イギリス式の養護学校での2年間で学んだもの
娘と同時期に日本人学校小学部を卒業したダウン症の男の子も一緒に入学しました。
学校の中で唯一日本語が通じる相手で、最初は二人ともお互いを心のよりどころにしていたようです。彼と彼のお母さんがいてくれたおかげで、私達親子は頑張れたなぁと今でも出会いに感謝しています。
最初の一年間は、学校の中には誰も日本語がわかる先生がいない状態でしたが、先生方はあたたかく私たちを受入れ、そして時には厳しく指導してくださいました。
学校の大まかな流れ自体は日本とよく似ているので、娘たちは学校生活にすぐになじんでいきました。学校ではマカトンサインも取り入れていたため視覚支援も多く、困ることはなかったようです。
2年目からは週の半分ほど日本人の先生がサポートで入ってくださるようになり、そこから英語の理解も進んだように感じました。
娘たちは英語が全く分からないので、小学校高学年相当のクラスに入りました。
授業は、算数、英語、理科、社会、家庭科、体育がありました。算数に関しては、日本の小学校のほうが難しいことをしているので、娘にとっては簡単に感じたようです。
目標は「将来の自立」という点では日本と変わりはありませんが、そのアプローチは日本とはちょっと違うように感じました。
どの教科も、体験を通して学んでいくスタイルで、ビデオやiPadも活用しながらすすめていました。学校で宇宙のことを学んだことで、バンコクで行われていたNASA展に興味を示したり、家庭科でバランスの良い食事について学んだことで食べるものを意識するようになったりと、学ぶことにより、娘の視野が広がっていくのを感じました。
日本の中学校では、高校卒業後の就労を見据えて、洋服の畳み方だったり、挨拶の仕方だったりといった生活に関する体力作りが多くなり、教科学習が小学校に比べてぐんと減った感じがするのが、親としてはちょっと寂しかったのです。イギリス式養護学校での学びにより、生活や人生に幅が出るという体験はとても新鮮に映り、嬉しく感じました。
また、先生方は娘に可能な限り英語も教えようとしてくださり、2年目に入るころにはヒアリングはかなりできている状態だったように感じます。日本で英語を教えたことのある先生が取り出しで教えてくれるようになったこともあり、結果として在タイ中に英検5級と4級に合格することが出来ました。
これは、娘にとっても大変自信になりました。在学中に、学校のスタッフから感じたことは「障害があっても学ぶことを諦めない姿勢」だったように思います。
学校にST・OTが常駐しており、学期の終わりには関わる先生と一緒に評価と次の学期の目標設定をします。生徒数50名程度の小さな学校なので、スタッフも先生も子どもたちの様子をよく見てくれているという印象でした。
毎年全校で、リゾートホテルに泊まりに行く宿泊学習があったり、クリスマス前には全生徒が出演する劇もありました。劇が終わると学校の庭で先生や保護者と一緒にパーティーが催されるところが「インターナショナルスクールだなぁ!」と感じたところでした。
1年目の担任はインド人のシルビア先生。長年特別支援教育に携わってきた大ベテランの先生です。娘たちのことを大変かわいがってくださいました。
また、子どもだけではなく英語が全然できなかった私のこともフォローしてくれました。1年弱お世話になったところで故郷のインドに帰られたのですが、その時は涙の別れ。
いつかインドに遊びに来てねとお誘いも受けました。また一人恩師が増えました。
2年目以降は、イギリス人のエイミー先生。若くて年の近い先生で日本のアニメも知っていて、娘は先生と話したい!という気持ちが強くなって英語が上達したようにも思います。最後は娘お得意の「聞こえないふり」を見抜くほど娘のこともよく理解してくださいました。
日本に帰国後半年ほどたったときに、バンコクに残る父親を訪ねながら、また学校で1日交流させてもらったのですが、どこの部屋へ行っても子どもたちやスタッフの歓迎を受けて、確かにここは娘の居場所だったのだなぁと、あらためてジーンとしました。
学校の中で唯一日本語が通じる相手で、最初は二人ともお互いを心のよりどころにしていたようです。彼と彼のお母さんがいてくれたおかげで、私達親子は頑張れたなぁと今でも出会いに感謝しています。
最初の一年間は、学校の中には誰も日本語がわかる先生がいない状態でしたが、先生方はあたたかく私たちを受入れ、そして時には厳しく指導してくださいました。
学校の大まかな流れ自体は日本とよく似ているので、娘たちは学校生活にすぐになじんでいきました。学校ではマカトンサインも取り入れていたため視覚支援も多く、困ることはなかったようです。
2年目からは週の半分ほど日本人の先生がサポートで入ってくださるようになり、そこから英語の理解も進んだように感じました。
娘たちは英語が全く分からないので、小学校高学年相当のクラスに入りました。
授業は、算数、英語、理科、社会、家庭科、体育がありました。算数に関しては、日本の小学校のほうが難しいことをしているので、娘にとっては簡単に感じたようです。
目標は「将来の自立」という点では日本と変わりはありませんが、そのアプローチは日本とはちょっと違うように感じました。
どの教科も、体験を通して学んでいくスタイルで、ビデオやiPadも活用しながらすすめていました。学校で宇宙のことを学んだことで、バンコクで行われていたNASA展に興味を示したり、家庭科でバランスの良い食事について学んだことで食べるものを意識するようになったりと、学ぶことにより、娘の視野が広がっていくのを感じました。
日本の中学校では、高校卒業後の就労を見据えて、洋服の畳み方だったり、挨拶の仕方だったりといった生活に関する体力作りが多くなり、教科学習が小学校に比べてぐんと減った感じがするのが、親としてはちょっと寂しかったのです。イギリス式養護学校での学びにより、生活や人生に幅が出るという体験はとても新鮮に映り、嬉しく感じました。
また、先生方は娘に可能な限り英語も教えようとしてくださり、2年目に入るころにはヒアリングはかなりできている状態だったように感じます。日本で英語を教えたことのある先生が取り出しで教えてくれるようになったこともあり、結果として在タイ中に英検5級と4級に合格することが出来ました。
これは、娘にとっても大変自信になりました。在学中に、学校のスタッフから感じたことは「障害があっても学ぶことを諦めない姿勢」だったように思います。
学校にST・OTが常駐しており、学期の終わりには関わる先生と一緒に評価と次の学期の目標設定をします。生徒数50名程度の小さな学校なので、スタッフも先生も子どもたちの様子をよく見てくれているという印象でした。
毎年全校で、リゾートホテルに泊まりに行く宿泊学習があったり、クリスマス前には全生徒が出演する劇もありました。劇が終わると学校の庭で先生や保護者と一緒にパーティーが催されるところが「インターナショナルスクールだなぁ!」と感じたところでした。
1年目の担任はインド人のシルビア先生。長年特別支援教育に携わってきた大ベテランの先生です。娘たちのことを大変かわいがってくださいました。
また、子どもだけではなく英語が全然できなかった私のこともフォローしてくれました。1年弱お世話になったところで故郷のインドに帰られたのですが、その時は涙の別れ。
いつかインドに遊びに来てねとお誘いも受けました。また一人恩師が増えました。
2年目以降は、イギリス人のエイミー先生。若くて年の近い先生で日本のアニメも知っていて、娘は先生と話したい!という気持ちが強くなって英語が上達したようにも思います。最後は娘お得意の「聞こえないふり」を見抜くほど娘のこともよく理解してくださいました。
日本に帰国後半年ほどたったときに、バンコクに残る父親を訪ねながら、また学校で1日交流させてもらったのですが、どこの部屋へ行っても子どもたちやスタッフの歓迎を受けて、確かにここは娘の居場所だったのだなぁと、あらためてジーンとしました。
制度がないだけに助け合うコミュニティ
タイには、首都バンコクを中心に約7万人の日本人が住み、バンコクの日本人学校は2017年5月現在は小・中学校合わせて約2600人の生徒が在籍しています。
毎日約150台のバスが運行され、子どもたちを運んでくれています。日本人の多くが、企業のオフィスの多い街の中心地から、電車で30分くらいの範囲に集まって住んでいます。
世界でも比較的治安のいいバンコクではありますが、やはり日本と同じようにはいきません。
海外で暮らす人同士であること、また駐在家族は日本のように気軽にアルバイトに出たりできないため、時間に余裕のある人も多く、友達、近隣とのおつきあいは日本よりも多い印象です。
日本のように、福祉の制度も整っていない反面、「何かできることがあったら言ってね」と言われることが多かった気がします。
毎日約150台のバスが運行され、子どもたちを運んでくれています。日本人の多くが、企業のオフィスの多い街の中心地から、電車で30分くらいの範囲に集まって住んでいます。
世界でも比較的治安のいいバンコクではありますが、やはり日本と同じようにはいきません。
海外で暮らす人同士であること、また駐在家族は日本のように気軽にアルバイトに出たりできないため、時間に余裕のある人も多く、友達、近隣とのおつきあいは日本よりも多い印象です。
日本のように、福祉の制度も整っていない反面、「何かできることがあったら言ってね」と言われることが多かった気がします。
タイの特別支援教育・療育
前出の日本人学校には小学部に特別支援級があり、日本から特別支援教育のスキルを持った教員が赴任し、手厚く専門的な指導をしているとのことです。また普通級在籍の生徒にも必要があれば個別の支援が行われ、日本人学校においては日本と同じ程度の特別支援教育が受けられると思われます。
しかし、義務教育期間ではありますが、私立なので障害のある児童や母国語が日本語でない生徒など特別な支援を要する児童については、学校と相談となるようです。詳しくはホームページなどに詳しく掲載されますので、ご確認ください。
療育に関しては、日本のような療育施設はありません。その代わり病院にPT・OT・ST・心理職がおり、療育を受けることが出来ます。ただし、言語はタイか英語なので通訳を手配する必要があります。
また、日本のように健康保険がないので、治療代については各企業で加入する駐在向けの海外旅行保険などで賄われます。また、療育センターに当たるものがありませんので、親子でのグループ療育や、保健福祉センターのように気軽に相談できる公的機関はありません。
タイに在住の発達に心配のあるメンバーは、日本人会の相談会を利用したり、サークルで情報交換や日本で療育関係にお勤めされていたボランティアさんに相談をしたりしながら、各自の判断で病院での療育を受けながら子育てしています。
しかし、義務教育期間ではありますが、私立なので障害のある児童や母国語が日本語でない生徒など特別な支援を要する児童については、学校と相談となるようです。詳しくはホームページなどに詳しく掲載されますので、ご確認ください。
療育に関しては、日本のような療育施設はありません。その代わり病院にPT・OT・ST・心理職がおり、療育を受けることが出来ます。ただし、言語はタイか英語なので通訳を手配する必要があります。
また、日本のように健康保険がないので、治療代については各企業で加入する駐在向けの海外旅行保険などで賄われます。また、療育センターに当たるものがありませんので、親子でのグループ療育や、保健福祉センターのように気軽に相談できる公的機関はありません。
タイに在住の発達に心配のあるメンバーは、日本人会の相談会を利用したり、サークルで情報交換や日本で療育関係にお勤めされていたボランティアさんに相談をしたりしながら、各自の判断で病院での療育を受けながら子育てしています。