ADHD(注意欠如多動症)の恋愛・結婚|恋愛での困りごと、解決案をご紹介!

ライター:発達障害のキホン
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不注意・多動性・衝動性が主な特性であるADHD(注意欠如多動症)。「恋愛や結婚、自分にもできる?」「パートナーと仲良く過ごすには?」など不安に思っている当事者の方や、パートナーにADHD(注意欠如多動症)の特性があり、どのように特性を理解して困り感を解消すればよいかわからないという方はいませんか?この記事ではADHD(注意欠如多動症)の特性がある人の恋愛・結婚における魅力や困りごと、その解決方法を解説します。

目次

ADHD(注意欠如多動症)とは?

ADHD(注意欠如多動症)は、不注意(集中力がない)・多動性(じっとしていられない)・衝動性(考えずに行動してしまう)の3つの症状が見られる発達障害のことです。

この3つの症状はADHD(注意欠如多動症)の特性がある人すべてに均等に表れるのではなく、個人差によるところが大きいと言えます。そのため、感じる悩みや困りごととその程度は一人ひとり異なります。

ADHD(注意欠如多動症)の特性がある人の多くは、幼少期から「だらしがない」「落ち着きがない」などと注意された経験があります。それゆえに自分に対する肯定感や人との関係性の構築にネガティブなイメージをもってしまったり、それらが過度になりうつ病や不安障害(不安症)などの二次障害につながったりすることがあります。
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ADHD(注意欠如多動症)の症状・特性から日常生活のさまざまな場面で悩んだり、困ったりすることがあります。それに伴って、人間関係においても人との信頼関係を築くことに難しさを感じる人は少なくないと言います。

人間関係には先輩後輩、友人関係などさまざまな種類がありますが、恋愛や結婚はより親密なコミュニケーションを必要とし、複雑かつ難しいものです。恋愛や結婚などの関係性に結びつけたり、パートナーとの関係を維持したりすることに困難さを感じるADHD(注意欠如多動症)の特性がある人は一定数いるようです。

また、二次的に生じた自己肯定感の低下や失敗体験のストレスなどから、恋愛や結婚にもマイナスイメージを抱いてしまうこともあります。

ですが、ADHD(注意欠如多動症)の特性は恋愛や結婚においてプラスに映ることもあります。特性は困りごとだけでなく強みになり、周りの人を惹きつけることもたくさんあります。ADHD(注意欠如多動症)の人が恋愛・結婚を考える時、その特性ゆえに困ることだけでなく、特性を生かせることも見つけていくことが大切です。
参考:岩波明/著『大人のADHD‐もっとも身近な発達障害』2015年/ちくま新書
https://www.amazon.co.jp/dp/4480068414

ADHD(注意欠如多動症)の特性がある人が恋愛で困ることって?

その特性ゆえの失敗体験が積み重なったことで、恋愛や結婚に対する悩みや不安につながることがあるようです。幼少期にたくさん叱られた、友達とうまく仲良くできなかったなどの経験から、恋愛に対しても自信を失ってしまうことがあります。

ADHD(注意欠如多動症)の特性が引き起こしやすい恋愛・結婚での困りごと

まずは、3つの特性がどのような失敗や恋愛・結婚へのネガティブさにつながっていくのかについて説明します。
◇不注意(集中力がない)
不注意の具体的な特徴としては、忘れ物が多い、片づけや整理整頓が苦手、気が散りやすいなどが言われています。恋愛や結婚で相手との関係性を深めたり維持したりするうえでは、その他にもこのような困り感が考えられます。

・大切な約束の日時や記念日などを忘れたり守れなかったりして、パートナーを怒らせてしまう
・相手の話を集中して聞くことができず、自分の意見だけ通してしまう
・金銭の管理や家事・育児の段取りがうまくできない
 など

不注意という特性から、そんなつもりはないのにパートナーを怒らせたり悩ませたりすることがあり、そこから「どうしたらいいのだろう…」と困っている当事者の方もいるようです。
◇多動性(じっとしていられない)
多動性の特性は、落ち着きがない、過度なおしゃべりなどに代表されます。恋愛面ではどのような悩みにつながるのでしょうか。

・そわそわして体が動いてしまったり、貧乏ゆすりをしたりするのをやめられず、相手に気ぜわしい、一緒にいて落ち着くことができないなどの印象を与えてしまう
・早口だったり一方的に絶え間なく話したりしてしまい、相手との対話がうまくいかない
・興味や関心の対象の移り変わりが激しいため、仕事や住居なども転々とすることがあり、パートナーを戸惑わせてしまう
 など

じっと座っていられない、常に身体のどこかを動かしているなどの目立った多動性は、成長するにつれて、落ち着いていきます。ですが、何となくそわそわしてしまうようなことは大人になっても変わらないと言います。また、多動性は身体の動きだけでなく、話し方や心や気分の移り変わりにも影響するため、コミュニケーションのアンバランスさや気持ちや興味の変動が起こることがあります。
◇衝動性(考えずに行動してしまう)
衝動性は、恋愛においては自分の「好きだ」という気持ちに正直に行動できたり、思い切って告白したり、プラスに働くこともあります。一方で、気に障ると乱暴になってしまうことがある、順番待ちができないなどと言われますが、恋愛や結婚の場面ではこのようなことがありえます。

・その場の雰囲気にそぐわない発言や思いつきの言動をしてしまい、相手を傷つけてしまう
・相手への感情や要望を抑えることができず、ストレートにぶつけてしまう
・衝動的な行動(急に高価な買い物をしたり、高額契約をしたりするなど)を相談なしにしてしまい、混乱やパートナーとの不和に結びついてしまう
 など

つい思いつきの発言や感情に任せた行動をしてしまい、それによってパートナーとの関係性が悪くなってしまうことがあります。またそんな失敗やトラブルから、自己嫌悪に陥ってしまうADHD(注意欠如多動症)の人は少なくありません。「自分に恋愛・結婚は無理なのではないか」というマイナス思考に陥ってしまうこともあります。

ADHD(注意欠如多動症)の特性から二次的に起こる恋愛・結婚の困りごと

ADHD(注意欠如多動症)の特性がある人は、上で説明した、3つの特性による困りごとが幼い時から多く起こりがちです。そんな失敗体験の繰り返しから、自信をなくしてしまったり、人とどのように接すればよいのかわからなくなってしまったりすることがあります。

・幼少期の失敗体験や多く叱られた過去から自己肯定感が低くなり、パートナーに嫌なことをされても嫌と言えなかったり、我慢してしまったりする
・「なぜ自分といてくれるのだろう?」など、相手が自分に伝えてくれる好意を信じられなくなってしまう
・ちょっとしたミスの繰り返しにより、友人や恋人との信頼関係を持続できない
・感謝、反省、共感などの気持ちをうまく表現できない
・対人関係への不安から、自分を受け入れてくれた人に依存しやすく自立できない
 など

このような、ADHD(注意欠如多動症)の特性からつながって発生した自信の低下や人付き合いの困難さが、恋愛や結婚に関して辛さを感じる直接的な要因になることがあります。
星野仁彦/著『発達障害に気づかない大人たち』/2010年/祥伝社新書
https://www.amazon.co.jp/dp/4396111908

ADHD(注意欠如多動症)の特性ってこんなに魅力的!特性を魅力として発信するには?

これまでADHD(注意欠如多動症)の特性と、恋愛や結婚で何に困るのかを絡めてご紹介してきました。ですが、ADHDの特性がすべてマイナスにはたらくということではありません。むしろ、特性がその人の魅力として、周りを惹きつけることもあります。

ADHD(注意欠如多動症)の特性がある人が得意とすることは、このようなことが挙げられます。

・興味のあることに対して強い情熱を持ち、集中することができる
・アイデアが豊富で、固定概念にとらわれず自由に考えられる
・行動力がある
・素晴らしいひらめきをすることができる
・独特の感性をもち、考えることができる
 など

このような長所から、一緒にいて楽しい、行動がよめない部分も面白い、考えつかなかったアイディアにはっとさせられる、というような印象を持たれ、プラスに向くことがあります。

純粋さ、子どものような無邪気さ、好奇心旺盛さに魅力を感じるなど、ADHD(注意欠如多動症)の特性には魅力的に映る部分が多くあると言います。自分の苦手なことや困り感を認識することと同じくらいに自分の良いところを見つけ、それをアピールできるほどに伸ばしていけたら良いですね。

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