発達障害の人の恋愛は難しい?よくある困りごとや解決案など/専門家監修
発達障害のある人のなかには、恋愛が苦手と感じている人もいらっしゃるのではないでしょうか?また発達障害の子どもがいる親にとって、子どもの恋愛や結婚は心配ごとの一つだと思います。障害特性によるさまざまな困りごとはありえますが、幸せな恋愛や結婚をしている人は多くいます。そこで、発達障害の人の恋愛で起こる困りごとと解決法の一例、素敵な恋愛をするために心がけたいことなどを紹介します。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
発達障害があると恋愛は難しいと、あきらめていませんか?
発達障害がある人は、その特性から対人関係やコミュニケーションに困難を感じることが多くありますが、これは恋愛に関しても多く当てはまります。苦手意識をもっていたり、半ば諦めてしまったりしている人もいるのではないでしょうか。
パートナーが発達障害のある人の場合、その特性ゆえに悩んでしまったり不満を抱えてしまったりすることもあるかもしれません。
また、発達障害の子どもがいる親は、「子どもに好きな人ができたら、どうなるの?交際、結婚はできるの?」と不安に思ったり、恋に悩む子どもをどう見守ったらよいか迷ったりするかもしれません。
発達障害がある人やそのパートナーの、恋愛や結婚でよくある困りごとについて考えながら、素敵な恋愛ができるコツを一緒に探っていきましょう。
発達障害のある人が恋愛で困ることって?
自閉スペクトラム症(ASD)
恋愛をするうえでは、コミュニケーション能力の乏しさが困りごとにつながることがあります。自閉スペクトラム症の人は、相手の気持ちや感情を読み取ったり、目的のない雑談をしたりすることが苦手と感じることが多いと言われています。そのため、恋人の気持ちがわからず無意識に怒らせてしまったり、会話のやりとりがうまくできず、不満を与えてしまったりすることがあるかもしれません。
【専門家監修】ASD(自閉スペクトラム症)の子どもの0歳~6歳、小学生、思春期まで年齢別の特徴、診断や治療、支援、接し方など
ADHD(注意欠如・多動症)
この不注意、多動性、衝動性が恋愛においてもうまくいかない原因になることがあります。例えば、不注意ゆえにデートや記念日を忘れて恋人を怒らせてしまう、衝動性ゆえに思いついたら相手に構わず行動したり発言したりしてしまう、というようなことがあるかもしれません。
【専門家監修】ADHD(注意欠如多動症)の3つのタイプとは?「不注意」「多動・衝動性」「混合」それぞれの特徴を解説
恋愛したいと思ったとき、発達障害の人が心がけたいこととは?
自分の恋愛面での困りごとをほかの人に相談し、どう感じるか意見を聞いてみる
最初は相手の気持ちが分からないことが多くても、第三者に相談してみることで相手の気持ちと行動のパターンが見えてきたり、相手の感情を読み取る力を少しずつ習得できたりします。
自分の特性を自分自身で理解し、相手にも理解してもらう
例えば、「デートを約束した日時や場所を忘れることが多く、恋人に怒られてしまう」と悩んでいるとします。このような場合、自分の特性と、恋愛面の悩みごとを照らし合わせてみましょう。「自分はADHDの不注意性が強く、忘れっぽいところがある。デートの約束をしても時間や場所をすぐ忘れてしまうことがある。悪気はないけれど、その対策は考えておいたほうがいい」と気づくことができます。
困りごとの背景にある自分の特性を理解することで「だからうまくいかなかったんだ」と納得することができます。また、原因が分かれば少しずつ対策を考えていくこともできるでしょう。
自分の中で困り感と特性が結びついたら、それを相手にも伝えてみましょう。自分の特性について相手にも理解してもらうことで、2人で協力して解決していくことができます。
デートの日時や場所を忘れてしまう、という例の場合、「忘れっぽいのは自分の特性だから、忘れたときに思い出せるように記録を残しておけばよい」と考えることができます。カレンダーに日時や場所を書いておいたり、携帯電話やスマートフォンのリマインダー機能を活用したりして、すぐにデートとその詳細が思い出せるようにするといった工夫をすれば、悩みごとが改善できるかもしれません。
また、恋人に「自分には忘れっぽいという特性があって、デートの日時や場所をうっかり忘れてしまうことが多いんだ」と伝えてみることで、「じゃあ当日や直前にもこまめに確認し合おうか」などと、2人で協力して、困りごとを補うことが可能です。
発達障害の子どもが恋愛で困ることは?親はどう接すればいいの?
発達障害がある子どもの恋愛
思春期の子どもは、恋愛がどのように進んでいくのか、相手の気持ちを考えるとはどういうことなのかがまだ分かっていないことが考えられます。周囲とのコミュニケーションを苦手とすることが多いので、特にこのような傾向が多いといえます。また、「相手のことが好き」という一方向の気持ちだけで突っ走ってしまうことがあるかもしれません。
思春期において友達関係や仲間関係の影響は、より大きくなります。発達障害のある子どもの場合は、相談できる友達関係や仲間関係が築けないことがあるため、恋愛の悩みを相談できる人が身近にいないということも考えられます。比較的オープンに家庭で話すができる親子関係をつくれるとよいかもしれません。
親が相談相手になれる場合はよいですが、思春期で親に相談しにくい場合はカウンセラーなど第三者に相談できるとよいでしょう。
◆自閉スペクトラム症のある高校3年生のお子さんのエピソード
最近告白して相手もOKだったらしく、息子はもうこの世の春だったんですが、何故か彼女が電話をしても全く出ない、LINEをしても既読スルー・・・
もう、息子はパニックでずっとイライラしてて、とうとうこの前テレビのリモコンを投げて、それがテレビに当たってしまい壊れてしまいました…
一方で「話を聞いてほしい」「自分の好きなものを理解してほしい」という自身の経験から相手への気遣いができるようになったというエピソードもあります。
◆ADHDと自閉スペクトラム症のある17歳のお子さんのエピソード
(息子は)女の子との付き合い方やコミュニケーションで気を付けていることが3つあると言います。
聞いてみると、“女の子との”付き合いの中では特に気をつけているけれど、その前に、人付き合い全般で気をつけていることがあって、それが土台になって女の子と話せるようになったといいます。
それは、
●相手の趣味に合わせて話してみる。(わからないことは質問する)
●人の趣味は否定したり、けなさないようにする。
●自分の趣味のマニアックな話は避けるようにする。
というものでした。
そのことに気を付けてコミュニケーションをとっていくうちに、自分の話よりも相手の話を聞いたり、相手の好きな話題を中心に話したりすると仲良くなれる!ということに気がついたといいます。
もともと自分のことや趣味の話をするのが大好きな息子。本当はどんどん話したい気持ちもあるはずですが...
「多くの人は自分の話を聞いてほしいと思っている、理解者が欲しいと思っている。それは自分も同じだったから、
『こんなふうに自分の話を聞いてくれたらな~』や『否定しないで聞いてほしいな~』という気持ちがわかる」
と、相手の気持ちを考えられるようになり、初めて話す人とは肯定的な話し方で、まずは相手の話をたくさん引き出すことで、よい関係を築けるようにしたんだそうです。
恋に悩む!? 子どもに対して親が心がけること
息子になにげなく「好きな子いるの?」と聞いたところ、素直に「いるよ」と言われたので、「中学校は忙しいから、そういうことは高校生になってからにしようね」と思わず言ってしまいました。
今落ち着いて考えてみると、広汎性で人との付き合いが苦手な部分があるので、付き合ってみるのはどうかと勧めた方が、本人も人付き合いに自信が持てるようになるのかな?なんて思いました。
今まで、小学校時代、ずっと問題児で子供だと思っていた息子君が、恋愛について話しているところをみると、やっと中学生になったんだなと実感しました。
今後、こういう問題ってどう対処すれば良いのでしょうか?
(引用、一部改変)
保護者の方のなかには「うちの子に恋愛なんてできるのだろうか。うまくいかなくて傷つくだけなら止めた方が良いのではないか」と心配してしまう方もいるかもしれません。
恋愛は誰にとっても難しいものです。さらに発達障害の特性ならではの困りごとがあると、恋愛をすることがより難しく、高度なものに感じられるのも無理はありません。ですが、恋愛は相手を思いやり、うまくやるにはどうしたらいいかを学ぶ良い機会であるといえます。
もし恋愛に失敗して傷ついたとしても、そのプロセスも子どもを成長させます。自分の思い通りにいかないことを学ぶのも、子どもにとって非常に大事なことなのです。
親はまず、子どもが抱く恋愛感情を受け入れてあげましょう。そのうえで、親に相談をしたいのか、気を紛らわせたいのか、それともそっとしておいてほしいのかというような子どものニーズを受け止め、それに合わせたサポートをしていきたいですね。
子どもの恋愛を支えるために、親ができることとは?
恋愛に関するマナーやルールは「何となく知っていく、暗黙の了解」として扱われていることが多いかもしれません。
ですが、「何とはなしに察する、感じ取る」ということを難しく感じているお子さんもいるかもしれません。そのため、親から恋愛に関するルールを分かりやすく具体的に伝えてあげることもよいでしょう。例えば、以下のようなことを伝えると良いかもしれません。
・自分が相手のことを好きだからといって、相手も自分のことが好きかどうかは分からない
・気持ちを確かめる、伝える方法はいろいろある
・勇気を出して気持ちを告白したとしても、断られる場合もある
・メールや電話は、相手のことを考えたタイミングや内容に気をつける
・相手の気持ちは言葉だけでは図ることができない など
また、トラブルや犯罪を防ぐために、やってはいけないことは明確に伝える必要があります。子どもの心身の成長に寄り添いながら、このようなことも忘れずに伝えましょう。
・許可なく急に相手に触らない
・夜遅くまで子どもだけで出歩かない(門限を守る)
・必ず、誰とどこに行くか、何時に帰るかを親に伝えてから出かける など
年齢に応じて性に関することなども本人に分かりやすく伝えられるとよいでしょう。
成人の場合
また、それまでの恋愛にまつわる失敗経験がある場合、それが影響して大人になってもなかなか恋愛に積極的になれない、恋愛が怖いと感じている人もいるかもしれません。繰り返しになりますが、発達障害があるからといって恋愛や結婚ができないというわけではありません。自分の特性を理解し、自分にあったペースで恋愛をしていきたいですね。
パートナーが発達障害だったら?
相手に感じる不満を発達障害の特性と照らし合わせてみる
このような不満と、パートナーの発達障害ゆえの特性を合わせてみてみると、共通していたり、関係性が見出せたりすることがあります。「どうしてこんな行動をするのだろう」と不満と疑問でモヤモヤしていたのが、「発達障害の特性が影響しているんだ!」と分かるだけでもすっきりとすることがあります。
自分の考えや行動の意図を相手に伝える
もし嫌だな、直してほしいなと思うことがあったら、具体的に何が嫌だったのか、なぜ嫌だったのか、どうしてほしいのか(謝ってほしいのか、何かを手伝ってほしいのか、など)を一つひとつ丁寧に伝えることを心がけましょう。このように伝え方を工夫すれば、パートナーにも素直に受け入れてもらえたり、嫌だと思うところを直してくれたりするかもしれません。
発達障害があるパートナーとの生活を題材とした漫画やエッセイを読んでみる
また、発達障害があるパートナーと楽しく過ごしているエピソードもたくさん紹介されています。パートナーとの付き合い方の参考にできたり、共感できるエピソードに触れて元気がもらえるかもしれません。
発達障害がある人の結婚生活は難しい?ズレや衝突、診断への不安…当事者の視点から描かれた夫婦のものがたりーー漫画『僕の妻は発達障害』
自分はアスペルガーかもと気づいた父と家族の漫画「プロチチ」
あまりにつらくなったり、落ち込んだりすることがあったら距離を置いてみる
少し距離を置きたいな、と思った場合は、パートナーに何が不満だったのか、どうして距離を置きたいのかきちんと話すことを忘れないようにしましょう。突然何も言わずに距離を置いてしまうと、発達障害がある人は「今まで仲よくしていたのに、どうして?」と思い、あらゆる方法で理由を探ろうとしたり、嫌われたと思ってひどく落ち込んでしまったりすることがあります。
相手が「距離を置きたい、少し1人になりたい」という言葉の裏側に、どのような気持ちがあるのか読み取ることを難しく感じていることもあります。丁寧に自分の気持ちを伝えることがパートナーとの関係を改善するきっかけにもなります。「そこまで言わせないで、察してよ!」と思うこともあるかもしれませんが、行動や発言に含まれた気持ちもきちんと伝えてあげるようにしましょう。
カサンドラ症候群かなと思ったら早めに対処を
特徴は、偏頭痛や自律神経失調症といった身体的なものから、自己評価の低下や抑うつといった精神的なものまでさまざまあります。
家族は毎日の生活の中で接する機会は多いですし、パートナーであればなおさら、愛する夫や妻、恋人と心を通わせたいと思う気持ちは強いでしょう。それが難しいときストレスを感じるのは、ある意味当然のことかもしれません。そのストレスが積み重なった結果、体調不良や抑うつといった不調が出ることがあります。
自分がカサンドラ症候群かもしれないと思ったら、専門機関や病院に相談したり、時には1人で落ち着ける時間をつくることをおすすめします。そして、無理のないペースで自分自身とも、相手とも向き合っていきましょう。
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まとめ
自分が発達障害の場合も、パートナーが発達障害である場合も、恋愛において大事なのはそれぞれにある特性や個性、困りごとをお互いに理解することです。こうされたらうれしい、心地よいと思うこと、反対にどうしても苦手なことや嫌だと思うことを伝えあい、理解することが恋愛関係を深め、良いものにするために不可欠です。また、自分とパートナーだけではどうすればよいか分からないときには、周囲に相談するなどサポートを得ることも大切です。これらのことを意識しながら、素敵な恋愛を楽しんでいきたいですね。
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