女の子の発達障害、特徴は?特有の悩みやサポート方法を解説【専門家監修】
女の子の発達障害は、男の子と比べて特性の偏りによる目立った問題行動が少なく、気づかれにくいという特徴があります。また、女の子は身だしなみのマナー、女の子特有の人間関係、異性との付き合い方など、成長とともに、さまざまな困りごと・生きづらさに直面することが多々あります。この記事では、発達障害の女の子にはどんな特徴があるのか、年齢ごとに紹介するとともに、女の子だからこそ起こる悩みとそのサポート方法を解説します。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
そもそも発達障害とは?
この記事で分かること
- 女の子の発達障害(ADHD・ASD)が気づかれにくい理由
- 学童期・思C春期・成人期と、年齢ごとに直面しやすい悩み
- 心身の変化(生理など)に対する家庭での具体的なサポート方法
発達障害はいくつかのカテゴリーに分類されています。この記事では中でも、性別による違いが現れる、女の子ならではの悩みと関連しやすいという観点から、今回はADHD(注意欠陥・多動性障害)、自閉症スペクトラム障害(ASD)について詳しくご説明します。
ADHD(注意欠如多動症)
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自閉症スペクトラム障害(ASD)
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近年の研究では、実際のところ、発達障害の発現にはっきりとした男女の差は見られないという説があります。ですが、あらわれる症状や特性が男の子より目立たないことがあり、今まで「女の子」の発達障害についてはあまり指摘されてこなかったのではないか、とも言われています。
女の子の発達障害には、特有の特徴があり、生きづらさや悩みを抱えているのではないかと考えられます。この記事では発達障害のある女の子が直面することの多い困りごとと、その対処法をご紹介します。
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女の子の発達障害、その特徴は?
特性がはっきりとはあらわれにくい
例えば、ADHDの場合、上記の通り不注意・多動性・衝動性という3つの症状がありますが、ADHDの女の子は特に不注意特性が強いことが多くなります(これを不注意優勢型とも言います)。この不注意特性は、多動・衝動優勢型の子どもに比べて、周りへの影響が小さいこともあり、ADHDであると気づかれにくい傾向があります。
このように、女の子は発達障害だと気づかれず、特性による困りごとを抱えたまま過ごしてしまうことがあります。そのため支援につながりにくいのです。困りごとが解決されず、生きづらさを抱えたまま成長してしまうことが多いと言われています。
特性による悩みから二次障害を発症しやすい
二次障害には、例えば以下のような症状・状態があります。
・気分障害(うつ病など)
・行為障害
・不安障害
・反抗挑戦性障害
・不登校やひきこもり
・アルコールなどの依存症 など
発達障害の女の子の傾向として「特性がはっきりと現れにくい」と紹介したように、二次障害の起こりやすさはこの特性発現の曖昧さによってもたらされていることがあります。
女の子は周囲・そして自分でも「発達障害である」と気づかれにくい。だから「不真面目な子」「自分勝手な子」などと誤解されてしまったり、自分でも「どうして周りの子のようにできないのだろう…」と思い詰めてしまったりすることがあります。そうしたネガティブな誤解・思い込みが重なり、発達障害の女の子は、二次障害の発症に繋がってしまうこともあります。
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女の子ならではの問題に困ってしまう
多くの女の子は、このような女の子ならではの問題への対処法を、同世代の子どもとの集団生活の中で、自然と身につけていきます。そして、自分の周りにいる女の子に対しても、このような対処法を習得していることを前提に、関係を築いていくことが多いです。
ですが、発達障害の女の子は、こういった「女の子としてのスキル」を周りに合わせて習得することに難しさを感じることが少なくありません。集団の中で浮いた存在となってしまったり、「女の子なんだから…」というような抽象的な指摘の意味がわからず、混乱してしまったりします。
例えば、自閉症スペクトラム障害の社会的コミュニケーションの困難という特性は、女の子集団特有の人間関係への苦手意識や、身だしなみへの無関心さにつながりやすいと言えます。
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女の子の発達障害、年齢ごとに直面する問題とは?
乳幼児期
一方で、症状や困りごとがわかりにくいことから、言葉や知的な遅れがない場合、気づかれにくいことも多いので、注意が必要です。
学童期
また、小学校高学年になると、女の子ならではの人間関係や、それに伴う暗黙のルールなどが増えたり、早い子では第二次性徴が見られたりするため、女の子としての生きづらさも徐々に感じ始める傾向にあります。例えば、以下の困りごとが現れます。
・友達、先生の話を聞かない
・忘れ物が多い
・整理整頓が苦手
・時間や活動の変更への対応ができない
・授業に集中することができない
・話し始めると止まらない
・友達との会話についていけない、周りから敬遠されてしまう
・人の言うことをすぐ信じてしまい、からかいを受けてしまう など
思春期
・女性下着の着用を嫌がる(本人の衣服へのこだわり、手先が不器用でブラジャーのホックを留められない、ブラジャーのワイヤーを痛がるなど)
・生理用ナプキンの着用を嫌がる、定期的な交換ができない
・生理痛やPMS(月経前症候群)の影響を強く受ける、不安になってしまう
・異性の前でも生理や下着の話を平気でしてしまう
・女子グループから浮かないように、無理に合わせすぎて疲れてしまう
・周りとの違いに気づき、落ち込んでしまう
・異性との距離感がうまくとれない など
なお、学童期や思春期で多く挙げた第二次性徴にまつわる悩みや、女の子特有の人間関係についてのサポート方法に関しては、次の章で詳しく解説します。
成人
人によっては、成人になってこのようなライフイベントを経て、自分の特性の偏りに気づくこともあります。
・家事を段取りよくできない
・片づけができない
・お金や書類の管理が苦手
・子育てがうまくいかず、感情的になってしまうのを止められない
・恋人や結婚相手、またその家族とうまく関係を築けない
・ご近所づきあい、ママ友づきあいが苦手
・仕事でのミスが多く、周りの人から責められてしまう
・何かハマるととことん依存してしまう(酒、ギャンブル、ショッピング、インターネットなど)
・自分への自信のなさから不幸な恋愛をしてしまう(金銭を貸してしまうなど) など
女の子ならではの困りごと、対処法って?
女の子特有の人間関係
このようないわゆる「ガールズトーク」は、次々と話題が変わったり、自分と相手の話す量のバランスを調整しながら話したりすることが多くあります。これが、発達障害の女の子にとっては話にうまく入れない、グループの秘密を守る理由が理解できないなど、友達との関係づくりの苦手意識につながることが考えられます。
その時、次のようなサポートを試してみると、本人が女の子の人間関係の構造を理解するきっかけになるかもしれません。
発達障害の女の子は、その子たちに距離を置かれたり、会話に関して文句を言われたりしても、どうしてそんな状況になっているのかわからないことが多くあります。
周囲と仲良くすることができない理由を、親や信頼できる友達からわかりやすく説明してあげると、自分の発言・態度が相手にどのように伝わっているのか、理解しやすくなるでしょう。
特に、人の表情を読んだり、冗談や皮肉など文字通りの意味ではないニュアンスを読み取ったりするなど、非言語的なコミュニケーションが苦手なことがあります。そのような微妙なニュアンスを言葉にして説明することで、女の子の人間関係のコツを理解するきっかけになるかもしれません。
■人付き合いに疲れてしまったときは少し離れてみてもよい、常に一緒にいる必要はないことを伝える
発達障害であるかどうかに関わらず、関わる全ての子と友達になる・うまく仲良くするのはなかなか難しいと思います。よく、学校などでは「たくさんのお友達をつくりましょう」などと広い交友関係をもつことを良しとしてしまいがちですが、そのイメージを強く持ちすぎると、「友達がなかなかできない自分はダメな子」というように思ってしまうことがあります。
親は子どもをサポートする側として、子どもの交友関係に過度に干渉するよりも、友達への話しかけ方や、スムーズに会話をする方法を教えてあげましょう。そして、多くの友達と関係をつくる・維持するよりも、自分が無理をせずに付き合える友達と過ごす、時には一人になってみる選択肢もある、ということを伝えてあげることがポイントです。
■自助グループへの参加
高校生~成人くらいであれば、自助グループに参加し、同じ境遇の人と話してみることも良い方法です。発達障害の自助グループをはじめ、二次障害に関する自助グループなどもあります。自分と同じ特性や悩みがある人に、人間関係に関してどうしているかを聞いてみると、当事者ならではの良い改善方法が見つかるかもしれません。
心と身体の変化
■ブラジャーの身につけ方、生理用ナプキンの使い方を一緒に実践してみる
小学校などで女の子向けの性教育の時間を設けてくれるところは多いですが、集団の中で教えられるので、いざ自分がその時にどうすればよいのかわからないことがよくあります。
・ブラジャーの着脱方法
・子どもにあった下着選び
・生理用ナプキンの交換頻度、交換方法
・トイレまでのナプキンの持参方法 など
これらのことを、子どもと一緒に実践しながら教えることが大切です。ただ一方的に教えるだけでは、なかなか想像・理解がしづらいことなので、できれば女の子の先輩である母親、姉、親戚などで協力し、実物を見せるなどして子どもに教えられると良いですね。
■異性とはどのくらい距離感を保つべきなのか、具体的に教える
小さい頃は男女関係なく遊んでいても、成長につれて男女分かれて遊ぶようになったり、お互い異性としての距離を取って付き合ったりすると思います。
ですが、発達障害の女の子の場合、思春期頃の男女関係の変化に気づかず、同性と異性それぞれへの行動の区別ができないことが多くあります。そのため、異性に近づきすぎる、体を触る、じろじろ見る、恋愛や性の話題をためらいなくするといった、周囲に誤解を与えかねない行動をしてしまうことがあります。
親のサポート方法として、異性の前でしてはいけない行動・話を具体的に教えてあげることが挙げられます。この時、子どもの特性に合わせて、異性の付き合い方のルールとしてリスト化してあげたり、ルールを守らなかった場合、相手にどんな印象を与えてしまうのかというところまで教えてあげたりするなど、工夫するとよいでしょう。
一方で、幼児期に男の子にからかわれたりして苦手意識を持つなどして異性と話したり接することができない子もいます。適切な距離感を教えながら集団の中で話しやすそうな男の子と話す機会をつくるなどして少しずつ成功体験を積めるようにするとよいでしょう。
■年齢に応じて性に関すること、自分の身を守る方法を教える
性に関することは、親から子へはなかなか話しにくいことかもしれません。ですが、思春期を迎えるにつれて、避けられない話であると同時に、発達障害の女の子の場合は、その特性からさまざまなトラブルに巻き込まれる可能性があります。
先ほど紹介した、異性との距離感の保ち方と同様に、性に関するタブー(人前でプライベートゾーンを触る、露出するなど)のほか、異性との性行為のリスクや断り方に関しても、きちんと教えることが大切です。
もし、本人が性に関する話に抵抗するようであれば、子どもの年齢に合った語り口で、性に関して解説された書籍・ハンドブックなどを手渡してみるのも、性に関する正しい知識を得る良いきっかけとなるかもしれません。
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身だしなみ
身だしなみの教え方として、子どもに合わせて以下のようなサポートをしてみてはいかがでしょうか。
■最低限の身だしなみを整えられるよう、チェックリストをつくる
年頃の女の子は自然と「可愛く、きれいになりたい」「周りの視線が気になる」という意識が芽生え、身だしなみにも気を遣い始めると思います。
一方、特に自閉症スペクトラム障害の女の子は、他人から自分がどう見られているか想像することが苦手・関心がないゆえに、羞恥心や身だしなみを理解できないことが多くあります。
とはいえ、体臭や頭髪の清潔さなど、他者と過ごすうえでの最低限のマナーに関しては、子どもが守れるよう、マニュアルやチェック表を作って洗面所に貼ってみるなどのサポートが必要です。
また、大きくなると一人の女性として化粧をすることやむだ毛のケアがマナーとされることもあります。そうはいっても、感覚過敏で化粧品や脱毛が苦手だったり、これらのケアをする意味がわからず、やる気にならなかったりすることもあると思います。
その場合、「顔色よく見えるように口紅・色つきリップクリームだけは塗る」「化粧水などのスキンケアでお肌をきれいに保つ」「半袖を着る時期はムダ毛の処理をする」といった無理のない約束事を、年齢・TPOに応じて追加するのもよいでしょう。
■服選び、コーディネイトは本人の特性・ペースに合わせて徐々に対応していく
発達障害の女の子は、「大きくなっても一人で服を選べない」「好きな色、柄、キャラクターだけでかたくなにコーディネイトしようとする」「気温や気候に合わせて服装を考えられない」など、服選びの場面でも苦労することがあります。
1人で服を選べない場合、トップス・ボトムス・靴下のどれか1つだけ選ばせてみる、全身コーディネイトのパターンを数種類用意し、どのパターンにするか選ばせてみるというように、服を選ぶハードルを下げ、少しずつ自分で選べるようにはたらきかける方法がおすすめです。
また、コーディネイトに本人なりの強いこだわりがある場合、ある程度は本人に任せてしまってもよいかもしれません。色や柄、肌触りにこだわりがある場合は、同じような服を何枚か買ってそろえてあげる、その服を使ったコーディネートの写真を参考程度に見せてみるなど、本人の好みをある程度尊重する姿勢でゆっくり見守っていくことも大切です。
まとめ
女の子特有の友達づきあい、異性との距離感、身体の変化をはじめ、「女の子らしさ」「女の子なんだから」という周りからの視線…さまざまな生きづらい環境に身を置きながら、自身の特性と付き合わなければならない場面もあるでしょう。
女の子の先輩である母親、祖母、親戚、信頼のおける友達など、周りの女性をはじめ、異性の家族とも協力しながら、一人ひとりの女の子の成長をサポートしていきたいですね。
参考文献
約700名の保護者が回答!女の子の発達障害、学校や友達との関係、身だしなみの悩みや解決策は?
約450名の当事者が回答!女の子の発達障害、勉強や仕事、恋愛、交友関係など悩みや解決策は?
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