ありのままの姿の自閉症を映し出す、ドキュメンタリー映画3作品
次に紹介するのは、実際の事例をもとにしたドキュメンタリー映画3作品です。自閉症者を取り巻く日常の現実が描かれ、私たちの胸を打ちます。
オススメ映画7: 『ちづる』
2022-04-22
紀伊國屋書店
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あらすじ
立教大学現代心理学部映像身体学科の赤﨑正和が、自身の卒業制作として撮影した作品。
重度の知的障害と自閉症をもった赤﨑監督自身の妹・千鶴とその母を1年に渡り撮り続けた、みずみずしくも優しい家族の物語。
最も身近な存在でありながら正面から向き合えなかった妹にカメラで対話した監督は、映画を撮り終える頃、家族との新しい関係を築きあげている自分に気づく。
重度の知的障害と自閉症をもった赤﨑監督自身の妹・千鶴とその母を1年に渡り撮り続けた、みずみずしくも優しい家族の物語。
最も身近な存在でありながら正面から向き合えなかった妹にカメラで対話した監督は、映画を撮り終える頃、家族との新しい関係を築きあげている自分に気づく。
見どころ
もともとは卒業制作として、担当教授や親しい友人たちだけに見てもらうために撮影された作品でした。
しかし学内の上映会で大変な評判を呼び、立教大学の友人たちが「上映委員会」を結成。担当教授であり、映画監督・ドキュメンタリー作家である池谷薫さんの後押しもあって劇場公開に至りました。
カメラの前でいつも通り天真爛漫にはしゃいだり、落ち込んだりと、ありのままの姿を見せてくれる千鶴さん。カメラを回しているのがお兄さんだからこそ、千鶴さんの素敵な表情が映し出されているのでしょう。
しかし学内の上映会で大変な評判を呼び、立教大学の友人たちが「上映委員会」を結成。担当教授であり、映画監督・ドキュメンタリー作家である池谷薫さんの後押しもあって劇場公開に至りました。
カメラの前でいつも通り天真爛漫にはしゃいだり、落ち込んだりと、ありのままの姿を見せてくれる千鶴さん。カメラを回しているのがお兄さんだからこそ、千鶴さんの素敵な表情が映し出されているのでしょう。
これは“知的障がいと自閉症をもつ妹”の映画でもありますし、亡きご主人もふくめた、あるひとつの家族の物語でもあります。
また、正和さんというひとりの青年の成長を(まるで、偶然のように)刻印した映画でもあると思いましたし、母親であり、ひとりの女性である久美さんの映画でもあると強く思いました。
作品情報
監督: 赤﨑正和
DVD参考価格: ¥4,104
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オススメ映画8: 『彼女の名はサビーヌ』
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あらすじ
女優サンドリーヌ・ボネールの初監督作品。
自閉症でありながら、正確な診断を受けることなく、長期にわたる不適切なケアをうけた自身の妹に起きてしまった悲劇を公にした、心を揺さぶるドキュメンタリー。
25年の歳月をかけて撮影された映像は、過去の生き生きとした若かりし頃の妹と、入院期間を経て施設に暮らす現在の彼女の「変化」を容赦なく見せつける。
自閉症でありながら、正確な診断を受けることなく、長期にわたる不適切なケアをうけた自身の妹に起きてしまった悲劇を公にした、心を揺さぶるドキュメンタリー。
25年の歳月をかけて撮影された映像は、過去の生き生きとした若かりし頃の妹と、入院期間を経て施設に暮らす現在の彼女の「変化」を容赦なく見せつける。
見どころ
美しいサビーヌが年月を経て変わり果てていく過程には衝撃を受けます。監督のサンドリーヌは、この映画の目的を、「自閉症者のケアの現状について、公の機関に訴えること。少なくともその実態に目を向けてもらうこと」だと語っています。
悲壮感をあえて排除し、淡々と「自閉症者と一緒に過ごす時間」を描かれた本作品は、第60回カンヌ国際映画祭監督週間に出品され、国際批評家連盟賞を受賞しました。
監督のサンドリーヌが、「家族」としてだけでなく「監督」として妹を撮り続けたからこそ、この思いは果たされたといえるでしょう。
悲壮感をあえて排除し、淡々と「自閉症者と一緒に過ごす時間」を描かれた本作品は、第60回カンヌ国際映画祭監督週間に出品され、国際批評家連盟賞を受賞しました。
監督のサンドリーヌが、「家族」としてだけでなく「監督」として妹を撮り続けたからこそ、この思いは果たされたといえるでしょう。
自閉症の実妹を長年追ったドキュメンタリーである。
今のサビーヌの不安に満ちたまなざしが印象的である。
自傷や他害を繰り返し、過剰投薬の影響で太り、よだれを垂らし、不安定なままで日々を送るしかないサビーヌ。 彼女自身を含め、誰も解消できないところまで追い込まれてしまった状態を、見るしかない。
多分、それしかできない。 いちばん苦しいのはサビーヌなのだ。 安定や穏やかさから遠く離れ、一度あったものを失い続けることはどんな状態であれつらいことだ。
自閉症本人による手記が多々あり、自閉症をテーマにした映画も増えてきたが、これは下手な感動なんか呼ばないと思った。
サビーヌの眼差しを通じて、こちらがどうすればよいのかを突きつけられる。そのために必死にこちらが受け取る必要がある。
フランスは日本よりもはるかに手厚い福祉がある国だと
勝手に思い込んでいましたが、この記録映画を観て、何も知らない自分を恥じました。
本当に良い医療とは、福祉とは何なのだろうか、
たとえ自分の親族や知人にサビーヌのような人がいないとしても、
自分はどう考え、どう行動してゆけばよいのだろうか、
などと、時に辛く重い気持ちになりながら最後まで観ました。
作品情報
監督: サンドリーヌ・ボネール
出演: サビーヌ・ボネール
DVD参考価格: ¥4,104
出演: サビーヌ・ボネール
DVD参考価格: ¥4,104