特別支援教育こそ、iPadが活かせる!小学校教諭の著者が語る実践例やポイントとは?『今日から使える!特別支援 iPad活用法』
ライター:発達ナビBOOKガイド
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合同出版
GIGAスクール構想がスタートして、全国の小中学校でタブレットが一人1台使えるようになってきました。学習だけでなく、課外活動や生活の面でもアシスティブ・テクノロジーとして無限の可能性をもち、特別な支援が必要な子どもたちにはもっと活用できるはず!のiPadですが、指導者側からするとどう活用していいのかわからない、という側面もあります。iPadを子どもの成長のために使いこなすためのガイドブック『今日から使える! 特別支援 iPad活用法』(合同出版)をご紹介します。
iPadの活用法を、ステップごとにわかるように書かれた本
『今日から使える! 特別支援 iPad活用法』の著者、内田義人さんは小学校教諭であり公認アップルティーチャー(※)です。特別支援学校においていち早く、2012年からiPadを活用し始めていたことから、本書は生まれました。「はじめに」には、通常学級よりも特別支援教育のほうがiPadを導入するのに最適な理由が書かれています。
※公認アップルティーチャーとは:指導と学習にApple製品を組み込む教育者を支援し、その成果を評価するプロフェッショナルラーニングプログラム。受講することにより認証を受けることができる。(アップルホームページより要約)
※公認アップルティーチャーとは:指導と学習にApple製品を組み込む教育者を支援し、その成果を評価するプロフェッショナルラーニングプログラム。受講することにより認証を受けることができる。(アップルホームページより要約)
特別支援教育は、オーダーメイドの教育と言われます。それは、障害による特性、困難さ、支援のニーズが一人ひとり違うからです。(はじめに より)
そして、iPadには子どもたちの学びに必要な4つの視点が含まれている、と言います。
①見える……シンプルな操作性
②わかる……豊富なアプリケーション
③できる……アクセシビリティ
④使える……安全性、機動性、連携性
(はじめに より)
こうした特徴をもつiPadの具体的な活用法がわかるように、本書は4つのPartから構成されています。各Partは、
1 iPadをはじめよう
2 iPadをさわってみよう
3 iPadを使ってみよう
と段階を追って解説し、最後の
4 iPadで「見える」「わかる」
では、目的別に実際の指導にどう組み込むかがわかります。
「Part1 iPadをはじめよう」では、容量、通信タイプ、画面サイズなどによってiPadをどう選ぶか、からスタート。子どもと使うための設定についてもくわしく紹介されています。デジタル用語に苦手意識がある人にも、わかりやすく解説されています。
「Part2 iPadをさわってみよう」では、操作の名称とその解説があります。タップ、ドラッグ・アンド・ドロップ、スワイプ、ピンチなど、実際の操作はできたとしても、いざ子どもに指導するにあたって、操作の名称がうろおぼえ…では困るもの。iPadの基本操作を正しく再確認するためにも大事なPartです。
1 iPadをはじめよう
2 iPadをさわってみよう
3 iPadを使ってみよう
と段階を追って解説し、最後の
4 iPadで「見える」「わかる」
では、目的別に実際の指導にどう組み込むかがわかります。
「Part1 iPadをはじめよう」では、容量、通信タイプ、画面サイズなどによってiPadをどう選ぶか、からスタート。子どもと使うための設定についてもくわしく紹介されています。デジタル用語に苦手意識がある人にも、わかりやすく解説されています。
「Part2 iPadをさわってみよう」では、操作の名称とその解説があります。タップ、ドラッグ・アンド・ドロップ、スワイプ、ピンチなど、実際の操作はできたとしても、いざ子どもに指導するにあたって、操作の名称がうろおぼえ…では困るもの。iPadの基本操作を正しく再確認するためにも大事なPartです。
今日から使える!特別支援iPad活用法
合同出版
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2021年9月11日(土)13時から、本書の出版記念「特別支援教育」オンラインセミナー(合同出版主催)
『はじめての特別支援iPad活用法 授業の可能性、子どもの学びが無限に広がる!』内田義人さん×佐藤里美さん×青木高光さん
が開催されます。
『はじめての特別支援iPad活用法 授業の可能性、子どもの学びが無限に広がる!』内田義人さん×佐藤里美さん×青木高光さん
が開催されます。
#「特別支援教育」オンラインセミナー はじめての特別支援iPad活用法 授業の可能性、子どもの学びが無限に広がる! 内田義人さん×佐藤里美さん×青木高光さん
http://ptix.at/VyrB3t
さまざまなアプリを活用して、iPadで「見る・聞く」だけなく「作ってみよう」
iPadを教材・教具として取り入れるときに、多くの人が最初にイメージするのは、動画や操作が多彩な「動きのある教科書」になるところまでかもしれません。でも、ただ受動的に視聴するだけではなく、iPadを使うとプログラミングができなくても、さまざまなツールを産み出すことができます。
たとえば、手書きで検索した漢字を、ジグソーパズルにして、楽しみながら漢字の学習ができるツールを作ることができます。
たとえば、手書きで検索した漢字を、ジグソーパズルにして、楽しみながら漢字の学習ができるツールを作ることができます。
また、手書きで文字を書くことが困難な子どもには、便利なアプリがたくさんあります。
iPadを活用することで、実生活で「できる」ことが増える
iPadを活用するということは、iPadの中だけで学習が完結するということではありません。「Part4 iPadで『見える』『わかる』」では、実生活の中に役立たせる方法やアプリの紹介があります。
たとえば、
自分で買い物に行きたい ⇒ 算数・数学「買い物学習」
自分で調理に挑戦したい ⇒ 職業・家庭科「調理実習」
自分でフォームをなおしたい ⇒ 保健体育「器械運動」
朝の活動を自分でできるように ⇒ 日常生活の指導
こんなことが可能になります。
たとえば、
自分で買い物に行きたい ⇒ 算数・数学「買い物学習」
自分で調理に挑戦したい ⇒ 職業・家庭科「調理実習」
自分でフォームをなおしたい ⇒ 保健体育「器械運動」
朝の活動を自分でできるように ⇒ 日常生活の指導
こんなことが可能になります。
著者に聞く、「なぜ特別支援学級にICTが必要なのか?」オーダーメイドという視点
それでは、本書を実際にどのように活用してほしいのかについて、著者の内田義人さんにお話を伺いました。
発達ナビ編集部(以下、――)「はじめに」にもありましたが、なぜiPadを特別支援学級で積極的に活用されるといいのでしょうか?
内田義人さん(以下、内田):通常学級では、個別の活用よりも全体指導、一斉指導の中での活用が多くなると思いますが、特別支援の中では、その子に合わせた使い方ができるので、まさにスペシャルニーズに対応できる教具として、積極的というよりは活用することが必然なのだと思います。
特別支援教育は、オーダーメイドと言われますが、iPadの最大の魅力は、その子に合わせたチューニングができること。一斉ではなく、個別の支援にどう活かせるか。「できない」ではなく、「できる」ためにどう使えばいいのか、ということが大切になります。ですから本書では、支援者が「これならできる」「やってみたい」と思えるよう豊富な写真や、エピソードの紹介、ワンポイントコラムで、「見える」「わかる」を目指しました。
――内田さんご自身は、発達障害のある子どもの学習や学校生活などで、iPadをはじめとするICTをこれまでどのように活用されてきたのですか?
内田:通常学級でもいろいろな子どもたちと出会ってきました。自分が好きだったこともありますが、パソコンや電子キーボードなどのICT機器はずいぶん前から活用していました。算数では、立式や解法を覚えるまでは電卓を活用したり、写生ではカメラで構図を捉えたり印刷をして教室でもできるようにしたりしました。
作文では、パソコンで作成することで書いたり消したり校正したりすることの抵抗感が減り、鉛筆と作文用紙では文章が書けないと思っていた子が、あふれる想いを作文に表してくれて、学力感について考え直すきっかけにもなりました。発達障害など特性のある子どもたちには、ICT機器は魅力的でもあり、自分の苦手なところをカバーできる味方にもなると強く感じています。
――iPadを特に活用したいシーンについて、教えてください。
内田:活用シーンは、日常生活の指導、自立活動、学習活動といった学校生活全般です。特に効果があるのは、動作を「見える化」できることです。カード類もよく使いますが、iPadの強みは「動画」です。例えば日常生活の着替えのシーンでは、衣服のたたみ方は写真ではなかなか伝わりませんが、動画なら理解も汎化もスムーズです。
教科学習では、家庭科の調理実習でよく活用しました。卵を割る、野菜を切るなどといったシーンでも「動画」であれば必要なところを繰り返し見ながら真似ることができます。
発達ナビ編集部(以下、――)「はじめに」にもありましたが、なぜiPadを特別支援学級で積極的に活用されるといいのでしょうか?
内田義人さん(以下、内田):通常学級では、個別の活用よりも全体指導、一斉指導の中での活用が多くなると思いますが、特別支援の中では、その子に合わせた使い方ができるので、まさにスペシャルニーズに対応できる教具として、積極的というよりは活用することが必然なのだと思います。
特別支援教育は、オーダーメイドと言われますが、iPadの最大の魅力は、その子に合わせたチューニングができること。一斉ではなく、個別の支援にどう活かせるか。「できない」ではなく、「できる」ためにどう使えばいいのか、ということが大切になります。ですから本書では、支援者が「これならできる」「やってみたい」と思えるよう豊富な写真や、エピソードの紹介、ワンポイントコラムで、「見える」「わかる」を目指しました。
――内田さんご自身は、発達障害のある子どもの学習や学校生活などで、iPadをはじめとするICTをこれまでどのように活用されてきたのですか?
内田:通常学級でもいろいろな子どもたちと出会ってきました。自分が好きだったこともありますが、パソコンや電子キーボードなどのICT機器はずいぶん前から活用していました。算数では、立式や解法を覚えるまでは電卓を活用したり、写生ではカメラで構図を捉えたり印刷をして教室でもできるようにしたりしました。
作文では、パソコンで作成することで書いたり消したり校正したりすることの抵抗感が減り、鉛筆と作文用紙では文章が書けないと思っていた子が、あふれる想いを作文に表してくれて、学力感について考え直すきっかけにもなりました。発達障害など特性のある子どもたちには、ICT機器は魅力的でもあり、自分の苦手なところをカバーできる味方にもなると強く感じています。
――iPadを特に活用したいシーンについて、教えてください。
内田:活用シーンは、日常生活の指導、自立活動、学習活動といった学校生活全般です。特に効果があるのは、動作を「見える化」できることです。カード類もよく使いますが、iPadの強みは「動画」です。例えば日常生活の着替えのシーンでは、衣服のたたみ方は写真ではなかなか伝わりませんが、動画なら理解も汎化もスムーズです。
教科学習では、家庭科の調理実習でよく活用しました。卵を割る、野菜を切るなどといったシーンでも「動画」であれば必要なところを繰り返し見ながら真似ることができます。
内田 どうすれば良いかが「見える」ことで、やり方が「わかり」、自分で「できる」。教師の支援をフェードすることができ、子どもたち自身が自己選択・自己決定する正しい繰り返しの中で、「できる」から「使える」力に成長していきます。子どもたちの自立と社会参加をめざす特別支援学校において、「使える」力を育てることはとても重要であると考えます。
――iPadを使って、実際に子どもがぐんと伸びたエピソードを教えてください。
内田:iPadを活用することで、従来の方法ではできなかったことが簡単にできてしまうということが多くありました。例えば、本書でも紹介していますが、自己表出ができるようになった子どもはたくさんいます。彼らからは、成長に年齢は関係ない、成長をあきらめてはいけないなと教えられました。
一例をご紹介します。中学部ではiPadで「こどもレター」を使って文字を書いていた子が高等部になったある日、帰りの学活時に教室へいくと、連絡帳に今日の反省と明日の用意を鉛筆で書いていたのです。驚きと同時に感動しました。
iPadをはじめとしたICT機器は時に理解されないこともありますが、きちんと活用していけば、その子の力となり、自立するきっかけにもなるのだと証明してくれたエピソードだと思っています。私たちの仕事は、いまある力をしっかり見つけ、iPadをチューニングしながらその力を伸ばし、自立に繋げていくことなんだと思います。
――iPadを使って、実際に子どもがぐんと伸びたエピソードを教えてください。
内田:iPadを活用することで、従来の方法ではできなかったことが簡単にできてしまうということが多くありました。例えば、本書でも紹介していますが、自己表出ができるようになった子どもはたくさんいます。彼らからは、成長に年齢は関係ない、成長をあきらめてはいけないなと教えられました。
一例をご紹介します。中学部ではiPadで「こどもレター」を使って文字を書いていた子が高等部になったある日、帰りの学活時に教室へいくと、連絡帳に今日の反省と明日の用意を鉛筆で書いていたのです。驚きと同時に感動しました。
iPadをはじめとしたICT機器は時に理解されないこともありますが、きちんと活用していけば、その子の力となり、自立するきっかけにもなるのだと証明してくれたエピソードだと思っています。私たちの仕事は、いまある力をしっかり見つけ、iPadをチューニングしながらその力を伸ばし、自立に繋げていくことなんだと思います。
「ICTはよくわからない」と敬遠するまえに、まずは使ってみてほしい
――21ページのコラム「情報モラルの教育を!」や39ページのコラム「仲間を増やそう!」にあるように、iPadの使用に不安を感じる保護者の方もいらっしゃると思います。そんな方に対してのアドバイスをお願いします。
内田:まずは、何ができそうか、というところから参考にしてもらえるといいかと思います。
使いかたは、子どもたちの方がはるかに詳しく、あっというまに覚えてしまいます。私たちがよくわかるようになっていたいのは、その子の何を伸ばすためにどう活用するか、そのために何が必要かといったチューニングスキルです。
本書では、さまざまなシーンでの活用に合わせて110種類以上のアプリを紹介しています。まずは目の前の子どもたちのためにどう活用していくか、どんなチューニングが有効なのか、参考にしていただければと思います。
内田:まずは、何ができそうか、というところから参考にしてもらえるといいかと思います。
使いかたは、子どもたちの方がはるかに詳しく、あっというまに覚えてしまいます。私たちがよくわかるようになっていたいのは、その子の何を伸ばすためにどう活用するか、そのために何が必要かといったチューニングスキルです。
本書では、さまざまなシーンでの活用に合わせて110種類以上のアプリを紹介しています。まずは目の前の子どもたちのためにどう活用していくか、どんなチューニングが有効なのか、参考にしていただければと思います。
まとめ
iPadをフル活用することは、子どもにとって面白いというだけでなく、指導する側にとっても、学び方を効果的に伝えることができるということでもあります。学ぶことは本来楽しいこと。iPadを用いたこれからの学習では、特別な支援が必要な子どもが苦手の克服とともに、得意を伸ばすことができそうです。
本書は、学校等の指導者向けに書かれた本ですが、家庭でも活用できるノウハウがたくさんあります。iPadを使って何ができるのかな、と思ったときに開いてみてほしい本です。
取材・文/関川香織
本書は、学校等の指導者向けに書かれた本ですが、家庭でも活用できるノウハウがたくさんあります。iPadを使って何ができるのかな、と思ったときに開いてみてほしい本です。
取材・文/関川香織
著者プロフィール 内田義人
公認Apple Teacher、茨城県公立小学校教諭。小学校の通常学級担任、特別支援学級担任、特別支援学校担任、学部主事を経て、2021年度より小学校勤務。特別支援学校に勤務していたときに開発したアナログ教材「わかる君ウォッチ」がヒット。子どもたちの「使える」を目指したユニークなアイデアで、おもに特別支援教育の現場でのICTの活用方法を実践&研究中。
2015年度より植草学園大学発達教育学部「障害のある子どものICT活用」講義担当。
2015年度より植草学園大学発達教育学部「障害のある子どものICT活用」講義担当。
内田義人さんも登壇!本書出版記念オンラインセミナー開催!!
開催日時:2021年9月11日(土)/13時スタート、14時30分終了予定
主催:合同出版株式会社
出演者:内田義人さん(小学校教諭・りんご先生)
佐藤里美さん(ソフトバンク株式会社 「魔法のプロジェクト」ディレクター)
青木高光さん(国立特別支援教育総合研究所主任研究員)
*オンライン参加のみです
*参加者のカメラはオフになります
*先着150名
*参加費
A チケット1000円
(本をすでにご購入の方は割引クーポンをご利用ください。クーポンコード:0911)
B チケット2900円
(テキスト代『今日から使える!特別支援iPad活用法』込み)
・Bチケット(書籍付きチケット販売)は、発送手配の関係で9/2(木)23時55分締切とさせて頂きます。
・書籍は9月上旬の発送となります。
主催:合同出版株式会社
出演者:内田義人さん(小学校教諭・りんご先生)
佐藤里美さん(ソフトバンク株式会社 「魔法のプロジェクト」ディレクター)
青木高光さん(国立特別支援教育総合研究所主任研究員)
*オンライン参加のみです
*参加者のカメラはオフになります
*先着150名
*参加費
A チケット1000円
(本をすでにご購入の方は割引クーポンをご利用ください。クーポンコード:0911)
B チケット2900円
(テキスト代『今日から使える!特別支援iPad活用法』込み)
・Bチケット(書籍付きチケット販売)は、発送手配の関係で9/2(木)23時55分締切とさせて頂きます。
・書籍は9月上旬の発送となります。
今日から使える!特別支援iPad活用法
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