どうやってICD-10の原文を見るの?コードの調べ方は?
ICD-10の英語原文は、WHOのWebサイトで見ることができます。
分類名の日本語訳については、標準病名マスター作業班の作成するWebサイトで閲覧およびコードの検索ができます。
書籍の出版状況は、「F00-F99 精神および行動の障害」セクションとそれ以外で状況が異なります。「F00-F99 精神および行動の障害」セクションには、WHOが発行する公式の関連書がいくつかありますが、それ以外のセクションについては公式の日本語書の出版はありません。これについては、以下の引用に詳しいです。
ICD-10のほとんどの章が単に疾患名を並べたものであるのに対して、「精神および行動の障害に関する分類」つまりICD-10 Fは簡単な用語集(Short Glossary)だけでなく、「臨床記述と診断ガイドライン(CDDG、通称ブルーブック)」および「研究用診断基準(DCR-10、通称グリーンブック)」までも公表したのである。
中根允文・岡崎祐士・藤原妙子・中根秀之・針間博彦/訳『ICD-10 精神および行動の障害 DCR研究用診断基準新訂版』医学書院, 2008)p. 3より引用
そのため、「F00-F99 精神および行動の障害」セクションには、引用中で挙げられた「用語集」や「ブルーブック」といった副読本の日本語訳が出版されています。また、日本の医師たちによって書かれたガイドブックも出版されています。
以下に貼る文献情報がこれらの書籍にあたります。いずれも平易な日本語で書かれており、ICD-10について学ぶには最適です。
以下に貼る文献情報がこれらの書籍にあたります。いずれも平易な日本語で書かれており、ICD-10について学ぶには最適です。
その他には、厚生労働省がICDに関するWebサイトのリストを作成しています。「ICDのABC」というパンフレットの19ページ以降に「ICD関連のHPアドレス」というWebサイトのリストがあります。ICDに関して調べたいことがある場合、このリストが便利です。
DSM(精神障害の診断と統計マニュアル)との違いって?
ICDの他にも、国際的に使用されている疾病分類があります。有名なものに、アメリカ精神医学会が作成するDSM(精神障害の診断と統計マニュアル)があります。DSMの最新版として、2013年に出版された第5版であるDSM-5が使用されています。
ICDとDSMは列挙して参照されることも多く、同じように国際的に使用されている疾病分類として違いがわかりにくいと思います。しかし、以下のような違いがあります。
1. 作成機関…ICDは複数の国が加盟するWHOが作成していますが、DSMはアメリカ精神医学会が作成する疾病分類です。しかし、DSMは事実上アメリカ以外の国で広く使用されています。
2. 分類範囲…DSMは精神障害のみを対象とした分類ですが、ICDは身体疾患を含むすべての疾患を分類しています。
3. 日本の行政で使用されているかどうか…日本の行政で採用されているのはICD-10です。そのため、そのため、自分の診断名についてDSMのコードがわかっても、ICDコードがわからなければ書類上に不備が生じることになります。
「なぜDSMではなく、ICDが採用されるのか」という疑問については、厚生労働省の公式の回答はありませんが、相違点の1・2から理由を推察することができます。
第一に、DSMは精神障害に限定された分類であるため、身体・精神の疾患・障害について厚労省が包括的に死亡統計・疾患統計を作成するというために用いることができません。第二に、省庁が採用するにおいては、一つの国の一つの学会が作成するDSMよりも、WHOという国際機関の作成するICDの方が採用しやすいのかもしれません。
以上の3点が大きな違いになりますが、個々の疾患に着目すれば、分類方法や診断基準にはいくつもの違いがあります。しかし、基本的にはICDはDSMとも整合性を保てるように協議しながら作成されています。
ICDとDSMは列挙して参照されることも多く、同じように国際的に使用されている疾病分類として違いがわかりにくいと思います。しかし、以下のような違いがあります。
1. 作成機関…ICDは複数の国が加盟するWHOが作成していますが、DSMはアメリカ精神医学会が作成する疾病分類です。しかし、DSMは事実上アメリカ以外の国で広く使用されています。
2. 分類範囲…DSMは精神障害のみを対象とした分類ですが、ICDは身体疾患を含むすべての疾患を分類しています。
3. 日本の行政で使用されているかどうか…日本の行政で採用されているのはICD-10です。そのため、そのため、自分の診断名についてDSMのコードがわかっても、ICDコードがわからなければ書類上に不備が生じることになります。
「なぜDSMではなく、ICDが採用されるのか」という疑問については、厚生労働省の公式の回答はありませんが、相違点の1・2から理由を推察することができます。
第一に、DSMは精神障害に限定された分類であるため、身体・精神の疾患・障害について厚労省が包括的に死亡統計・疾患統計を作成するというために用いることができません。第二に、省庁が採用するにおいては、一つの国の一つの学会が作成するDSMよりも、WHOという国際機関の作成するICDの方が採用しやすいのかもしれません。
以上の3点が大きな違いになりますが、個々の疾患に着目すれば、分類方法や診断基準にはいくつもの違いがあります。しかし、基本的にはICDはDSMとも整合性を保てるように協議しながら作成されています。
おわりに
ICDは専門家が使用する疾病分類ですが、病気について勉強する上で概要を知っておくと医学の領域について理解が深まるかもしれません。さらに勉強を進めたい場合は、記事で紹介したWebサイトや書籍をあたってみてください。
ICD-11の施行にむけ、日本でも厚生労働省、各学会によって疾病名や翻訳、ガイドラインなどが整えられていきます。今後の動向にも注目していきましょう。
ICD-11の施行にむけ、日本でも厚生労働省、各学会によって疾病名や翻訳、ガイドラインなどが整えられていきます。今後の動向にも注目していきましょう。
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