【専門家にきく】学習障害(LD)の定義って?
ライター:井上 雅彦
「読み書きの苦手…どこから学習障害?」「もしかして…とは思うけど、そもそも学習障害って何かよくわからない」──いろいろな方法で情報は見られるようになりましたが、かえって混乱してしまうことも。そんなとき、専門の先生の解説があると心強いですね。ここでは「学習障害(LD)の定義」について、鳥取大学教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生が分かりやすく教えてくれます。(取材/LITALICO発達ナビ編集部)

執筆: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 客員研究員
応用行動分析学をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のための様々なプログラムを開発している。
LITALICO研究所 客員研究員
Q. 学習障害(LD)の定義はどんなものですか?
A. 学習障害(LD)は、知的発達に遅れはないのに、主に「読む」「書く」「計算する」「推論する」といった能力の習得や使用に著しい困難があることを言います。
定義は一つではありませんが、日本でよく使われる定義は、主に学校教育に関係する文部科学省のものです。
文部科学省の学習障害の定義は以下の通りです。
文部科学省の学習障害の定義は以下の通りです。
学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。
学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない。
ほかにも、医学的な診断基準「DSM-5」「ICD-10」における定義や概念があります。
使われるシーンや状況、立場によって、定義を始め、含んでいる困りごとの種類や名称などには、少しずつ違いがあります。
使われるシーンや状況、立場によって、定義を始め、含んでいる困りごとの種類や名称などには、少しずつ違いがあります。
■医療:アメリカ精神医学会の診断基準の「DSM-5(精神障害の診断と統計マニュアル第5版)」
■医療:WHO(世界保健機関)の医学の診断基準の「ICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類第10版)」
■行政・法律:日本でのさまざまな法制度の根拠となる「発達障害者支援法」
発達障害者支援法では、「ICD-10」に基づいて学習障害が発達障害の定義に含まれています。
困りごとの内容は、一つだけでなく複数あらわれたり、一人ひとり状態は異なります。定義にぴったり当てはまることはむしろ少ないとも言えます。
困りごとの内容は、一つだけでなく複数あらわれたり、一人ひとり状態は異なります。定義にぴったり当てはまることはむしろ少ないとも言えます。
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