指定難病の脊髄小脳変性症の症状や進行、脊髄小脳変性症の治療などを解説します
ライター:発達障害のキホン
脊髄小脳変性症(SCD)は、主に小脳が障害されることで歩くときにふらふらする、ろれつが回らないといった症状があらわれる神経変性疾患の総称です。厚生労働省から特定疾患に指定されています。進行すると寝たきりになる可能性もあります。このコラムでは、代表的な症状や治療、利用できる医療・福祉の支援などを解説します。
脊髄小脳変性症(SCD)とは
脊髄小脳変性症(SCD)は、小脳を中心に、脳幹、脊髄、大脳が徐々におかされる進行性の神経変性疾患のことです。数十の疾患を含む総称で、歩くときにふらつく、ろれつが回らない、などの「運動失調」のほか、パーキンソン症状や認知症などさまざまな症状が同時にあらわれることもあります。
病型は、遺伝性とそうではない孤発性に大きく分けられます。発症年齢などにもよりますが、進行すると数年で車いすが必要になり、寝たきりになったり死に至ることもあり、家族や医療・福祉などのサポートが必要不可欠です。
病型は、遺伝性とそうではない孤発性に大きく分けられます。発症年齢などにもよりますが、進行すると数年で車いすが必要になり、寝たきりになったり死に至ることもあり、家族や医療・福祉などのサポートが必要不可欠です。
◇小脳のはたらき
小脳は四肢の運動がなめらかになるように、また、歩行の安定を調整する機能などがあります。そのため、小脳が障害されると、筋肉に異常はないのに手足がうまく動かせなくなり、歩行時にふらつくといった運動障害が起こります。
小脳は四肢の運動がなめらかになるように、また、歩行の安定を調整する機能などがあります。そのため、小脳が障害されると、筋肉に異常はないのに手足がうまく動かせなくなり、歩行時にふらつくといった運動障害が起こります。
脊髄小脳変性症(SCD)の主な症状
脊髄小脳変性症は数十もの病気が含まれているので、症状もさまざまあります。ここではその中でもよく見られる症状について、紹介します。
1. 小脳性運動失調
脊髄小脳変性症でもっとも代表的な症状です。筋力の低下、麻痺といった筋肉の異常はないものの、筋の協調運動の障害が生じて、体をうまくコントロールできない状態です。
・歩行障害…歩行時のふらつき、歩けないなど
・四肢失調…腕や手がうまく使えない、箸がうまく使えない、文字が下手になったなど
・会話障害…声の大きさやリズムが不整、言葉が不明瞭になる
・眼振…眼球が細かく揺れる
脊髄小脳変性症でもっとも代表的な症状です。筋力の低下、麻痺といった筋肉の異常はないものの、筋の協調運動の障害が生じて、体をうまくコントロールできない状態です。
・歩行障害…歩行時のふらつき、歩けないなど
・四肢失調…腕や手がうまく使えない、箸がうまく使えない、文字が下手になったなど
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2. 不随意運動
本人の意思に関係なく体が動く症状です。
・素早くピクッとする動き
・踊っているように見える
・姿勢の異常などが起きるジストニア
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3. 自律神経系の障害
血圧や呼吸などを調整する自律神経系の障害によって引き起こされる症状で、脊髄小脳変性症のなかでも患者の多い多系統萎縮症(MSA)によく見られます。
・起立性低血圧…起立時に血圧が急に下降し、立ちくらみ、耳鳴り、頭痛などが起こる。重症例では失神することもあり、寝たきりになるケースもある
・発汗障害…下半身から発汗の機能に影響が出て汗が出なくなる一方で、上半身では汗が多く出るなど、体温調節がうまくできなくなる。最終的には全身で汗が出なくなる
・排尿障害…十分に尿を膀胱に溜めていられない頻尿などの蓄尿障害と尿を排出させることが困難となる尿排出障害があり、同時に生じることもある
・睡眠時無呼吸…眠っている間に10秒以上呼吸が止まるのを1時間のうち5回以上繰り返す
血圧や呼吸などを調整する自律神経系の障害によって引き起こされる症状で、脊髄小脳変性症のなかでも患者の多い多系統萎縮症(MSA)によく見られます。
・起立性低血圧…起立時に血圧が急に下降し、立ちくらみ、耳鳴り、頭痛などが起こる。重症例では失神することもあり、寝たきりになるケースもある
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・睡眠時無呼吸…眠っている間に10秒以上呼吸が止まるのを1時間のうち5回以上繰り返す
脊髄小脳変性症(SCD)を発症する原因は?
遺伝性のものとそうでない孤発性と呼ばれるタイプがあり、原因も疾患によって様々です。疾患ごとの原因遺伝子の特徴などは研究によって明らかになってきていますが、脊髄小脳変性症を引き起こすはっきりとした原因はまだ解明されていません。
孤発性の場合、生活習慣や食習慣の関係はないと考えられ、疾患の進行を左右するような食習慣などもありません。
遺伝性の場合は、遺伝の仕組みや疾患ごとの原因遺伝子が分かってきており、親子で伝わっていく常染色体優性遺伝性の疾患、きょうだいのみで発症する常染色体劣性遺伝性が知られています。
孤発性の場合、生活習慣や食習慣の関係はないと考えられ、疾患の進行を左右するような食習慣などもありません。
遺伝性の場合は、遺伝の仕組みや疾患ごとの原因遺伝子が分かってきており、親子で伝わっていく常染色体優性遺伝性の疾患、きょうだいのみで発症する常染色体劣性遺伝性が知られています。