発達障害の人の恋愛は難しい?よくある困りごとや解決案など/専門家監修

ライター:発達障害のキホン
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発達障害のある人のなかには、恋愛が苦手と感じている人もいらっしゃるのではないでしょうか?また発達障害の子どもがいる親にとって、子どもの恋愛や結婚は心配ごとの一つだと思います。障害特性によるさまざまな困りごとはありえますが、幸せな恋愛や結婚をしている人は多くいます。そこで、発達障害の人の恋愛で起こる困りごとと解決法の一例、素敵な恋愛をするために心がけたいことなどを紹介します。

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
目次

発達障害があると恋愛は難しいと、あきらめていませんか?

恋愛や結婚は、自分と相手がお互いに思いやりながら関係を築いていく必要があります。そのため楽しさや嬉しさの反面、辛いことや悲しいこともたくさんある、複雑で難しいものです。

発達障害がある人は、その特性から対人関係やコミュニケーションに困難を感じることが多くありますが、これは恋愛に関しても多く当てはまります。苦手意識をもっていたり、半ば諦めてしまったりしている人もいるのではないでしょうか。

パートナーが発達障害のある人の場合、その特性ゆえに悩んでしまったり不満を抱えてしまったりすることもあるかもしれません。

また、発達障害の子どもがいる親は、「子どもに好きな人ができたら、どうなるの?交際、結婚はできるの?」と不安に思ったり、恋に悩む子どもをどう見守ったらよいか迷ったりするかもしれません。

発達障害がある人やそのパートナーの、恋愛や結婚でよくある困りごとについて考えながら、素敵な恋愛ができるコツを一緒に探っていきましょう。

発達障害のある人が恋愛で困ることって?

発達障害のある人は恋愛をするにあたって、具体的にどのようなことに困ったり、難しさを感じたりするのでしょうか。今回は発達障害の中でも、自閉スペクトラム症とADHDを中心に、その特性と恋愛における困りごとをご紹介します。

自閉スペクトラム症(ASD)

自閉スペクトラム(ASD)とは、「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」「特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」がみられる発達障害の一つです。

恋愛をするうえでは、コミュニケーション能力の乏しさが困りごとにつながることがあります。自閉スペクトラム症の人は、相手の気持ちや感情を読み取ったり、目的のない雑談をしたりすることが苦手と感じることが多いと言われています。そのため、恋人の気持ちがわからず無意識に怒らせてしまったり、会話のやりとりがうまくできず、不満を与えてしまったりすることがあるかもしれません。
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ADHD(注意欠如・多動症)

ADHDとは、不注意(集中力がない・忘れっぽい)多動性(じっとしていられない)衝動性(考えずに行動してしまう)の3つの症状がみられる発達障害の一つです。

この不注意、多動性、衝動性が恋愛においてもうまくいかない原因になることがあります。例えば、不注意ゆえにデートや記念日を忘れて恋人を怒らせてしまう、衝動性ゆえに思いついたら相手に構わず行動したり発言したりしてしまう、というようなことがあるかもしれません。
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ADHD(注意欠如多動症)の3つのタイプとは?【専門家監修】

恋愛したいと思ったとき、発達障害の人が心がけたいこととは?

では、発達障害のある人が「恋愛をしたい、恋愛関係をうまく続けたい」と思ったとき、何に気をつければ良いのでしょうか。

自分の恋愛面での困りごとをほかの人に相談し、どう感じるか意見を聞いてみる

相手の気持ちになって理解する、ということに苦手意識がある場合、家族や友人など信頼できる人に相談してみましょう。相手の何が分からないのかを話してみると、「相手はこういう気持ちだったからあなたにそんな行動をしたんじゃない?」「あなたのこういうところが嫌だったから怒ったのでは?」などと考えられる相手の気持ちを教えてくれます。

最初は相手の気持ちが分からないことが多くても、第三者に相談してみることで相手の気持ちと行動のパターンが見えてきたり、相手の感情を読み取る力を少しずつ習得できたりします。

自分の特性を自分自身で理解し、相手にも理解してもらう

発達障害がある人が恋愛に関して悩みをもった場合、まずその原因を自分自身で理解することが大切です。自分自身で考えるのはもちろん、分からなかったら誰かに相談しつつ、うまくいかない背景を探ってみましょう。

例えば、「デートを約束した日時や場所を忘れることが多く、恋人に怒られてしまう」と悩んでいるとします。このような場合、自分の特性と、恋愛面の悩みごとを照らし合わせてみましょう。「自分はADHDの不注意性が強く、忘れっぽいところがある。デートの約束をしても時間や場所をすぐ忘れてしまうことがある。悪気はないけれど、その対策は考えておいたほうがいい」と気づくことができます。

困りごとの背景にある自分の特性を理解することで「だからうまくいかなかったんだ」と納得することができます。また、原因が分かれば少しずつ対策を考えていくこともできるでしょう。

自分の中で困り感と特性が結びついたら、それを相手にも伝えてみましょう。自分の特性について相手にも理解してもらうことで、2人で協力して解決していくことができます。

デートの日時や場所を忘れてしまう、という例の場合、「忘れっぽいのは自分の特性だから、忘れたときに思い出せるように記録を残しておけばよい」と考えることができます。カレンダーに日時や場所を書いておいたり、携帯電話やスマートフォンのリマインダー機能を活用したりして、すぐにデートとその詳細が思い出せるようにするといった工夫をすれば、悩みごとが改善できるかもしれません。

また、恋人に「自分には忘れっぽいという特性があって、デートの日時や場所をうっかり忘れてしまうことが多いんだ」と伝えてみることで、「じゃあ当日や直前にもこまめに確認し合おうか」などと、2人で協力して、困りごとを補うことが可能です。
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