ハサミで切ってしまえ事件

記憶はありませんが、小さいころ、僕は自分の履いているズボンをハサミで切ったことがあります。親がびっくりして僕を怒鳴ったようですが、「あれはもしかすると、服が不快で嫌だったのかもしれないね」という話を最近になって親としたことがあります。

服を切り刻んでしまう、外なのに服を脱いで裸になってしまう、登園(登校)時間になると不機嫌になるなど、子どもに不可解な行動があった場合、もしかすると服に不快感を持っている可能性を考えてみるもの必要かもしれません。登園(登校)時間になると不機嫌になるのは友人関係や学校行事、勉強への拒否感などからの登校拒否ではないかと思ってしまうかもしれませんが、もしかしたら靴下が苦痛だったり、制服が苦しかったりする場合もあるのかもしれません。

子どもは自分の中で何が不快か認知できないこともありますし、その苦しさを表現できない場合もあります。その問題行動をメンタルや性格のせいにする前に、目に見えない感覚で苦しんでいないか、少し視野を広げて考えて見る必要が親や周囲の大人には必要なのかもしれないと思います。

肌着問題と成長問題と生産中止問題

ボロボロになっている肌着
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この写真は、僕の肌着です。このコラム冒頭で、家でずっとランニングシャツで過ごしていると書きましたが、そのランニングシャツ…実はこのように破れ始めています。このシャツは僕が小学5年生のときから着ているものです。150cmで売っていたそうですが大きめで160cmサイズくらいはありそうな感じです。このランニングシャツは5年以上着ていることになります。

もうお分りいただけると思いますが、これ以外にいいと思える肌着に出合えないのです。これまでに親が何着も肌着を買ってきてくれました。絶対に無理かと言われたら、着られないことはないのかもしれませんが、選べと言われたら、やっぱりいつもの肌着を選んでしまい、現在、破れないことを願いながら着ています。

同じものがないか探し回ってくれたようですが見つかりません。5年も経てば、商品は生産中止になったり、マイナーチェンジもあったりして、同じものを入手することは困難になります。

特に子ども服から大人の服に変わりはじめる時期に自分に合った服を見つけられないと、僕のように高校1年生になって、未だ小学生のころのものを着ることになってしまいます。子どもが小さい間に気に入った服はサイズが大きいものも買っておくのもいいかもしれません。

感覚過敏の服の問題を解決したい!

あまりにも服の選択肢がない状態です。まずは、痛みや不快感などがなく着れる服に出合いたい。そして、できることならオシャレを楽しみたい。服を選ぶ楽しみを味わいたい!

見つからないので僕は自分で作る道を選びました。縫い目が外側で、タグがない服を作ります。最初にパーカーを作りました。
こだわり1 縫い目は外側
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こだわり2 タグなし
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こだわり3 縫い目は外側だが見た目も美しく
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こだわり4 クールダウンできる
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縫い目やタグの問題だけでなく、感覚の刺激を遮断したりクールダウンできるフードや簡易のマスクモードになるなど、いろいろな工夫をしてみました。
こだわり5 簡易マスクモード
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こだわり6 フードにワイヤーを入れて顔に触れないように
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こだわり7 リュックをしょってもいたくない
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こだわり8 なめらかな素材
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こだわりまくって作りました。このパーカーは昨年2020年12月に1作目を作って、それ以来、ほぼ毎日このパーカーで過ごしています。真夏も、肌に合わないTシャツを着るよりは、このパーカーがいいと感じ、肌着の上にこのパーカーを着ています。気持ちいいですが暑いので、早めに夏用の服も作りたいです。その前に肌着を作りたいと思っています。

服を裏返しに着たり、タグを切り取るなどの工夫はできますので、まずはそこからやりながら、合う服を見つける作業になりますが、その探す過程がお金もかかりますし、買っても着られなかったということもあるので、心が折れてしまいやすくなるかもしれません。僕の母もいつもたくさん買ってきてくれますが、それを着られない自分が少し嫌になります。

はじめは自分が着られる服が作れればいいかとも思いましたが、僕と同じように服選びを諦めたり疲れたりしている方が多いことを知って、今、感覚過敏の方のためのアパレルブランドを立ち上げたいと思うようになりました。

現在そのためのクラウドファンディングに挑戦中です。よろしければご覧いただければ嬉しいです。
感覚過敏課題解決型アパレルブランドの立ち上げのためのクラウドファンディング
https://camp-fire.jp/projects/view/428761
(監修者・井上先生より)
当事者の感覚を生かして着やすい衣服を自ら作るのは素晴らしいアイディアだと思います。
縫い目、簡易マスク、ワイヤーを通して頭に触れないようにするなどの工夫は、画期的なのではないでしょうか。
HPなどでいろいろな人の意見を取り入れながら、さまざまなデザインで、さまざまなTPOに使えるものができるといいと思います。応援しております。
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