ADDとは?特性やADHD(注意欠如多動症)との違い、治療法、相談先を紹介

ライター:医師・専門家監修|発達障害・支援のキホン
ADDとは?特性やADHD(注意欠如多動症)との違い、治療法、相談先を紹介のタイトル画像
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10272002979

ADDはかつて使用されていた発達障害の診断名のひとつです。現在ではADHD(注意欠如多動症)と診断名が変わっています。ADHD(注意欠如多動症)には3つのタイプがあり、ADDはその中でも「不注意優勢型ADHD(注意欠如多動症)」に近いとされています。この記事では、ADDの概要やADDからADHD(注意欠如多動症)への診断名の変遷、現在の診断基準、不注意・衝動性による困りごとへの対処法をご紹介します。

監修者井上雅彦のアイコン
監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
目次

ADDとADHD(注意欠如多動症)の違い

ADDとは?その意味を解説

ADDとは、不注意・衝動性という特性のある発達障害のことです。その特性から、「一つのことに集中が続かない」「片付けがどうしても苦手」「人の話をさえぎって話してしまう」などの困りごとが生じることがあります。


ADDという診断名は以前使用されていたもので、現在はADHD(注意欠如多動症)に変わっています。

ADDとADHDの違いとして「多動性」が挙げられます。多動性とは英語で「Hyperactivity(ハイパーアクティビティ)」といい、じっとしていることが苦手で、すぐに動きたくなる特性のことです。

ADDは注意の持続と衝動性の制御が困難という特徴があるため、現在の『DSM-5-TR(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版改訂版)』では、ADHD(注意欠如多動症)の「不注意優勢型」に相当します。

今回の記事では、ADDがADHD(注意欠如多動症)に変わった経緯と共に、ADD的な特性のある子どもの困りごとや対処法に着目して解説します。
【専門家監修】ADHD(注意欠如多動症)の3つのタイプとは?「不注意」「多動・衝動性」「混合」それぞれの特徴を解説のタイトル画像

【専門家監修】ADHD(注意欠如多動症)の3つのタイプとは?「不注意」「多動・衝動性」「混合」それぞれの特徴を解説

ADDからADHD(注意欠如多動症)への診断名の変遷

ADDという診断名は、精神疾患の国際的な診断基準である『DSMⅢ-R(『精神障害の診断・統計マニュアル』第3版改訂版)』により、1987年にADHD(注意欠如多動症)に変更されました。

しかし、その後もWHO(世界保健機関)が作成している国際的な疾病の分類である『ICD』にADDの診断名が残っていたこともあり、「ADD」という言葉はしばらくの間使われていました。そういったこともあり、ADDからADHD(注意欠如多動症)に診断名が変わったあとも、時間をかけて世間にも浸透していったのです。

不注意優勢型ADHD(注意欠如多動症)(旧ADD)の特徴とは

ここでは以前のADDに相当すると考えられる、不注意優勢型ADHD(注意欠如多動症)のある子どもによく見られる特徴を紹介します。

不注意優勢型ADHD(注意欠如多動症)の主な特性は不注意と衝動性です。この特性と周りの環境がうまくかみ合わないことで、日常生活や園・学校でさまざまな困りごとが生じてきます。

不注意

不注意とは注意力が弱く、一定時間集中を保つことが苦手という特徴があります。

不注意による困りごとは以下のようなものがあります。
・よく物を失くす、忘れものが多い
・片付け、整理整頓ができない
・周囲の情報に気が散って授業などに集中できない
・人の話を最後まで聞くのが難しい
・細かいところまで注意が向かない など

こういった特徴から、学習の遅れや集団生活への適応の困難さが見られる場合があります。

衝動性

衝動性がある場合には、自分の感情や欲求のコントロールが難しいという特徴があります。

衝動性による困りごとは以下のようなものがあります。
・思いついたことをすぐ実行してしまう
・相手の話をさえぎって話すことがある
・順番を待つことが苦手
・優先順位が付けることが苦手
・すぐにかっとなってしまう など

また、喜怒哀楽が激しく、出来事が自分の思い通りにいかないと癇癪(かんしゃく)を起こしてしまうこともあります。このような感情的な行動から、人間関係においてトラブルが多くなってしまう子どももいます。

二次障害

ADHD(注意欠如多動症)の特性はその人がもつ脳の機能によって起こるものであり、わざとやっているわけでも本人の努力不足でもありません。ですが、そのことが周囲に理解されず、困った子どもと誤解されてしまうこともあります。そして、叱られたり厳しい訓練を受けたりした結果、本人の自尊心が低下することもあります。

本人にとってつらい状況が続くことで、不登校や、引きこもりなどの行動に表れたり、うつ病など精神的な症状が表れることがあり、その状態は二次障害と呼ばれています。

二次障害を防ぐためにも、子どもが困っていることに気づいたら早めに専門機関での相談や受診をしましょう。
不登校の原因は?子どもとの向き合い方、進級・進学や支援について【精神科医監修】のタイトル画像

不登校の原因は?子どもとの向き合い方、進級・進学や支援について【精神科医監修】

うつ病の症状や診断|中学生など子どものうつ病や発達障害との関わりについて解説のタイトル画像

うつ病の症状や診断|中学生など子どものうつ病や発達障害との関わりについて解説

不注意優勢型ADHD(注意欠如多動症)(旧ADD)による困りごとへの対処法

ここでは、不注意優勢型ADHD(注意欠如多動症)(旧ADD)による困りごとに対して、家庭などでできる対処法を紹介します。

不注意への対処法

不注意による困りごとへの対処法の具体例を紹介します。
・必要なものは親や先生が一緒に確認する
・席の位置など気になる刺激が少ない環境にする
・指示を細かく分類して、一つの行動が短時間で終わるようにする
・全体への指示の後に個別に指示を伝えるようにする
・紙メモやスマートフォンのTo Doアプリなどを活用する
・メモなど持ち物を入れる場所を固定化する(ランドセルの特定のポケットなど) など

こういった工夫やツールなどは子どもによって合う合わないがあります。いろいろと試してみるとよいでしょう。

衝動性への対処法

次に衝動性による困りごとがある場合の対応方法を紹介します。
・やるべきことを思い出し気付けるような言葉かけをする
・ルールを設定したうえで、ある程度自由な行動を許す
・ルールを伝えるときにはイラストなど視覚的に分かりやすくする
・水を飲む、一人になるなど自分なりのクールダウンの方法を見つける
・休み時間は充分に体を動かすように促す など

適切な対処をすることで、徐々に困りごとを減らすことができ、本人も周囲も安心した生活を送れるようになるでしょう。
児童支援最大化バナー

不注意優勢型ADHD(注意欠如多動症)(旧ADD)の4つの治療法

ここではADHD(注意欠如多動症)と診断を受けた際に行われる対応や治療について紹介します。

現在ではADHD(注意欠如多動症)を根本的に治療する方法はありません。しかし、環境調整、対人関係などのトレーニング、ペアレントトレーニング、薬物療法などを行うことで困りごとを減らしていくことは可能です。

環境調整

環境調整とは、困りごとが起きないように子どもの特性に合わせて周囲の環境を調整することです。例えば、周りの情報に注意が逸れやすい子どもには、「部屋を勉強するところと遊ぶところに仕切る」「机の上におもちゃを置かない」「学校の席を一番前にしてもらう」などの環境調整があります。

環境調整にはツールを使った方法もあり、忘れものが多い子どもには「To Doアプリに必要な持ち物を入力しておき、家を出る前に通知が来るように設定しておく」などがあります。

席を変えるなど学校などで環境調整を行いたい場合は、担任の先生やスクールソーシャルワーカーなどに相談してみるとよいでしょう。

ソーシャルスキルトレーニング(SST)

SSTとはソーシャルスキルトレーニング(Social Skills Training)の略で、人間が社会で生きていくために必要なスキルを習得するトレーニングのことです。ロールプレイなどの手段を用いて、対人関係や自己コントロール方法などを学んでいきます。

SSTは医療機関や児童発達支援事業所、放課後等デイサービス、学校などさまざまな場所で受けることが可能です。詳しいことは各実施場所にご確認ください。
ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは?支援の対象、方法、気をつけたいポイントについて【専門家監修】のタイトル画像

ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは?支援の対象、方法、気をつけたいポイントについて【専門家監修】

ペアレントトレーニング

ペアレントトレーニングとは、保護者を対象として子どもへの関わり方を学ぶプログラムです。具体的には、子どもの特性や性格などを踏まえた上手な褒め方、間違ったことをしたときの注意の仕方などを学びます。

ペアレントトレーニングは児童発達支援事業所、発達障害者支援センター、教育センターなどの行政機関や医療機関で受けることができます。こちらも詳しくは各実施場所に相談してみるといいでしょう。
ペアレントトレーニング(ペアトレ)とは?種類や効果など/専門家監修 のタイトル画像

ペアレントトレーニング(ペアトレ)とは?種類や効果など/専門家監修

薬物療法

ADHD(注意欠如多動症)の治療では薬を使うこともあります。現在の日本で認可されているのはアトモキセチンとメチルフェニデート、グアンファシン(小児のみに適応)などがあります。どちらも医師から処方される薬なので、検討している方は医師に相談してみるとよいでしょう。
ただ、子どもの年齢によっては使用ができない場合があることや、副作用も報告されています。処方前、処方後に関わらず気になることがある場合は、医師と十分なコミュニケーションを取った上で判断していくことが大事です。
ADHD(注意欠如多動症)の治療法・療育法は?治療薬は効果的なの?【専門家監修】のタイトル画像

ADHD(注意欠如多動症)の治療法・療育法は?治療薬は効果的なの?【専門家監修】

ADHD(注意欠如多動症)のある人に処方される薬コンサータの効果や副作用、コンサータとストラテラ違いも解説【精神科医監修】のタイトル画像

ADHD(注意欠如多動症)のある人に処方される薬コンサータの効果や副作用、コンサータとストラテラ違いも解説【精神科医監修】

ADHD(注意欠如多動症)のある人に処方される薬ストラテラ、そのストラテラの効果・副作用について詳しく解説しますのタイトル画像

ADHD(注意欠如多動症)のある人に処方される薬ストラテラ、そのストラテラの効果・副作用について詳しく解説します

子どもに不注意や衝動性が見られる場合の相談先

子どもに不注意や衝動性があり、日常生活や園・学校などで困りごとがある場合は、以下の場所に相談してみるとよいでしょう。

・保健所/保健センター
・児童相談所
・児童家庭支援センター
・児童発達支援センター
・発達障害者支援センター など

こういった場所では直接出向いて相談できる以外にも、電話などで相談を受け付けている場合もあります。各機関のサイトも確認して、相談しやすい場所に問い合わせてみるとよいでしょう。

ほかにも、自治体に子育てに関する相談窓口が設置されていることがあります。自治体のサイトに掲載されているので、チェックしてみるとよいでしょう。

まとめ

ADDとは、不注意と衝動性が強いためにさまざまな困りごとが生じる発達障害のことです。ADDは過去に用いられていた診断名で、現在ではADHD(注意欠如多動症)と診断名が変わっています。

ただ、診断名に関わらず困りごとは人それぞれ異なっています。診断名にこだわりすぎず、子どもが何に困っているのかを把握することが、適切な対応を行う上でも大切です。そのためにも家庭だけで抱え込まずに、専門家の力も借りながら進めていくとよいでしょう。
神経認知障害群, パーソナリティ障害群, 性別違和, パラフィリア障害群, 性機能不全群 (DSM-5を読み解く─伝統的精神病理, DSM-IV, ICD-10をふまえた新時代の精神科診断)
池田 学(編集), 神庭重信(編集)
中山書店
Amazonで詳しく見る
AD/HDのすべてがわかる本 (健康ライブラリーイラスト版)
市川 宏伸 (著)
講談社
Amazonで詳しく見る
モデル・栗原類、「発達障害(ADD)って、隠してたつもりはなかったんですけど笑」のタイトル画像

モデル・栗原類、「発達障害(ADD)って、隠してたつもりはなかったんですけど笑」

スマホアプリで作れちゃう!失くしもの・忘れ物予防に便利な絵カードのタイトル画像

スマホアプリで作れちゃう!失くしもの・忘れ物予防に便利な絵カード

子どもの癇癪(かんしゃく)とは?癇癪を起こす原因や発達障害との関連は?しんどいときの対応方法、相談先まとめ【専門家監修】のタイトル画像

子どもの癇癪(かんしゃく)とは?癇癪を起こす原因や発達障害との関連は?しんどいときの対応方法、相談先まとめ【専門家監修】

大人の癇癪(かんしゃく)とは?感情のコントロールができない…発達障害との関連は?【専門家監修】のタイトル画像

大人の癇癪(かんしゃく)とは?感情のコントロールができない…発達障害との関連は?【専門家監修】

児童支援最大化バナー


年齢別でコラムを探す


同じキーワードでコラムを探す



放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。