先天性ミオパチーの診断

先天性ミオパチーは、筋力や筋緊張の低下といった症状から気付かれ、最終的には筋生検(少量の筋肉を採取し顕微鏡で調べること)と、遺伝子変異の検索などから診断が行われます。

具体的には、症状から疑われた場合にまずは血液検査や筋電図検査、また骨格筋画像検査などが行われ、以下のようなことが分かった場合に、筋生検や遺伝子検査といった精密検査が行われることが多いです。

・血液検査:血清クレアチンキナーゼ値の正常値から軽度の上昇
・筋電図検査(筋肉の反応性を調べる):正常あるいは筋原性変化
・骨格筋画像検査(CTまたはMRI):萎縮や脂肪変性

医師は、筋力低下がみられる筋肉組織の所見をもとに、病型の分類を行います。特徴的な顕微鏡での所見を示さず「分類不能な先天性ミオパチー」の診断となる場合もあります。

筋生検は、少量の筋肉を採取することが必要となります。全身麻酔や局所麻酔などにより行われます。

先天性ミオパチーの治療

先天性ミオパチーは、現時点では根治的治療は存在しないと言われています。症状に応じて、リハビリテーションや手術、呼吸障害や側弯に対する治療などが行われます。

対症療法を通じて症状を緩和し、QOL(生活の質)の向上を図っていくことが大切です。

ほかにも、内科的処置として心筋症や不整脈などに対して、薬の処方などが行われることもあります。飲み込むための筋力が弱いと、乳児では哺乳障害、離乳期以降では摂食障害が生じることがあり、栄養管理が必要になることもあります。

知的障害(知的発達症)がある場合には、本人にあった環境作りや発達支援などが大事であり、てんかんがある場合には薬の服用などが行われます。
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先天性ミオパチーのときに利用できる制度の例

18歳未満の子どもへの医療費助成

先天性ミオパチーは、小児慢性特定疾病にも指定されており、医療費の自己負担分の一部を助成する制度を利用することができます。自己負担上限額は、症状の程度や年収によっても異なります。

小児慢性特定疾病の医療費助成を受けるには症状の程度などに要件があり、基本的には18歳未満の子どもを対象としていますが、18歳以後も継続して治療が必要と認められる場合などには 、20歳未満の人も対象となっています。

また、自宅で過ごす日常生活に大きく支障のある子どもを対象に、日用生活用具の給付事業などもあります。

医療費助成のほかに、「小児慢性特定疾病児童等支援事業」として都道府県や指定都市などが相談支援や自立支援員による支援などを行うこととされています。相談支援の中には、療育相談やピアカウンセリング、在宅の子どもへの巡回などがあります。

支援内容は、自治体で異なるため、お住まいの地域の保健医療の窓口に問い合わせてみましょう。
参考:小児慢性特定疾病の医療費助成について|小児慢性特定疾病情報センター
https://www.shouman.jp/assist/
参考:小児慢性特定疾病 重症患者認定基準|小児慢性特定疾病情報センター
https://www.shouman.jp/assist/accreditation
参考:日常生活用具給付事業について|小児慢性特定疾病情報センター
https://www.shouman.jp/assist/utensil

指定難病の医療費助成が受けられます

国が「難病の患者に対する医療等に関する法律」に定められる基準に基づいて医療費助成制度の対象としている難病を「指定難病」と呼びます。先天性ミオパチーは「指定難病」であるため、一定の条件を満たす場合に医療費の助成を受けることができます。

医療費助成の対象となる条件
・重症度分類に照らし合わせて、症状の程度が一定程度以上
・症状の程度が重症度分類等に該当しないものの、ひと月の医療費総額が33,330円を超える月が1年以内に3回以上ある場合(軽症高額該当)

助成を受けるためには、医療受給者証※が必要です。医療受給者証の発行には、難病指定医による診断書と必要書類を合わせて、都道府県・指定都市の窓口に医療費助成の申請をします。
※正しくは、特定医療費(指定難病)受給者証

申請には「臨床調査個人票」と呼ばれる診断書が必要になるため、まずは医師に相談するといいでしょう。なお、令和5年10月1日以降の申請から臨床調査個人票の様式が変更となっています。先天性ミオパチーの臨床調査個人票は以下の厚生労働省Webサイトからダウンロードできます。

参考:平成27年7月1日施行の指定難病(告示番号111~306)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000079293.html
参考:医療費助成リーフレット|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000157899.pdf

高額療養費制度

高額療養費制度とは、1ヶ月にかかった医療費の自己負担分が、一定の限度額を超えたときにあとから払い戻される制度です。所得金額で自己負担分の限度額が異なります。詳しい限度額は「全国健康保険協会」のホームページから参照できます。
参考:全国健康保険協会ホームページ
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/

障害者手帳

症状によって、身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳などの取得も可能です。障害者手帳を取得することで、障害の種類や程度に応じてさまざまな福祉サービスを受けることができます。
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特別児童扶養手当

障害のある子どもを対象に一定の手当を支給する国の制度です。支給される金額や必要書類は、障害の状態などによって異なります。詳しくは、以下の記事をご参考ください。
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障害年金

障害年金は、障害のある人を対象とした国の年金制度のひとつです。申請すると、主に障害の程度によって決められた一定の金額を毎月受給することができます。制度の概要や申請方法や支給金額などについては、以下の記事をご参考ください。
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障害者控除

障害のある人とその家族への税金には、障害者控除などの税の特例措置があります。障害者控除には主に所得税や住民税、そして相続税の税控除があり、控除される金額は障害の程度や家庭環境の状況によって変わります。詳しくは以下の記事をご参考ください。
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家族もふくめた支援サービス

医療型短期入所(ショートステイ)の利用も選択肢のひとつになるかもしれません。

医療型短期入所は、医療的ケアを受けながら在宅で生活する人やその家族を支えるためのサービスです。家族が休息や用事などの理由で介護ができない場合に、生活の場として必要なケアを受けながら過ごすことができます。

1回あたり1日から数週間の利用が一般的で、毎日医療的ケアを行っている家族が休息する(レスパイト)こともできます。レスパイトとしての役割だけでなく、本人が家族以外の人と過ごし一緒に活動を行う機会にもなります。
参考:あなたの街にも医療型ショートステイが必要です|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000654272.pdf
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