【医師監修】シャフリングベビーとは?特徴や原因、発達障害との関係を解説

ライター:医師・専門家監修|発達障害・支援のキホン
【医師監修】シャフリングベビーとは?特徴や原因、発達障害との関係を解説のタイトル画像
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=29922000007

シャフリングベビーとは、乳児期後半でも四つ這いのハイハイをせず、お座り姿勢のまま移動する赤ちゃんのことです。寝返りや歩き始めが遅いという特徴もあるため心配する保護者もいるようですが、近年ではハイハイの一種として認知されつつあります。当コラムではシャフリングベビーの特徴、発達障害や自閉症との関連性をまとめました。シャフリングを卒業するための工夫も併せてご紹介します。

監修者藤井明子のアイコン
監修: 藤井明子
小児科専門医
小児神経専門医
てんかん専門医
子どものこころ専門医
どんぐり発達クリニック院長
東京女子医科大学大学院修了。東京女子医科大学病院、長崎県立子ども医療福祉センターで研鑽を積み、2019年よりさくらキッズくりにっく院長に就任。2024年より、どんぐり発達クリニック院長、育心会児童発達部門統括医師に就任。お子様の個性を大切にしながら、親御さんの子育ての悩みにも寄り添う診療を行っている。 3人の子どもを育児中である。
目次

シャフリングベビーとは?

この記事で分かること

  • シャフリングベビーの特徴と、一般的なハイハイとの違い
  • シャフリングの原因や発達障害や疾患が疑われるケースの判断基準
  • 「足の裏が敏感」「うつぶせを嫌う」といった特性への理解と対応
  • 遊びの中で「ハイハイ」や「つかまり立ち」を促すための具体的な練習法
シャフリングベビーとは、四つ這いのハイハイの代わりにお座りの姿勢で移動をする赤ちゃんのことです。シャフリングベビーの語源は「足を引きずって歩く」という意味の英語“shuffle”に由来しています。
座ったままの姿勢で移動するというこのユニークな動きは、 「いざりばい*注」「尻ばい」と呼ばれることもあります。シャフリングをする赤ちゃんを「シャッフラー」と呼ぶこともあります。赤ちゃんは生後半年~10ヶ月頃までにずりばい、腰すわり、四つ這い、高這い の順で移動手段を獲得するのが一般的ですが、シャフリングベビーはオーソドックスなハイハイをせず、お座り姿勢での移動 を経てつかまり立ち、一人歩きへと進むことが多いです。

シャフリングベビーは医学的には一般的ではないが珍しくはなく、個性的ではあるが異常ではない、と考えられています。

*「いざる」は現在では差別用語とされていますが、乳幼児の動作を表す言葉として慣習的に使われてきた背景を説明するため、本記事内では部分的に使用しました。

シャフリングベビーの特徴は?

シャフリングベビーには座った姿勢で移動をしたがる以外にも、以下のような特徴があるそうです。

1. 首すわりから腰すわりまでの神経発達は定型的
2. 寝返りを始める時期が遅い、もしくは寝返りをしない
3. うつぶせの姿勢を嫌う
4. 足を床につけるのを嫌がる(足の裏を触られるのを嫌がる)
5. 脇を支えて持ちあげても脚は伸ばさず、お座り姿勢のまま
6. 一般的なハイハイはしない

シャフリングは腰がすわってからつたい歩きを習得するまでの期間に発生します。シャフリングをしている期間は1~5ヶ月強と赤ちゃんごとに幅があり、短期間のシャフリングのあとハイハイに移行する赤ちゃんと、数ヶ月間のシャフリング後につかまり立ち、つたい歩きに移行する赤ちゃんがいるそうです。
出典:1歳6カ月児健診におけるshuffling babyの疫学的調査 P41より
https://doi.org/10.11251/ojjscn1969.18.484

シャフリングベビーになる原因は?

シャフリングベビーになる原因は現在の医学では解明されていません。
ほとんどのシャフリングベビーは、遅くとも2歳までに歩き始め、その後の発達は定型発達児と変わりなく成長していくのは前述の通りです。シャフリングベビーの中には、ごくまれに発達障害や神経系の疾患がシャフリングの原因となっているケースがあります。
定型発達のバリエーションとしてシャフリングする赤ちゃんと、障害や疾患を由来としてシャフリングをしている赤ちゃんを見分けるには、まず以下の4点にあてはまるかを観察する必要があります。

(1)ミルクの飲みが悪い
(2)泣き方が弱い
(3)首のすわりが悪く抱っこするとぐらぐらする
(4)手指の発達が遅い

これら4つの特徴は「低緊張」と呼ばれる状態の赤ちゃんに見られるものですが、低緊張のためシャフリングをしていると推測される赤ちゃんでも、ただちに疾患や障害があるという診断はできません。なぜなら低緊張の状態は、時間の経過や日々の運動遊びでも改善できることがあり、一過性の場合もあるからです。
【医師監修】低緊張(筋緊張低下)とは。低緊張の赤ちゃんの症状、原因疾患、発達障害との関連、治療法を解説のタイトル画像

【医師監修】低緊張(筋緊張低下)とは。低緊張の赤ちゃんの症状、原因疾患、発達障害との関連、治療法を解説

低緊張と見られる状態でシャフリングをする赤ちゃんは、さらに以下の3点についても注意しながら見ていきます。

・言葉の理解が遅い
・手指の発達が遅い
・表情の発達が乏しい

この中の1つ以上思い当たることがあれば、脳性麻痺(まひ)、ASD(自閉スペクトラム症)などの発達障害や疾患に由来するシャフリングである可能性があります。この場合はまず冷静に専門家に相談し、診断や支援を求めることをおすすめします。受診のきっかけがつかめない場合は、予防接種や乳幼児健診の機会を利用して、まずは小児科医に相談してみてはいかがでしょうか?
【専門家監修】ASD(自閉スペクトラム症)の子どもの0歳~6歳、小学生、思春期まで年齢別の特徴、診断や治療、支援、接し方などのタイトル画像

【専門家監修】ASD(自閉スペクトラム症)の子どもの0歳~6歳、小学生、思春期まで年齢別の特徴、診断や治療、支援、接し方など

【医師監修】脳性麻痺とは?いつ分かる?原因や症状、治療方法、支援制度などのタイトル画像

【医師監修】脳性麻痺とは?いつ分かる?原因や症状、治療方法、支援制度など

ダウン症とは?原因や特徴、接し方、支援について解説【専門家監修】のタイトル画像

ダウン症とは?原因や特徴、接し方、支援について解説【専門家監修】

発達障害とは?特徴・症状・分類や診断方法について【専門家監修】のタイトル画像

発達障害とは?特徴・症状・分類や診断方法について【専門家監修】

PLUSバナー

シャフリングベビーの不安を相談するには?

乳幼児の発達は特に個人差が大きく、スピードも経過も十人十色とはいうものの、ユニークな赤ちゃんの育児に不安を感じるのは親心としては自然なことかもしれません。育児書の目安とは異なるシャフリングベビーとの暮らしに疑問や迷いが生じたときは、以下に紹介する相談窓口を利用してみてはいかがでしょうか?

小児科
地域子育て支援センター
児童相談所(こども相談所)
保健福祉センター


もし住居の近くに上記のような機関があるか分からない、相談するタイミングがつかめないというときは、自治体主催の乳幼児健康診査(乳幼児健診)を利用しても、同様の相談ができます。

赤ちゃんにハイハイやつかまり立ちを促す工夫は?

シャフリングをする赤ちゃんの姿はユニークで愛らしいものですが、ハイハイや、つかまり立ちやつたい歩きを心待ちにしている、という方もおられるかもしれません。そこで、この章ではハイハイやつかまり立ちを促す親子遊びの方法を3つずつご紹介します。

ハイハイを促す場合

ハイハイを促す場合は、うつぶせでお腹がつく姿勢に慣れていくことが初めの一歩です。うつ伏せを嫌がらない範囲で、少しずつ慣らせていきましょう。

・うつぶせ姿勢で遊ばせる
うつぶせ姿勢を嫌うのはシャフリングベビーの特徴ですが、ハイハイを促すためにうつぶせの姿勢に慣れることは必要でしょう。仰向けで寝転がった大人のお腹の上で赤ちゃんをうつぶせにすると、体が密着していて目が合うので赤ちゃんは安心し、少し長めにうつぶせをしてくれることが多いといわれています。赤ちゃんの体が落ちないように配慮しながらバランスボールの上でうつぶせにさせてもよいでしょう。
この姿勢は頭を支える肩や背中の筋力を鍛えるとともに、うつぶせで重心をとる感覚を強化していくことができます。大人がうつぶせの赤ちゃんを抱えあげて前後に揺らす、飛行機遊びのような動きも喜ぶかもしれません。

・赤ちゃんの背後や左右から呼びかける
シャフリングベビーは、お座り姿勢から別の姿勢になることを避ける傾向があります。正面からの呼び掛けには方向転換の必要がないため赤ちゃんはシャフリングで移動をしますが、背後や左右から呼び掛けた場合はすばやく方向転換をするために手を使う頻度が上がります。この過程で赤ちゃんは自然に重心を左右に傾ける感覚をつかんでいき、いつしかお座りから四つ這い、四つ這いからお座りになることに慣れていきます。

・ハイハイを見せる、追いかけっこをする
保護者やほかの赤ちゃんがハイハイする姿をたくさん見せてあげるのもよいでしょう。また、シャフリングをする赤ちゃんをハイハイで追いかけたり、ハイハイしながら逃げるそぶりを見せる遊びをすることで、赤ちゃんが手と脚を連動して動かすことを視覚的に覚え、ハイハイする意欲を引き出せるかもしれません。熊や犬、猫など、四足歩行の動物の出てくる絵本や動画をいっしょに見て、真似をしてみるのもよいでしょう。
ハイハイはいつから?ハイハイしない・しないで立つのは問題?原因と練習方法【医師監修】のタイトル画像

ハイハイはいつから?ハイハイしない・しないで立つのは問題?原因と練習方法【医師監修】

つかまり立ちを促す場合

赤ちゃんが足裏で床などの感触を感じて、足腰で体重を支える遊びを取り入れることで、つかまり立ちへの興味がわくかもしれません。シャフリングベビーは前述の通り足裏の感覚が過敏なな傾向があるため、赤ちゃんが不機嫌になるようなら短時間で切り上げ、無理のない範囲でやってみるとよいでしょう。

歩行器の使用については、シャフリングする赤ちゃんの足腰の発達を促したい場合、控えたほうがいい場合もあるでしょう。歩行器は上半身を支える力を補助する効果がある一方で、爪先だけの軽い蹴りでも移動ができてしまうからです。立つ/歩くということは、すなわち自分自身の力で体を支え、腰と足裏でバランスをとって移動できるようになることなので、補助器具を用いた練習はほどほどにしたほうがよいかもしれません。

・足裏でキック
お座り赤ちゃんの足の裏に手のひらや膝(ひざ)を合わせて軽く押します。力をかけることで、足の裏で体重を支える感覚を疑似体験させるとともに、筋肉の発達を促します。保護者の太ももや膝に腰をかけさせ、足裏をしっかり床につけた状態で、赤ちゃんの脇を支えて左右に一緒に揺れる運動もおすすめです。

・布団などをよじ登らせる
少し高さのあるものを乗り越える遊びは、高い位置に手をついて立ち、手と足裏で体を支える練習になります。この遊びは視野が広げる経験が増えるため、立つ・歩く意欲を自然に引き出すことが期待できます。布団がなければ大人がうつぶせになった上を乗り越えさせたり、低めのテーブルを使ったりしてもよいでしょう。転落、転倒防止のため、最初は低い段差から挑戦しましょう。

・家具越しに「いないいないばぁ」
テーブルやソファ越しに赤ちゃんと「いないいないばぁ」をします。赤ちゃんの座高より高い位置から顔を出すと、赤ちゃんは保護者の顔をのぞきこもうとして手をつき、自然とお尻を浮かせる動作をすることがあります。赤ちゃんはこの動作で、腰から膝、足裏に重心を移動しつつバランスをとる感覚を覚えていきます。
能力と意欲を伸ばす積極育児法―脳の発達期0‾2才 (ベビモブックス)
久保田 競 (著)
主婦の友社
Amazonで詳しく見る
自分の体を自分の力だけで支え、動かす感覚は、歩き始めたあともさまざまな運動の発達に関係してきます。運動機能の基礎は歩き始めてから鍛えても遅くはありませんが、自力で移動できること自体が赤ちゃんと保護者の喜びや自信につながるのは、乳幼児期ならではの経験です。この時期だけの成長過程を楽しみつつ、その後につながる運動能力をつけてあげられるとよいですね。

まとめ

シャフリングベビーとは、お座り姿勢のまま移動する個性的な赤ちゃんの呼び方です。シャフリングベビーは歩き始めるのは遅めでも、その後の発達に問題はないという統計データがあるので、その赤ちゃんなりの運動発達の道筋として温かく見守ってあげてください。

もしユニークな移動方法に不安を覚えた場合でも、シャフリングを卒業するためにできる工夫はいろいろあります。赤ちゃんの体の状態や生活環境を理解し、遊びの中でハイハイやつかまり立ちを促すことも工夫の一つですし、小児科医や地域子育てセンターに相談し、支援してもらうのも、保護者だからこそできることではないでしょうか?

赤ちゃんはその子らしいペース、方法で必ず成長していくものです。保護者の前向きな言葉かけや笑顔も赤ちゃんのハイハイやつかまり立ちの意欲をひき出します。動作のバリエーションを数多く体験をさせてあげることがシャフリングの卒業につながります。
能力と意欲を伸ばす積極育児法―脳の発達期0‾2才 (ベビモブックス)
久保田 競 (著)
主婦の友社
Amazonで詳しく見る
ずりばいは何か月から?気になる練習法やハイハイとの違い【小児科医監修】のタイトル画像

ずりばいは何か月から?気になる練習法やハイハイとの違い【小児科医監修】

喃語(なんご)はいつから?喃語が出ない・遅い原因と発語を促す言葉がけの工夫【医師監修】のタイトル画像

喃語(なんご)はいつから?喃語が出ない・遅い原因と発語を促す言葉がけの工夫【医師監修】

【専門家監修】DCD(発達性協調運動症)とは?具体的な特徴や対応法、子どもの体験談のタイトル画像

【専門家監修】DCD(発達性協調運動症)とは?具体的な特徴や対応法、子どもの体験談

自閉症息子と定型発達の赤ちゃんの、20の違いのタイトル画像

自閉症息子と定型発達の赤ちゃんの、20の違い

1歳半健診で発達の遅れが気になったら?経過観察と言われたらどうする?発達障害の可能性も?相談できる専門機関や発達支援を紹介【精神科医監修】のタイトル画像

1歳半健診で発達の遅れが気になったら?経過観察と言われたらどうする?発達障害の可能性も?相談できる専門機関や発達支援を紹介【精神科医監修】

PLUSバナー


年齢別でコラムを探す


同じキーワードでコラムを探す



放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。