自閉症の息子、否定されるとパニックで自傷…!親子で向き合わなくてはいけない課題とは

2019/11/04 更新
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息子は失敗を恐れています。ちょっとでも否定されるとパニックを起こします。一見、否定形ではない言い方でも切れます。でも、これからの人生で失敗もあり、また他人から注意されることもあります。どうしたらよいものかと悩んでいます。

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立石美津子
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否定の言葉にものすごく敏感な息子

『発達障害に生まれて』(松永正訓著/中央公論新社)ノンフィクションのモデルとなった立石美津子です。

自閉症の息子には強迫性障害もあるため、否定されることに対してものすごく敏感です。パニックを起こすので「ダメ!」「コラ!」「いい加減にしなさい!」といった言葉は言わないように心がけて育ててきたつもりです。
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©あべゆみこ 注意や否定が嫌で耳をふさぐ息子
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最近は一見して否定形ではない言葉にも敏感に反応します。

例えば…
「お薬飲んだの?」も「お薬多分、飲んでいないだろう」と最初から疑われている性悪説の言葉と感じるのかNGワードになりました。

私は、本人に確認するのではなく、ゴミ箱に薬の空き袋が捨ててあるかを確認して、飲んでいなかった場合はさりげなく薬をテーブルの上に出しておくようにしています。

この頃は、「新聞とってきてね」などの「○○してね」の「ね」の一文字に敏感に反応するので、語尾に「ね」を付けないで「新聞とってきて」と話しかけなくてはならない状態になっています。

「新聞とってきなさい」「新聞とってきて」の命令形の方が語気が強い感じがしますが、なぜか「ね」がダメなのです。

子ども時代に比べて、パニックは減ったけれど

息子が小さい頃、パニックを起こす要因は数多くありました。

例えば
・蝶を見たとき(羽系の虫が遠くに飛んでいるだけでダメだった)
・掃除機・ドライヤー・ジェットタオルの音を聞いたとき
・夕飯で夜のNHKニュースの第一声と同時に一口目を入れられなかったとき
・特定の会社のタクシーがなかなかつかまらなかったとき(当時息子は決まった会社のタクシーしか乗れなかった)

そして、パニックを起こすと自傷につながっていました。

幼い頃は生まれて数年しか経っていないのですから、障害の有無にかかわらず、だれしも“自己中”“我慢できない”“折り合いをつけられない”ことも多いのだと思います。人生経験を積んで自分の思う通りにならないことを体験していくことで、少しずつ成長していきます。ただ息子の場合、思い通りにならないことが起きたときの反応が、激しく、大きかったのだと思います。

最近の息子は、パニックも自傷も激減しました。ただ”否定されること”に対しては昔よりも敏感になってしまいました。

自傷

先日のことです。

何度も何度も同じことをしつこく聞いてくるので、私が我慢できなくなってしまい、「さっきから何度も同じことを聞いてきているよ!もう終わり!」と語気を強めて叱ってしまいました。

息子は強迫性障害もあり通院中です。精神疾患による確認行為もかなりあるので、私も耐え切れずにイライラと対応してしまったのです…。
息子はパニックを起こし、自傷してしまいました。結構血も流れました。私は少し怖くなってしまい、「110番するよ」とつい口走ってしまい、火に油状態に。

自傷だけでなく自分を傷つける言葉として「明日から●●病院に入院して、就労移行は行かない!」と叫んでいました。
スーツ姿の息子
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そもそも私の言葉がパニックの原因なのですが、私もようやく冷静になって、「そんなことダメ!」と叱るのではなく次のように声をかけました。

本人の言うことを否定せず、「そうだね。入院して就労移行は欠席しよう(「ね」を語尾につけないように)」と息子の言った言葉をオウム返しました。それから、「うん」「じゃあそうしよう」などの頷きだけでは不安になるので、本人が言った言葉を繰り返します。これは能動的聞き方“傾聴”というそうです。

「じゃあ、お母さんが欠席の電話しておくから(「ね」を語尾につけないように)」と言うと、こんな状況のときでも自閉症らしく「朝、9時半に自分で電話する!」と叫んでいました。(欠席・遅刻の連絡もかける時間帯が決まっているからです)

頓服でもらっている薬を飲ませ、寝かせました。

自分で自分のことを報告する

不安定なまま、出かけていったので、昨夜、パニックを起こしたことを事業所に電話しました。

すると支援員から
「企業ではそこまで配慮してもらえません。いつまでも保護者が連絡するのではなく、自分で自分の不安定な状態を伝えられるように練習させます」

私「分かりました。本人には私から連絡があったことは伏せておいてください」

支援員「そうですね、そうします。さりげなく私から『顔や腕のけがはどうしたの?』と聞いてみますね」

そして電話を切りました。

午後、改めて事業所に電話し「どんな感じでしたか?」と聞くと

支援員「傷のことを聞くとちゃんと、自分から『お母さんに怒られてパニックで自傷した』と答えていました。偉いです」の返事でした。

自分のことを自分の言葉で説明するのは、自分自身のパニックやその原因を客観視するために必要な一歩なのだと思います。

母としての願いと課題

息子がパニックを起こす原因の多くは「叱られること」「否定されること」です。

「通所途中の電車内など外で誰かに叱られたら、このような状態になってしまうのだろうか…」想像しただけで恐ろしいです。パニックを起こすのは「母親に対してだけ」であってほしいと願います。

過保護にならず息子のパニックを恐れることなく、叱られる経験もさせなくてはならないと最近は感じています。同時に、息子自身も不安定な状態を適切な言葉で他人に伝えられるようになってほしいとも感じています。

それが現在の、わが家の一番の課題です。

このコラムの著者親子がモデルの本

発達障害に生まれて-自閉症児と母の17年
松永正訓
中央公論新社

このコラムをかいた人の著書

子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方
立石美津子
すばる舎
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