映画や本で聞いたことがあった「サヴァン症候群」=天才のイメージ
サヴァン症候群について、私は映画や本で見聞きしたことがありました。
写真を少し見ただけで細部にいたるまで描きおこしたり、一度聞いただけの音楽を正確に再現したりといった、特定の分野にずば抜けた才能を発揮する天才ーそうイメージしていました。
写真を少し見ただけで細部にいたるまで描きおこしたり、一度聞いただけの音楽を正確に再現したりといった、特定の分野にずば抜けた才能を発揮する天才ーそうイメージしていました。
長男にもそんな才能があればいいのにな…
そんなことを思いながら「羨ましい能力ですね」と言いました。
そんなことを思いながら「羨ましい能力ですね」と言いました。
女性は首を振りながら「《2006年3月、お母さんが僕を大声で叱った。とても恐かった》とかね、小さな頃のことでも全部覚えてて、今さら泣き出すのよ」とため息をつきました。
「初めて家族で泊まったホテルのどこに何があった、窓の下には自動販売機があった。正確に覚えているの。こういう楽しい時のことだけ、記憶してくれればいいのに」そう女性は言うと、淋しそうに笑いました。
「初めて家族で泊まったホテルのどこに何があった、窓の下には自動販売機があった。正確に覚えているの。こういう楽しい時のことだけ、記憶してくれればいいのに」そう女性は言うと、淋しそうに笑いました。
この言葉がとても切なく響きました。
母親は子どもに対して、いつも菩薩のような笑顔でいるわけにはいきません。時には鬼のような形相で叱りつけなくてはならない場面も出てきます。でもたいていの子どもは、その瞬間母親を恐いと思っても記憶は次第に薄れていき、新しい記憶が上書きされていくのでしょう。
けれど、母親の怒った顔がいつまでも脳裏に焼きついて離れないとしたら――私は同じ母として、安易に羨ましいと言ったことに対して、何か申し訳ないような気持ちになってしまいました。
母親は子どもに対して、いつも菩薩のような笑顔でいるわけにはいきません。時には鬼のような形相で叱りつけなくてはならない場面も出てきます。でもたいていの子どもは、その瞬間母親を恐いと思っても記憶は次第に薄れていき、新しい記憶が上書きされていくのでしょう。
けれど、母親の怒った顔がいつまでも脳裏に焼きついて離れないとしたら――私は同じ母として、安易に羨ましいと言ったことに対して、何か申し訳ないような気持ちになってしまいました。
サヴァン症候群だからこその生きづらさ
この時の出来事が強烈に印象に残ったこともあり、私は「サヴァン症候群」について調べてみました。
サヴァン症候群の困りごと、能力の伸ばし方とは?サヴァン症候群の著名人の紹介も【専門家監修】
やはりあの女性が言っていた通り、サヴァン症候群であるがゆえの生きづらさが明確に記されており、改めて当事者がいかに大変であるかを知ることができました。
その記事の中で印象的だった一文があります。
私自身が漠然と思い描いていた、サヴァン症候群に関する認識ががらりと変わりました。詳しくはそちらを読んでいただければと思いますが、その記事の中の一文を引用させていただきますね。
その記事の中で印象的だった一文があります。
私自身が漠然と思い描いていた、サヴァン症候群に関する認識ががらりと変わりました。詳しくはそちらを読んでいただければと思いますが、その記事の中の一文を引用させていただきますね。
世間で天才と呼ばれる人であっても、一人の人間であるという、一見あたりまえのことを忘れないようにしたり、サヴァン症候群は多様性に富んでいることを理解したりすることが大切なのかもしれません。
ずば抜けた才能があってもなくても、君が楽しく生きてくれたらそれでいいんだよ
ずば抜けた能力を持っていてほしい、そしてその能力が仕事として活かされるならこの子は幸せになれる――発達障害があればなおさら、親はわが子の才能探しをしたくなるかもしれません。
確かに驚異的な記憶力を持つことで趣味や仕事に結び付くことはあるかもしれない。けれど反面、楽しいことだけでなく悲しい記憶まで薄れずに保持しているということは、とても辛いことかもしれません。時の経過とともに悲しい出来事を忘れていけるからこそ、人は強く生きていけるのだから。
傑出した能力や才能があるがゆえに、悩み苦しまなければいけないという側面が一方である。そのことを、今回の出来事で知ることができました。
ずば抜けた才能はなくていいから、どうか長男が生きやすい人生を送れますように。
確かに驚異的な記憶力を持つことで趣味や仕事に結び付くことはあるかもしれない。けれど反面、楽しいことだけでなく悲しい記憶まで薄れずに保持しているということは、とても辛いことかもしれません。時の経過とともに悲しい出来事を忘れていけるからこそ、人は強く生きていけるのだから。
傑出した能力や才能があるがゆえに、悩み苦しまなければいけないという側面が一方である。そのことを、今回の出来事で知ることができました。
ずば抜けた才能はなくていいから、どうか長男が生きやすい人生を送れますように。
「お母さんの怒った顔、お願いだから全部忘れてね――」
あの少年とお母さんを思い浮かべながら、そんなことをふっと思いました。
あの少年とお母さんを思い浮かべながら、そんなことをふっと思いました。
「長男の自閉症が治せたら」そんな私の思いを変えた、次男の言葉
ギフテッドとは?医学的な診断はあるの? 【専門家監修】
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