息子はとても頑張っていたけれど…

実習先企業からの「不合格」宣告で気づけた、一番大切にすべきこととは…の画像
Upload By 立石美津子
実習は月曜日から金曜日まで5日間続きましたが、その間、担任の先生と進路担当の先生と保護者である私で、2回見学に行きました。息子は普段の落ち着きのない態度とは違い、人が変わったように集中して、ダイレクトメールの封入やハンコ押しを3時間も続けていました。

私はたった20分しか見学しませんでしたが、20分間見ていることすら飽きてしまいました。「この作業を何時間もやっているんだ」と思うと「ああ、凄く頑張っているなあ…健気だなあ…」と思いました。親から見れば150点、いや、200点あげたいくらい、頑張っていました。

これは、実習の最終日、バス停の前で撮った写真です。とても晴れ晴れとした顔です。きっと達成感を得られたのでしょう。

企業側からすると「お呼びではなかった」息子

しかし!企業が求めるのは“更に上のこと”。

法定雇用率があるので企業は障害者雇用をします。ですが企業は、限られた資金や人員の中で、事業を通して利益をつくらなければいけない存在。企業としての要求水準に応えられない生徒はウェルカムではなかったのです。

学校では時間割にそってチャイムが鳴り、その都度、休憩時間が入ります。校庭で友達と遊ぶことも出来ます。しかし、会社では休み時間はありません。ですから、2時間も3時間も集中して同じ作業ができなかったようです。

また、上司が「終わった?」と聞くと、「終わりました」と丁寧語で返せず、「終わった」と友達言葉で返答していたらしく、そこも「言葉遣いができていない」と指摘されてしまいました。

普段学校に行く前に、私が「いってらっしゃい」と送り出すと、未だにオウム返しで「いってらっしゃい」と手を振りながら出かけて行く息子です。ですから、上司の言葉をそのままオウム返してしまったのでしょう。『終わりましたか?』と丁寧語で聞いてくれていたら、丁寧な言葉で返せるのですが、なかなか難しいですね。

障害者の法定雇用率とは

障害のある人の雇用を促進するために、法定雇用率というものが定められています。50人以上の社員がいる企業は社員数の2パーセントの障害者を雇う義務が法律で定められています。平成30年度からは、45.5人以上の社員がいる企業も対象となり、雇用率も2.2%に引き上げられます。企業は、社員数に応じて、障害者を雇用する必要があるのです。身体障害、知的障害がある人に加えて、平成30年度からは、精神障害がある人も対象となります。

また、重度判定を受けている人を雇用すると二人分にカウントされます。実習前に企業側からは、重度の障害があっても採用実績があるのでチャレンジしてほしいと説明を受けていました。

息子は、手帳を持っているので、法定雇用率の中で働くことができます。ですが、重度の知的障害があるわけではありません。知的に軽度の人ほど仕事はできないけれど、法定雇用率でダブルカウントされるほどではないのです。
障害者雇用義務の対象に精神障害者が加わります|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192051.html
障害者の法定雇用率の引き上げについて|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaisha/04.html
次ページ「働くことは甘くない。でもやっぱり切ない思いを抱えて」

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