進路を選ぶ基準は「子どもが生き生きと過ごせる場所か」

帰り際、担任から次のようにも言われました。「高等部3年生になると保護者間で様々な情報が飛び交います。やはり、あっちの事業所がいい。こんな企業もあるなどさまざまな噂が流れます。でも、それに惑わされず、ぜひ、今の信念がブレないようにしてくださいね」と。

私が「企業!企業!」と言わなかったので、先生方はホッとしていたのかもしれません。なかには、わが子が企業就労が難しい状態であっても「どうしても企業じゃないと嫌だ!」と保護者が主張する場合もあるようですから…。

もちろん「健常児も障害児も分けへだてなく、障害児も通常学級で学ばせるべきだ」という考えもありますが、私は息子の能力に合った教育環境で学ばせたいと思い、特別支援教育をずっと受けさせてきました。

私は 「子どが生き生きと自分らしく過ごしたり、自分の力をのびのびと育むことができるのか」という基準で最適な場所を考える姿勢は、就学においても就職においても同じだと考えています。

企業就労が企業側にとっても受け入れが難しく、また子どもにとってもストレスが多い環境になるのだとしたら、企業にこだわることはないと思うのです。

特別支援学校高等部での3年間は、将来の基礎固めの時期

中学の特別支援学級で同じクラスだったお子さんが、特別支援学校ではない高等学校へ入学しました。道でばったりあったとき、お母さまが卒業後のことを相当悩んでいました。私が「就労移行支援事業所」の話をしたら、「それなあに?」との返答でした。

「この言葉さえ知らないんだ…。特別支援学校に通っていない場合は、学校側も障害のある子の進路に対応してくれず、情報が入らない環境になってしまうんだなぁ」と感じました。

特別支援学校高等部での3年間は、卒業後の長い人生の中でどのような場所で過ごすのか、将来の生活の基礎固めをする大切な時期です。その時期に、経験豊富な特別支援学校の先生方のサポートを得られることは、保護者にとっても子どもにとっても、大変ありがたく貴重な機会となります。

実習や学校の先生との面談、そして中学時代の同級生の保護者との話を通して、改めて「私たち親子が、特別支援教育を受けられる恵まれた環境」にいることに感謝しました。

息子の笑顔が絶えぬように

保護者だけでなく、学校の先生も、息子の将来のことを考えて、あれこれ計画を立ててくれます。

本人はと言うと…

■障害者雇用枠での一般就労
■就労移行支援事業所
■就労継続支援A型
■就労継続支援B型
■生活介護

などの違いも分かっていません。先のことなど関心がない様子です。「今日の晩ごはんはなに?」と今のことしか考えていないようです。
過去や未来に縛られることなく、今日一日のことを考えて生きています。周りに支えられ、誰より「幸せな人」なのかもしれません。でも、母である私は、この笑顔を絶やすことなく、幸せに生きてほしいと改めて願ってしまいます。

そのためにも、多くのサポートを受けられるように、できる限りのことをしたいなと考えています。

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