ADHD(注意欠如多動症)の恋愛・結婚|恋愛での困りごと、解決案をご紹介!

ライター:医師・専門家監修|発達障害・支援のキホン
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出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=11038011922

不注意・多動性・衝動性が主な特性であるADHD(注意欠如多動症)。「恋愛や結婚、自分にもできる?」「パートナーと仲良く過ごすには?」など不安に思っている当事者の方や、パートナーにADHD(注意欠如多動症)の特性があり、どのように特性を理解して困りごとを解消すればよいか分からないという方はいませんか? この記事ではADHD(注意欠如多動症)の特性がある人の恋愛における魅力やよくある困りごと、その解決方法の例を解説します。

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
目次

ADHD(注意欠如多動症)とは?

ADHD(注意欠如多動症)は、不注意(集中力がない)・多動性(じっとしていられない)・衝動性(考えずに行動してしまう)の3つの症状が見られる発達障害のことです。

この3つの症状はADHD(注意欠如多動症)の特性がある人すべてに均等に表れるのではなく、個人差によるところが大きいと言えます。また、ADHDのある人は、ASDや他の発達障害の診断や特性を併せ持っている方や、うつや不安症などのある方もいます。そのため、感じる悩みや困りごととその程度は一人ひとり異なります。
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ADHD(注意欠如多動症)の症状・特性から日常生活のさまざまな場面で悩んだり、困ったりすることがあります。それに伴って、人間関係においても人との信頼関係を築くことに難しさを感じる人もいます。

人間関係には先輩後輩、友人関係などさまざまな種類がありますが、恋愛や結婚はより親密なコミュニケーションを必要とし、複雑かつ難しいものです。恋愛や結婚の中でパートナーとの関係を深めたり、維持したりすることに困難さを感じるADHD(注意欠如多動症)の特性がある人は一定数いるようです。

また、二次的に生じた自己肯定感の低下や失敗体験のストレスなどから、恋愛や結婚にもマイナスイメージを抱いてしまうこともあります。

ですが、ADHD(注意欠如多動症)の特性は恋愛や結婚においてプラスに映ることもあります。特性は困りごとだけでなく強みになり、周りの人を惹きつけることもたくさんあります。ADHD(注意欠如多動症)の人が恋愛・結婚を考える時、その特性ゆえに困ることだけでなく、特性を生かせることも見つけていくことが大切です。

ADHD(注意欠如多動症)の特性がある人が恋愛で困ることって?

特性ゆえの失敗体験が積み重なったことで、恋愛や結婚に対する悩みや不安につながることがあるようです。幼少期にたくさん叱られた、友達とうまく仲良くできなかったなどの経験から、恋愛に対しても自信を失ってしまうことがあります。

ADHD(注意欠如多動症)の特性が引き起こしやすい恋愛・結婚での困りごと

まずは、3つの特性に関連する困りごとの一例を紹介します。
◇不注意(集中力がない)
不注意の具体的な特徴としては、忘れ物が多い、片づけや整理整頓が苦手、気が散りやすいなどが言われています。恋愛や結婚で相手との関係性を深めたり維持したりするうえでは、その他にもこのような困りごと感が考えられます。

・大切な約束の日時や記念日などを忘れたり守れなかったりして、パートナーを怒らせてしまう
・相手の話を集中して聞くことができず、自分の意見だけ通してしまう
・金銭の管理や家事・育児の段取りがうまくできない
 など

不注意という特性から、そんなつもりはないのにパートナーを怒らせたり悩ませたりすることがあり、そこから「どうしたらいいのだろう……」と困っている当事者の方もいるようです。
◇多動性(じっとしていられない)
多動性の特性は、落ち着きがない、過度なおしゃべりなどに代表されます。恋愛面ではどのような悩みにつながるのでしょうか。

・そわそわして体が動いてしまったり、貧乏ゆすりをしたりするのをやめられず、相手に気ぜわしい、一緒にいて落ち着くことができないなどの印象を与えてしまう
・早口だったり一方的に絶え間なく話したりしてしまい、相手との対話がうまくいかない
・興味や関心の対象の移り変わりが激しいため、仕事や住居なども転々とすることがあり、パートナーを戸惑わせてしまう
 など

じっと座っていられない、常に身体のどこかを動かしているなどの目立った多動性は、成長するにつれて、落ち着いていきます。ですが、何となくそわそわしてしまうようなことは大人になっても変わらないと言います。また、多動性は身体の動きだけでなく、話し方や心や気分の移り変わりにも影響するため、コミュニケーションのアンバランスさや気持ちや興味の変動が起こることがあります。
◇衝動性(考えずに行動してしまう)
衝動性は、恋愛においては自分の「好きだ」という気持ちに正直に行動できたり、思い切って告白したり、プラスに働くこともあります。一方で、気に障ると乱暴になってしまうことがある、順番待ちができないなどと言われますが、恋愛や結婚の場面ではこのようなことがありえます。

・その場の雰囲気にそぐわない発言や思いつきの言動をしてしまい、相手を傷つけてしまう
・相手への感情や要望を抑えることができず、ストレートにぶつけてしまう
・衝動的な行動(急に高価な買い物をしたり、高額契約をしたりするなど)を相談なしにしてしまい、混乱やパートナーとの不和に結びついてしまう
 など

つい思いつきの発言や感情に任せた行動をしてしまい、それによってパートナーとの関係性が悪くなってしまうことがあります。またそんな失敗やトラブルから、自己嫌悪に陥ってしまうADHD(注意欠如多動症)の人は少なくありません。「自分に恋愛・結婚は無理なのではないか」というマイナス思考に陥ってしまうこともあります。

ADHD(注意欠如多動症)の特性から二次的に起こる恋愛・結婚の困りごと

ADHD(注意欠如多動症)の特性がある人は、上で説明した3つの特性による困りごとが幼い時から多く起こりがちです。そんな失敗体験の繰り返しから、自信をなくしてしまったり、人とどのように接すればよいのか分からなくなってしまったりすることがあります。

・幼少期の失敗体験や多く叱られた過去から自己肯定感が低くなり、パートナーに嫌なことをされても嫌と言えなかったり、我慢してしまったりする
・「なぜ自分といてくれるのだろう?」など、相手が自分に伝えてくれる好意を信じられなくなってしまう
・ちょっとしたミスの繰り返しにより、友人や恋人との信頼関係を持続できない
・感謝、反省、共感などの気持ちをうまく表現できない
・対人関係への不安から、自分を受け入れてくれた人に依存しやすく自立できない
 など

このような、ADHD(注意欠如多動症)の特性からつながって発生した自信の低下や人付き合いの困難さが、恋愛や結婚に関してつらさを感じる直接的な要因になることがあります。

ADHD(注意欠如多動症)の特性を魅力として発信するには?

これまでADHD(注意欠如多動症)の特性と、恋愛や結婚で何に困るのかを絡めてご紹介してきました。ですが、ADHDの特性がすべてマイナスにはたらくということではありません。むしろ、特性がその人の魅力として、周りを惹きつけることもあります。

ADHD(注意欠如多動症)の特性がある人が得意とすることは、このようなことが挙げられます。

・興味のあることに対して強い情熱を持ち、集中することができる
・アイデアが豊富で、固定概念にとらわれず自由に考えられる
・行動力がある
・素晴らしいひらめきをすることができる
・独特の感性をもち、考えることができる
 など

このような長所から、一緒にいて楽しい、行動がよめない部分も面白い、考えつかなかったアイディアにはっとさせられる、というような印象を持たれ、プラスに向くことがあります。

純粋さ、子どものような無邪気さ、好奇心旺盛さに魅力を感じるなど、ADHD(注意欠如多動症)の特性には魅力的に映る部分が多くあると言います。自分の苦手なことや困り感を認識することと同じくらいに自分の良いところを見つけ、それをアピールできるほどに伸ばしていけたら良いですね。
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ADHD(注意欠如多動症)の特性がある人の恋愛・結婚での困りごと解消法って?

ADHD(注意欠如多動症)の特性がある人が恋愛や結婚をする時には、不注意などの代表的な特性をはじめとして、自己肯定感の低さなど、その特性からくる二次的な特性によって、悩んだり困ったりすることが分かりました。このような困りごとに対してどのような解決方法があるのでしょうか。

ADHD(注意欠如多動症)の特性を改めて理解する

恋愛や結婚において、これまでに紹介したような悩みや不安、疑問が生まれたら、自分にADHD(注意欠如多動症)の特性がある、またはその傾向があるということを改めて受け入れていくことが大切です。

まずは、ADHD(注意欠如多動症)の3つの特徴とその具体例に自分を照らし合わせてみることをおすすめします。そうすることで、自分はどの特性が優位に表れているのか、苦手と感じることの背景には何があるのか、分かってくると思います。ADHD(注意欠如多動症)と一言で言っても、人それぞれ個性があります。まずは自分の特性・個性を理解することから始めてみましょう。

"愛されるポイント"になる、自分の長所を見つけてみる

ADHD(注意欠如多動症)をはじめ発達障害は、認知度や理解が広まってきたとはいえ、未だネガティブなイメージが浸透していたり、当事者自身もマイナスに捉えていたりすることが多々あります。

確かにADHD(注意欠如多動症)の特性ゆえに、日常生活を送る時に難しさを感じる時はあります。ですが、その特性が全てネガティブに映る訳ではありません。例えば、衝動性が積極性、行動力につながり、それが他の人から見たら魅力的に映るなど、特性が"愛されるポイント"になる場面も多くあります。

自分にはどんな特性があって、何を苦手と感じるのかについて把握することはもちろん重要です。それと同じくらい、自分のアピールポイントとなるところも合わせて把握することは重要なことなのです。自分自身で長所を発見するのは難しい、という人は家族や友人、かかりつけの医師、カウンセラーなどに聞いてみるのもいいですね。

自分の恋愛における魅力や強みを把握することが、自分に自信をもつきっかけにもなるかもしれません。それが結果的に恋愛や結婚において良い結果につながることがあるのです。

パートナーや周囲に相談する・サポートを求めてみる

「パートナーや好きな人を傷つけたり、怒らせたりしたいわけではないのに、ついまた約束をすっぽかして愛想を尽かされてしまった」「数々の失敗体験から自分に自信が持てず、相手に嫌と言えない」このような気持ちでいる人は少なくないのではないのでしょうか。

恋愛や結婚に関しては、答えが一択ではないうえに、誰もが納得するような正解もありません。一人で考えていてもどうしたらよいかわからないことがあると思います。そんな時、恋愛や結婚に関して相談できる人や場を見つけておくことが、恋愛や結婚に関するお悩み解消の手立てとなることがあります。

また、自分自身の特性を相手に伝えてみることで、パートナーや周りの人からどのように支えることができるか提案してくれることもあります。例えば、「自分では忘れるつもりはないのに、約束やその日時を忘れてしまうことがある」と伝えたら、「じゃあ約束の日には、当日にも改めて連絡し合おう」というような、相手とのやりとりを図るきっかけもできるかもしれません。

日々の暮らしで特性に照らし合わせた工夫をしてみる

自分の特性を理解すると、暮らしの中で感じている困りごと感に対して、ある程度自分で対策できることもあります。

◇不注意特性に対する工夫
つい約束を忘れてしまう、やるべきことを整理して行動に移すことが難しいなどの不注意に関する特性には、次のような工夫をしてみてはいかがでしょうか。

・やらなければいけないことを一つひとつリストアップする
・約束事をメモして目に入る場所に貼るなどして、すぐ確認できるようにしておく
・便利な道具やアプリなどを活用する(家事が苦手だったら家電を導入する、リマインダー機能に優れたアプリを活用してみる)
 など

これらの工夫はあくまでも一例です。人によっては合わないものや継続できないものもあると思います。あるやり方1つにこだわるのではなく、自分の中でうまくいかないと思ったら、違う方法を試してみることも大切です。また、相手やパートナーの理解が必要になることもあるので、十分に相談したうえで試してみましょう。

◇多動性・衝動性に対する工夫
落ち着きがない、自分の感情や要望を抑えられないなどの多動・衝動に関する特性にはこのような工夫が考えられます。

・家や職場など、1人で落ち着けるような場所を見つけておき、クールダウンできるような場をもっておく
・自己主張の仕方や、相手の言い分と自分の言い分のバランスの取り方など、改めて対人スキルの基本を理解する
 など

クールダウンできるような場づくりや、対人スキルの学び直しなどは、特に周りの人の理解が大切になってきます。自分だけで何とかしようとするのではなく、自分の特性を伝えたうえで周りからサポートしてもらうことが重要です。

自助グループへの参加

発達障害当事者の人向けに、悩みを打ち明けたり相談に乗ってもらえたりする場として、数々の自助グループがあります。自助グループには同じような悩みを抱えている人や、その悩みを改善できたというような人がいるので、相談しやすかったり、有効な改善方法に気付けたりできます。
ADHD(注意欠如多動症)の特性は人それぞれであり、またそれによる悩みも人それぞれです。そのため恋愛や結婚におけるパートナーの理解がなかなか得られないこともあります。そんな中、自助グループに参加することで新たな心のよりどころや悩みへの解決策を得ることができたり、この体験談のように、パートナーがADHD(注意欠如多動症)を理解するきっかけになったりすることがあります。
当事者向けの自助グループは、全国にあります。食事やお茶をしながら当事者同士で交流するようなグループ、勉強会や講座のようなイベント参加型のグループなど、さまざまな自助グループがあります。楽しそうなイベントや興味深い活動を行っているグループに足を運んでみるのも良いのではないでしょうか。

パートナーにADHD(注意欠如多動症)の特性がある場合、心がけたいこと

では、ADHD(注意欠如多動症)の特性があるパートナーがいる人は、パートナーのためにどのようなことを心がけるとよいのでしょうか。
ADHDの特性のあるパートナーの行動や価値観に驚いたりするかもしれませんが、頭から否定したり、行動や価値観を強引に変えさせようとしてもうまくいきません。
以下のような点を心がけていきましょう。

ADHD(注意欠如多動症)を良く理解し、パートナーを受け止める

パートナーに、自分はADHD(注意欠如多動症)であるとカミングアウトされたり、ADHD(注意欠如多動症)の傾向がある、などと告白されたら、まずはADHD(注意欠如多動症)がどのような発達障害なのか、どんな特性があるのかについて正確に理解するところから始めましょう。
ADHD(注意欠如多動症)の当事者には、人によってさまざまな困りごとがあります。そしてそれを乗り越えたり少しでも解消したりしていくには、当事者と付き合っていくパートナー自身のADHD(注意欠如多動症)への理解と協力がとても大切です。

パートナーの周りの人に話を聞いてみる

ADHD(注意欠如多動症)について理解したうえでも、ADHD(注意欠如多動症)の特性があるパートナーの意図することが分からなかったり、戸惑ったりすることはあると思います。そんな時は、パートナーとの付き合いが長い人(両親、幼少期からの友人、幼馴染など)にパートナーについての話を聞いてみることをおすすめします。

ADHD(注意欠如多動症)の特性は幼少期の方が強く表れる場合が多くあります。そのため、パートナーを昔から知っている人に話を聞いてみることで、パートナーの特性から来る言動の意図に、より納得できることがあります。

また、パートナーにかかりつけの病院があったり、なじみの医師・カウンセラーがいたりする場合は、一緒に病院やカウンセリングに行き、話を聞いてみるのも良いかもしれません。

お互いが過ごしやすい環境を整える

例えば、スケジュールを忘れてしまいがちな場合は共同カレンダーをつくってお互いが共同管理する方法などがあります。また、普段の整理整頓がしやすいように構造化したり、パートナーがチェックリストをつくり、できたら褒めるなどの工夫があります。ADHDのあるパートナーがどこに難しいと感じているかを知ると適切な支援につながります。

こまめな話し合いを心がける

ADHD(注意欠如多動症)の特性があるパートナーと良い関係を築いていくには、お互いが相手のどこに困っているのか、どこをどのように直してほしいのかをこまめに話し合う必要があります。ここで気をつけたいことは、相手の行動を頭から否定したり、感情的になって怒ったりしないようにすることです。

まとめ

ADHD(注意欠如多動症)の特性がある人は、「不注意」「多動性」「衝動性」という特性、そしてその特性による失敗体験の積み重ねなどから恋愛や結婚においても苦労することがあります。

ADHD(注意欠如多動症)当事者の人も、パートナーがADHD(注意欠如多動症)の特性がある人も、恋愛や結婚をうまく進めていくために一番大切なことは、ADHD(注意欠如多動症)について理解することです。自分が悩んでいることがADHD(注意欠如多動症)の特性に由来しているということを知るだけでも、悩みの軽減につながったり、解決策が見えてきたりすることがあります。

そしてADHD(注意欠如多動症)の理解と同時に、自分やパートナーにはどんな特性があり、何が得意で、何が苦手なのかを把握していきましょう。得意なことは魅力・長所としてのびのびと発揮できるようにし、苦手なことは自分で意識して周りのサポートを得たり、工夫をしたりして補っていくことで、恋愛・結婚面での困り感を、相手と支えあいながら乗り越えていきたいですね。
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