ひとりでがんばらせない

この日の体験で私は、ずっと彼なりに必死で頑張っていたんだなぁということを肌で感じました。

私は今まで、むっくんが弟に口や手を出したことにだけに注目して介入していました。だけど、むっくんなりに努力をしていた時間もある。それなのに、頑張り続けられなかったことにだけに注目されて叱責されてしまうなら、癇癪だって起こしたくなるよな…と私はこれまでの対応を反省しました。

以前「ひとりでがんばらせないで」という言葉を発達障害の本で読んだことがあります。ひとりでがんばらせないってどういうことなんだろう?と思っていたのですが、叱責ではなく努力を認め、そっと背中をさすること。これが「ひとりでがんばらせない」ということなのだなと理解することができました。
一人で頑張らせないのが大事
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見えない努力に注目する

癇癪は目立つため、つい注目しがちですが限界を超えるまで頑張っていたから癇癪が起こることもあります。この場合結果としての癇癪ではなく、そこに至る過程や心の変化、特に【努力】への注目が大切なのだと私は感じました。癇癪前にある本人の頑張りに気づき、認めてもらえるのなら、癇癪を起こす必要なんてなくなるのかもしれません。

私にとってむっくんの癇癪は「問題行動」などではなく「気づかないといけない何かに気づけていないよ!」という私へのサインだということを忘れず、これからもむっくんと向き合っていこうと思います。

執筆/ウチノコ
(監修:初川先生より)
素敵な気づきのシェアをありがとうございます。癇癪でお困りの保護者の方は多くいらっしゃると思いますが、どう収めるか、というだけではなく、まずはむっくんと話し合いをし、そして癇癪のはじまりから見てみるようにしたのですね。

むっくんの発達度合いや年齢にもよりますが、癇癪時の自分の心の動きを言葉にしているのは素晴らしいですね。むっくんの思いのように、癇癪は、その前の事象でイライラが募っていることに加え、それを収めようと関わる大人の言動でますます混乱してしまうことが多々あります(そこに気づけているむっくんは本当に立派!)。すでにイライラが限界に達しているお子さんに、いかに火に油を注がずに対応するか、そこを考えるには、イライラが限界に達する前の関わりが大切です。そういう意味では、弟くんがゲームを始めるときからむっくんの様子を見てみた、というのは重要な情報を得るためにとても重要なポイントでしたね。

弟くんのプレイを見ているときの頑張って我慢している姿に気づき、そして思わず背中をさすってみた。その親子での協働的な関わりによって、むっくんにとってはお母さんが見ていてくれる中で、我慢を応援してくれている中で、安心して我慢できつつあったのでしょう。弟くんのプレイを見る時間がこれまではただただイライラして、結果お母さんにも怒られる残念な時間になっていましたが、3人で楽しく過ごすためにどうしたらよいかを母子で頑張る時間に変わりましたね。

ときには我慢が効かず、癇癪を起こすこともあるでしょうが、それでも上手に我慢できたときは、「よく我慢できたね、頑張ったね」と褒められる機会に変化しています(繰り返しますが、これまでは怒られる機会だったのに!)。そうして、安心できる中で、イライラを爆発させずに我慢する時間を保つという行動を身につけてゆきます。

癇癪は困ったものではありますが、大人が癇癪は困ったもの、迷惑だとだけ思ってしまうと、子どもへのまなざしがきつくなってしまいます。癇癪を起こしたくて起こしている子はいないと思います。まずは癇癪の前に注目して関わってみる、ということ。とても参考になるエピソードでした。
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