ようやく障害児専門歯科に行くことを決意!実際に見てみると、驚きの連続だった

奇妙な意地を張り続けてドクターショッピングを繰り返していた私ですが、就学児健診で

「上の歯で怪しいのが一本ありますねえ。早めに歯科に行って診てもらってくださいね」

と言われ、もう気分がガックリとなってしまいました。「この子には歯医者さんはもう無理だよ…」「わたし、歯医者さん探すの疲れたよ」というくたびれはてた私の心の声が聞こえてきました。そしてようやく、

「もうこれが最後の賭けだ…。障害児の専門歯科に行ってみよう」

と決心したのです。

当日、なんとか息子を説得して障害児(者)専門歯科に連れていきました。先生が息子の顎を触った瞬間、息子がいつもどおり「くすぐったい!!!」と叫びました。そのときに先生が、「あ、感覚過敏があるんだね~。感覚過敏があるのは、顎だけかな?首とかも嫌?」と聞いてきたのです。
くすぐったいと叫ぶ息子
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この質問に、私も息子も呆気にとられました。今まで必ず、「何言ってるの!!我慢しなさい!」と言われてきたからです。

そして先生は、息子の顎を十秒ぐらいぎゅーっと押しました。

「これ、脱感作療法っていいます。ぎゅーっと長いこと触れていると、感覚過敏が和らいでいくのよ。分かる?」

私は、思わず涙が出そうになりました。息子もこのやり取りで、一気に先生に信頼を置くようになりました。感覚の過敏さは我慢できるものではない、そう分かってくれているというだけで、息子にとっては安心感があったのでしょう。

その後、「フッ素とシーラントの味は味覚過敏で受け付けません」と私が言ったところ、先生はフッ素を何種類か持ってきてくれました。
フッ素は3種類から選べる
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そして、「りんご味、ブドウ味、チョコレート味のフッ素があるよ。お口に入れても大丈夫なのはどれかしら?好きなのを選んでね」

と聞いてくれました。すると息子は、「チョコレート味のフッ素なら大丈夫。僕、毎日チョコレート味のキシリトールを食べてるから」と言いました。

さらに息子にとって拷問だった電動ブラシによる歯のブラッシングも、「何秒なら耐えられるか、自分で設定してくれる?」と先生から言われました。息子は、「5秒なら耐えられます」と言い、いつものように大騒ぎせずに治療が終了しました。

歯医者さんは、「発達障害の子には、こういう風に自分のハードルを自分で設定することが大事なんです。ここまでならできる、って自分で決めさせるんです。そうしたら、ちゃんとできるんですよ」とおっしゃいました。

これは歯科治療に限らず、発達障害児の子育て全般に使える方法だと思います。

歯医者さん克服が、息子の成功体験につながった!

次の予約とってもいい?と聞く息子
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いつも歯医者さんに行くと、「僕はどうせ」としくしく泣いていた息子でしたが、このときは自分から「次の予約取る」「ずっとここにする」と言ってくれました。帰宅してからも、今までダメだったフッ素がちゃんと塗れたこと、電動ブラシが我慢できたことをずっと誇らしげに話してくれました。息子にとって、歯科治療が成功体験になったのです。

このときは、「とにかく普通の子のための歯医者さんで頑張らせたい」という意地で、親子ともに苦しんでいたことを反省しました。もっと早く、専門の先生にたどり着いていれば、息子があんなに苦しむこともなかったのにと。

場所が少し離れていても、歯医者さんとの精神的な距離はグンと近くなりました。なによりも息子が、自分で次の予約を取ると言ってくれたのですから。
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