けれども、呼び名を変える"だけ"では、当事者の抱えている現状は変わらない

「障害」という表記は変えるべき?残すべき?皆さんはどう思いますか?の画像
Upload By 立石美津子
上に挙げた事例を考えると、呼び名を変えることに、人々の見方や意識を変えていく意味はあるのかもしれません。

ですが、いくら呼び方や言葉が変わったとしても、それだけでは当事者が直面している状況は変わりません。

いくら「保護者の日」と呼んだところで、親がいない子どもたちにとってその現実が変わることはありません。子どもたちは、「うちにはママがいない」「うちにはパパがいない。ママ一人で僕を育ててくれている」とちゃんと分かっています。

同じように、「障害」であろうが「障碍」であろうが、その人が何らかの「障害に直面している」という現状も変わりはないのです。それはこの世の中は大多数の定型発達の人が生きやすいようになっているからです。

例えば、合理的配慮が義務化された現在でも、まだまだ学習障害児の子どもも黒板の文字を読み、それを書きとることをさせられている現場は多いのではないでしょうか。音声ソフトやタブレットを使うことなど浸透はまだまだしていません。
いつの時代も障害者は、社会から見て“障害がある”のではなく、理解や配慮のない社会で生きて行く上で“障害に直面している人達”です。

言葉だけをいじって「ハイ、完了!」としないで、「殻に閉じこもっている人」「心の病」「愛情不足」「治療すれば治る」「人づきあいが悪い人」などの間違った認識がなくなり、それぞれに配慮し、みんなが生きやすい社会になればよいのではないでしょうか。

皆さんはどう思いますか?

この記事を書いた人の著書

立石流 子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方
立石美津子(著),市川宏伸(監修)
Amazonで詳しく見る
立石美津子/著『立石流 子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方』2016年/すばる舎/刊
https://www.amazon.co.jp/dp/4799105566
「障害は個性なのか?」その議論にはなんの意味がある?のタイトル画像

「障害は個性なのか?」その議論にはなんの意味がある?

著者・自閉症児の母、立石美津子さんー完璧主義の教育ママが、息子のあるがままを受け止められるまでのタイトル画像

著者・自閉症児の母、立石美津子さんー完璧主義の教育ママが、息子のあるがままを受け止められるまで


追加する

バナー画像 バナー画像

年齢別でコラムを探す


同じキーワードでコラムを探す



放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。