IQとは?知識指数を示すIQの定義や知能検査の種類など/専門家監修

ライター:発達障害のキホン
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知能指数(IQ)とは人の知能の基準を数値化したものです。一般的にIQが「高い」「低い」という言葉をよく聞きますが、知能指数の値は子どもの成長とどのように関係があるのでしょうか。今回は知能指数に対する正しい理解について、知能指数を知る目的や検査、関係する疾患などについて紹介します。

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
目次

知能指数(IQ)とは

「知能」の概念自体は時代と共に変化していますが、心理学の領域において一般的に記憶、視覚的な情報処理、語彙、言葉の理解、数的な操作などを「知能」といい、芸術性や創造性、他者感情理解などは現在の知能指数の項目では測定されていません。
いわゆる頭の良さに一致するところもあれば、一致しないところもあるため「IQが高い」=「頭が良い」ということではありません。

知能指数とは、人の知能の基準を数値化したものであり、IQ(intelligence quotientの略)と言うこともあります。

知能指数は、知能検査と呼ばれる検査によって計ることができます。小学校入学後のお子さんが受検する場合が多いですが、知能検査の種類によっては2歳から受検することができるものもあります。また検査結果は、一人ひとりに合った支援や学習指導の方向性を検討するヒントとして使われます。

知能指数の値として、現在は偏差IQというものが使われています。偏差IQは「同年齢の集団においてどの程度の発達レベルなのか」を把握するために、年齢別の平均値を基準として知能指数を算出したものです。
参考:櫻井茂男/著『たのしく学べる発達心理学』2010年 有斐閣/刊
https://www.amazon.co.jp/dp/4810005577

知能指数を調べる目的は?

知能指数を調べる目的は、以下の3点です。

1. 適切な学習指導や支援を受ける際のヒントを知る
2. 疾患や障害の有無を鑑別するヒントを得る
3. 知的機能の遅れがあるかどうかを知る


知能指数の結果は、療育手帳を取得する際や、特別支援学校での教育を受ける際の判断材料の一つとして使われています。ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動症)と知的障害(知的発達症)が合併していないかや、認知特性の偏りを調べる際、LD・SLD(限局性学習症)と知的障害(知的発達症)を見分ける際などにも、知能指数を用います。

しかし、知能指数だけ疾患や障害の有無を判断することはありません。医師の診断を受ける際には、知能検査の結果だけでなく、直接の問診や行動観察、その他の検査結果などが参考にされます。そうして見えてきた個人の特性や困難状況を総合的に判断して、疾患・障害の診断をしたり、支援、治療の判断がなされるのです。
参考:願興寺礼子・吉住隆弘/著『心理検査の実施の初歩』 2011 年ナカニシヤ出版/刊
https://www.amazon.co.jp/dp/4779503876

知能指数の値は、どのように評価されるの?

知能指数(IQ)は、知能を計るものさしの一つとして広く使用され、一般的な言葉としても受け入れられています。

一方で、一口に「知能指数」と言っても、その数値に対する評価基準はさまざまです。ここではWHOが定める知的障害(知的発達症)の基準、厚生労働省が定める障害の程度・判定基準をご紹介します。

WHOが定める知的障害(知的発達症)の程度・判定基準

世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)(※)では、知的障害(知的発達症)の程度基準を、以下のように定義しています。
・50~69 軽度知的障害
・35~49 中度知的障害
・20~34 重度知的障害
・20未満 最重度知的障害
出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4521737056
※ICD-10について:2019年5月、世界保健機関(WHO)の総会で、国際疾病分類の第11回改訂版(ICD-11)が承認されました。日本国内ではこれから、日本語訳や審議、周知などを経て数年以内に施行される見込みです。
参考:ICD-11 | 世界保健機関(WHO)
https://icd.who.int/en/

厚生労働省が定める知的障害(知的発達症)の程度・判定基準

厚生労働省は、知的障害(知的発達症)の程度や判定基準について、以下のように定義しています。ただし、厚生労働省の基準では知能指数だけでなく日常生活能力の水準も加味して知的障害(知的発達症)の程度を判断するとしています。
知的障害児(者)基礎調査:調査の結果|厚生労働省を基に作成
知的障害児(者)基礎調査:調査の結果|厚生労働省を基に作成
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この図では、横軸に日常生活能力水準をaからdで取り、縦軸に「知的機能(IQ)」のレベルをIからIVに取っています。「適応能力(生活能力)」はaに近づくほど自立した生活が難しく、dに近づくほど自立した生活ができるということを表します。また同様にIQが低いほどIに近づき、IQが高いほどIVに近づきます。横軸と縦軸が合わさったところから、知的障害(知的発達症)の程度を診断します。

たとえばIQ36~50の方でも生活能力が高ければ軽度知的障害に含まれます(以下の図※あ)。一方で、IQ51~70の方でも日常生活への生活能力が低い場合は、中度知的障害に含まれる場合もあるということです(以下の図※い)。
知的障害児(者)基礎調査:調査の結果|厚生労働省を基に作成
知的障害児(者)基礎調査:調査の結果|厚生労働省を基に作成
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このように厚生労働省の基準では、知的障害(知的発達症)は知的機能検査だけで判断されるわけではなく、知的機能(IQ)と適応能力(生活能力)の2つが評価されたうえで診断されます。
参考:知的障害児(者)基礎調査:調査の結果|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/101-1c.html
◆療育手帳取得の際に、基準となる知能指数の値
療育手帳は、厚生事務次官通知に基づき、自治体ごとに運用していることから、療育手帳を取得できる知能指数(IQ)には地域によって少し異なります。知能指数(IQ)75以下で手帳を取得できる自治体と知能指数(IQ)70以下に規定している自治体もあるため、手帳取得を希望される場合は、お住まいの自治体でよく確認しましょう。
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知能指数における「境界領域」とは

「境界領域」とは知能指数(IQ)が70~79の領域のことをいいます。

知能指数(IQ)が70~75付近の場合には、療育手帳が取りづらいこともあります。

また、知能指数(IQ)では「境界領域」にあたり知的障害(知的発達症)とは判定されない子どもでも、発達障害の特性がある場合もあります。発達障害があるかどうかは、知能検査の結果だけでなく、他の心理検査の結果、普段の様子を長期的に見て判断する必要があります。

成長が遅れがちな部分だけに焦点を当てるのではなく、持っている能力を評価し、伸ばしていく支援が大切です。
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