シャフリングベビーとは?特徴やハイハイをしない原因、その後の発達や障害の可能性、相談先について

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シャフリングベビーとは、乳児期後半でもよつんばいのハイハイをせず、お座り姿勢のまま移動する赤ちゃんのことです。歩き始めが遅いという特徴もあるため心配する保護者もいるようですが、近年ではハイハイの一種として認知されつつあります。当コラムではシャフリングベビーの特徴、発達障害や自閉症との関連性をまとめました。シャフリングを卒業するための工夫も併せてご紹介します。

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発達障害のキホン
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目次 シャフリングベビーとは? シャフリングベビーの特徴は? シャフリングベビーになる原因は? シャフリングベビーの不安を相談するには? 赤ちゃんにハイハイしてほしい・立ってほしい時の工夫は? まとめ

シャフリングベビーとは?

シャフリングベビーとは、よつんばいのハイハイの代わりにお座りの姿勢で移動をする赤ちゃんのことです。シャフリングベビーの語源は「足を引きずって歩く」という意味の英語“shuffle”に由来しています。まずは動画でその動きをご覧ください。

K’s Clinic 川村和久さん(小児科医)Upload

座ったままの姿勢で移動するというこのユニークな動きは、ハイハイの1種類で「いざりばい*注」「尻ばい」と呼ばれることもあります。シャフリングをする赤ちゃんを「シャッフラー」と呼ぶこともあります。赤ちゃんは生後半年~10ヶ月頃までにずりばい、腰すわり、ハイハイの順で移動手段を獲得するのが一般的ですが、シャフリングベビーはオーソドックスなハイハイをせず、お座り姿勢のハイハイを経てつかまり立ち、一人歩きへと進むことがほとんどだそうです。

*「いざる」は現在では差別用語とされていますが、乳幼児の動作を表す言葉として慣習的に使われてきた背景を説明するため、本記事内では部分的に使用しました。
いわゆるよつんばいスタイルのハイハイをしないことに不安をもつ保護者は多いものですが、医学博士で日本子ども学会理事長でもある榊原洋一さんは、チャイルド・リサーチ・ネットのブログで以下のように解説しています。

(イギリスの小児科医)ロブソンは、シャッフラーは多くの子どもと異なった筋道で運動発達を示す「正常な子ども」であると結論しています。
なぜ、ハイハイをせずに、シャッフルするのかまだその理由は分かっていません。赤ちゃんはだれでもハイハイする、という常識が実はそうではなかったのですね。

出典:http://www.blog.crn.or.jp/lab/07/18.html
このように、シャフリングベビーは医学的には一般的ではないが珍しくはなく、個性的ではあるが異常ではない、と考えられています。

シャフリングベビーの特徴は?

シャフリングベビーには座った姿勢で移動をしたがる以外にも、以下のような特徴があるそうです。

1. 首すわりから腰すわりまでの神経発達は定型的
2. 寝返りを始める時期が遅い、もしくは寝返りをしない
3. うつぶせの姿勢を嫌う
4. 足を床につけるのを嫌がる
5. 脇を支えて持ちあげても脚は伸ばさず、お座り姿勢のまま
6. 一般的なハイハイはしない

シャフリングは腰がすわってからつたい歩きを習得するまでの期間に発生します。シャフリングをしている期間は1~5ヶ月強と赤ちゃんごとに幅があり、短期間のシャフリングの後ハイハイに移行する赤ちゃんと、数ヶ月間のシャフリング後につかまり立ち、つたい歩きに移行する赤ちゃんがいるそうです。

シャフリングベビーは歩き始めが生後1歳6~10ヶ月と遅めな傾向があるそうです。1980年代に福岡県で行われた地域調査では、シャフリングベビーの95%以上は2歳頃までには一人歩きを始め、その後の発達は定型発達児と変わらず、成長の遅れも認められないという結果が出たそうです。
上記論文には夏生まれの赤ちゃんは、他の季節に比べてシャフリングベビーになる率がやや高いという調査結果も掲載されています。夏生まれの赤ちゃんは寝返りからハイハイの時期が冬になるため、厚着で運動遊びがしにくく、そのためシャフリングする赤ちゃんがやや多いのではないか、という推論に言及しています。

また、座敷文化の日本より土足文化の欧米に若干シャフリングベビーが多いというデータもあることから、家屋環境の違いもシャフリングベビーの発生に関係があるのではないか、との推測はできるかもしれません。

シャフリングベビーになる原因は?

シャフリングベビーになる原因は現在の医学では解明されていませんが、先に紹介した地域調査と愛知県の乳幼児健診の追跡調査から、シャフリングべビーと診断された幼児には以下の所見があったそうです。

・シャフリングベビーの親や兄弟姉妹のうち、40%にシャフリングをする/した人がいる
・脚の動かし方、手の使い方のバリエーションが少ない
・下半身の筋肉の張りが弱く、筋肉量も少なめ
上記の所見があっても、ほとんどの赤ちゃんは2歳までに歩き始め、その後の発達は定型発達児と変わりなく成長していくのは前述の通りですが、シャフリングベビーの中には、ごくまれに発達障害や神経系の疾患がシャフリングの原因となっているケースがあります。

定型発達のバリエーションとしてシャフリングする赤ちゃんと、障害や疾患を由来としてシャフリングをしている赤ちゃんを見分けるには、まず以下の4点にあてはまるかを観察する必要があります。

(1)ミルクの飲みが悪い
(2)泣き方が弱い
(3)首のすわりが悪く抱っこするとぐらぐらする
(4)手指の発達が遅い

これら4つの特徴は「低緊張」と呼ばれる状態の赤ちゃんに見られるものですが、低緊張のためシャフリングをしていると推測される赤ちゃんでも、ただちに疾患や障害があるという診断はできません。なぜなら低緊張の状態は、時間の経過や日々の運動遊びでも改善できることがあり、一過性の場合もあるからです。
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低緊張と見られる状態でシャフリングをする赤ちゃんは、さらに以下の3点についても注視していきます。

・言葉の理解が遅い
・手指の発達が遅い
・表情の発達が乏しい

この中の1つ以上思い当たることがあれば、ダウン症候群、脳性麻痺(まひ)、自閉症スペクトラム障害などの発達障害や疾患に由来するシャフリングである可能性があります。この場合はまず冷静に専門家に相談し、診断や支援を求めることをおすすめします。受診のきっかけがつかめない場合は、予防接種や乳幼児健診の機会を利用して、まずは小児科医に相談してみてはいかがでしょうか?
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赤ちゃんの健全な成長を願う親心には不安がつきものですが、素人判断は赤ちゃんのためにはなりません。専門家に診てもらうことで疾患の可能性がないとわかれば安心できるし、仮に障害の可能性があった場合は、早期発見・早期治療につながります。

低緊張状態は理学療法で改善する場合もあるので、そのための施設や専門家を紹介してもらえる機会も得られるはずです。専門家の手を借りることは、保護者として赤ちゃんのためにできることの一つなので、上手に利用できるとよいですね。

シャフリングベビーの不安を相談するには?

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