易的なもので正確な数値を出すことはできません。子どもの知能指数(IQ)を知りたい場合は専門の知能検査を受けるようにしましょう。
知能検査では、知識、語彙、概念形成に関するさまざまな課題や、非言語的な課題が提示されます。検査の課題は、子どもが興味を持って受けられるような工夫がなされており、例えばなぞなぞのような言葉で回答する問題やパズルなどが挙げられます。
ここでは現在日本でよく使用されている、「ウェクスラー式知能検査」「田中ビネー知能検査」について紹介していきます。
ウェクスラー式知能検査
・幼児(2歳6ヶ月〜7歳3ヶ月)→WPPSI
・児童(5歳から16歳11ヶ月)→WISC
・成人(16歳〜)→WAIS
ウェクスラー式知能検査は、個人の能力の特徴をより分析的に捉えることができます。知的障害(知的発達症)の有無に関する評価だけでなく、障害の確定診断の際に評価の一つとして用いられることがあります。
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知能検査を受けることができる場所
知能検査を受けることができる場所
・児童発達支援センター
・保健センター
・子育て支援センター
・教育センター
・児童相談所
・発達障害者支援センター
・医療機関 など
受けるまでの手順や料金などは実施場所ごとに異なりますので、検討している方は問い合わせてみるといいでしょう。
知能検査とは?知能指数(IQ)や検査の種類、結果の活かし方など【専門家監修】
知能指数(IQ)の活用方法
子どもへの支援
子どもの得意と不得意が可視化されるため、その傾向から児童発達支援などでの支援方針や、学校での学習方法の検討などに活用することができます。
例えば、言語的な指示が理解しにくいけれども、黒板で図示すると理解が進むなど知能検査によってその子の困りごとの原因が分かれば、適切な対応方法を考えることにもつながります。
療育手帳
◇療育手帳の対象者
・IQ値が70以下の方。75程度まで含める自治体もある
・おおむね18歳以前に知的機能障害が認められ、それが持続している
・適応能力が低く日常生活に支障が生じているため、医療・福祉・教育など支援を必要とする
◇療育手帳の区分
自治体によって2区分や4区分に分類される
東京都の例:1度(最重度)、2度(重度)、3度(中度)、4度(軽度)
◇療育手帳を取得するメリット
・保育園入園時など保育・教育面での援助
・就労に向けての支援
・公共交通機関などの割引
・レジャー、スポーツ施設などの割引
・給付、税の減免や控除 など
※上記制度は地域によって異なる場合もあります。
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知的障害特別支援学校への入学
知的障害特別支援学校への入学を希望する場合、出願の際に障害の有無や程度を証明するものとして、知能検査の結果や療育手帳の写しの提出などが必要になる場合があります。
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子どもの知能指数(IQ)が気になる時の相談先
・教育センター
・保健所/保健センター
・児童相談所
・子育て支援センター
・児童発達支援センター
・かかりつけの小児科
・自治体の子育て窓口
相談機関では専門のスタッフがいて相談に乗ってくれるほか、知能検査を受けられる場所を紹介してくれる場合があります。
相談は直接機関に出向く以外にも、電話やネットを通じて行うことができる場所もあります。各機関のサイトを確認してみるといいでしょう。
まとめ
知能検査は、単に知能指数(IQ)を測ることだけではなく、検査結果を基にして、受検者が適切な教育・支援を受けられるようにすることを目的としています。
知能検査の結果を参考にしながら、日常生活におけるお子さんの行動・様子を把握し、専門家とも相談しながらその子本人に合った教育・支援の方法を探していきましょう。
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