先天性ミオパチーとは?どんな症状があるの?遺伝するの?病型の分類や検査・治療法、支援をご紹介

2017/03/31 更新
先天性ミオパチーとは?どんな症状があるの?遺伝するの?病型の分類や検査・治療法、支援をご紹介のタイトル画像

先天性ミオパチーとは、遺伝子の異常が原因で発症する筋肉の病気です。具体的にはどのような症状があらわれるのでしょうか。この記事では、先天性ミオパチーの詳しい分類や症状、検査方法、治療方法のほかにも、受けられる支援サービスについても詳しく解説します。

発達障害のキホンさんのアイコン
発達障害のキホン
77118 View
目次
  • 先天性ミオパチーとは
  • 先天性ミオパチーにはさまざまな病型があります
  • 先天性ミオパチーはどんな症状がみられるの?
  • 先天性ミオパチーの原因は?
  • 先天性ミオパチーかなと思ったら専門家に相談を
  • 先天性ミオパチーの診断
  • 先天性ミオパチーの治療
  • 先天性ミオパチーの人が受けられる支援
  • まとめ

先天性ミオパチーとは

先天性」とは「生まれつき」、「ミオパチー」とは「筋肉に現れる病気」を意味する言葉で、先天性ミオパチーとは、生まれつき筋肉に何らかの異常がある疾患の総称です。

日本には1,000人~3,000人の患者がいると考えられているものの、正確な数字は把握できていません。推計によると10万人に3.5~5人が発症するきわめて稀な疾患で、国に難病として指定されています。

筋肉にかかわる遺伝子の異常で発症すると考えられており、乳児期に発見される場合や、成人になって診断される場合など、発症時期は人それぞれ違います。

乳児期に症状がみられる場合には、体を支える筋肉の張りが弱く、体がくにゃくにゃとしていることが多いようです。

幼少期には座ったり歩いたりする運動発達の遅れ成人期には疲れやすかったり、力が入らなかったりする自覚症状がみられます。
子どもの低緊張(筋緊張低下症)とは?フロッピーインファントの具体的な症状、治療法、相談先についてのタイトル画像

関連記事

子どもの低緊張(筋緊張低下症)とは?フロッピーインファントの具体的な症状、治療法、相談先について

先天性ミオパチーにはさまざまな病型があります

先天性ミオパチーは筋肉組織を詳しく調べて分類します

先天性ミオパチーは遺伝子の異常が原因で発症しますが、遺伝子検査で病型を分類することはせず、顕微鏡で筋肉の組織を詳しく調べ、その特徴からおもに4つの病型に分類します。

同じ遺伝子に異常があっても筋肉組織に共通の特徴がみられない場合もあり、原因となる遺伝子を遺伝子検査で確定することはできても、病型を判別することはできません。

また、あらわれる症状も病型ごとに決まっていないことからも、病型を確定する際には筋肉の組織を調べる方法を採用しています

各病型

・ネマリンミオパチー
先天性ミオパチーのなかでも、発症頻度のもっとも高い疾患です。顕微鏡で筋肉の組織を見ると、糸くずのようなもの(ネマリン小体)が筋繊維の中にあるかどうかでわかります。心臓の筋肉に異常を引き起こすことはほとんどないと考えられています。

・セントラルコア病、ミニコア病
ネマリンミオパチーの次に発症頻度が高いことで知られています。軽症の方が多く、多くは乳幼児期の発達の遅れから発見されます。顔の筋肉にはあまり異常がみられず、体幹に近い筋肉に異常がみられることが多いため、この病型では側弯症や関節がかたくなってしまうことがあります。

筋肉の組織は大きさが均一ではなく、細胞の真ん中にコアと呼ばれる果物の芯のようなものが見えることが特徴です。

・ミオチュブラーミオパチー、中心核病
遺伝形式から、男性だけに発症すると考えられており、軽症から重症まで症状の程度はさまざまです。筋肉の組織をみてみると、筋肉繊維になる前の段階の筋管細胞(ミオチューブ)に構造が似ていることが特徴です。

・先天性筋線維タイプ不均等症、全タイプ1線維ミオパチー
筋肉には、赤筋と白筋というふたつのタイプの繊維があります。この病型では、2つの筋肉繊維の量が均等ではなく、サイズも小さいことが分かっています。

筋繊維が細く、未熟なことが多いために症状を発症するのではないかと考えられています。

・その他、分類不能な先天性ミオパチー
詳しい検査をしても病型がわからない場合には、分類不能な先天性ミオパチーと診断される方もいらっしゃいます。

先天性ミオパチーはどんな症状がみられるの?

すべての病型に共通する症状

以下の2つの症状は、どの病型でも共通しています。

・筋力低下、筋緊張の低下、運動発達の遅れ
筋力が低下することで、転びやすかったり、階段の昇降がつらかったり、すぐに疲れやすかったりする症状が出ます。

乳幼児では、筋肉の張りが弱いために姿勢を保てない症状のほか、首の座りや自立歩行など体を動かす発達に遅れがみられます。

・深部腱反射の減弱または消失
膝をたたくと、足がぽーんと上がる反射を深部腱反射と呼びます。先天性ミオパチーの人では、この反射が弱いか、もしくは反射がみられません。

人によって異なる症状

病型や重症度によって症状や合併症は異なります。以下におもな症状をご紹介します。

・顔筋肉の異常:顔にある筋肉が弱いために細長い顔立ちとなり、表情が乏しくなることが多いようです

・高口蓋:上あごのドームが高い形をしています

・呼吸障害:呼吸不全や、痰が出しにくい症状などがあらわれます

・心臓に関連した合併症:心臓が収縮するときに使われる筋肉の異常で心筋症、不整脈などがみられます

・関節に関連した合併症:関節がかたくなってしまったり、側弯症など脊椎が変形してしまったりすることがあります

・飲み込む障害:飲み込むための筋肉が弱いため、乳児では哺乳障害、離乳期以降では摂食障害がみられることもあります

・てんかん:突然意識を失ってしまうなどの「てんかん発作」を合併する場合があります。脳のある部分の神経細胞が、異常な電気を突然発射してしまうことで発作が起きます。どのような発作が起こるかは、電気発射の部分で異なります。

・知的障害:てんかんを繰り返すことで知的障害がすすんでしまうこともあります。

重症度もさまざま

各病型では、「重症先天型」「良好先天型」「成人型」と3つの重症度で区分されています。

・重症先天型:新生児期から症状があらわれるのが重症先天型です。呼吸をすること、おっぱいを飲むことが自力では難しいので、人工呼吸器や経管での栄養補給が必要となります。

・良好先天型:先天性ミオパチーを発症する方の大半は、この良好先天型です。良好先天型では、多くが乳幼児期の運動発達の遅れから発見され、特に首のすわりが遅いことが特徴です。

他にも、歩き始めが2~3歳と遅いことが多く、転びやすかったり、階段で手すりを使わないと上り下りできなかったりという特徴がみられます。

なお、筋力の低下は進行しないか、進行してもゆっくりであることが分かっています。心臓の筋肉に影響がある場合は少ないものの、呼吸筋が弱いこともあるので呼吸管理は重要です。

良好先天型では、本人や周りも気づかないほど軽症のために、大人になってから診断される人もいます。目立った症状がない場合でも、アキレス腱が短い、高口蓋などの症状はあるようです。

・成人型:成人になって全身の筋力、もしくは体幹に近い部分の筋力が突然低下してしまい、先天性ミオパチーを発症する場合には成人型に区分されます。

なお、肺炎となって診断されることもあるようです。呼吸に関係する筋肉が低下して、飲み込むことが難しくなってしまった結果、誤嚥による肺炎を引き起こして診断につながるのかもしれません。

先天性ミオパチーの原因は?

遺伝子の異常が原因で、筋肉をつくりだすたんぱく質がうまくつくられない、うまく働かないことで、筋肉の症状として発症します。先天性ミオパチーを発症している人を調べると、筋肉にかかわる遺伝子のひとつが異常が見つかるのが一般的のようです。

なお、先天性ミオパチー全体でみてみると、発症にかかわる複数の遺伝子が発見されていますが、研究途上にあるために未解明の部分も多いのが現状です。

遺伝子の異常ですので遺伝するものの、原因となる遺伝子の遺伝形式によっては発症しないこともあります。また、突然変異で発症する可能性もあります。

ヒトは22対(44本)の常染色体と、1対(2本)の性染色体を持っています。先天性ミオパチーの遺伝形式は、「常染色体優性遺伝」「常染色体劣性遺伝」「X染色体劣性遺伝(性染色体の遺伝形式)」の3つのタイプがあります。

同じ遺伝子であっても、「常染色体優性遺伝」と「常染色体劣性遺伝」のどちらかを取る場合があるなど、その遺伝形式はさまざまです。

・常染色体優性遺伝:対になっている遺伝子のうち、片方が異常だと発症します

・常染色体劣性遺伝:対になっている遺伝子のうち、2つとも異常だと発症します

・X染色体劣性遺伝:X染色体上に遺伝子の異常があると発症します。
ミオチュブラーミオパチーでの遺伝形式で、男性50%で発症する可能性があり、女性では通常では発症しません。

女性の性染色体は「XX型」ですので、両方のX染色体に異常がないと発症しないためです。ただし、XX染色体のどちらかに異常遺伝子を持っている場合には、発症せずに保因者となります。

先天性ミオパチーかなと思ったら専門家に相談を

さまざまなかたちであらわれる症状に対して適切な処置を行うためにも、先天性ミオパチーを早期に発見することがとても重要です。そこで、幼少期に以下のような症状があれば、まずは小児科で相談をしてみてください

・体がグニャっとしていて首が前に起きない。(右写真)
・ジャンプができない。
・階段を昇るときに手すりを使う。
・床から立ち上がるときに膝を使って立つ。
・走ると遅い。
・立ち上がるときにおしりをちょっと上げて立つ。

先天性ミオパチーを疑う症状|一般社団法人先天性ミオパチーの会

出典:http://www.sentensei308.com/myopathy/early/
だた、先天性ミオパチーは、筋ジストロフィーなど、ほかの筋肉の病気と症状が似ていることも多いこともわかっています。精密検査をしなければ病気を確定できませんので、お近くに小児神経内科の病院があればそちらで相談してみましょう

遺伝カウンセリングで相談も

遺伝カウンセリングで相談することができます。家族や親戚に先天性ミオパチーの方がいらっしゃるなど、不安な方は相談してみるのも良いと思います。

遺伝カウンセリングは、大学病院など大きな医療機関に併設されていることが多いので、相談にあたっては紹介状が必要です。まずは、遺伝カウンセリングの希望を受診する医師に伝えましょう。

先天性ミオパチーの診断

医師の診察では、顔立ちの特徴や体の動かし方を診るほか、高口蓋、頸屈筋の筋力低下があるかどうかなどを診るようです。

医師の診察にくわえて、血液検査や筋電図検査、心電図、骨格筋画像検査なども行われます。

これらの検査結果から、先天性ミオパチーの可能性が考えられる場合には筋肉組織の精密検査を行い、病気の確定と病型を判断します。また、遺伝子解析をしてどの遺伝子に異常がみとめられるのかについても分析します。

先天性ミオパチーの治療

遺伝子の異常は、残念ながら現状では治せません。そこで、あらわれている症状や疾患にあわせて治療を進めていきます。

筋肉は体全体にあるため、全身に症状があらわれます。そこで、複数の専門科の医師が医療チームを組んで、包括的に治療を行うことが多いようです。難病でもあることから、複数の専門科がそろっている大きな病院での治療が中心となります。

各症状への治療もしくは対処法

・筋力低下の症状
筋力が低下するのをできるだけ防ぐ、また今ある筋力量を維持するために、リハビリテーションでの治療が行われます。筋力低下で、歩くことができないなどの場合には人工装具や車いすを使います。

・顔筋肉の異常、高口蓋(口の中の空間が広い。上あごのドームが高い)
歯に影響が出ることもあるので、歯科治療が必要な場合もあります。

・呼吸障害( 呼吸不全、痰が出しにくい)
呼吸リハビリテーションを行ったり、非侵襲的人工呼吸器などを使ったりします。(非侵襲的人工呼吸器とは、気管切開をせずに鼻マスクを使って人工呼吸ができる器具のことです。)

呼吸にかかわる筋肉に異常がみられると、呼吸障害を引き起こしてしまうため、早期の呼吸リハビリテーションがとても大切です

また、痰を出しやすくすることで、感染症を予防するも目的のひとつです。呼吸リハビリテーション施設の一覧のリンクで、お近くにある施設を探してみてください。
心臓が収縮するときに使う筋の機能が低下することで心筋症や不整脈などの合併症がある場合には、薬の処方など内科的処置をします。

関節がかたくなってしまう、側弯症など脊椎が変形してしまう症状には、定期的なリハビリーションで関節を柔らかく保つ、人工装具を使うことなどで対処します。

・飲み込むための筋力が弱いと、乳児では哺乳障害・離乳期以降では摂食障害を引き起こします。言語療法や、栄養管理が必要になるかもしれません。
言語療法・言語聴覚療法とは?対象となる障害、具体的な内容、費用について紹介しますのタイトル画像

関連記事

言語療法・言語聴覚療法とは?対象となる障害、具体的な内容、費用について紹介します

知的障害を併発している場合には、環境作りや療育など、本人にあった支援方法を実践することが大切です。

てんかんがある場合には、薬を服用して予防するといった内科的処置をする必要があります。
知的障害とは?「IQ」と「適応機能」の関係、程度別の特徴や症状、診断基準について解説しますのタイトル画像

関連記事

知的障害とは?「IQ」と「適応機能」の関係、程度別の特徴や症状、診断基準について解説します

知的障害の原因は?遺伝する確率はあるの?のタイトル画像

関連記事

知的障害の原因は?遺伝する確率はあるの?

知的障害の子どもの接し方は?子育ての困難と対処法まとめのタイトル画像

関連記事

知的障害の子どもの接し方は?子育ての困難と対処法まとめ

症状が軽くても無理はしないで

症状が軽い場合には、日常生活を支障なく送れる人が多いようです。そのため、つらい時でも周囲にあわせなければ・・・と、つい無理をしてしまうこともあるようです。

まずは体の負担を増やさないように無理はしないようにしましょう。体の負担が大きい場面、たとえば、長時間歩く遠足、体育の授業などでは、車いすを使う、見学するなどの配慮をしてもらうことも考えてみてください。

体育で疲れ果てる、息がしづらくなる時には、もしかしたら呼吸筋の異常があるかもしれません。定期的にかかりつけの医師に相談しましょう

筋疾患では、筋ジストロフィーでの臨床研究が進んでいます。先天性ミオパチーでも、厚生労働省による「難治性疾患制作研究事業」が進められ、研究体制が整備されているところです。

また、国立精神・神経医療研究センターが運営する患者登録サイト「Remudy」で、先天性ミオパチーのためのページが2016年8月に起ち上がりました。登録すると、最新の臨床研究や、ワークショップ、治験の情報などを受け取れるようです。

Remudy(Registry of Muscular Dystrophy)は、臨床試験/治験を目的として、患者さまと製薬関連企業・研究者との橋渡しをする登録システム

出典:http://www.remudy.jp/info/index.html
このほか、患者会に登録して、同じ先天性ミオパチーの方とつながりをもち、悩みなどを共有するのも良いかもしれません。
先天性ミオパチー患者会以外にも、筋肉疾患全体の患者会があり講演会や交流会が開かれているようです。

先天性ミオパチーの人が受けられる支援

発達ナビPLUSバナー
当サイトに掲載されている情報、及びこの情報を用いて行う利用者の行動や判断につきまして、正確性、完全性、有益性、適合性、その他一切について責任を負うものではありません。また、掲載されている感想やご意見等に関しましても個々人のものとなり、全ての方にあてはまるものではありません。
あわせて読みたい関連記事

あわせて読みたい関連記事

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOメディア&ソリューションズがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOメディア&ソリューションズは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOメディア&ソリューションズの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。