自閉症育児、紆余曲折の20年で得た教訓とは

ライター:立石美津子
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自閉症の息子を20年間育ててきました。その経験を踏まえて、まとめてみました。子育てでふと迷ったとき、悩んだとき、こんな風に考えたらいいのかな? というヒントにしていただけたらうれしいなと思います。

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監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

発達障害のある子どもも成長する

子どもは成長します。けれども、定型発達の子どもと同じようになるわけではありません。

発達障害がある子どもの発達、成長は「自閉症でなくなる」ということではないからです。お爺さん、お婆さんになっても自閉症のあるお爺さん、お婆さんです。その現実を親が受け入れることで、親子ともに楽に生きやすくなると私は思います。

こだわりに付き合ったら、こだわらなくなった

こだわっていた電車
Upload By 立石美津子
変化に対して不安があると、同じパターンを繰り返すこだわり行動を起こすことがあります。この行動に親が付き合うことで、「親は自分の安全地帯を知ってくれている」と子どもの心が安定し、新しいものに挑戦できるようになると感じています。

息子は株式会社コンドルタクシーのタクシーにしか乗れませんでした。

京王井の頭線では3000系にしか乗れませんでした。

夕食の一口目が夜のNHKニュースのアナウンサー「こんばんは!NHK…」と同時にならないとダメでした。

そこで、希望するタクシー、電車に乗せ、時間厳守で夕食を出すようにしました。
安全地帯を確保し、数年かけて息子はこだわらなくなっていきました。今は疲れたとき、歩きたくないときなどに「タクシーに乗りたい」と言いますが、どんな会社のタクシーでももちろんOKになりました。

※監修者注
すべてのお子さんがこだわらなくなるわけではありません。自閉スペクトラム症には昔から「こだわり保存の法則」という概念があります。一つのこだわりが減ると、もう一方のこだわりが増えてくるという現象です。それが生活の一部に役立てられているのであるなら、そのまま継続すればいいのです。一般的には「ルーティーン」と呼ばれている行為です。うがいは必ず5回やるとか、朝トイレへ行ってから顔を洗うとかです。スポーツ選手の中でも見られます。野球選手のバットの構えや、テニス選手のペットボトルの置き方などです。「他人に迷惑をかけていなければ良しとする」という考えでいいのではないでしょうか。

食べ物の好き嫌いをなくすように強制すること自体が、好き嫌いをつくっていた

食事をする息子
Upload By 立石美津子
息子が幼いころ、好き嫌いがあるのはよくないと考えていた私は、無理やり食べさせようとして悪循環になりました。息子に無理強いすることをやめたら、少しずつ食べられるものが増えていきました。「食事をすること=恐怖」とインプットされてしまうと、食に対して不快な感情をもったまま生涯過ごすことになるかもしれません。

私自身が、息子に「ちゃんと食べさせること」にこだわりすぎていたのかもしれません。今、食事は楽しいものであってほしいと、過去の経験を振り返りながら感じています。
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