【医師監修】シャフリングベビーとは?特徴や原因、発達障害との関係を解説
シャフリングベビーとは、乳児期後半でも四つ這いのハイハイをせず、お座り姿勢のまま移動する赤ちゃんのことです。寝返りや歩き始めが遅いという特徴もあるため心配する保護者もいるようですが、近年ではハイハイの一種として認知されつつあります。当コラムではシャフリングベビーの特徴、発達障害や自閉症との関連性をまとめました。シャフリングを卒業するための工夫も併せてご紹介します。
小児神経専門医
てんかん専門医
子どものこころ専門医
どんぐり発達クリニック院長
シャフリングベビーとは?
この記事で分かること
- シャフリングベビーの特徴と、一般的なハイハイとの違い
- シャフリングの原因や発達障害や疾患が疑われるケースの判断基準
- 「足の裏が敏感」「うつぶせを嫌う」といった特性への理解と対応
- 遊びの中で「ハイハイ」や「つかまり立ち」を促すための具体的な練習法
シャフリングベビーは医学的には一般的ではないが珍しくはなく、個性的ではあるが異常ではない、と考えられています。
*「いざる」は現在では差別用語とされていますが、乳幼児の動作を表す言葉として慣習的に使われてきた背景を説明するため、本記事内では部分的に使用しました。
シャフリングベビーの特徴は?
1. 首すわりから腰すわりまでの神経発達は定型的
2. 寝返りを始める時期が遅い、もしくは寝返りをしない
3. うつぶせの姿勢を嫌う
4. 足を床につけるのを嫌がる(足の裏を触られるのを嫌がる)
5. 脇を支えて持ちあげても脚は伸ばさず、お座り姿勢のまま
6. 一般的なハイハイはしない
シャフリングは腰がすわってからつたい歩きを習得するまでの期間に発生します。シャフリングをしている期間は1~5ヶ月強と赤ちゃんごとに幅があり、短期間のシャフリングのあとハイハイに移行する赤ちゃんと、数ヶ月間のシャフリング後につかまり立ち、つたい歩きに移行する赤ちゃんがいるそうです。
シャフリングベビーになる原因は?
ほとんどのシャフリングベビーは、遅くとも2歳までに歩き始め、その後の発達は定型発達児と変わりなく成長していくのは前述の通りです。シャフリングベビーの中には、ごくまれに発達障害や神経系の疾患がシャフリングの原因となっているケースがあります。
(1)ミルクの飲みが悪い
(2)泣き方が弱い
(3)首のすわりが悪く抱っこするとぐらぐらする
(4)手指の発達が遅い
これら4つの特徴は「低緊張」と呼ばれる状態の赤ちゃんに見られるものですが、低緊張のためシャフリングをしていると推測される赤ちゃんでも、ただちに疾患や障害があるという診断はできません。なぜなら低緊張の状態は、時間の経過や日々の運動遊びでも改善できることがあり、一過性の場合もあるからです。
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・言葉の理解が遅い
・手指の発達が遅い
・表情の発達が乏しい
この中の1つ以上思い当たることがあれば、脳性麻痺(まひ)、ASD(自閉スペクトラム症)などの発達障害や疾患に由来するシャフリングである可能性があります。この場合はまず冷静に専門家に相談し、診断や支援を求めることをおすすめします。受診のきっかけがつかめない場合は、予防接種や乳幼児健診の機会を利用して、まずは小児科医に相談してみてはいかがでしょうか?
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シャフリングベビーの不安を相談するには?
小児科
地域子育て支援センター
児童相談所(こども相談所)
保健福祉センター
もし住居の近くに上記のような機関があるか分からない、相談するタイミングがつかめないというときは、自治体主催の乳幼児健康診査(乳幼児健診)を利用しても、同様の相談ができます。
赤ちゃんにハイハイやつかまり立ちを促す工夫は?
ハイハイを促す場合
・うつぶせ姿勢で遊ばせる
うつぶせ姿勢を嫌うのはシャフリングベビーの特徴ですが、ハイハイを促すためにうつぶせの姿勢に慣れることは必要でしょう。仰向けで寝転がった大人のお腹の上で赤ちゃんをうつぶせにすると、体が密着していて目が合うので赤ちゃんは安心し、少し長めにうつぶせをしてくれることが多いといわれています。赤ちゃんの体が落ちないように配慮しながらバランスボールの上でうつぶせにさせてもよいでしょう。
この姿勢は頭を支える肩や背中の筋力を鍛えるとともに、うつぶせで重心をとる感覚を強化していくことができます。大人がうつぶせの赤ちゃんを抱えあげて前後に揺らす、飛行機遊びのような動きも喜ぶかもしれません。
・赤ちゃんの背後や左右から呼びかける
シャフリングベビーは、お座り姿勢から別の姿勢になることを避ける傾向があります。正面からの呼び掛けには方向転換の必要がないため赤ちゃんはシャフリングで移動をしますが、背後や左右から呼び掛けた場合はすばやく方向転換をするために手を使う頻度が上がります。この過程で赤ちゃんは自然に重心を左右に傾ける感覚をつかんでいき、いつしかお座りから四つ這い、四つ這いからお座りになることに慣れていきます。
・ハイハイを見せる、追いかけっこをする
保護者やほかの赤ちゃんがハイハイする姿をたくさん見せてあげるのもよいでしょう。また、シャフリングをする赤ちゃんをハイハイで追いかけたり、ハイハイしながら逃げるそぶりを見せる遊びをすることで、赤ちゃんが手と脚を連動して動かすことを視覚的に覚え、ハイハイする意欲を引き出せるかもしれません。熊や犬、猫など、四足歩行の動物の出てくる絵本や動画をいっしょに見て、真似をしてみるのもよいでしょう。
ハイハイはいつから?ハイハイしない・しないで立つのは問題?原因と練習方法【医師監修】
つかまり立ちを促す場合
歩行器の使用については、シャフリングする赤ちゃんの足腰の発達を促したい場合、控えたほうがいい場合もあるでしょう。歩行器は上半身を支える力を補助する効果がある一方で、爪先だけの軽い蹴りでも移動ができてしまうからです。立つ/歩くということは、すなわち自分自身の力で体を支え、腰と足裏でバランスをとって移動できるようになることなので、補助器具を用いた練習はほどほどにしたほうがよいかもしれません。
・足裏でキック
お座り赤ちゃんの足の裏に手のひらや膝(ひざ)を合わせて軽く押します。力をかけることで、足の裏で体重を支える感覚を疑似体験させるとともに、筋肉の発達を促します。保護者の太ももや膝に腰をかけさせ、足裏をしっかり床につけた状態で、赤ちゃんの脇を支えて左右に一緒に揺れる運動もおすすめです。
・布団などをよじ登らせる
少し高さのあるものを乗り越える遊びは、高い位置に手をついて立ち、手と足裏で体を支える練習になります。この遊びは視野が広げる経験が増えるため、立つ・歩く意欲を自然に引き出すことが期待できます。布団がなければ大人がうつぶせになった上を乗り越えさせたり、低めのテーブルを使ったりしてもよいでしょう。転落、転倒防止のため、最初は低い段差から挑戦しましょう。
・家具越しに「いないいないばぁ」
テーブルやソファ越しに赤ちゃんと「いないいないばぁ」をします。赤ちゃんの座高より高い位置から顔を出すと、赤ちゃんは保護者の顔をのぞきこもうとして手をつき、自然とお尻を浮かせる動作をすることがあります。赤ちゃんはこの動作で、腰から膝、足裏に重心を移動しつつバランスをとる感覚を覚えていきます。
まとめ
もしユニークな移動方法に不安を覚えた場合でも、シャフリングを卒業するためにできる工夫はいろいろあります。赤ちゃんの体の状態や生活環境を理解し、遊びの中でハイハイやつかまり立ちを促すことも工夫の一つですし、小児科医や地域子育てセンターに相談し、支援してもらうのも、保護者だからこそできることではないでしょうか?
赤ちゃんはその子らしいペース、方法で必ず成長していくものです。保護者の前向きな言葉かけや笑顔も赤ちゃんのハイハイやつかまり立ちの意欲をひき出します。動作のバリエーションを数多く体験をさせてあげることがシャフリングの卒業につながります。
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